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FEATURE / 特集記事 Jun 10. 2014 UP
【SPECIAL INTERVIEW】
星野源もキセルもMILKもタートルも…
すべてフラットな視点でフォーカスしてきた、
写真家・三浦知也の曖昧さというリアリズム。

Special Interview : Tomoya Miura

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森道市場、トヨタロックフェスティバル…などの大規模フェスから、7DaysWarrrrrrrなどライブハウスイベントまで、ローカルなシーンに参加しつつも、その一方では、星野源、キセル、YOUR SONG IS GOODなど、東京のレーベル「カクバリズム」所属の人気アーティスト等の撮影もこなす、名古屋在住のカメラマン・三浦知也

 

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昨日は今池ハックフィンで会ったはずなのに、翌日には都内のどこかのホールにいるなんてこともあったりして、彼の活躍ぶりは、日々アップされる写真ブログを通して、あまりタイムラグを感じることなく、共有することができる。

近くのライブハウスにもいるし、遠く離れた場所で第一線のアーティストのすぐ近くにもいて、メジャーもインディーも関係なく、その両側を行ったり来たり、走り回っている。

そんな彼が 、名古屋「ON READING」で個展を開催。タイトルは『No youth』と題された。シンプルに、潔く、被写体を捉え続けてきた1枚1枚の写真。それらが束ねられ、ひとつのタイトルを持った時、そこには、意外にも「曖昧」な自分に対する問いのようなものが、写しだされていた。

 

SPECIAL INTERVIEW : 

TOMOYA MIURA

Interview, Text & Edit by Takatoshi Takebe[THISIS(NOT)MAGAZINE , LIVERARY] 
Photo by  Tomoya Miura

 

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―今回、久々の個展だと思うんですが、まず「No youth」というタイトルについて

「No youth」。つまり、若者じゃない、とか、青春でもない、っていう意味で。例えば、音楽で特にインディーズとかだと、お金になってなかったり、仕事にはなっていなくて。そもそも、仕事にしたいとかも思ってなかったり、そこを目指していなかったりする。そういうものだって思ってたし、そういう人たちがカッコいいって今でも思ってるけど、それって改めて考え直してみるとどういう気持ちなんだろうって。

―なるほど。三浦くんって、既に好きなことが仕事になっている、うらやましい存在かなって思うんですが、どれくらいのタイミングで、写真が仕事になっていったんですか?まずは、専門学校とかいって勉強したり

いや、僕は普通の大学しか出てなくて。文学部の哲学科で(笑)。大学時代は、友達と遊んだりはあんまりしてなくて、ひとりで映画見たり、本読んだりするのが好きだったかな~。ライブハウスは行ってたけどね。その頃は、普通のお客さんとして。だから、別に地元のアーティストと知り合ったり…とかもなくて、ブッチャーズがハックに来るから、とか、イースタンがクアトロに来るから行く、みたいな…。まあ、昔から音楽は好きだったり、映画とか絵とかもよく見てたりしたんだけど、どれも自分には出来そうにないな~って思って。で、誰かのインタビューで「写真はカメラ選んで、レンズ選んで、被写体を選んで…ていうセレクトによる文化だ」みたいなことを読んで。たしかに、写真ってそうだな~って思って。別に0から何かを生み出すって感じではないっていうか。それだったら自分でもできそうだなって思い立って、カメラ買ったんだっけな、たしか。

―大学卒業後は、写真を仕事にしようと思って、写真の道へ?

そうそう。なんか他の友達とかはみんな営業職とか、そういう普通の会社員みたいな道へ進む人が多くて。なんかそれで先が見えちゃってる感じがおもしろくないな~って思って。で、たまたま、知り合いの雑貨屋さんと写真の仕事をしたいって話をしてたら、アシスタントを募集してるカメラマンがいるよって紹介してくれて。だから、写真は大学卒業後にフリーのカメラマンにアシスタントとして付いて、そこで働きながら学んだって感じかな。10年くらいまえだから、まだその当時は、フィルムカメラでの撮影も普通にあって。そこで、フィルムの入れ方から教わった感じで。で、25か6くらいのときに、写真がもうデジタル化してきて、デジタルだと揃える機材とかも最低限のものは少なくてすんだからフリーでやっていけるかもってなんとなく思って。あとroots magazineからタートルアイランドの写真集を出したいから手伝ってって話があってそのタイミングで独立して。1年目は、写真の仕事と並行して派遣のバイトとかもやってた。2年目からは写真だけでなんとか食べていけるようになったかな。

