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LIVERARY
FEATURE / 特集記事 Sep 10. 2015 UP
【SPECIAL INTERVIEW】『私たちのハァハァ』松居大悟監督が語る、現代に生きる若者のリアルな青春とは?

『私たちのハァハァ』 シネマスコーレ(愛知|名古屋)

Interview,Text : Ami Sakakibara
Photo : Ryota Evina [Sundwich.inc , LIVERARY ]

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クリープハイプや大森靖子、ドレスコーズのMVを手掛け、映画『アフロ田中』、『スイートプールサイド』などで常に新しい青春映画の形を切り開いてきた松居大悟監督の新作、『私たちのハァハァ』が9月12日からシネマスコーレにて公開される。

~STORY~
福岡県北九州市の片田舎に住むチエ、さっつん、文子、一ノ瀬の女子高生4人組は、若手ロックバンド“クリープハイプ”の大ファンだ。彼女たちは、福岡のライブを見に行って出待ちした時に、『東京のライブにもぜひ』と言われた言葉を真に受けて、東京に行くことを決意する。 高校3年生最後の夏休み、クリープハイプに報告するために自分たちでカメラを回しながら自転車を漕いだ。だが、初期衝動だけで出発した彼女たちの自転車は早々にパンクして、お尻が痛くなり、お金もなくなってしまい、仲の良かった4人に亀裂が走り……東京のライブの日が刻々と近づいてくる。福岡、山口、広島、岡山、神戸から東京へ、1000キロを駆け抜ける女子高生の自転車旅行。この夏が終わったら、受験が始まって、きっとみんなバラバラになる―。どうしようもなく好きなものがある全ての人に捧げる、青春ロードムービー!

撮影当時、現役女子高生だった4人(その内3人はほぼ演技未経験!)を主演に迎えた、完全オリジナルストーリーの本作は、ゆうばり国際ファンタスティック映画祭2015にて「スカパー!映画チャンネル賞」、アカデミー賞受賞作品『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』他大作を抑えて観客賞「ゆうばりファンタランド大賞」の2冠に輝いた。どうしようもなく好きなものがあるすべての人に捧げる、リアルな瞬間がつめこまれた、疾走感あふれる新たなる青春映画がいよいよ走り出す!

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主演には、6秒動画「Vine」で有名な現役女子高生(現在は専門学生)として知られる大関れいか、メジャーデビューを果たしたシンガーソングライターの井上苑子、『男子高校生の日常』『鈴木先生』の三浦透子、ミスiD2014ファイナリストの真山朔を抜擢。また、日本映画界を担う若手実力派俳優、池松壮亮をはじめ、中村映里子、武田杏香などが集結。主題歌「わすれもの」はこの映画のためにクリープハイプが書き下ろした。

ジャンルやカテゴリーにとらわれず、<今>を切り取り続ける松居大悟監督。2015年8月9日、シネマスコーレにて行われた先行上映は、立ち見が出るほどの満席御礼!そんな、熱気あふれる劇場を前に、松居監督にお話を伺った。

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―まず、『私たちのハァハァ』というタイトル、すごくインパクトがあります。このタイトルにした経緯などお伺いしたいです。

以前クリープハイプと作った『自分の事ばかりで情けなくなるよ』の公開時、Twitterで感想をエゴサーチしたら、すごくファンの映画の解釈が面白かったんですよ。作品そのもの以上に、観た人の歴史とか、愛情の深さによって感想の見え方が違って…。じゃあ、そんなファンの人のための映画を作ったら、観る人によって大きくなったり小さくなったりする面白い映画が創れるんじゃないかと思って。そんなことを考えたときに、よく若い人が「○○さんハァハァ」みたいな感想を言っていて、この映画はそういう感想を発している人たちの映画にしたかったんです。

―なるほど。″ハァハァ”ってネット用語ですよね?

