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シネマパラダイスの怪人vol.4
横移動と映画タイトルデザインの世界

Text by 藤井あきのり

映画コラム「シネマパラダイスの怪人」を最後に更新したのが2014年ですから、ほぼ2年ぶりですね。LIVERARYをご覧の皆さんご無沙汰しています。

浅野裕介(asana、BEMBE)、藤井あきのり、太田助手。私たち3人は、2013年2月から全方位型映画トークイベント「ファントム・オブ・シネマ・パラダイス」をやっていまして。毎回テーマを決めて、それにまつわる映画についてフリートークするという…まぁ、基本は居酒屋などで映画にまつわる駄話をしているような、ゆる〜い感じのトークイベントなんです。当初は今池のジャズ・バーでやっていましたが、昨年から会場を矢場町のspazio ritaに移し、隔月ペースで地道に続けています。

今年で早くも4年目、これまでに取り上げたテーマは、「映画とジャズ」「エロ(官能映画)」「ロードムービー」「ホラー」「アートフィルム(実験映画)」「文芸映画」「恋愛映画」「夢」「ダンス」「SF」「ダメ人間」「アジア映画」「映画内映画」「夏休み映画」「狂気」「ファムファタール」…大ネタからニッチなネタまで多岐にわたるテーマで映画駄話を展開しています。

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 23回目を迎える今回のファントムは「横移動と映画タイトルデザインの世界」と題して、4月19日(火)に開催します。映画の顔ともいえるタイトルクレジットと映画における横移動シーンの魅力について熱く語りたいと思っています。

皆さんは、タイトルクレジットが印象的な映画というと何を思い浮かべますか?

この監督が撮る映画って、いつもタイトルクレジットが格好いいなぁ!というのがあって。例えばデヴィッド・フィンチャー(「セブン」「パニックルーム」「ドラゴン・タトゥーの女」)やジェイソン・ライトマン(「ジュノ」「マイレージ、マイライフ」「ヤング≒アダルト」)、ジェレット・ヘス(「ナポレオン・ダイナマイト(旧題:バス男)」)の映画なんかも、手が込んでいていい感じなんですよね。いずれもアイデアとセンスにあふれた魅力的なタイトルクレジットが楽しめるので、ぜひチェックしてみてください。

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映画の冒頭から作品のムードを伝え、映画が始まる期待感を高めてくれる。そうした映画のタイトルクレジットについて語る上で、どうしても触れないわけにはいかない最重要人物が、ソール・バスです。

The Title Design of Saul Bass

ソール・バスは、工業デザインやパッケージデザイン、企業ロゴのデザインなどで高い評価を得ていたデザイナーで、1954年にオットー・プレミンジャー監督「カルメン」で初めて映画のタイトルデザインを担当します。その後「七年目の浮気」「悲しみよこんにちは」「めまい」「北北西に進路を取れ」「サイコ」「ウエストサイド物語」など、さまざまな映画に関わることに。

ソール・バスが活躍した1950年代に全盛だったデザイン潮流といえば、チャールズ&レイ・イームズやジョージ・ネルソンなどに代表されるミッドセンチュリー・モダン。その洗練されたデザインスタイルを、ソール・バスは映画界に持ち込み、タイトルデザインというジャンルを確立することになりました。

ちなみに、ハーマン・ミラー社でデザイン部長を務め、イームズ夫婦の才能を見出したジョージ・ネルソン。彼がタイトルデザインを担当した映画が、ジョン・ヒューストン監督「荒馬と女」です。

ソール・バスのタイトルデザインは、後のデザイナーにも強い影響を与えていて、レオナルド・ディカプリオ主演でスピルバーグが監督した「キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン」もそのひとつ。時代を超えてソール・バスを感じられる楽しいタイトルクレジットになっています。


キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン(02年 監督:スティーヴン・スピルバーグ)