―もともと写真が好きで、ライブも好きで、それでライブ写真とかを撮り始めて気づいたらカメラマンが職業になってた!なんていうパターンかと思ってたんですけど、職業カメラマンとしてスタートしてたっていう経歴は意外でした。

そうだね~。スタートから仕事として写真を撮っていられるのがラッキーだったかも。今思えば、写真の学校みたいなのに行ってなかったのもよかったかなって思う。そういう学校って、フィルム渡されて「自分の作品作りをしなさい」って言われるみたいで、あれって逆に才能を潰すっていうか、そんなに撮りたいものなんて日常に転がっていないし、それなのに撮らなきゃいけないっていう強迫観念みたいなのに追われるっていうか。それって結構きついから。僕もスタジオ時代に、「空いた時間に自分の作品作りしていいよ」って言われたけど、最初から明確に撮りたいものがあって写真始めた訳じゃないから、撮るっていっても何撮っていいか分からなくて…出したいカラーとかも特に定まってなかったから、その当時の写真作品は、だいぶ迷走してた(笑)。

 

climbthemind

―で、いつも行っているライブハウスで写真を撮っていて…?

そう。音楽は好きだったから、ライブに行っては写真を撮ったりしていたけど、最初はもちろん仕事としては撮ってなかった。だけど、だんだんそれが仕事にもなってきて、そうなってきた時に段々どこからどこまでが仕事なのか?お金をもらえるのか?っていうところが曖昧になってきた。自分の生活の中で、その境界線みたいなところが、あやふやになってきて。そうすると、同じ音楽関係の撮影でも、それがお金が出たり、出なかったりして。そのせいで、悩んだり、嫌になっちゃったりするときもあって。例えばこっちからはお金貰ったのに、別の方からは貰ってなかったり、そうなると貰ってる側の人たちにすごく悪いなって思っちゃったり。でも、インディーで音楽とかバンドやってる人たちって、最初っからもうお金を稼ごうっていうスタンスがなかったりするわけじゃん。こないだ2月に「7DaysWarrrrrrr」とかあって、あの場に立ち会ってみて、当たり前にみんな別にお金儲けようとかそういうのじゃない感じで。でも改めて考えてみるとこれってなんなんだろうな~って思って。もう30とかみんないってて、いい歳なわけじゃない。子供とかもいたりして。だから、もう青春とかではないし、楽しければいいっていうのでは続かないだろうし、かといって仕事にしようとして堅いことばっかやりだしちゃったら、それはつまらないことだし。だから、そういう「曖昧」な部分を今回の写真展で表現したかったというか。

なるほど。僕の中で三浦くんがそんな風に思い悩んでいるなんてしらなかった、暗い顔してる三浦くんを見たことがない印象で。

まあ、人前にいるときはね。でも、誰とも話したくないな~って思う時もあるよ(笑)。

 

hashinosita

 

―三浦くんのイメージの話で言うと、ほんとにフットワークが軽いっていうか、いつも「よっ!」て手を上げて笑顔でそこに立っているって感じで、いい意味でライトなノリがすごく気持ちがいいな~って思っていたんだけど

ま~よく言われるけど(笑)。フットワークが軽い、というか、単純におもしろそうだな~ていうところに移動してるだけなんだけどね。でも、その移動している中でいろいろ考えることもあって。例えば、森道~も、橋の下~も、考え方もやってることも違っていて、でも、どっちが正しいとかってのはないし。それは、わかってるんだけど、そこで自分がフラットにいられなくなるときがあって。時には、メジャーのやり方が商業的に見えてしまったり、インディーズのやり方が小さく見えてしまったり…。どっちかに思考が引っ張られたりすると、考え込んじゃって、答えなんて無いのにどっちが正しいんだろう~っていうことに思い悩んでしまったりもするわけで。頭の中がうまくフラットに戻らなかったりする。武部君なんかもそうなんじゃないかな?