そう。”ハァハァ”っていうネットスラングとして使われている言葉を、公式の場で使うっていうのも面白いなあ、と。最初は興奮の”ハァハァ”だったんですけど、息切れの”ハァハァ”とかため息の”ハァハァ”とかいろんな意味にもつながるな、と思ったし。最初は『うちらのハァハァ』だったんですけど、むしろもっと上の世代の人にも観てもらいたかったから「私たちの」にすることで一般化させたくて、最終的に『私たちのハァハァ』になりました。

―主人公の女子高生を演じた、井上苑子さん、大関れいかさん、真山朔さん、三浦透子さんの4人。三浦透子さんは松居監督の『男子高校生の日常』にも出演された女優さんですが、他の3人はなんと演技初挑戦。とても面白いキャスティングだと思ったんですが、どのようにして決まったんでしょうか?

まず、ファンの映画にしたいなって思ったときに、「○○さん大好き!」って言ってる役の子が、すでに光が当たってるような有名な女優さんじゃ、説得力ないと思ったんですよね。もし凄くうまい演技をしたとしても、嘘みたいになりそうだし。だから、一般的には知られてないような、見たことない子たちがいいなと思って、素人でやりたいんですっていう話をして。とは言っても、ストーリーがあるから、全員素人じゃ危険。ひとりだけ経験者を入れるなら三浦透子しかいないと思って、文子役が最初に決まりました。それから、さっつん役の大関れいかはもともと「Vine」(注:6秒ループ動画を投稿できるアプリ)で知っていて、面白いなと。何より、6秒の中での芝居の「間」が上手だなと思っていたんです。演出の中で「間」だけは教えられないから、「この人は絶対芝居できるな」と感じて声をかけた。そうしたら、受験があるからって、最初断られたんです。でもそのドライな感じも逆にいいなと思って(笑)「撮影時期を変えるから、思い出で出演してくれませんか?」ってお願いして。

―思い出?

そう。仕事とかじゃなく、高校生活最後の夏の思い出。「思い出なら、楽しそうだからやります」って返事をもらって。

―あ~(笑)じゃあまさに、この映画の中と同じ、夏の思い出だったんですね!

そうです。その後、あと二人を決めるために、オーディションをしました。きれいな人とか、演技のうまい人ばかり来てくれたんですけど、「なんか違う、そうじゃないんだよな~」と思っている中に、和歌山から単身でオーディションのために来ていた真山朔がいて。みんなすごい大きい声を出してるのに一人だけぼそぼそ喋ってるんですよ。「この子はなんて東京に染まらない子なんだ!」と思ってチエ役に決めました。結局オーディションでは、真山さんしか決められなかった。一ノ瀬っていう役は、音楽好きで、自分で表現しようとしてるミュージシャンっぽい子がいいなと思って、現役高校生のミュージシャンで探して、直接井上苑子にオファーしました。

「被写体に照明をきれいに当てて、いいカメラを使って、いいアングルで撮るということ以上に、撮る人が被写体を愛していれば愛している分だけ可愛く撮れるなと思ってて。家族や恋人の撮ったものには敵わない。」

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―大関れいかさんは、「Vine」でも今作でも、自撮りがすごく上手だな、という印象ですが。

でも、みんなうまいですよ、若い人は!

―そうなんですね。今作は女子高生4人が手持ちカメラで撮影をしながら旅をする、という設定ですが、演出はどのように行われたんですか?主人公4人が自撮りをするシーンなどは、その場に監督やスタッフはいらっしゃるんですか?

