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FEATURE / 特集記事 Apr 26. 2016 UP
【SPECIAL INTERVIEW】
imo market・水谷竜也
「ボトルガーデン」の中で育まれる、本物の自然と純真な愛情。

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SPECIAL INTERVIEW:

TATSUYA MIZUTANI [imo market]

Interview,Text & Edit : Takatoshi Takebe [THISIS(NOT)MAGAZINE,LIVERARY]
Photo:Ryota Evina [Sundwich,LIVERARY]

 

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ビンの中で植物を育てる「ボトルガーデン」というアート・オブジェクトを製作する、水谷竜也(imo market。彼が作り出す、ビンの中の小さな庭園になぜ人々は惹かれるのか?そして、なぜ彼は植物に魅せられたのだろうか。

昨今のボタニカルライフ・ブームの効果もあって、植物たちと私たちはより身近になった(気がする)。しかしながら、本当に植物に対して愛情を持って接している人がどれだけいるのだろうか?単なるファッション的なインテリアとして、室内に放置された植物たちは、声のない悲鳴をあげているのかもしれない。

そんなことを思いながら、今回、名古屋市内にあるimo marketの工房兼自宅にてインタビューを敢行。昨年夏に行われたワークショップのレポート記事もあわせてお楽しみ下さい。

 

 

植物のこと、私たちのこと。

 

―そもそも、どういうきっかけで、現在のimo marketの活動に至ったのか、聞かせてください。

20歳の頃にはじめてインドに行きました。その頃は、何も考えてなかったですし、特にこれといった動機はなかったんですが、旅を重ねるにつれて「とにかく色々な経験値を積みたい」と思うようになりました。

―旅に行った理由というのは、なんとなく行ってみようかなって感じだったんですか?

そうです。そこからアジアを中心に、はまっちゃって。

―何を求めて海外へ行っていたんですか?

自分でもよく考えたのですが、明確に求めていることはありませんでした。 何をしたらいいかわからなかったんじゃないですかね。目的もなく、ガイドブックも持たずに。それがかっこいいと思っていたんです。初動はそんな動機です。旅慣れてくると、田舎の方を回ってみたりするようになって。

―では、今のボトルガーデン作家という植物を扱う仕事に行き着くきっかけになった出来事のこと、お話していただいてもいいですか?

アジアと日本を行ったり来たりしていた頃に、熱帯の植物を探している「水草コレクター」っていう人たちのことを知りました。珍しい野生の植物を欲しがってるコレクターです。すごくニッチな市場なんですが、それと僕の旅のスタイルが合うんじゃないかなと。現地の田舎とか、自然のある地域ばかり行っていたので、ついでに植物を採って日本に送るようになりました。欲しい人が居て、水草の師匠に詳細を教えてもらい、現地で探してみるというサイクルで始めました。ラオスを旅したときが最初の採取でしたね。

勝手にそう呼んでるだけですが、「師匠」は何人かいて、水草の師匠とは別の方なんですが、ラオスで出会った師匠は日本人の生物学者で、その人に出会って、どんどん深まっていきました。生物学とか地球のこととか。

―それまでは自然界や生物学には興味はなかった?

全然、興味はなかったです。何に対しても深く勉強したことがありませんでした。だけど、僕は田舎で生まれて田舎で育ったので、自然と意識が変わっていきました。僕の地元もすごいきれいなところなんですよ。水泳の授業が川だったりしたので、そういう遊び方しかありませんでした。川は本当に大好きです。水草に出会って、そういう生き方があるのなら、自分がやることはそこかなと。それも経験を色々するなかで見えてきました。そこからどんどん自分の興味が深まって、結構ディープなところまでいきました。そこには自分の求めている深みがあったというか…最初は旅しながら食べていけたらいいなくらいの感覚だったと思います。でもなかなか採れないんですよ。簡単じゃない。僕もはじめから採れたわけではないですね。

―「なかなか採れない」っていうのは、どこにそのお目当ての植物があるのか?を見極める力なのか、それとも採取の仕方のテクニック的なことですか?

テクニックは特にないですね。技術的には難しくないのですが、許可証がどうのとか、そもそも植物がどこにあるかがわからないんです。依頼者の求めているコレ!っていう植物が。植物の生態系や特性すら知らない状態からやり始めちゃったので。現地の方とのコミュニケーションや身をもって知った経験を基礎に積み上げていきました。まあ自然を相手にするっていうところでは、その仕事がきっかけです。―なるほど。レアな植物になればなるほど、取引額ってのが上がっていくんですか?

はい。高いものは相当高いです。草1本5万とか。大きい水槽に入ってるあそこに置いてある草は、スマトラ島のある地域しか生えてないアグラオネマという原種の草なんですけど。今でも2~3万くらいしますね。

 

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写真右:アグラオネマ

 

ーへ〜。何で続けなかったんですか?

