今だから言える。安孫子さん、好きでした。
—じゃあ、ちょっと話を変えて、林くん、五味くんはバンド時代から(安孫子さんの)ファンだったと思うんですけど、どんなイメージを持っていたんですか?安孫子さんに対して。
五:いやぁもう完全にパンクキッズのイメージだったね。ANSWER(=大須のレコードショップ)行った時も見かけたことあったし。その時はもちろん高校生だったから話しかけたりはできなかったんだけど。ANSWERの中村さんに聞いても「よく来ていたよ」って。あと、着てるTシャツとかもチェックしてたな〜。バンドのひとが、何のバンドのTシャツ着ているか?とかって、10代の頃の重要な情報源だったから。
安:やっぱそこチェックするんだねぇ。
五:昨日もDVD観ていたんですけど。そこでLOS CRUDOSのTシャツを着てるな、とか(笑)
—Tシャツってそんなチェックするんだね。
五:当たり前。当たり前だよこれは。
安:そうだね、当たり前なんだよね、パンクキッズはねぇ〜。
—そういう時って自分も意識して着るんですか?このタイミングはこのバンドのTシャツとか…
安:あるある。
—勝負服的な?
五:ある(笑)。あえて何でもないのを着たりとかも逆にしたり。
安:そういうのが逆にかっこよかったりするんだよね(笑)
五:だから、話をまとめると、そういう”キッズ感”がある人は信用できるっていうか。
—キッズ感っていうのは、ステージに立っているけれど、いまだにファンであるっていう?
五:そうそう、純粋にパンクが好きな人っていうか。だから年齢を関係なくリリースできると思うし、変なプライドとかがないんだろうなって。そういうイメージはもともとすごいあったから。
安:チンチンもキッズ感あるよ。
(一同笑)
五:銀杏BOYZにしてもGOING STEADYにしても、メンバー全員が、この人たち本当にパンク好きな
んだな〜ってわかる部分があったから。だから、俺らもずっと追えたんだんだと思う。そうじゃなかったら多分途中で離れていたよね。やっぱり、どんどん突き詰めて聴いていったりするからさ、やっぱり入り口とか通過点で終わってしまうバンドとかっていっぱいいたし。
安:そうなんだ。THE ACT WE ACTを、あ~かっこいいな〜って思っていたから。でも、俺らのことは興味ないだろうな〜って思ってたから、五味くんと話してみたら(ファンだったと知って)そうなんだ~と思って。すげぇありがたかったっすよ、それは。
五:僕ら、銀杏にデモテープ送ってますからね。全国ツアーで各地の対バン募集するっていう企画あったじゃないですか?
安:あ~あったね。そんときのテープ探して聴きたい〜!
五:今となっては探して欲しくないけど、俺的には(笑)しかも、Sさんがメンバーにいた時(笑)。
安:まじで!Sさん、そんな時代があったんだ!
—そのバンド募集のときって、なんか選ぶ基準とかあったんですか?言える範囲で。
安:「あ、これは格好いい。これは呼ばなきゃ」って思ったのはおとぎ話だったな〜。結構、バンドとしての見た目が面白いとか。書いてきたプロフィール文が面白いとか。なんかすげー溜まってるような感じの人たちをあえて選ばせて頂いてたかな。
—さっき、五味くんやSさんもゴイステから入って、そこからハードコアに突き詰めていった、みたいな表現したんですけど、パンクっていうのは入口的な感じなんですかね?ハードコアサウンドへの入口みたいな。
五:ていうか、時代的なものもあったしね。当時、めちゃくちゃそういうメロコアとかがユースカルチャーというか、当たり前だったというか。バンドとかに興味があったら必ずぶち当たる音楽がメロコアだった。そんな時代だったから、自然にゴイステ(GOING STEADY)とか、ハイスタ(Hi-STANDARD)は絶対に聴いてるしさ。ハードコアに関しては、特に愛知県っていう土地柄、俺とか特に豊田だからさ、自分の地元がORDERやTURTLE ISLANDの地元だから、もう必然的に先輩から聞かせてもらったりとかね。中学の時で、1学年に6こバンドあったからね。
(一同笑)
安:それはありえねぇなぁ…。
五:そうそう、パンクがカルチャーで。先輩から鋲ジャンが渡ってくるような感じだったから。
—すごい。
五:まあ、で、なんで銀杏BOYZってずっと聴いてられたか?って話に戻ると、メンバーが本当にパンクが好きなんだなってのがずっと見えたから、っていう話と、あとは、音楽的にも面白かったから、ずっとチェックはしていたね。ハードコアと並行して聴いてたな。
—それが、安孫子さんがさっき言っていた、レーベルをやるうえで、いいと思えるバンドの線引きといっしょだね。まず文脈が見えるっていうか、そういうのは単純にパンクが好きっていうか、こいつ一杯音楽聞いてるなっていうのが見えるってのが大事なんですかね?