まず芝居を付けて、こういう風にやってほしいという説明をして、後は彼女たちが自分たちのタイミングでカメラを回して。演技をしている時は、スタッフは皆、木の裏とかに隠れてました。「よーい、スタート!」で始めなかったから、ああいう自然な雰囲気が撮れたと思います。特に前半は、その空気が重要だった。役に入り込んでいくモードがこの映画には必要ないと思ったから、今回ヘアメイクも入れてないんですよね。4人がワーワー喋っている中で、スッと撮れたらいいなと思っていたから。

―前作ワンダフルワールドエンドでも橋本愛さんと蒼波純さんのiphoneの撮りあいがありましたね。それから、クリープハイプ「エロ」のMVでは、クザヴィエ・ドラン監督の『Mommy/マミー』(注:http://liverary-mag.com/cinema/25815.html)より先に1:1のインスタグラムサイズの画角を起用されていると聞きましたが。

そうなんですよ!!『Mommy』すごいとか言われてたけど…。ちょっとそれ書いといてください!(笑)

―わかりました(笑)最近になって発生してきた自撮り文化だったり、インスタグラムだったり…そういうものを作品に入れようという意識はいつごろからですか?

『ワンダフルワールドエンド』からですね。被写体に照明をきれいに当てて、いいカメラを使って、いいアングルで撮るということ以上に、撮る人が被写体を愛していれば愛している分だけ可愛く撮れるなと思ってて。家族や恋人の撮ったものには敵わない。それって、俺たちの仕事ってなんだろう?とも考えるんだけど、でも映画ってそういうものが失われがちだから、あえてやろうと思って。それで、『ワンダフルワールドエンド』でiphoneの撮りあいを試しました。やっぱりお互い愛してるもの同士だからめちゃくちゃ可愛く撮れたんですよ。「これだ!」と。それから「エロ」があって、『私たちのハァハァ』ときた。今回も、僕らが撮るよりも、4人がわいわいしながら撮る方が楽しさが伝わるに決まってると思って。でもそれだけだと、ちょっとしんどくなるから、徐々に劇映画にしていきました。

―確かに、大関さん扮するさっつんが持つ手持ちカメラから、撮影カメラに切り替わる瞬間はほとんど意識せずに観ていました。ふと気づいたら劇映画になっているという感じで。

あ、ほんとですか!撮影カメラでも全部撮っているんだけど、最初の北九州のシーンはほとんど手持ちカメラの映像で、移動の中でだんだんと撮影カメラの映像の割合を編集で増やしていってます。

―実は私、今作を拝見していて、4人が撮影する手持ちカメラ以外のカメラを意識したのがラストシーンだったんです!もちろん撮影カメラが入っているというのは分かっていたんだけど、ラストシーンで観ている自分がカメラを回したような気持になって、そこで初めて意識したというか…。

そうですか!それは嬉しい感想ですね。ラストシーンは観ている人が5人目に なって一緒に旅していてほしいなと思って撮影していたので。

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イベント情報

9月12日~ テアトル新宿ほか全国公開
『私たちのハァハァ』
公式HP:http://haa-haa.jp/
監督:松居大悟
出演:井上苑子/大関れいか/真山朔/三浦透子
クリープハイプ/武田杏香/中村映里子/池松壮亮
配給・宣伝:SPOTTED PRODUCTIONS
2015年 / 91分 / カラー / 日本
(C)2015『私たちのハァハァ』製作委員会

上映劇場:シネマスコーレ 名古屋市中村区椿町8-12 アートビル1F
http://www.cinemaskhole.co.jp/

松居大悟
1985年、福岡県北九州市生まれ。劇団ゴジゲン主宰。
09年、NHK『ふたつのスピカ』で同局最年少のドラマ脚 本家デビュー。12年2月、『アフロ田中』で長編映画初監督。以降、クリープハイプのミュージックビデオから生まれた異色作『自分の事ばかりで情け なくなるよ』(第26回東京国際映画祭正式出品)や、青春剃毛映画『スイー トプールサイド』など枠にとらわれない作品を発表し続け、ゴスロリ少女と時代を象徴する音楽で描いた絶対少女ムービー『ワンダフルワールドエンド』は第65回ベルリン国際映画祭ジェネレーション部門に正式出品された。

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