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FEATURE / 特集記事 Mar 10. 2016 UP
【SPECIAL REPORT & INTERVIEW】
下道基行とともに「見えない風景」を「言葉の地図」で巡る。
他者の視点から眺めることで、鮮やかに一変する景色と感覚。

FEATURE : Assembridge NAGOYA 2016 |アートから見える港まち

SPECIAL REPORT:

Assembridge NAGOYA PREEVENT

ワークショップ「見えない風景」/ 下道基行

Text, Edit : Takatoshi Takebe [ THISIS(NOT)MAGAZINE, LIVERARY ]
Photo: Kazuhiro Tsushima [ TONETONE PHOTOGRAPH ]

 

2016年3月5日(土)、現代美術家・下道基行のワークショップが、現在Assembridge NAGOYA プレイベント開催中の港まちにて行われた。もちろん、彼も同イベントの参加作家のひとりである。

「見えない風景」と題されたこのワークショップは、下道が2010年頃から各地で行ってきたものだ。作品作りの中で、気づいたひとつの興味深いテーマは<人間の営みや生活>。それらを感じさせるのは、人々の表情ではなく、その街の景観の中にひっそりと佇む、自分にしか見えてこないランドマークだった。それらは、誰かが忘れた傘だったり、意図的に誰かが置いたバケツだったり…。いつかは風化して無くなってしまうような、もしくは誰かが意図的に撤去/移動などをさせれば、次のタイミングには、もう消えてしまうようなもの。それらに「言葉」でタグ付けをし、「言葉の地図」に落としこむ。

地図を書いたら、それを他者と交換してみる。すると、他者の視点を擬似体験することができた。(その地図のつくり主にしか)見えない風景を辿り、街を鑑賞しながら歩いてみる。「言葉の地図」は、まるで宝探しの地図のような少年性も感じさせ、実際に宝の在り処へと導いてくれる気もする。しかし、その宝はゴールにあるわけではない。到着点は単なる目的のひとつでしかなく、むしろ、その道中の景色が宝になっていく。普段、私達が見えなくなってしまっていたそれらがだんだんと見えるようになってくる感覚。果たして、あなただけしか見えない宝をどれだけ<発見>できるのか、そして、他者にその在り処をどれだけ伝えられることができるのか、それがこのワークショップの醍醐味となる。

このワークショップに、LIVERARYも同行し取材を敢行。時系列で一日の流れを追った。

 

10:00

港まちポットラックビルにて受付。

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当日、ワークショップ参加者は定員の15名。

受付会場に設定されている「港まちポットラックビル」へ続々と参加者たちが集まってきた。

 

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美術部門の企画を共同で行っている、

Minatomachi Art Table,Nagoya[ MAT, Nagoya]

その共同ディレクターの1人である野田さんから、

今回のワークショップにおいてのオリエンテーションがスタート。

 

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そして、実は下道さんはここにいないことが告げられる。 

参加者たちは、用意された「言葉の地図」を頼りに、

下道さんが待っているという公園を目指すことに…。

 

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参加者ひとりひとりに手渡される、下道さんが書いた「言葉の地図」。

 

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今回のWS参加者の中には、小学生(母親も同伴)や、タイからの留学生の方も(写真後方左)。

 

10:15頃

公園へ向かって、順々に出発。

 

参加者たちは、スタッフからの簡単な説明を受け、公園へ順々に向かう。

 

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歩き始めは、どことなく不安げな足取り…。

 

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まずは、公園までの道中で「言葉の地図」と「見えない景色」がつながっていく体験をする。

この地図には、例えばこのように書いてある。

 

「左手、のれん 2×2」

「十字路、左手に、傘と缶。左折」

「次の十字路看板だらけ… P Y \ ― 青い矢印の方向へ進む」

 

これだけを見ていると「?」かもしれないが、

順路に沿ってこれらの言葉は、

参加者たちの脳を通過し、

まるで言葉が目の前の景色に変換されていくような感覚で現れ始める。

 