―たしかにフラットな視点でいるっていうのも疲れるのかもしれないですね。

タートルアイランドが今回、グラストンベリーに出演が決まっても、例えば僕の親とかには、そのすごさが伝わらないというか。「え?でも、それってプロのミュージシャンじゃないんでしょ?」みたいな。でも、インディーとか音楽とか好きな人だったら、「すごい!」って思えることだし。そういう1つの同じ事柄でも、それを受けての評価って人それぞれで、世の中ってなんかそういう意味でも「曖昧」なところってのがいっぱいあるな~って。自分の作品のための写真撮ってても、音楽やってる人たちを見てても、時々、「これって生活を賭けてまでやることなのかな?」って思って自分のやってることが無意味に思えちゃったり。そういうときは、気分が落ちることもあったり…。

 

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今回の展示では、音楽の写真が多いんだけど、ライブそのものの写真ではなくて、「音楽の周り」の写真(オフショット的な写真)が多くしてあって。そういうシーンに写ってる曖昧さというか、青春でもないし、モラトリアムでもない、みたいな。きっと被写体になっているミュージシャンも、僕も、40歳になっても、50歳になっても、この生活を続けているんだろうし。だから、そういう好きなものに対する、自分の立ち位置はどこなのかな~?っていう感覚を写真展で表現したって感じかな。

 ―今回は3年振りの個展ってことになるそうですが、ON READINGから「個展をやらないか?」っていうオファーが来てやった感じですか?

いや、僕からの提案で。例えばライブの写真とかPVって、自分の作品ではなくてやっぱりそのバンドの為にあって。だから、バンドの人は自分の曲を演奏して、自分たちのやりたいことをやっているけど、それに対してその周りにいる僕みたいなカメラマンの人は、そのバンドのふんどしで相撲を取っているようなものだって思っていて。だからこそ、バンドと同じように共存していくためにも、やっぱりただライブの写真を撮り溜めているだけとかではなくて、自分の作品展もしっかりやらないとなっていう気持ちもずっとあったから。

 

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―へ~。三浦くんはライブ写真とかもすごいUPが早いよね。おそらく同じようにライブ写真とってるひとでも、溜めて作品集みたいにしてから出すっていう人もいるんだけど、そういう重々しい感じはなくて。ほんとに、昨日のライブ写真がもう今日ブログにUPされてる!って思うときがよくある。

そうだね。ブログはもう5年くらいやってるけど。なんか、写真を撮るのと、出すのって、やっぱり同じくらい大事で。タロちゃん(竜巻太郎/TURTLE ISLAND、NICE VIEWなどで活躍するドラマー)が、自分のソロ音源とかつくってて、ちゃんとパッケージしないでCDRとかで売ったりしてるんだけど2008年に植田にあったLIGHTSっていうスペースで写真展やってたときに、「自分の作品なんてクソみたいなもんだから、どんどん出していかないと」って言っていて。だからまず見てもらってなんぼみたいなみたいな感じでブログはやってる。でも一方、作品をちゃんとまとめるってのも大事だとは思っていて。そこで改めて自分の作品について考えることや、展示をしてそこで何かしらのレスポンスをもらうってことで、すごい勉強になるっていうか。

―1つの展示としてまとめることや、一枚の写真や、作品集にタイトルをつけることで、また見え方や見せ方が変化したりするってことですよね。さっき話していた、ブログでアップされる日々のライブ写真の中にも、オフショット的な何気ないバンドメンバーの写真がよく掲載されてると思うんだけど、さっきの三浦くんの言い方で言う「音楽の周り」の写真が。しかも、ほんとに自然体の写真が多いよね?

ライブの写真よりも、バックステージの写真とか、ライブハウスの前でたむろしてる人の写真とか、そういう写真の方が、枚数もたくさん撮っていて。やっぱり、そういう写真が好きなんだな~って自分でも思う。単純に仲がいい人だったりが多いから自然体の写真が撮れるってのもあるけどね。

 

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―他のひとの写真とかも見たりするんですか?

見るよ。写真集も結構買うけど、どこの国の写真家かわからないものだったり。人物(が被写体)の写真が好きかな~。写真やりはじめた頃に影響を受けたのは、川内倫子さんかな。最初は、川内さんみたいな写真が撮りたくて、真似して撮ってた。

―あ~納得。三浦くんの写真は、なんかさっきの「曖昧」とか「もやもや」っていう言葉にも通じて、なんか女性的だよね!

そうそう、よく言われる!(笑)。

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―でも、写真の仕事って、いわゆるクリエイティブな職種だし、名古屋にいない方がいいんじゃないか、っていう判断には至らなかった?

