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糸りとり 第20回|大橋 裕之

_shi_ri_to_ri_ by なるじあき

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しりとりと読みます。日頃、糸を使ったり使わなかったりするアーティストの方々に、「糸」を使った作品を制作してもらい、作品タイトルを「しりとり」でリレーしていくという、ゆるカッコEコーナーです。

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第20回目のゲスト作家は、大橋 裕之さん。

今年4月、名古屋パルコ期間限定ショップ「TENTO」で、大橋さんに似顔絵を描いて貰ったのが初対面。向かい合わせで、あの吸い込まれそうな大きな目に見つめられて緊張MAX。勇気を出してお誘いしました。

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「の」➡『野武士』

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松次は山に住んでいます

旅の途中の主人公に絡んだりします

 

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特にいいことがあった訳でもなく、

 

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思い出し笑いしています

 

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一本増やす毎に愛着が湧く髪の毛

縮れ毛がいい塩梅です

 

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微笑みの裏の感情は、こんなだったりして

なーんて深読みしてみたり

 

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大橋  裕之さんに、質問です。

 

なるじ:
タイトル「野武士」にしたのは、どうしてですか?

 

大橋:
最初「海苔」が浮かんで、シンプルに海苔1枚がいいなと思ったんですが、糸で表現するのは恐ろしく難しそうだったので、2つ目に浮かんだ野武士にしました。

 

なるじ:
海苔1枚!!(笑)完成してたらかなりシュールでしたね。野武士の解釈っていくつかありますが、この作品での野武士とは?

 

大橋:
小山ゆう先生の漫画に出てきそうな、時代劇もので、山に住んでて、旅の途中の主人公に絡んでくる、野蛮な感じの方。

 

なるじ:
こんな見た目で野蛮を秘めてるんですね。。微笑んでるように見えますが、彼はどういう心情なのでしょう?

 

大橋:
特に良いことがあったわけでもなく、思い出し笑いしてる感じです。

 

なるじ:
竹中直人の「笑いながら怒る人」的な恐さと哀愁ありますね。名前つけるとすると?

 

大橋:
松次とかですかね。

 

なるじ:
フフ、松次かぁ。もうこのキャラで漫画描いて欲しいです。
顔だけの作品にしたのは、やっぱり身体作るの面倒くさかったからですか?(笑)

 

大橋:
面倒くさいのは全ての基本にあります(笑)
身体も作ろうと思ったんですが、顔だけで納得できました。

 

なるじ:
毛糸の縮れが良い感じですよね!ダンボールなのも、ジワジワきます。糸作品、初挑戦だと思うんですが、どうでしたか?
小さい頃から、漫画は描いていたようですが、工作とか「作る」ことって好きでした?

 

大橋:
太いから本数少なくても、髪の毛として成立するので、毛糸にしました。ダンボールは、指で持った感触と重さが好きなんです。工作は苦手でした。面倒くさいので。今回の作業は、全て自分がやり易いように考えたので、かなり楽しんでできました。髪の毛を一本増やす毎に愛着が湧いて、髪の毛を撫でながら作ってました。

 

なるじ:
撫でながらっ!(笑)その光景こっそり覗きたいです。
小さい頃から面倒くさがりなのに、漫画は特別なんですね、好きなんですね。
熱いメッセージとかないと思いますが、漫画を通してどう思って欲しいとか、描く上で意識してる事とかありますか?

 

大橋:
単純に面白いと思って欲しいです。そんなに笑わなくても良いので。ちょっとでも記憶に残って貰えたら嬉しい。
何かの拍子に、今の状況あの漫画のあのシーンみたいだな、とか思ってくれたり。
僕自身がそういう風に楽しんでいるので、僕みたいな人間に向かって描いてるようなとこあります。

 

なるじ:
大橋さんの漫画読むと、日常に流れされてる中で、ふとやってくるモヤモヤした気持ちに似ていて、ちょっと安心できたりします。登場人物に、心底悪い人が出てこないのは意図的ですか?

 

大橋:
悪い人のそうでもない部分に、スポットを当てているだけかも知れません。実際いたら嫌な人間ばかりな気もします。
残酷な内容の漫画は、昔友達にみせる用に大量に描いたので、今の所描く気がしません。他の人が描いたのを読むのは好きです。いや、そんなに好きではないかも。怖いものみたさです。

 

なるじ:
大橋さんの描く残酷な漫画、見たいような見たくないような。。いや、ちょっと見たい。

ブログやインタビューで、「面倒くさい」て言葉がよく出てきますが、普通は「面倒くさい=やらない」で、終わると思うんですけど、それは面倒だからじゃあどうしようって考えて、何かしら行動しますよね。「週刊オオハシ」はその集大成だなと。はっきり言ってこれ、めちゃ面倒くさいコンセプトですよ(笑)こういう自分の性格って、どう思ってますか?
※「週刊オオハシ」全ての連載を自ら描くという内容の自主出版雑誌