デヴィッド・クローネンバーグ監督が、ウイリアム・バロウズの原作を映画化した「裸のランチ」。この映画は50年代が舞台なので、タイトルデザインも50年代テイストを感じられるようにソール・バスのオマージュとなっています。幾何学的かつ有機的なソール・バス風のタイトルに、オーネット・コールマンのサックスが響く。現実から映画の中のバロウズ世界へと、ゆるやかに引き込まれていく感じですね。


裸のランチ(91年 監督:デヴィッド・クローネンバーグ)

「裸のランチ」のタイトルデザインを担当したのは、ランディ・ポールスマイヤー。本作以外にも「戦慄の絆」「スパイダー」「エム・バタフライ」など、クローネンバーグ作品のタイトルデザインを数多く手がけています。その他にも、ジム・ジャームッシュやスパイク・リー、コーエン兄弟など、NYで活躍する映画作家のタイトルデザインを手がける機会が多いようです。

ソール・バスがタイトルデザインをしたアルフレッド・ヒッチコック監督「サイコ」は、1998年にガス・ヴァン・サント監督によってリメイクされました。1960年のオリジナル版はモノクロでしたが、リメイク版はカラーで撮られ、タイトル文字を含めて、すべてオリジナルと同じカット割りで作り直されたのです。「サイコ」のリメイクというと、なんて無謀なことをと思うでしょう…結果、ゴールデンラズベリー賞で最低リメイク賞と最低監督賞の2冠受賞となっています。

サイコ(60年 監督:アルフレッド・ヒッチコック)

サイコ(98年 監督:ガス・ヴァン・サント)

音に合わせてストライプが交錯するタイミングとか、新旧のタイトルクレジットはほぼ同じ。ただ、リメイク版はカラーなので「北北西に進路を取れ」を連想させる緑色が配色されています。

このリメイク版のタイトルデザインは、スタンリー・キューブリック監督の「博士の異常な愛情」「時計じかけのオレンジ」でタイトルクレジットを手がけたパブロ・フェロです。パブロ・フェロといえば、「博士の異常な愛情」でお馴染みの長体がかかった手描き文字の魅力について語りたいところですが…

続きは、4月19日(火)にspazio ritaで開催の「ファントム・オブ・シネマ・パラダイス」で!!!
掘り下げれば掘り下げるほど、深く、魅惑的な映画タイトルデザインの世界。映画をデザイン視点で楽しむ一夜を、ぜひ!

イベント情報

2016年4月19日(火)
全方位型映画トークイベント ファントム・オブ・シネマ・パラダイス!!!
第23回「横移動と映画タイトルデザインの世界」
会場: spazio rita  名古屋市中区栄5丁目26-39 GS栄ビルB-1
時間: オープン19:00/スタート19:30
料金: ¥1,500(1ドリンク込み)
出演:浅野裕介(asana、BEMBE)、藤井あきのり、太田助手
https://www.facebook.com/PCPNagoya/

■ファントム・オブ・シネマ・パラダイスとは…

名古屋近辺に生息する映画フリークスたちが集まり、各テーマにまつわる映画の魅力、その偏愛を語るトークイベント。それがファントム・オブ・シネマ・パラダイス!!!

春眠暁を覚えず…といわれる季節。今回のファントムは、劇場という闇の中で観る「夢」がテーマ!夢を題材として、幻視のイメージを映像化した映画について語ります。

何が真実で何が虚構なのか、どこまでが現実でどこまでが夢なのか…、過去と現在、他人と自分、狂気と冷静さが入り乱れ、思考の混乱が映像化されていく。そんな映画を観ていると、すべての境界線が曖昧となった迷宮世界に引き込まれていくような感覚に。

日常を脱し、現実を忘れさせてくれる、映画も夢の産物です。素敵な夢を観せてくれることもあれば、夢と同じように世界の不条理を不条理のまま突きつけられることも…。

銀幕に彷徨える、さまざまな夢の視線(まなざし)について語り尽くす一夜。

今池の夜があなたに囁く、うれしげに、悲しげに、楽しげに、淋しげに…夢で逢いましょう。

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