どんどん採ってくる人が増えて現地を荒らすようなことになったら元も子もないないですし、ニッチな市場なので、逆にだんだん値段が下がってくるんです。欲しがる人が少数なので、欲しい人に行き渡るわけです。そうすると在庫過多になって売れなくなる。そういう業界です。流行の様な現象がありこれが売れるらしいってなったら、みんなそれを採りに行きますからね。その在庫になってしまってる、行き場もない草たちがかわいそうな気がして。そんな売れ残りもいい感じにしてあげたいじゃないですか。その植物の見てきた自生地、現地の環境に近づけてあげようと思い、やり始めたのが、今のボトルガーデンの始まりなんです。

―植物に触れる中で、だんだん植物に愛着が湧いていった?

そういうことかもしれません。やり始める前は、普通に草をガンガン踏んで歩いてたのに、今ではちょっと避けて歩くようになって(笑)。植物採取のために入った山中でも、人に踏まれちゃいそうなところに生えている植物を見つけると採取してしまいます。そういう感覚で今は植物たちと接するようになりました。植物に対する自分の考え方が変わっていったんです。

―ボトルガーデンもそうですけど、今は、いろんな雑誌とかでもいわゆる「ボタニカルライフ」みたいな特集が組まれたりして、ブームになってるじゃないですか。水谷さんがやり始めた頃は、まだ盛んではなかったですよね?

全然なかったですね。

―今のこの状況ってどう思われてますか?後から時代がついてきた、って言ったら変ですけど。

そうですね。率直に今の状況はすごいなって思います。たぶん、どっちかに偏りすぎてるんじゃないですか?世の中が。生活の中に、本来の自然が足りてないのかなと思います。都市部に住んでいる人は特に人工物ばかりに囲まれて生きているわけですよね。もちろん良く手入れのされたいい森もたくさんあると思うんですが、観葉植物だったり、公園の植木だったり、街で育つ植物だけでは自然とは言いにくいですし。そこで生活する人間を優先してデザインされるわけです。そもそも山自体も不自然になってきていると感じています。

―ほとんどの山に人の手が入ってるってことですね。

「植林」もある時から多くの人が一斉にし始めたはずなんですよね。山の持ち主の方も様々で。逆に植林しなかった山に、健康な原生林が残ってたりするんです。普通はそういう場所知らないですし、昔ながらの人の手を必要としないきれいに循環した自然を目にする機会は少なくなっているんですよ。だからこそ、自然を求めてるというか。そんなことを思います。

―先ほどの人工物に囲まれた現代人の生活が愛を求めているって話に戻すと、何でも簡単にコントロールできるのが当たり前の便利過ぎる社会が、逆に精神的には疲れさせているってことですかね?

わかんないですけど、その人工の社会になかなかついていけない人には生きにくい世の中だと思います。これが、単なる流行とかで終わらないで、枯らしてしまうのは仕方ないから。僕も枯らしてますし。都会の人も田舎の人も植物との関わりを通して自分とちょうどいい自然とのつき合い方を多くの人が考えくれて、将来、人と自然が持ちつ持たれつやっていく結果に繋がったら最高だなと思ってます。植物は本当に嘘をつかないんで。良くも悪くも、常に受け手だと思うんです。植物は。

 

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イベント情報

2016年6月4日(土)、7月3日(日)
yamagataボトルガーデンワークショップ

2016年6月4日(土)
ワークショップとフィールドワーク
会場:岐阜県山県市・旧北山小学校(岐阜県山県市神崎100)
集合場所:JR岐阜駅(送迎希望者のみ)
スケジュール:9:00集合/ 10:30旧北山小学校/11:00ワークショップ&フィールドワーク/18:30JR岐阜駅・解散

2016年7月3日(日)
お手入れワークショップと展示販売会
会場:LABOEAT(名古屋市中区正木1-13-14,1A)

参加費:10000円(大人1名・材料費込み)※岐阜駅まで送迎無料。昼食は各自実費にて。
※申込フォーム http://goo.gl/forms/vCf52GlzGw
問:info-yamagatasya@g-yamagatasya.org(NPO法人山県楽しいプロジェクト)

 

imo market(イモマーケット)
自生地からその植物に最適な環境を学び、人々の日常生活に寄り添う事のできる「仮想的な自生環境」を作る事を生業としております。単に瞬間的な「美しさ」だけでなく、植物の生長という時間的な変化そのものに「美しさ」を見出し、所有者が環境を整える事で持続可能となるアートオブジェクトとしてご提案させて頂きます。http://imomarket.jp/

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