あったあった。やっぱり、カクバリズムの仕事とかもするようになってきて。東京行っちゃった方がいいかな~とかって思ったり…。でも名古屋も面白いことは沢山あったし、TURTLE ISLANDとかNICEVIEWとか周りにいる好きなバンドの人たちも愛知にいながら、全国的に名を轟かせてたし。あと絵描きのワッシー(=WASHIO TOMOYUKI)とかも身近にいたから、地方からでもちゃんとやっていけるんだなって思った。あと東京に行くぜ!って気合いも足りなかったから現状維持って感じもあったかな(笑)。たまに聞かれるんだけど、カクバリズムの仕事は、愛知の友達が上京してカクバリズムが出来た頃から働いていて、彼のつながりで、名古屋でカクバリズムのライブを撮影させてもらう機会がもらえてそこからどんどんアーティストさんとも仲良くなっていったりして。名古屋にいるんだけど、カクバリズムの仕事をさせてもらえるようになったのはそういう経緯です。

―なるほど。アーティストさんからの写真の評価とかってのは何かもらえたり?「いいね!」くらい?

そうだね~…どう思われてるんだろう?(笑)。でも、キセルの友晴君とかは、毎回写真送るたびに、「今回は◯◯な感じでよかったです」って感想をつけて返事をくれたり。角張さん(=カクバリズム社長)とかもたまにHPのニュースに書いてくれたりね。そういうのは素直に嬉しい。

―写真やってる人って、やっぱ「木村伊兵衛賞」とかそういうビッグタイトルを目指したりする人もいると思うんですけど、そういう願望はないの?

う~ん、それよりも、もともと雑誌とか好きで、「BRUTUS」とかマガジンハウスのものとかさ、そういうのを読んでたから、そこに自分の写真が載ったら嬉しいな~って思ったり。だから、そういう◯◯賞とかを目指して作品を応募したりってのはやってないかな。もちろん、何かの賞をもらえたらうれしいけど(笑)。

―応募型の賞って、審査員がいてどの写真が素晴らしい!みたいなのを選んでいくんだと思うんだけど、写真って観点が難しいですよね。僕は素人だから余計にわからないんですが、三浦くんはどこに着目するんですか?

例えば、個展とかだったら、そこに在るテーマとか雰囲気みたいなものを見るかな。一枚の写真で力があれば一番素晴らしいのだけど、一枚の写真だけでは力を持たなくても、何点かの写真になったときに、そこに何かしらのテーマやメッセージが見えて来たり、確固たるテーマがなくても、その撮った人の感情がこっちに伝わって来るみたいな。個人の展示とかはべつにキレイに撮れてなくてもいいし、それこそ「写るんです」とかで撮った方がリアリティが出たり。そういう質感みたいなのも大事だし。ちなみに、今回の展示してる写真は、一眼レフで撮ったのも、コンパクトデジで撮ったのとか、いろいろ混ざってるよ。

 

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―少し前に、ON READINGでとある写真家さんの写真展がやっていて、それ見に行ったんだけど、森の写真がたくさん展示されてて。でも、外に置いてある物販のところには、全然違う別の人が撮ったみたいな、人物ばかりの写真集とかがあったりして。この写真家ってどんな人なんだろう?ってすごく興味が湧いた。

僕もその人の展示は見たんだけど、たしかタイトルも「光の中へ」みたいな個展タイトルだったし、森の中でさまよいながら、自分探しをしているのかな?この人、何かに今、悩んでるんじゃないのかな~?って思ったりしたよ。間違ってるかもしれないけど(笑)。でも、そういう写真を通じて、その撮影した人の気持ちとか、人柄とかを想像するのも楽しみ方のひとつだよね。

―ちなみに、ライブ写真ってすごく難しいと思うんですけど、三浦くんの中でのコツってあるの?

カメラの性能とかもあるけど、自分なりのタイミングももちろんあって。でも、よく思うのは、写真で伝わる情報ってそんなにないな~ってことで。特にライブ写真とかだとね。音楽やってる人も写真よりも映像を残したがるしね。だから、ライブの雰囲気とかを伝える上では、その撮った写真の並べ方、みたいなのも大事だよね。あと、ライブハウスの外の写真の方が好きだから、そっちのコツとしては、いつでもシャッターが切れるように実はしてあったりする。あとは、自分の好きそうな写真が撮れそうなところとかをウロウロしてる(笑)。

 

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―よく三浦くんの写真は、白っぽいって言われると思うんだけど、けっこういじったりしてるんですか?

