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LIVERARY
FEATURE / 特集記事 Aug 23. 2016 UP
【SPECIAL INTERVIEW】 
“戯曲とは何か?”第15回AAF戯曲賞作品『みちゆき』が、
映像作家・伊藤高志と劇団・地点によって上演!

愛知県芸術劇場小ホール(愛知|栄)

昨年15周年を迎えたAAF戯曲賞で大賞を受賞した『みちゆき』が、演出家・三浦基率いる劇団・地点と、映像作家・伊藤高志によって、9月9日(金)から12日(月)に渡り、愛知県芸術劇場小ホールにて上演される。

「戯曲とは何か?」という大きな問いを掲げリニューアルした第15回AAF戯曲賞で、新しく就任した審査員によって選ばれた最初の大賞作品『みちゆき』。
この戯曲は、私たちに何を語りかけようとしているのか。

映像を手掛ける伊藤高志と、本公演のプロデューサーである山本麦子の2人に取材を行った。

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SPECIAL INTERVIEW :

伊藤高志 & 山本麦子(愛知県芸術劇場)

Interview : Ami Sakakibara [ LIVERARY ]
Text & Edit : Yoshitaka Kuroda [ LIVERARY , ON READING ]
Photo : Naoshi Hatori


―今回の公演『みちゆき』は、AAF戯曲賞の大賞作品とのことですが、まず初めにAAF戯曲賞についてお聞かせください。

山本麦子(以下、山本):ありがとうございます。この公演の大きな特徴は、愛知県芸術劇場が主催するAAF戯曲賞の大賞作品の上演、ということでまず戯曲賞の説明からさせていただきます。15年前から行っている、このAAF戯曲賞の特徴は、上演することが前提となっていること。演劇である以上、ホン(戯曲)が良かったね、で終わるのではなく、上演を通してその戯曲を残していこう、というのがコンセプトになっています。去年15年の節目を迎えるにあたって、「戯曲賞を続けるかどうか?」という議論も出ました。

―そうなんですね。

山本:はい。劇場が主催する戯曲賞って、どんな事を踏まえていくのか?という話になったとき、もう一度、足元を見直して、「私たちが選んでいる戯曲ってそもそも何のことなのか?」とか「シナリオや台本とどう違うのか?」とか「インスタレーションなどの中の言葉は戯曲なのか?」とか、いろんな議論が出てきまして、戯曲賞を残すのであれば、広い視点で「戯曲とは何か?」を、審査や上演の過程を通して探っていって、演劇の幅とか可能性を広げていくような賞にしよう、ということに落ち着きました。それで、色んな方々に相談して、演出家の方たちが、それだったら力になれるかもしれない、と乗ってきてくださって。審査員が「戯曲とは何か?」ということを考えながら、全応募作品を読んで審査する、という形でやってみようということになりました。

―100を超える数の作品が応募されたみたいですね。

山本:年代は16歳から80歳、場所は北海道から九州、別の戯曲賞を受賞されている方から初めて戯曲を書いたという方まで、幅広いご応募を頂きました。審査員の方たちと応募作品の審査を通して、これを上演する形で残していくためにはどれを選んだらいいか。「私の考える戯曲とは…」の回答を探すような選考課程でした。

―なるほど。上演されるということが前提なので、書く方もモチベーションもあがりますよね。

山本:そうですね。私たちが考えていたのは、ちょっと広い目で見た時に、シェークスピアとかチェーホフとか歌舞伎とか能とか、古典と言われる作品はテキストが残っているから、現代の演出家でもやりたいと思った過去の作品を上演できている。これから100年後、200年後にも上演されるような作品を選んでいこうと考えています。

―では、審査員の方たちは自分が上演したい!と思うような作品を選出しているってことでしょうか?

山本:ある意味そうですね。そして、未来の演出家もこれは面白いっていうだろう、っていうような作品を探し出す感覚でした。

100作以上の応募作の中で受賞作『みちゆき』(作:松原俊太郎)は熱量も文体も独特で圧倒的でした。4人の審査員の方が、この作品に関しては、すぐに議論できないから二次審査に残そう、最終審査に残そう…という感じで残っていきました。作品としても、ベケットとか西洋の戯曲を踏まえて書かれているんじゃないかという議論なども交わされて、これはやはり上演してみて見えてくるものがありそうだ、と、4人の満場一致で決まった大賞作品です。

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―どういった経緯で、地点が演出することになったんですか?

