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FEATURE / 特集記事 Apr 26. 2016 UP
【SPECIAL INTERVIEW】
imo market・水谷竜也
「ボトルガーデン」の中で育まれる、本物の自然と純真な愛情。

 

 

自然を感じ、表現するということ。

フィールドワークとボトルガーデンワークショップの体験レポート

Text&Photo:Shintaro Takeo [LIVERARY]
Edit:Takatoshi Takebe [THISIS(NOT)MAGAZINE,LIVERARY]

 

2015年、夏。岐阜県山県(やまがた)市の里山でフィールドワークとボトルガーデンのワークショップが開催された。梅雨時にも関わらず運良く晴れた当日のWSに参加した、LIVERARYスタッフ・竹生がその模様を時系列で紹介していきます。

 

名古屋市からも意外に近い、自然豊かな山県市北山へ

9:00

JR岐阜駅で集合し、今回の主催であるNPO法人山県楽しいプロジェクトのスタッフの方の車に乗せてもらい山県市へ向かう。山県楽しいプロジェクトは、山県で地域の子育て支援や活性化事業を行う組織だ。山県市へは岐阜駅より車で約45分。配布された『やまがた旅図鑑』を眺めながら、山県のイメージを掴む。

 


『やまがた旅図鑑』山県市北部エリアの魅力ある人と地域とのつながりが紹介されている。

 

やまがたと聞くと、東北地方の山形県を思い浮かべる人がほとんどだろう。自分もそんな一人だったのだが、山県市は岐阜市の北に隣接した自然豊かな町のこと。今回のWS開催場所は、山県市の最北部にある北山というところだ。

9:57

残りの参加者たちと美山支所で合流。総勢10名の参加者が揃い、ここでオイシイワークス・佐藤さんより本日の流れがレクチャーされ、最後には参加者の自己紹介の時間も。意外にも一人での参加者が多く、海外バックパック旅や登山などを趣味とするアクティブな人が多かった。その後、参加者はスタッフ2名の車に乗り分け里山へ向かう。細い田舎道を進んでいくと、舗装はされているものの徐々に勾配のある山道が現れる。

 


小学校当時の姿をそのままに残す、農家レストラン「おんせぇよぉ〜」。校庭跡が駐車場となっている。

 

小学校跡地にできた、みんなの食堂

10:27

農家レストランの「船伏の里へ おんせぇよぉ〜」へ立ち寄る。18年前に廃校になった小学校を再利用したという建物は、現在では北山交流センターとして地域のコミュニティスペースとなっており、その1階にこのレストランが構える。地元のお母さんたちによる郷土料理が自慢で、今日の昼食にと彼女たちがお弁当を作ってくれていた。人数分を受け取り次へ向かう。

10:45

里山を登りはじめて少しした頃、フィールドワークの出発地点に到着する。ボトルガーデンアーティストの水谷さん(imo market)が、ここで僕らを待ってくれていた。これから昼食とワークショップを行う「とっさの家」に向かって、1時間ほど歩くという。道中ではヒルが出るらしく、ヒル除けのスプレーを靴に吹きかけて歩き始める。

 


参加者たちと話しながら、和気あいあいとした道中。

 

水谷さんは自身が山県市の出身で、実家が山を持ち小さい頃から自然が身近にある生活をしていたそうだ。「山を持つこと自体、地元では決して珍しいことではなかった」という話だが、今では山師(山林の買付けや伐採を行う人)が減ったことなどからしっかりと手入れされた山が減っているという。

一旦手を入れた山が適切な手入れをされないと良質な木材が取れずに、その結果国内の林業が発展していかないという悪循環に繋がってしまうともいう。少しでも自然に目を向けるきっかけづくりになればと、今回のフィールドワークの目的を話してくれた。

 

 

そんな話をしている最中、川沿いを歩いていたはずなのに、川を流れる水が消えてしまった。

「これが伏流水です。」と水谷さん。

伏流水とは川から一時的に地下に潜ったあと、再び地上にもどる水を指すそうだ。地下の岩々を通ることで、自然に濾過されるという伏流水はとても透き通って輝いていた。

 

 

里山の古民家で過ごす、心地よい時間。


気持ちの良い風が通り抜ける古民家。

 

