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FEATURE / 特集記事 Jan 11. 2018 UP
【SPECIAL INTERVIEW】
「僕が教師だったら合唱コンクールの課題曲にしたい」
井手健介とGofish、ツーマンライブツアーで名古屋、三重へ。
相思相愛な二人に訊いた、ふたりのこと。

「井手健介とGOFISH」1月13日(土)名古屋・LIVERARYoffice/1月14日(日)三重・水色レコード

 

名古屋在住のミュージシャン、Gofishことテライショウタの新作アルバム「燐光」がついに今月1月15日リリースとなる。同アルバム収録曲『肺』は、すでに7inch先行リリースされ(ほぼ完売)、さらに言えば数年前からライブの現場では演奏され続け、呼吸を続けてきた曲でコアな音楽ファンの間では完全なる名曲(一聴したらもう、前奏を爪弾かれただけで鳥肌が立ってしまうほどに!)として認知されている。

その名曲「肺」が収録されることでも話題の5thアルバム「燐光」の先行発売ライブでもある、東京のSSW・井手健介を招いてのツーマンライブミニツアーが、1月13日(土)、名古屋・LIVERARY office、翌1月14日(日)三重・水色レコードにて行われる。

 

1月13日(土)の名古屋LIVERARYoffice公演フライヤー(写真上:井手健介、下:Gofishことテライショウタ)

 

テライショウタは、愛知を代表する重鎮ハードコアパンクバンド・NICEVIEWのGt./Vo.として、また「カレーミーティング」「カレーとノイズとその他」といったカレー好きが高じたイベントの主催者兼カレー出店者として、さらにはノイズ・ミュージシャンとしての顔も持つ。さまざまな活動を続けてきた彼の中でおそらく現在、もっとも軸を置いて活動しているのが、SSWとしてのテライショウタ=Gofishだろう。

そんな彼と交流を持つアーティスト、ミュージシャンはもちろん県内外に多数存在していて、その中のひとりに都内在住の同じくギターと歌で独自の世界観を構築してきたSSW・井手健介がいる。

井手健介は、話題の映画『バンコクナイツ』トリビュート12インチのリリース、4月に公開された映画『PARKS パークス』(監督:瀬田なつき)への楽曲提供、ミツメのMVの監督など多岐にわたる活動を展開。

また、自身のバンドセット名義である「井手健介と母船」をタイトルに冠したファースト・アルバム(2015年発表)のアナログ盤を2017年年末にリリースするなど、瑞々しいトピックスに溢れる。

今回のツアーで二人でカバー曲を演奏し合うユニット・おはぎ(井手健介+テライショウタ)としても出演するほどに音楽的にも人間的にも共振する部分が大いにしてあるお二人に、そもそもの交流の経緯、お互いの音楽への思い、ちょっと突飛な質問も含んだ相互Q&Aなど、新年早々にメールを飛ばしあったインタビューテキストをここに掲載しよう。

 

 

SPECIAL INTERVIEW:

SHOTA TERAI (GOFISH / NICEVIEW)
AND
KENSUKE IDE

Text & Edit : Takatoshi Takebe [ THISIS(NOT)MAGAZINE ,LIVERARY ]

 

 

―では、まずそれぞれ簡単に自己紹介をお願いします。

テライ:テライショウタです、Gofishというソロユニットをやっています。

井手:井手健介と申します。井手健介と母船というバンドをやっています。ショウタさんの舎弟やらしてもらってます。

―二人の出会いは?

テライ:2015年に、井手健介と母船の名古屋でのレコ発があって、それにGofishが誘われたのがはじめてのやり取りだったと思うけど。

井手:そのレコ発名古屋の時が、ショウタさんと初対面でしたが、「『肺』っていう曲があるんだけどコーラスやってくれませんか」と言われて、嬉しさと恐縮でドキドキしながら、同時になんて良い曲なんだと思いながら、ハポンの外で練習したのを覚えています。その練習の様子を録音したiPhoneの音声メモが残っていますが、それがなかなか良いのです。

―今回のツーマンツアー企画が開催されることになった経緯は?