山本:色々な要因があるんですが、一つは、この作品の文体が作っている世界観が、三浦さんの演出と相性がいいだろうなと。もともと、できるだけ審査員の方たちの中から、演出する方を決め、上演まで関わってもらいたいという思いがありましたし、審査員の方たちからも「これは三浦さん(向きの作品)かな」という後押しもありました。実は、松原俊太郎さんが、もともと地点のファンで、去年の『茨姫』の公演も見てくださっていて、是非ここでやるなら三浦さんの演出でやってほしい、という作家の希望もあり決定しました。

映像を使いたいという希望は三浦さんからありました。実験映像の大ベテランで新しい挑戦を続けていらっしゃる伊藤さんにお願いできたらという話になり、お願いさせていただきました。

伊藤さんにオファーした時点では知らなかったのですが、丁度、あいちトリエンナーレでも参加されることになっていて、奇遇にもこの小ホールで二週連続で伊藤さんの作品がかかるということになっています。

―あ、偶然だったんですね!

伊藤高志(以下、伊藤):そうなんです。これから伊藤高志祭りが始まります(笑)

今ね、山本さんの話を聞いていて思うんだけど、演劇ってそれまでの価値観とかを常に疑って、新しいものを一生懸命作ろう、探そうっていう、先鋭的な態度があってうらやましいなと思うわけですよ。実験映像はそういうものがあるかもしれないけど、広く映像界として見てみると、そうやって必死になって探そうという機運というか、大きなムーヴメントはなかなか生まれてないんだよね。昔はそういう動きもあったんだけど、今は沈滞してるっていうか…。個人で問題意識もって、先鋭的な創作している人は何人かいるんですけどね。でもやっぱり、見回してみると、70年代80年代に模索した考え方や方法論を延々とやり続けてるだけ。自分の世界に安住してるんだよね。ある意味保守的です。映画界はもっと保守的ですよ。

―そうなんですか?

伊藤:今回「戯曲とは何か?」っていうテーマだけど、「脚本とは何か?」なんていうのはなかなか映像界では問題意識としては出なくって、今、映画を教える教育機関も多いんだけど、脚本の書き方みたいなことを教えるでしょ。

―そうですね、脚本の書き方とか、売れる脚本とは、みたいな謳い文句はよく目にしますね。

伊藤:脚本はこう書かなくちゃいけない、みたいなね。ト書きがあって、柱があって、台詞はト書きから4文字開けて書く!とかね(笑)そういう約束事をどこも一生懸命教えてんですよ。なんかね、バカみたいだなと思ったりするわけですよ。そういうことを考えると、演劇で問題意識を持った人たちはかっこいいなと思ったりしますよね。

今回のトリエンナーレでも、『ウンタマギルー』の監督である高嶺剛さんの新作が上映されたりしますけど、彼は京都在住で僕もよく知っててね、京都造形芸術大学の非常勤(講師)もやっていたからよく話をしてたんですよ。で、高嶺さんなんかは脚本の形態は一切無視。構造はどうでもいいっていう考え方で、自由なんですよね。そういうことを学生にどんどん教えていた。それだよな!とか思って。でも映画って古い体質だから、そういう教え方が削除されてしまうんだよね。本来、映像にだって無限に可能性があるはずなのに。

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イベント情報

2016年9月9日(金) ~9月12日(月)
愛知県芸術劇場ミニセレ
第15回AAF戯曲賞受賞記念公演 『みちゆき』
作:松原俊太郎
演出:三浦基
映像:伊藤高志
出演:安部聡子、石田大、小河原康二、窪田史恵、河野早紀、小林洋平、田中祐気
http://www.aac.pref.aichi.jp/gekijyo/syusai/detail/160909_michiyuki/