11:43

歩いて丁度1時間が経った頃、“とっささん”と呼ばれる方のご自宅に到着。とても古い家だが、敷地内の五右衛門風呂や蔵を見るとどれも丁寧に手入れをされていることがよくわかる。心地よい風の抜け、とても涼しく夏でも冷房いらずだ。

 


会話も弾む、楽しいランチタイム。写真左の男性がとっささん。

 

フィールドワークの汗もすっかり引いた頃、昼食の時間がきた。おんせぇよぉ〜でいただいたお弁当と、とっさの奥さんたちが用意してくれた味噌汁、ご飯をいただく。材料のほとんどが地元で採れたものを使っているそうで、水まで里山のものが使われているそうだ。羽釜で炊いたというご飯は、歯ごたえがあって噛むほどにしっかりと味がして美味しい。

 

ビンの中で見つけた小さな自然。

12:55

いよいよボトルガーデンのワークショップが始まる。それぞれ目の前には、ピンセット、スポイト、布巾の入ったトレイ、そして霧吹き、ビンが置かれている。そして、水谷さんよりコケやシダが入ったペトリ皿(懐かしい!)が順番に配られる。ここから自分の好みで植物を瓶に移し替えていく。移し替える際には、根をしっかりと砂利の中に忍ばせ立たせることがポイントだそうだ。

 


ボトルガーデン制作に集中する参加者。

 

制作に集中しながらも、時にはお菓子を食べたり、皆で談笑しながら思い思いの時間を過ごしていく。それぞれ30〜60分程度で移し替える作業を終えると、水谷さんが一つ一つの作品に対して最後のメンテナンスを行う。

 


最後のメンテナンスを行う水谷さん。

 

水谷さんの行ったメンテナンスというのは、植物そのものには極力手を加えずに、根が自然な向きになるよう整えるというものだ。それが終わると、最後に自分で霧吹きを使ってボトルガーデンをビタビタに濡らし、スポイトで砂利からその水を吸い取る。

自然界から瓶に移して環境になじむ迄の間は古い葉を枯らしながら新芽が生まれてで、置き場所も含めて、置かれた環境に適応しようと自分たちで調整していくので、気が向いた時に手入れすることで、ビンの 中でも植物は元気に育ち続けるらしい。ボトルガーデンはさながら「小さな自然界」だ。水谷さんがフィールドワークの道中で語ってくれた、「人の生活に自然 を近づけたい」という言葉を思い出す。

 

 

僕が作ったボトルガーデンがコチラ。

 

 

18:00

岐阜駅に到着後、解散。長い1日も終わってしまうとあっという間に感じるが、名古屋から1時間30分程度でここまで自然を満喫できるとは思わなかった。美味しい郷土料理を旧家でいただく時間も、山川の豊かな自然を体感し過ごした時間は、ふだん街中で過ごしている、僕たちに必要な時間かもしれない。

 

 


 

imo marketのボトルガーデン・ワークショップは、今年も開催。日程は、6月4日(土)、7月3日(日)。詳細は以下の通り。

 

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イベント情報

2016年6月4日(土)、7月3日(日)
yamagataボトルガーデンワークショップ

2016年6月4日(土)
ワークショップとフィールドワーク
会場:岐阜県山県市・旧北山小学校(岐阜県山県市神崎100)
集合場所:JR岐阜駅(送迎希望者のみ)
スケジュール:9:00集合/ 10:30旧北山小学校/11:00ワークショップ&フィールドワーク/18:30JR岐阜駅・解散

2016年7月3日(日)
お手入れワークショップと展示販売会
会場:LABOEAT(名古屋市中区正木1-13-14,1A)

参加費:10000円(大人1名・材料費込み)※岐阜駅まで送迎無料。昼食は各自実費にて。
※申込フォーム http://goo.gl/forms/vCf52GlzGw
問:info-yamagatasya@g-yamagatasya.org(NPO法人山県楽しいプロジェクト)

 

imo market(イモマーケット)
自生地からその植物に最適な環境を学び、人々の日常生活に寄り添う事のできる「仮想的な自生環境」を作る事を生業としております。単に瞬間的な「美しさ」だけでなく、植物の生長という時間的な変化そのものに「美しさ」を見出し、所有者が環境を整える事で持続可能となるアートオブジェクトとしてご提案させて頂きます。http://imomarket.jp/

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