テライ:東京の東高円寺にある「グラスルーツ」というお店でMSJというパーティにGofishが出演した時に井手くんもコーラスで参加してもらったのだけど、そのときにたまたま伊勢でやっている音楽イベントのスタッフの水谷くん(水色レコード)も遊びに来ていて。「GOFISHと井手くんで伊勢でライブをしてほしい」とお願いされて、「それなら名古屋・LIVERARYと伊勢・水色レコードとの2デイズにしよう」ということになったのが経緯ですね。

井手:僕としてはタイミングが合えばいつでもご一緒したいと思ってましたので、今回も決まって嬉しかったです、ありがとうございます。

―井手さんはGofishの新作PVを手がけていらっしゃいますが、どういった経緯で制作に至ったのでしょうか?また、どのようなイメージを映像化されたんでしょうか?

テライ:井手くんの曲「青い山賊」のMVがとても面白くて。井手くん自身がその映像の監督をしているのを知って、よく一緒にライブもすることも多くなってきて、映画の話なんかもよくするようになって『肺』をリリースするタイミングも重なったから、結構自然な流れで井手くんにお願いすることになりました。

井手:ショウタさんからMV制作のお誘いを受け、「青い山賊」MVを作ったチームでまた作りたいなと思いました。ショウタさんと喫茶店で話した時に、「真夏の夜のジャズ」という映画がお互いに好きだ、という話になり、そのオープニングの水面のシーンは参考にしました。水面のリフレクションがすごく美しいんです。

 

井手:そして実際に、ある鉄塔の下の水たまりに電線が反射する様子を撮ったところ、水面の揺れに合わせて、虚像の電線が小刻みに揺れました。それが黒田誠二郎くんのチェロの震えに呼応しているように見えて、これはいいかもと思いました。そこから、ひたすら街や自然の中にある虚像を探しては撮る、という作業が続きました。

また、ショウタさんが「こんなのどうだろう?」と撮って送ってくれた映像メモの中に、ギターの指板をカメラが滑っている映像があり、それが天国への階段のように見えました。そこから、小さな生き物のたましいがいろいろな場所を巡って、最後に天国への階段を昇って空へ消えていくような映像はどうだろう、と考えました。(その時、Gofishの「ちいさくなれる」という曲のイメージも頭の片隅にありました。)

ちょうどその頃、松井一平さん(自身のバンド・Teasi、テライも参加するバンド・ネス湖にも参加する、愛知出身で現在は神奈川県在住のミュージシャン)と話す機会があり、「『肺』ならやっぱり気体の映像が入るといいんじゃない?」という話になり、煙、ギター、水面、虚像、小さなものの視点、そんなふうになんとなく映像の方向性が決まっていきました。

井手健介監修のGofish「肺」PV

―お互いの作品や世界観について、どのような感想を持たれていますか?

テライ:井手くんは完璧主義的なところもある一方で、ゆるさもあったり破壊願望も持ち合わせていそうで、いろんな資質が混沌としているのが面白いです。歌の世界は低体温というか少し非人間的なところがあって、余計な感情移入を許さない雰囲気がクールだなと感じています。

「ゆるさ」といえば、以前どこかで見た井手くんのライブのときに「新曲をやります」と言って始まった曲の歌い出しが長渕剛の乾杯のサビのメロディと全く一緒で、それを後で本人に伝えたら「あーほんとだー!」って(笑)。言われるまで全然気づいてなくて面白かった。自分も相当にゆるい人間なのでそういうところにはシンパシーを感じたりします。

あとカバーのセンスがちょっと変なところも好きで。井手くんとのユニット「おはぎ」では、カバーをいろいろ演奏するんですが、それはかなり楽しいです。

井手:Gofishの音楽は、弦楽器と声だけで、その場の空気がうねったり、張りつめたり、微睡んだりする様子、水族館で見る魚の群れのようにいくつかの小さな要素が集まったり離れたりしながら一つの何かを形作って、光を反射している様子、それは自分が思うサイケデリックそのものです。

「肺」のMVを作る際も、それを映像でやるには力不足だとは思いましたが、映像が曲を追うのではなく、大きな魚影の中の等しい要素の一つになれたらという感覚で作りました。

―新年始まったばかりですが、昨年最もおもしろかった(または嬉しかった)一番の出来事と、今年の目標を教えてください。

テライ:やっぱり肺とピアノのまわりの7インチをリリースしてMVも初めて作ったのはうれしかった、それでそのレコーディングに韓国からイ・ランがわざわざ豊田市猿投町のゲルスタジオまでコーラスを録音しに来てくれたのもなんか面白かったです。あとはいろいろ人に会ったりカレーをたくさん作れてよかったです。