 

大橋:
自分の性格はいまだによく分からないです。基本的に全てのことから逃げてきました。就職して仕事してたことが本当に辛かったので、とりあえずやりたいことだけやってみようと思って。無理矢理上京しました。

 

なるじ:
大橋さんのそういう部分が、登場人物に投影されてて、愛おしくなってしまいます。きっと誰もが普通に持っている優しい気持ちが戻ってくる感じなんじゃないでしょうか。で、ほんのり元気になれる。

 

大橋:
実際に遭遇して辛かった出来事を、漫画に描くことで、緩和させてるような部分、ある気がします。

 

なるじ:
26歳で蒲郡から上京して、35歳の現在。改めて変わったこと、変わらないことありますか?

 

大橋:
一番変わったのは、漫画やイラストで、なんとか飯が食えるようになったことです。ここ5年ぐらいですけど。
描き方は少し変わった部分もあるんですが、基本的な内容は変わってないですね。

 

なるじ:
その辺の経緯は、CINRAとかナタリーとかCONTRASTとかマックスマガジンとかのインタビューでじっくり読んで頂くとして。今、気になってること、今後、やってみたいことは何ですか?漫画以外でも、人生設計的なことでも。

 

大橋:
この世の行く末が何もかも不安です。
中崎タツヤ先生が「じみへん」と「身から出た鯖」を終わらせてから、どうするのかも気になります。
漫画は、ちゃんとしたストーリーのある続きものを描いてみたいです。
人生については、昔のどうでもいいことを不意に思い出すのが好きなので、なるべく長く生きて思い出したりしたい

 

なるじ:
私も不安です。細く長く生きたいです。
では最後にどうでもいい質問。
今一番好きな女性芸能人は?過去にしょこたん、相武紗季など好きだったみたいですが(笑)

 

大橋:
ここ数年いないです。みんな可愛いです。芸能人よりも街や電車で見かける普通の人が気になります。芸能人と同等に見ています。

 

なるじ:
それは幸せですね。

ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー

次回は「し」 
片岡 メリヤスさんへ、バトンタ〜ッチ!!!
!!!

 

これまでの糸りとり

第1回「あ」➡『赤い輪っか』成地 亜紀(2013.11.05 UP)
第2回「か」➡『風立ちぬ』遠山 敦(2013.12.01 UP)
第3回「ぬ」➡『ヌクアロファ』TMTM/Tomoe Miyazaki(2013.12.28 UP)

第4回「あ」➡『あたらしい家』松尾ミユキ(2014.2.2 UP)
第5回「え」➡『えびでたいをつる』田口美早紀(2014.3.4 UP)
第6回「る」➡『ルウェンゾリの山男』wassa(2014.4.7 UP)
第7回「こ」➡『コイル』都筑 晶絵(2014.4.29 UP)
第8回「る」➡『留守の部屋』Nobue Miyazaki(2014.6.5 UP)
第9回「や」➡『やみよやまねこやすみの国』鈴木 いづみ(2014.7.5 UP)
第10回「に」➡『二期作』塩川 いづみ(2014.8.3 UP)
第11回「く」➡『鯨のランプ』nakaban(2014.9.6 UP)
第12回「ぷ」➡『プレイバック』山口 洋佑(2014.10.3 UP)
第13回「く」➡『空中分解』狩野 岳朗(2014.11.4 UP)
第14回「い」➡『意図的な神の意思』村橋 貴博(2014.12.4 UP)
第15回「し」➡『short short show』fancomi(2015.2.3 UP)
第16回「う」➡『』藤田 道子(2015.3.12 UP)
第17回「み」➡『水揚げされた切り身』松井 一平(2015.4.18 UP)
第18回「み」➡『ミンティ』前田 ひさえ(2015.6.5 UP)
第19回「い」➡『いつもの』井本 幸太郎(2015.8.2 UP)

PROFILE
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大橋裕之
漫画家。1980年生まれ。愛知県蒲郡市出身。
単行本「音楽と漫画」(太田出版)、「シティライツ」全3巻(講談社)、「夏の手」(幻冬舎)、「遠浅の部屋」(カンゼン)、「ザ・サッカー」(カンゼン)発売中。
CDジャーナル、TV Bros.、EYESCREAM、トーチweb、LIVERARYなどに連載中。

Blog http://blog.livedoor.jp/ohashihiroyuki/

<お知らせ>
9/12(土)埼玉県深谷市でアニメ映画「音楽」の制作のためのイベントが開催されます。
詳しくはこちら→ http://ameblo.jp/tiptop-music-iwaisawa/entry-12063549535.html

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企画/ディレクション:成地 亜紀
題字:遠山 敦

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