安:まぁ、量じゃないけど、でもやっぱパンク好きな人ってめちゃくちゃ音源聞くんだよね?パンク好きって、7インチっていうフォーマットが多いからかもしれないけど、パンク好きって基本、聞いてハマったバンドの音源から方々へとめちゃくちゃ掘るから。そういう人同士な訳だから、初めて会った時から話すことに困らないじゃん?そういう会話をできる人だと、単純にこっちも楽しいっていう。それで会話すれば共通言語も増えていって、「一緒にやろうよ」って自然になりやすいよね。
<Sさん、またもや登場>
—Sさん、どうですか?
S:パンクですか…。いきなり結論から言うのは無粋かもしれないけど、この中部地区にアズマさんっていう人がいるんです。その人のデス声はすごいパンクなことなのかなって思って。
安:ん?「アズマサン」ってバンド名?
—イベンターとかもやっていて、名物客的な存在の愛されキャラです。
安:あ、あの「ヴォ~~~」みたいな?
五:そのひとです(笑)
S:それで、その人のデスボイスこそが、ものすごいパンクだと思っています。
安:なるほど、なるほど。
—それはどういうことなんですか?
S:コール&レスポンスです。レスポンスが常にデス声っていうのが、その瞬間は、その人の自由がその場に一瞬だけでも発生するっていう状況が生まれるってことで、それこそが最もパンクなのかなって思うから。
安:あ〜。
五:それは俺も一番重要な要素だと思う。
—え??ごめん、僕だけわかってないです(笑)。もう少し噛み砕いて教えて下さい。
S:とある若くてかっこいい文化人のバンドマンが「
—つまり、林くん、今のを要約するとどういうことなんですか?
林:要は、大多数が決めるんじゃなく。例えば、みんなが右に行ったら右に行くとかじゃなく、左に行ってもいいよっていう。
—マイノリティであることを許容する?
林:そういうことができるっていう。それが、どっちが正しいっていうのではなく、どっちもできる。
—選択肢を提示することこそが、パンクであると?
林:教科書が無いっていうか…。
五:いや、提示すらもしないっていうか、ね。
林:勝手にやれる。答えがない、っていうところですかねぇ。
五:そうじゃなきゃ、俺らやっていないからね。
—なるほど。
五:愛知や豊田だったらみんな不良でバンドとかやってるひとたちも上にいたりしたけどさ。俺、そういう音楽を聴いても「自分でやろう」って最初からは思わなかったもん。だから、俺はたぶん不良じゃないし、バンドやるタイプじゃないってわかってたし。でも、やっぱすごい良いなって思ったのが、逆に俺と同じようなタイプだったり、何でもない感じの人が誰よりも暴れてたりするバンドとかっているじゃん。ハードコアとか、アメリカのバンドでも。それが本当に良いなって思って。
安:そうだよねぇ。
五:つまり、見た目とかじゃなくって、「音楽で言わす」っていうか。だからMAN☆FRIDAYとか、僕にとって本当にデカくて、ほんと見た目が普通の人が誰よりも激しく演奏してるっていう様がかっこよくて。でやってる音楽もクソかっこいい。すごい勇気をもらったね。
—ちょうど映画をみたばかりなんですけど、DESCENDENTSとかもそういうかっこよさがあるよね。
五:DESCENDENTSももちろん。寛大さというか。どんな人にも居場所がある、みたいな。
—ちなみに、そういうとキリビラは…
安:わ、びっくりした!初めて聞いた。
—あ、(KiliKiliVillaを)略称にしてみました。キリビラって言っていいですか?
安:あ、いいよいいよ(笑)。
「もはや、“パンク”っていう言葉は、もう音楽ジャンルの呼び名としてでいいかなと思ってて」(安孫子)
—今のパンクとは何か的な話を受けて、敢えて聞きますが、キリビラはパンクのレーベルなんですかね?
