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糸りとり 第14回|村橋 貴博

_shi_ri_to_ri_ by なるじあき

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しりとりと読みます。日頃、糸を使ったり使わなかったりするアーティストの方々に、「糸」を使った作品を制作してもらい、作品タイトルを 「しりとり」でリレーしていくという、ゆるカッコEコーナーです。

 

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第14回目のゲスト作家は、村橋 貴博(guse ars)さん。
昨年のTHE TOKYO ART BOOK FAIR 2013で、あまりの出展数の多さに圧倒されてほぼ眺めるにとどまっていた中、コンセプチュアルな美しいブルーのZINEに魅かれ、足を止めたのがguse arsのブースでした。ソロ名義での紙コラージュ作品も面白くて、糸りとりのイメージが湧いてきたのです。なので今回はあえてソロで。

 

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「い」➡『意図的な神の意思』

 

 

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The intentional idea of Venus
 
“糸的な紙の石”

The stone of paper like thread

 

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標本のように

裏にもラベルとサイン、引き締まります

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崩れていくヴィーナスのフォルム

縦糸に見立てた切りこみと、
 すぐに千切れてしまう儚い古書の横糸

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ビルの古びた掲示板

温度が重なって、美しい場所になる

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村橋さんに聞いてみました。

なるじ:
タイトル「意図的な神の意思」について教えて下さい。

村橋
”意図的な神の意思”=”糸的な紙の石”という、とてもストレートな意味を隠したダブルミーニングの言葉なんです。一見偉そうに見えて、実は超単純なタイトル。

なるじ:
タイトルお知らせ貰った時に、「意図」は「糸」と掛けてるのかな?とは思っていたんですが、更に紙!石なんだ~!!と、ちょっと興奮しました。
今回、所謂「糸」ではなく、紙を使おうというのは最初から考えていたんですか?

村橋
普段からコラージュで用いる紙を糸のように使おうと考えていて、代表的な石としてモチーフに選んだヴィーナスが「神の石像」というのも相まって、「糸的な紙の石」を作ることにしました。

なるじ:
それから、繊細で丁寧な作りにも驚きました。

村橋
縦糸になるようヴィーナスに切り込みを入れました。ヴィーナスがインクがペタッとしたモノクロの質感だったので、横糸はカラーが入った陶器の制作過程を絵で表現している古書を、糸状に切ったものを使ってます。

なるじ:
ポイントとか大変だったところはありますか?

村橋
ポイントは編み込むことで崩れていくヴィーナスのフォルム、それを少し浮かせて標本化している所です。それから、爪でしごいて紙糸をカールさせているのもこだわりです。古い紙を細く切っているので、とにかくすぐに千切れてしまうのが大変でした。

なるじ:
見るからに大変そうです。。この繊細さが、儚さを秘めた美しくて尊い存在感につながるんですね。

今回の手法で、作品作りはされたことありますか?

村橋
この手法は初めてでした。コラージュ素材として古い彫刻作品の印刷物は、よく使います。質感と陰影が好きなんです。

なるじ:
印刷物を使ったコラージュは、いつ頃どんなきっかけで作り始めたんですか?

村橋
6~7年前からだと思います。当初は絵を描いた一部に素材を貼ることが多かったです。もともとアンティークとか使い古されたものが好きで、古書の質感や汚れ、インクがのった感じをそのまま活かしたくって、自然とコラージュ表現になっていきました。

なるじ:
guse arsとしての活動の、漂着した欠片を使った作品作りをするきっかけは何ですか?

村橋
遊びで行った鎌倉の海で、ビーチコーミング的に貝殻、流木、石やガラスを探してたんです。落ちてた陶片も何となく持ち帰ってて。じっくり見ると、切り取られたからこそ面白いと思える文様があるなぁと。全部見えてないからこそ想像力を掻き立てられる。それがオリジナルの模様を生み出す創造に繋がったんだと思います。考えてみるとguse arsの活動も、陶片を元にしたコラージュの要素を持っていますね。

なるじ:
村橋さんの作品作りの原点は何だと思いますか?生活環境、人物、音楽、アート、色々ありますが。


村橋
幼少の頃、父が仕事の関係で要らなくなった、図面の青焼きをドサッと持って来てくれて、いつもそれに絵を 描いてました。青焼き独特の擦れた青の濃淡は、その頃からとても好きです。
また、父は趣味で蝶の標本作りをしていて、箱に整然と物が配置されたり、データラベルを付けたり、博物館的な要素にもとても惹かれます。そういった昔の記憶が、かなり影響を与えていると最近よく感じます。

なるじ:
青焼き!標本!まさにですね~納得。私も青焼きの湿った質感も博物館的なもの好きです。小学生の遠足の行き先が6年間ずっと、くじらの博物館だった擦り込みでしょうか。。笑

今後の活動構想はありますか?

村橋
来年は、個人名義の個展もしたいと思ってます。guse arsでは、プロダクトを生み出したいですね。

なるじ:
ソロでの個展、是非名古屋でもやって欲しいですーー!

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<なるじから暮れのごあいさつ>
早いもので、今年最後の「糸りとり」でした。ご協力頂いたアーティストの方々には本当に感謝です。昨年11月から始まったLIVERARYで、唯一みっちり月一更新という、全然ユルくなかった「糸りとり」ですが、来年からは不定期更新になります。不定期なのでみっちりだったり、そうじゃなかったりです。 早速1月はお休みで、2月からスタートします。fancomiさんの糸作品、楽しみにして下さい!

 

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次回は「し」 
fancomiさんへ、バトンタ〜ッチ!!!

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これまでの糸りとり
第1回「あ」➡『赤い輪っか』成地 亜紀(2013.11.05 UP)
第2回「か」➡『風立ちぬ』遠山 敦(2013.12.01 UP)
第3回「ぬ」➡『ヌクアロファ』TMTM/Tomoe Miyazaki(2013.12.28 UP)

第4回「あ」➡『あたらしい家』松尾ミユキ(2014.2.2 UP)
第5回「え」➡『えびでたいをつる』田口美早紀(2014.3.4 UP)
第6回「る」➡『ルウェンゾリの山男』wassa(2014.4.7 UP)
第7回「こ」➡『コイル』都筑晶絵(2014.4.29 UP)
第8回「る」➡『留守の部屋』Nobue Miyazaki(2014.6.5 UP)
第9回「や」➡『やみよやまねこやすみの国』鈴木 いづみ(2014.7.5 UP)
第10回「に」➡『二期作』塩川 いづみ(2014.8.3 UP)
第11回「く」➡『鯨のランプ』nakaban(2014.9.6 UP)
第12回「ぷ」➡『プレイバック』山口 洋佑(2014.10.3 UP)
第13回「く」➡『空中分解』狩野 岳朗(2014.11.4 UP)

 

 

<PROFILE>

村橋貴博 / Takahiro Murahashi

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アーティスト・デザイナー
2人組のアートプロジェクトguse ars(グセアルス)として活動。浜辺に漂着した陶片を表現素材として、展示やデザイ ン、本の制作などを行う。個人名義では、コラージュ技法を中心とした作品作りやデザインを行う。2014年は、 SUNNY BOY BOOKS、circle gallery&books、ON READING、coffee carawayで、4度の個展を開催。

 

<お知らせ>
HP http://guse-ars.com
FACEBOOK  https://www.facebook.com/gusears
を要チェック!

 

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企画/
ディレクション:成地 亜紀
題字:遠山 敦

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