ほとんど触ってないよ。Photoshopとかって何でもできちゃうから、やりだしたらキリがないからね。写真の色については、白いとか、淡いとか、よく言われるけど、自分では、「え?!そんなに白いかな?」とかって思ったりするから。自分の好きな色がこういう感じです、って感じなだけだからすごく白っぽくしてる感覚もないかな。

 

YOK./ジプシー

「ジプシー」っていうタイトルから、「僕のSWINGっていう映画があって。トニー・ガトレフていうジプシーを主人公にした映画を撮ってる監督の作品の1つなんだけど。それっぽくしたいな~っていうのがあって、で、甥っ子に出てもらって。(三浦)

 

―三浦くんの写真は、見る人が見れば、すぐにわかるくらいの個性として評価されていると思うんだけど。PVでもそれが表現されているというか、例えば、クライムのPVだと、出演しているおじいちゃんの眼鏡がテーブル上に置いてあって、そこにカーテンの影がゆらめく、みたいな1シーンがすごく印象に残ったんだけど。全体的に淡くて白っぽくて、自然体の連続の様で、一見してトーンはぼんやりと「曖昧」なんだけれど、見た人には何しらかの意思表示をはっきりと植え付ける仕掛けが点在してる、という感じがして。

クライムのPVは特にそうかもね、映像は写真の連続だしね。僕の写真はわかりやすいと思うよ。さっきの話ではないけど、写真って結局、情報量が少ないから。あと、写真が好きな人とかでなければ、そんなじっくりも見てもらえない、一瞬のものだと思っていて。だからこう、見てもらう為には、ある程度のわかりやすさが必要だなって思う。クライムのPVの場合は、人の一生みたいなのがテーマに撮りたかったから、おじいちゃんの日常を、その身の回りのものをたくさん撮ったりして表現した。

―テーマも写真も、ものすごくシンプルなんですよね。それが三浦くんの作品性のカラーなのかな。シンプルイズベストの境地というか。でも、どこか温かかさを感じさせる、独特のバランス感がある。

そんな風に思ってもらえてたんだ(笑)。でも、本当に、人にどう見せるか?どう受け取ってもらえるのか?っていうのはPVとかをやらせてもらうようになって、より考えるようになったかな~。

 

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―例えば、MILKPVとかって別にもう三浦くんの普段の写真の淡さとかって全く消していて、粗い白黒の映像にしてあるけど、あれも、結局、やりたかったことというか、意図がものすごくシンプルっていう意味では三浦くんの作品だし、もうその色とかトーンとかじゃなくて、精神性だけが残ってるっっていうか。

MILKは音が、もうアンプから直で出してって感じの音だし、だから動画もそういう手法をとらないとな~って思って。曲も短いからクライムのPVとかみたいに物語性みたいなのも表現難しいしな~って思って。あとは、あれって2分の1くらいのスピードで演奏(当て振り)してもらったのを撮ってて。

―え!そうなの?

そう。で、撮ったデジタルの映像を早回しでもとの尺に戻して編集したものをビデオテープにダビングして、ビデオデッキにトラッキングっていうつまみががあるんだけど、それをわざといじって手動でノイズみたいなのを入れて。そのTVに映した映像をまたカメラで撮影してできた映像で。ユアソンの「ラブソング」っていうPVがあって。その監督に聞いたら、1/2のスピードでまわすと、短い曲でもいろいろ仕込めるっていう話を聞いて。そういう一発撮りの感じも入れたくって。

―へ〜!

松原くんがユアソン〜SCHOOL JACKETSが好きだっていうのもあったから、そういうこともあってその手法を導入したっていうのもあるかな。まあ、ネタもの的な感じも出したかったり。なんか昔のSF映画のレイ・ハリー・ハウゼンの作品みたいに異様にカクカクした動きにしたかったんだよね。今、見るとすごく斬新な映像表現だよね。

 

MILK

 

 

―そんなめんどくさい作業工程があったんだ。でも、好きなことを仕事にできているってのは単純にすごいな~って思ってしまうんですけど、好きなことをお金に結びつけていない人に対してどう思います?