安:もちろん共感するところは大いにある。ただ、俺は極端に言っちゃうとちょっと淡泊に考えているところもあって。もはや、「パンク」っていう言葉はもう音楽ジャンルの呼び名としてでいいかなと思ってて。だってそういう精神性を持っている人たちはどのジャンルにもいるわけじゃん?音楽が好きで、こうやって一緒の空間に居れるっていうのが…。近い感覚だったりを持っていて当たり前っていうか。その次の割り切り方として、もうジャンルとして捉えるというか、ツール。さっきみんなが話したことが前提にあって、それはもう語らずで。そこにハードルができるんだけど。
—ハードルっていう話だと、僕からすると、パンクの音楽性は、まずフツーの人たちは入って行かない音楽ジャンルじゃないですか。でも、完全クローズじゃない。だから、オープンなのかクローズなのかわからないなって思っていて。例えば、「7Days Warrrrrrr」っていうみんなでやってるイベントも、チケット代を1000円にまで下げるってうのも、その理由としては、やっぱりたくさんの人にライブに来てもらいたい多くの人に来てもらいたいっていうはもちろんある。でも、だからってフェスにはしたくないみたいなことを言うし(笑)。パンクは、オープンなのか、クローズなのかどっちなんだろう?って。
五:わからないですね。でも単純に今まで自分がやってきたことの延長線でやりたいから。もともとスタジオライブとかも安いお金でやってきたっていうのもあるからかな。確かに、妙なこだわりがみんないっぱいあるよね。自分だけの。そこがやっぱりいいんだけど。
安:これ、林くんとも前に話したんだけど、あくまで僕個人の意見としては「スタジオライブ」ってのはたまにくらいの方がいいなって思う。仲間内とかでやる分には良いパーティーになるんだけど…。どうしてもフラットではない。普通にライヴ好きとして。やっぱ見たいバンドを見に行ったときに、例えば、ジアクトとかもそうだろうけど、やっぱりスタジオライブでは、今となってはサウンド的なダイナミックさは物足りなく感じちゃう。もし、初めて見る人がそのイベントだったりしたらちょっと勿体ないかな。もちろん別のベクトルの魅力がある事も理解してるけど。林君にCar10のレコ発を頼んだときに「まねきねこでいいすか?」って返事きたときに林君に苦言として呈しました(笑)。
—僕からすると、スタジオライブでやっているということ自体がかっこいい!っていうのもあって。雰囲気が。ボロボロのスタジオで、フロアもステージもなくて、全部がぐちゃぐちゃになって、バンドマンが暴れて、客も暴れてるっていうのに遭遇する。自分がそこにいるっていう雰囲気が格好いいっていう…。
安:そういうのは大事だからね。ま、パンク好きなんだから、そういうところでやりたいに決まっているから。でも、割合がだんだんそっちばっかりになってしまうと勿体ないかなっていうか。ん~、だから、文化の一端として見せるのは良いんだよ。すごいパンチある行為っていうか。「こんなところでライブやっちゃう!?」の方が楽しいっていうか、本来っていう気がする。林くんに、CAR10のレコ発を仕切ってくれない?って言ったら「あぁ、まねきねこならいつでもいいですよ」って言われて(笑)。
(一同笑)
安:レコ発はねぇ、新たにリリースきっかけで興味をもってくれた人もどうしても来づらいし、普段ライヴハウスで遊んでいる人にも情報や存在が届きづらいと思う。もちろん好きだったら行くけどね。あくまで一般論として、レコ発はねぇ、ちょっと…。
—でも、林くん的にはいつもの自分たちの場所、でやりたかったのでは?
林:僕、もともと最初にイベントしたのがスタジオライブだったっていうのがあって、どう見せるとかじゃなくて、単純に「ま、ここかな」みたいな(笑)別に高望みじゃなくて、何て言うんですか…、フラットな感じでただやっているだけですね。見せ方とか何も考えていない。
安:フラットだからこそ、フラットにちゃんとバンドの音が聴ける環境に持っていかないとね。いろんな人を巻き込むときは特に。
五:まぁでも僕もだけど、林くんも好きなパンクやハードコアのバンドを呼ぶってなると、どうしてもまだ愛知は東京とかに比べてあまりそのバンドのことが浸透していなかったりとかがあるんで、金銭面でライブハウスでやると絶対に赤字になるのが目に見えてるときだったら、そういうところでやって少なくても人に見てもらって、ギャラを多少なりとも渡せる選択肢をとるというか。ま、でも勝負所はライブハウスで企画するかな。
—でも、林くんは勝負どころも…あ、自分のレコ発はハックでやった?
(一同笑)
林:いやいやいや…まぁ…だから、さっきも言ったけど、「まねきねこ」っていう選択肢は僕の中で結構アリっていうだけの話で。
五:単純に好きなんだと思うね、あそこが。林くんはリフレクトスタジオも一番最初に見つけてきたり、自分が見つけた場所っていう個人的な思い入れがたぶん大きくあるんだと思う。
<名古屋の名物イベント「7DaysWar」という事象について。誰と何と戦っているのか?>
2015年4月19日(日)
SUMMER OF FAN Presents
“While We’re Dead.: The First Year”
コンピレーション発売記念ライブ
7DaysWar2015 DAY1
SummerOfFanvs KiliKiliVilla
会場:今池HUCKFINN
OPEN 15:00 / START 15:30
ADV 2,500円 (+1drink) / DOOR TBA (+1drink)
出演:
<SIDE:KKV>
CAR10
Homecomings
odd eyes
SEVENTEEN AGAiN
<SIDE:SOF>
6EYES
CASIOトルコ温泉
MILK
DJ Summer Of Fan
問:summeroffan@gmail.com