今年は海外にもライブに行きたいし、その前にもっと社交的になりたいです(笑)。

井手:高円寺の夏祭りで、やぐらの上で演奏したこと。やぐらの周りを人々が音頭を踊りながら周っていて、その中にいるいつもの友達、久しぶりに見た人、知らない人、妖怪たち、が自分の目の前を通り過ぎていき、走馬灯のようで、あー死ぬのかなと思いました。

あと、ショウタさんと魚座の藤井さんと名古屋で飲んだ時、会話が成立しないくらい酔っ払ったショウタさんがめちゃくちゃ面白かったです。本当に感覚だけで話をする人を見た。もしくは壊れた人工知能みたいな。出てくる単語がランダム過ぎて衝撃でした。またいつかあのショウタさんに会いたいです。

今年の目標は、セカンドアルバムを作ることです。

 


 

テライショウタから
井手健介への質問

 

テライ:井手くんは音楽と映像を作っていますが、創作にあたって共通するところと全然違うところとあったら教えてください。

井手:うーん、なんだろう。共通するところは、結局はどちらも、音楽ファン、映画ファンの自分が、今まで鑑賞してきたものから学んで作るしかない、ということでしょうか。
違うところは、なんでしょうね、、、音楽は、ライヴの場合は、「こう演奏する」と決めてない部分が多くて、それがどう出るかが楽しみでやってるところがあります。演奏してる自分が、光に集まる虫みたいな感覚になる時がありませんか?

テライ:密かに想いを寄せている女の子にオススメの映画を聞かれたら何を勧めますか?

井手:「デス・プルーフ in グラインドハウス」ですかね。女の子万歳!という意味で。
でも、本当に密かに想いを寄せている女の子におススメする映画は密かな一本となるでしょうから、ここでは言えませんね!

テライ:自分の曲でいちばんあっという間にできた曲ってどんな曲?その経緯も教えてもらえれば。

井手:「青い山賊」は一瞬でできました。ギターを持って、決まっていたようにカポを3フレットにはめて、最初のコードから最後まで、もうあった曲をただ再生するみたいに、できました。あれはなんだったんでしょう。

テライ:テライショウタのことを最高に褒めてもらっていいですか?

井手:ショウタさんて、めちゃくちゃ音楽の才能ある上に見た目がいい男すぎませんか?ずるくないですか?どっちか少し分けてくれませんか?それから、Gofishは良い曲がたっくさんありますが、「肺」は間違いなく音楽史に残る名曲ですね。僕が教師だったら合唱コンクールの課題曲は「肺」で決まりです。優勝です。あなたは優勝です。

テライ:2017年に印象に残った映画を教えてください。

井手:映画の中に没入してしまい、映画館を出た目の前の景色がさっきと少し違ったものに見える現象が、ごくまれにあります。2017年は「マリアンヌ」がそれでした。ダグラス・サークの極上のメロドラマを観た時のような、胸が張り裂けそうになる思いがしました。ああ、本当に素晴らしかった。

新作以外で劇場で観た作品では、山口のYCAM爆音映画祭で観た「マングラー」と、それからやはり「牯嶺街少年殺人事件」が傑作だったことが印象に残っています。

 



井手健介から

テライショウタへの質問

 

井手:ショウタさんはどんな子どもでしたか?

テライ:内気さと大胆さの二面性が常にせめぎ合っている子供だった気がします。そしてその性格はいまだに続いてる(笑)。内気なのに運動会の応援団長になったりしちゃう感じ。あとうっかり者だったので学校から人のランドセル間違えて背負って家に帰ったり学校から上履きのまま家に帰ったりドラえもんの単行本が読みたすぎて道に飛び出して車に轢かれたりしてました(笑)、これも今と変わらないですね。音楽は子供の頃から好きで歌も今よりうまかったので(苦笑)音楽の先生にすごく気に入られていました。それで小5のときに6年生が卒業する贈る歌として在校生全員で思い出がいっぱいを歌うことになったのだけど、その音楽の先生の独断で僕がソロでフルコーラスを歌って残りの在校生たちがサビのところでラーラーラーってコーラスを入るだけっていうアレンジに決められてしまっていて(笑)。今思えば名誉なことなんだろうけどその時は死ぬほど嫌で、僕だけマイクを持たされたのだけど(1人だけマイクを持たされたのがなぜかすごく嫌だった)マイクの調子が悪いフリしてまともに歌わなかったです。期待にあえて応えないところもありました。

