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WHAT ABOUT YOU? #5 / 網代幸介

Interview by YOSHITAKA KURODA(ON READING)

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東山公園のbookshop&gallery ON READINGでは、定期的に様々なアーティスト、クリエイターが展示を開催しています。 このコーナーでは、そんな彼らをインタビュー。搬入中のざっくばらんな会話をお楽しみください。

今回は、現実と空想の間にある独自の世界を、平面、立体、アニメーションなどで表現する作家、網代幸介。彼の湧き出るイマジネーションの源はどこにあるのでしょうか。


―まずは、作家活動を始められた経緯をお聞かせください。

幼いころは絵というよりも、人形遊びが好きだったんですよ。キンケシや聖闘士星矢の手足が動くのとかを使って、自分でお話をつくって舞台劇をやって遊んでいました。18歳くらいまでやっていたので、親には心配されていたんですけど(笑) 

―男の子はみんなやってますよね~。戦わせたりだとか。さすがに18歳まではやらないですけど(笑)

青春ものも格闘ものも時代物もごちゃまぜで。専門学校に入る時に思い切って全部捨てたんです。専門学校は桑沢デザインで、手に職をつけたいなと思って。卒業後は、パッケージデザインの仕事を10年くらいやっていました。仕事をしながら絵は描き続けていて、5年前に初めて、描きためた絵を展示し始めました。

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―影響を受けた作家っていますか?絵に限らず、いろんな表現を含めて。

画家だと、ムンクや、ゴッホなど、あの時代の画家が好きです。あと中世の宗教画や地獄の絵に影響を受けています。宗教画って面白くて、お前ら悪い事するとこうなるぞ!って見せつけるじゃないですか。そういう怖いんだけど細かい部分をみると、なんかよくわからない不思議でかわいらしいものがいたり…そういうものに惹かれます。あとはデヴィッド・リンチの映画がとても好きで。彼の映画は現実と非現実が近くて、現実にいるはずがふと気づくと非現実の世界にいて、そしてまた戻ってる。そういう世界観に影響を受けています。音楽は、小学校の時にヘビメタに出会って。ブラック・サバスとか。その後、ニルヴァーナが現れて衝撃を受けて。高校からはバンドを友達を始めてずっとやっていました。

―過去の作品を見せていただいたのですが、また現在とは違うテイストですよね。メタル好きなのが伝わってくる感じで。今回の展示についてお聞かせいただいてもよいでしょうか。

今回の展示は、僕自身も行ったことのないどこかの街、ありそうでない架空の街を想像して、そこに住んでいる人や風景がテーマです。三姉妹は以前の展示でも登場したキャラクターだったのですが、今回はこの三姉妹を主人公に据えた、ある奇妙な生き物との出会いの物語をアニメーションにしました。

―最初からアニメーションありきだったんですね。

頭の中に見えている世界に動きがあったので、ひとつひとつを絵にしていくよりも映像として形にしたいと思って。コマ撮りアニメーションなら時間はかかるけど、できるなと思ったんです。

―アニメーションはもともと作られていたんですか?

いえ、初めてです。最初、パラパラマンガで描き始めたんですけど、これ6年くらいかかるなと思って、50頁くらいでやめました(笑)。原画を描きためて切り抜いて、それを少しずつ動かしてiPhoneで撮って。足らない部分は、描き直したりして。2か月くらいかけて合計8000枚の画像からなる作品になりました。

―気が遠くなる数字ですね…。音楽も自作なんだとか。

物語を創っている最中に頭の中に音楽が流れているんです。それを再現したいんですが、ピアノが弾けないので、一音一音探して重ねていったり、スタジオに入ってドラムを練習したりして。鳥の声もフィールドレコーディングして。今回、映像に関してはほとんどiPhoneで作ってますね。

―iPhoneのCMできそうですね(笑)誰かに頼んだり、一緒に作品を創ることは興味ないんですか?

頼む勇気がないんですよね…。というか、これも音楽の影響なんですけど、K records(米オリンピアのインディー・レコードレーベル。反商業主義のインディーミュージック、アンダーグラウンドDIYパンクシーンに多大な影響を与えている)のキャルビン・ジョンソンが、たった一人でレーベルを作って、録音して手売りして販売していたので、僕も一人でやりたい、と。DIYの精神が好きで。足りないものが欲しいんですけど、1から作らないと気が済まない。

―なるほど~。僕らも以前、店舗始める前に、実は「K books」って名前で活動してて(笑) なのでそのインディー精神すごくわかります。

あんまり手法にこだわってないんです。頭の中にある世界をかたちにすることができれば絵じゃなくても音楽でも映像でもなんでもいいんです。やったことがないことをやるのがすごく好きなんです。緊張感もあるし。

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―今回の展示では、「新橋」をテーマにした絵もありますね。だいぶ愉快な新橋ですが(笑)。網代さんの作品は、夢で見たものや空想がモチーフになっているということですが、現実世界がモチーフになることもあるんでしょうか。

僕のなかの新橋はこうなんです。本当には知らないから、もしかしたらこうかもしれないっていう。街を歩いてたら急に、異世界に行っちゃってるみたいな感覚が好きで。まったくのファンタジーではなくて、現実に軸足を置いた、非現実との間をゆらゆらと行き来するような感覚を表現したいと思ってます。

―今後やりたいことはありますか?

時間をもっとかけてガツンと作りたい、という気持ちはあります。城というか遊園地のようなものを作って人に来てもらいたいという想いがあります。まだやったことのないことにチャレンジしたいです。ところで最近、ひとりごとが多いんですよ。こないだも、お風呂でテンションがあがって政治的なことをひとりでしゃべってるみたいで、気をつけてるんですけど…。

イベント情報

2015年9月16日(水)~10月5日(月)
網代幸介 個展 『きみのしらない街』
会場:ON READING 名古屋市千種区東山通5-19 カメダビル2A
営業時間:12:00~20:00
定休日:火曜日 ※9月19日(土)~22日(火)は臨時休業とさせていただきます。
www.onreading.jp

網代幸介
イラストレーター、グラフィックデザイナー
1980年 東京都葛飾区生まれ
2000年 桑沢 デザイン研究所卒業

個展
2010年「Fog bound」新宿眼科画廊
2011年「サーベル夫人」新宿眼科画廊
2012年「サーベル夫人 巡回展」元我堂
2013年「よづり」ondo
2014年「SCROLL〜瞬きの王国」ondo
2014年「きっとそういうこと」gallery ie
2015年「きみのしらない街」ondo tosabori |ondo kagurazaka
http://kosukeajiro.com/

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