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WHAT ABOUT YOU? #24 / 横山雄

Interview by YOSHITAKA KURODA(ON READING)

 

東山公園のbookshop&gallery ON READINGでは、定期的に様々なアーティスト、クリエイターが展示を開催しています。

このコーナーでは、そんな彼らをインタビュー。 今回は、イラスト・グラフィックデザインを中心に「GINZA SIX TERMINAL GINZA」パンフレットイラストレーション、「ダ・ヴィンチ」「TRANSIT」などの挿画を手掛けるなど活躍の場を広げている横山雄さんにお話を伺いました。


 

 

 

—横山さんはもともとグラフィックデザイナーなんですよね。

そうですね、グラフィックデザイナーとしてのキャリアの方が長いです。イラストレーションはここ4年くらいで、今は並行して活動しています。

—横山さんはどうやってイラストレーションを描き始めたんですか?

実は、僕がずっと昔からなりたかったのは漫画家だったんですよね。ただ父親に反対を受けてあきらめてしまって。桑沢デザイン研究所でデザインを学んで、卒業後はデザイン事務所で働いていました。でも、漫画のことはずっと心に残っていて、震災のあと、もう一度ちゃんと挑戦しようと思ってデザイン事務所を辞めて、漫画を描いて出版社に持ち込みをしたり、アシスタントをしたりしていました。スピリッツで賞もいただいたんです。ますむらひろしとか、いがらしみきおとかが好きでしたね。小説でも星新一とかSFモノが。

 

—そうだったんですね!そこからなぜイラストレーターになろうと思ったのでしょうか?

漫画をやめたきっかけのひとつに、アシスタント時代には背景をひたすら描いていくんですが、絵の良さがすごく限定されてしまっているなと思ったんです。雑誌の傾向上とにかく写実的に描くことを求められました。デザインを学んでいく中で、絵の面白さを知ってしまっていたので、漫画の世界に息苦しさを感じるようになってしまって。こう描いた方が身体が喜ぶな、とか、そういうことを繰り返しているうちに今のストロークにたどり着いたんです。

—今回の展示についてお聞かせください。

今回は、ON READING店内スペースで、2年前に制作した「pages」を、新しくできたギャラリースペースで新作「ジャズと社図」を展示しています。「pages」は東京・青山のHADEN BOOKSで展示した作品で、本の標本がテーマになっています。私は印刷物が好きで、本の見開きページを標本にしたようなイメージで制作しました。この作品群がきっかけで仕事をいただけるようになったり、多くの方に知っていただけることになりました。

 

 

—新作は「ジャズと社図」。ジャズという言葉にはどういった意味を含んでいるのでしょう。単純にお好きなんですか?

そうですね。ジャズは近年とても興味を持っています。ジャズというとアメリカをはじめとする西洋の象徴でもあるし、私が絵を描いているうえで影響を受けているマティスにも切り絵のJAZZというシリーズがあったり、あとはベン・シャーンですね。そういう自分が影響を受けたものの総称としてJAZZという言葉があります。あと、ジャズといえば、身体の運動と切り離せないところがあるのですが、よりフィジカルな線というか、自分の身体から生まれる線というのも意識しているところです。究極的には、一本の線を引いただけで、それが自分の線だってわかるようになれたらいいなと。

—ジャズと社図(ジャズ)と漢字を重ねる独特のタイトルはどういうところからきているのでしょう?