MILKのメンバーとかもそうだけど、仕事をしながら音楽を続けていて。外から見ていると、やっぱり、音楽自体すばらしいことをやってるんだから、それが仕事になってくれたらそれが理想だなって思うんだけど。本人たちも唄っているように、「今が楽しい」「これ以外いらない」みたいな。音楽が仕事になっていなくても、好き放題やってるっていう面では、誠実な感じがするし、それはそれでいいと思う。

―写真を仕事にして、辛いな~って思った時とかってないんですか?

さっき落ちるときもあるっていったけど、基本的に楽観的な性格だからか、辛い、辞めたいって思ったことはないかな~。まあお金はないな~って思ってたけど(笑)。ライブの写真をやっていたからこそ、いろんなフィールドに顔を出せるきっかけにもなっているし。それこそ、森道市場にも関われるし、橋の下世界音楽祭にも関われるし…みたいな。写真は、一人で事足りちゃうし、まあ、単純に楽しいよね。あとは、まあ、さっき「No youth」っていう話をしたばっかりだけど、一応、まだ31だし!これからだし!っていう気持ちもあるしね。

―その…30代って、けっこうギリギリ感のある世代っていうか。4050までも行ってないけど、1020代みたいな若さもない、っていうか。ある意味、中途半端だし、曖昧な世代なのかな~って。なんかその気持ち的にも、モヤモヤとした葛藤があったり、焦りみたいなものもあったり。でも、何が悩みなのか?とかもよくわからなくなってくるっていうか。モヤモヤしてるのか/してないのかっていうことでモヤモヤしてくるというか

そうなんだよね。ホント何なんだろうな~って思うんだけど。

―三浦くんの写真って一枚単位でも、もやっとしていて淡い作品性だし、今回の写真展のテーマというかメッセージみたいなところも、もやっとしていて、さらに最近の三浦くんが音楽に携わっていくなかでの自分の立ち位置とか思考がもやっとしているていう。全体的にもやっとしていて、曖昧であるってのはおもしろいな~というか、全部つながっていて合点がいくな~って思いました。

その~…うまく言葉でいい表せないそういう気持ちとか、モヤモヤした曖昧なものを言い切らなくていいってうか、曖昧なものを曖昧なまま出してしまっていいってのが写真のいいところなのかなって思ってて。誰が見てくれてるかよく分からない様なブログを淡々と5年も続けてこれたのも、写真を載せるだけだったからかな、って思うわけで。自分の気持ちを言葉にせずに残せるっていうところで、楽なんだよね、きっと。深読みしてくれる人がいれば、ありがたいし。さらっと見て、いい写真だな~って思ってもらえたらそれはそれでいいし。あ、キセルだ!って見てくれてもいいし。見てくれてるだけでうれしいかな。言葉で褒めてもらわなくても、ただ「見ました」って言ってもらえればうれしいから。

 

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三浦知也 写真展  『No youth』
2014.05.28.wed – 06.09.mon

夕方いつものところへ行くと友達が音楽を演奏していた。
僕はいつものようにカメラを片手にお酒を飲んで酔っぱらう。
スーツ姿の会社員もやってきて乾杯をする。
友達は必死に演奏を続け、今晩の少ないギャラで満足そうにお酒を飲んで笑う。
そろそろ終電に乗り遅れるとおもって店を出ると、僕は50歳になっていた。

 

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 個展会場にて/撮影:黒田義隆(ON READING , LIVERARY)

 

三浦知也
1982生まれ。名古屋市在住。2007年、三年間のアシスタントを経てフリーランスに。2008年、個展”the photograph is not enough!” in the Lights Underground。2009年 個展”ビコウ the twilight”。2011年、個展”三浦知也の写真展” in NO.12 GALLLEY(tokyo),ON READING(nagoya)。 現在 名古屋を中心に雑誌や広告、音楽のまわりに ちょこちょこ顔を出しながら撮影を重ねている。主な仕事に、 SAKEROCK「MUDA」、鴨田潤「一」、YOUR SONG IS GOOD「PLAY ALL」/DVD、星野源×ハンバートハンバートPHOTO ZINE/space showerTVプレゼント用、TURTLE ISLAND by roots magazine/写真集+DVD、NICE VIEW「SOPHISTICATED AND BARBARIAN」/CD、 GO FISH「あたまのうえ」/CD、 the act we act「いってきます」/CDなどなど。http://miuracamera.com/

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