「左手、のれん 2×2」

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「十字路、左手に、傘と缶。左折」

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「次の十字路看板だらけ… P Y \ ― 」

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だんだんと見え始める「見えない景色」たち。

こういうことか!と、心を踊らせているうちに、

「左手、ヤシの木っぽい木の下。ゴール!」へと到着。

 

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ヤシの木(?)がそびえ立つ街角の公園に全員が集まり、

下道さんから、本日の説明がなされる。

 

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10:40

下道基行より今回のワークショップについての説明。

 

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「久しぶりに地面に文字なんて書いてみました。まずは感覚を小学生くらいまで戻していきましょう。」(下道)

 

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次に参加者が行うのは、

白地図に自分が気になったランドマークを書き込んでいく<発見>の作業。

 

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11:00

ランドマーク探しへ出発。

 

実際に街中を歩きまわり、

それぞれが<発見>をしながら、

白地図に自分だけのランドマークを書き込んでいく。

 

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自分が気になった<発見>をどんどんと書き込んでいく。

 

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13:00

「言葉の地図」の制作。

 

その後、一旦、昼食をはさんで、再度公園に集まる。

今度は、実際にルートを想定しながら、

「言葉の地図」の下書きを作ってみよう、という指示が出される。

 

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ここで、下道さんから「言葉の地図」作成上のポイントが告げられる。

・一定の間隔(リズム)で、<発見>があること。

・スタートとゴールは自由。だけど、そこに到達できるよう親切に。

・できあがったら、一度、自分の足で歩いてみること。

 

今回、唯一の外国人参加者である、

ワニラダさんの言葉の地図、気になるところ…。

 

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ワニラダさん。現在は学生。

 

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下道 基行
1978年岡山生まれ。2001年武蔵野美術大学造形学部油絵学科卒業。日本国内の戦争の遺構の現状を調査する「戦争のかたち」、祖父の遺した絵画と記憶を追う「日曜画家」、日本の国境の外側に残された日本の植民/侵略の遺構をさがす「torii」など、展覧会や書籍で発表を続けている。フィールドワークをベースに、生活のなかに埋没して忘却されかけている物語や日常的な物事を、写真やイベント、インタビューなどの手法によって編集することで視覚化する。現在、豊田市美術館にて展示も開催中。http://m-shitamichi.com/

 

アッセンブリッジ・ナゴヤ
「アッセンブリッジ/Assembridge」とは、「集める」「組み立てる」などの意味を持つ、アッセンブル/Assembleと、港区エリアの象徴でもある橋=ブリッジBridgeを組み合わせた新しい言葉。「音楽やアートが架け橋となり、まちと人が出会い、つながりが生まれ、新たな文化が育まれていくように」という願いも込められている。www.assembridge.nagoya

 

2016年9月22日(木・祝)〜10月23日(日)[予定]
2016年秋「アッセンブリッジ・ナゴヤ 2016」開催 
【ART】 9月22日(木・祝)〜10月23日(日)
【MUSIC】 9月22日(木・祝)〜9月25日(日)
会場:名古屋港~築地口エリア一帯

2016年秋に開催する『Assembridge NAGOYA 2016』。世界的に活躍する国内外のクラシック音楽家たちを招き、港まちはこれまでにない規模の音楽に包まれるでしょう。海の見えるガーデンふ頭には、港まちと世界をつなぐキーワード「水」の名を冠した特設ステージ《水の劇場〈ヴァッサービューネ Wasser Bühne〉》を設置し、名古屋フィルハーモニー交響楽団によるオーケストラ特別コンサートなど、祝祭的な野外公演を実施します。現代美術展では『パノラマ庭園』をテーマに、港まち全体を会場に、さらにその規模を拡大しながら、このエリアのリサーチをもとにしたアーティストの新作やプロジェクトなど、さまざまな作品がまちへと入り込んでいきます。この秋、音楽とアートによって世界につながる港まちにご期待ください。

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