今年の5月にドイツでグループに参加したのですが、そこで自分は日本人なんだということを強く感じたんですね。昨年亡くなられた桑沢デザイン研究所の所長がずっと茶室を研究していた人で、西洋の空間は壁で仕切るけど、日本は襖をあけてつなげることができるようになっている。それは、湿度や宗教も違うし、独自の風土の中で生まれてきたものなんだと言っていて。もちろん西洋の影響も多大に受けてはいるのですが、東洋人としてのアイデンティティとのバランスを自分の中で考え始めているところですね。サブタイトルはplay&prayというのは、言葉遊びでもあるんですが。ぐっと集中して何かしていると他のことを一切忘れるような非現実的な時間があって。それはある種の祈りのような行為かもしれないなと。人間には定期的にそういうチューニングの時間が必要なんじゃないかと思うんですよね。

 

 

—モチーフも変化していますね。

そうですね、最近は動植物を描くことも増えました。イラストレーターは、人物を描く仕事がとても多いこともあって、人を主体的に描く人がとても多いんです。それは人間が社会的な生き物で、人って人間に興味があるということですが、よく考えたらちょっと不気味でもあるなって(笑)子どもの頃ってもっと、動物とか、そこらに生えてる草花とかの方に興味があったと思うんです。元々、漫画を描いていたのも、小学生のころは怪獣とか動物とかだったんですよね。中学生の頃から人間が出てくるようになったんですよ。今は子どものころに戻って来た感じで。

—抽象的な表現も作品に出てくるようになりましたね。

鈴木康広さんが『「ん?…ああ!」というのを作るのが自分の仕事かな』というようなことをおっしゃてて。最初からわかるんじゃなくて、最初わからないという状態から、3秒くらい見ていると自分でわかるという道筋をつけるというのが好きなんです。そこはデザイナー的な感覚もあるかもしれないですね。

 

 

—あ~でも、本当に「なんだろう?」って立ち止まることが重要だと思っていて。時代的には、すごくわかりやすいものが求められるっていう傾向にあるじゃないですか。効率ばかり求めて、問いすら立てずに答えばっかり要求してしまうというか。その分、自分で主体的に考えるっていうことが少なくなってきていて。そもそも「わからない」ことが「わかる」に近づくことって、すごく面白いことなのに。そういう気持ちもどんどん忘れていってしまっているように見えるのがずっとモヤモヤしているんですよね。そもそも、イラストレーターの方がこうして展示でアーティストトークをするということって珍しいですよね。

イラストレーションは、他のジャンルと比べてなかなか語られないんですよね。もちろん歴史もまだ浅いし、そもそも商業的な意味も強いので、純粋な批評が生まれにくいってこともあるとは思うのですが、関わっている身として語られないというのは寂しいとも感じていて、皆がやっていないのであればやってみようかなと思って、今回はお話をしてみることにしました。自分の中のオーセンティックでもありパンクでもありっていう、絵と同じです。そのバランスです(笑)

 

 

—今後、どのような絵を描いていきたいか、なにか指標、目指すべきところなどあれば教えてください。

アミニズムというものがありますが、生物、無機物を問わずにたましいとか意志があるように思えるという心が、絵を見たり描いたりすることで育てられている気がします。国内外のフォークアートや柄・工芸品に似たようなものを感じていて、触れたり作ったり調べたり、しばらくはそれらの歴史や風土について理解を深めていくつもりです。

自分の絵にも、心が育てられるような愛おしさが反映されれば良いですね。大事にしていきたい力です。

イベント情報

2017年7月15日(土) – 7月31日(月)
横山雄 個展 『ジャズと社図 PLAY&PRAY』
会場:ON READING 名古屋市千種区東山通5-19 カメダビル2A
営業時間:12:00~20:00
定休日:火曜日
問:052-789-0855
http://onreading.jp/

横山雄 / Yu Yokoyama
2010年桑沢デザイン研究所卒業
都内デザイン事務所・美術書籍会社を経て、現在フリーランスのイラストレーター/グラフィックデザイナーとして活動中。イラスト・グラフィックデザインを中心に「GINZA SIX TERMINAL GINZA」パンフレットイラストレーション、「ダ・ヴィンチ」「TRANSIT」などの挿絵、加藤千恵著「こぼれ落ちて季節は」講談社文庫版の装画、「Live ato cox アン・サリー」のライブイベントポスターなどを手がける。
第33回 ザ・チョイス年度賞入賞
第83回 毎日広告デザイン賞 最高賞受賞
http://yokoyamaanata.com

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