会場:愛知県芸術劇場小ホール 名古屋市東区東桜一丁目13番2号 愛知芸術文化センター地下1階
時間:9月9日(金) 19:30~/9月10日(土) 19:30~☆/9月11日(日) 15:00~★/9月12日(月) 19:30~
※開場時間は開演15分前
☆公演終了後、演出家・作家によるアフタートーク有
★公演終了後、‘Theatre Meeting『みちゆき』を語ろう’を開催
料金:一般3000円/学生(25 歳以下・要証明書) 1000 円 (全席自由・整理番号付き)
※未就学児の入場はご遠慮ください。
託児サービスあり、要予約・有料。託児申込・お問合せ:トットメイト(0120-01-6069)

※10名以上の場合は団体割引あり。詳しくは劇場事務局(052-971-5609)にお問い合わせください。

チケット販売:
・愛知県芸術劇場オンラインチケットサービス http://www.aac.pref.aichi.jp/dm/
・愛知芸術文化センター内プレイガイド 052-972-0430
(平日10:00〜19:00/土日祝は~18:00/月曜定休、祝休日の場合は翌平日)
・チケットぴあ TEL:0570-02-9999 [Pコード 451-756]
・地点 http://chiten.org/reservation/index TEL 075-888-5343
地点WEBでご予約いただいたチケットは当日受付にて精算となります。

※購入方法によりチケット代金のほかに手数料が必要になる場合があります。


2016年8月30日~31日
あいちトリエンナーレ2016映像プログラム『三人の女』
舞台構成・演出:伊藤高志
音響構成:荒木優光
監督・構想・撮影・編集:伊藤高志
映像出演:石倉直実、田中志朋、宝来麻耶
撮影協力:米倉伸
実験映画撮影:ジョン・ピロン
協力:京都造形芸術大学 共同利用・共同研究拠点
会場:愛知県芸術劇場小ホール
時間:8月30日(火)17:00/18:30/20:00
     8月31日(水)11:00/13:30/15:00/16:30/18:30
http://aichitriennale.jp/artist/itotakashi.html
チケット:あいちトリエンナーレ2016国際展チケットを提示
優先予約:下記メールアドレスに件名:『三人の女』希望、①お名前、②お電話番号③鑑賞日時を記載してお送りください。
filmprogram@aichitriennale.jp
主催:あいちトリエンナーレ実行委員会
TEL:052-971-6111 Email:filmprogram@aichitriennale.jp

松原俊太郎
1988年5月生。熊本県熊本市出身。神戸大学経済学部卒。ベケットとジョイスに出会い、傲慢にも小説を書き始める。5本ほど書き終えるも箸にも棒にもかからず、東京で派遣社員として労働。出会いにのみ救われ、1年間で辞職。地点 『ファッツァー』で演劇と出会う。エッセイなどをものしながら各地を転々とし、京都に歓待される。戯曲を書き始め、『みちゆき』で第15回AAF戯曲賞大賞を受賞。引き続き、京都で文筆に勤しむ。

伊藤高志
1956年福岡市生まれ。九州芸術工科大学在学中に、実験映像作家松本俊夫ゼミで製作した写真アニメ『SPACY』(1981年)で鮮烈なデビュー。以降、日本を代表する実験映像作家として数々の映像作品・映画を手掛ける。1999年、演出家・太田省吾と共に京都造形芸術大学映像・舞台芸術学科の創設に関わり、近年はダンサーとの共同作業による舞台芸術作品も多数発表している。現在、九州産業大学芸術表現学科教授。主な作品に『ZONE』(1995年)、『最後の天使』(2014年)、『三人の女』(2016年)など。

地点 CHITEN
演出家・三浦基が代表をつとめる。既存のテキストを独自の手法によって 再構成・コラージュして上演する。言葉の抑揚やリズムをずらし、意味から自由になることでかえって言葉そのものを剥き出しにする手法は、しばしば音楽的と評される。これまでの主な作品に、チェーホフ『かもめ』『三人姉妹』、ブレヒト『ファッツァー』、イェリネク『光のない。』『スポーツ劇』など。2005年,東京から京都へ移転。2013年には本拠地・京都に廃墟状態の元ライブハウスをリノベーションしたアトリエ「アンダースロー」を開場。レパートリーの上演と新作の制作をコンスタントに行っている。2011年にモスクワ・メイエルホリドセンターでチェーホフ『桜の園/ワーニャ伯父さん』を上演。 2012年にロンドン・グローブ座からの依頼で初のシェイクスピア作品『コリオレイナス』を上演するなど、海外での評価も高い。

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