井手:2017年に印象に残った映画を教えてください。

テライ:やっぱり「牯嶺街少年殺人」を見たのは2017年の忘れられない出来事のひとつです。名古屋ではミッドランドシネマというシネコンでの上映で大きいスクリーンで観られたのはうれしかった。3日間連続で見に行きました。あとは「動くな、死ね、甦れ!」も映画館で見られて本当に嬉しかったです。あと邦画だったら増村保造特集で見た「最高殊勲夫人」は最高でした。新作だったら井手くんとも被りそうですが、「マリアンヌ」、「20センチュリー・ウーマン」、「ELLE」、「パターソン」、「バンコクナイツ」も、あと「アウトレイジ最終章」はなんだかグッときました。

井手:密かに想いを寄せている女の子におススメの映画を聞かれたら何を勧めますか?

テライ:「恋はデジャブ」がすごくいいなと思います。

井手:井手健介のことを褒めてもらった後、テライショウタのことをさらに最高に褒めてもらっていいですか? 

テライ:井手くんを褒めるとなったらまず声ですね。張ったときにほんの少しだけしゃがれる感じが絶妙だし裏声できれいにスキャットできるし、男女問わずのハートを弄ぶことのできる声だとおもいます。あとは武部くんの質問とも被るんだけど歌詞がもう肉体を持たない人が朧げな記憶だけで歌ってる感じがして、でもそれが心地よい低体温感として絶妙なポピュラリティーを保っているのが憎いなぁと。

テライショウタも褒めるとするなら、なかなかいい曲書いてるぞ、だからこのまま続けていいんだぞって言って抱きしめてやりたいです(笑)

井手:タイムマシンがあって、いつの時代のどの国でもいいので一組だけ観たいミュージシャンのコンサートへ行けるとしたら、誰を観ますか?

テライ:これは完全に悩むやつですねー。でもひとつ決めるとするならボブ・マリー&ザ・ウェイラーズ「TALKN’ BLUES」というデビュー間もない1973年のスタジオライブのアルバムがあって、そのウェイラーズの演奏が凄まじくて、だけどスタジオライブだからお客さん数人しかいなくて拍手もまばらだったりして……こんなとんでもない演奏を数人で受け止めていたかと思うと頭がクラクラしてくるくらいなのだけど、その場所の数人のうちの1人になりたいです。

イベント情報

2018年1月13日(土)
「井手健介とGOFISH」名古屋公演
会場:名古屋・新栄LIVERARYoffice
時間:開場19:00/開演19:30
出演:Gofish、井手健介、おはぎ(井手健介+テライショウタ)
カレー出店:田辺舞
料金:前売2000円 当日2500円(共に+1drink代500円が必要)
※定員40名で締切
予約メール:
gofishota@gmail.com

2018年1月14日(日)
「井手健介とGOFISH」三重公演
開場18:00/開演18:30
会場:水色レコード
料金:2000円(+1drink)
出演:Gofish、井手健介、おはぎ(井手健介+テライショウタ)
予約メール/電話:
mizuirorecords@gmail.com
0596-72-8531

井手健介
1984 年3月生まれ。宮崎県出身。吉祥寺バウスシアターのスタッフとして爆音映画祭等の運営に関わる傍ら音楽活動を始める。2012年より井手健介と母船のライ ヴ活動を開始、不定形バンドとして様々なミュージシャンと演奏を共にする。2015年1月より神保町試聴室にて、試聴室との共同月例企画《木霊でしょう か》主催中。
idekensuke.blogspot.jp

テライショウタ
名古屋市在住。歌とギターのソロユニットGofish、ハードコアパンクバンドNICE VIEW、ギターによる即興演奏、DJ、音楽とスパイスの宴「カレーミーティング」や「カレーとノイズ」の主催など。NICE VIEWとして2009年にUSツアーも敢行。近年のリリースとしてアルバム「NICE VIEW / SOPHISTICATED AND BARBARIAN 」、アルバム「Gofish / よかんのじかん 」、7インチシングル「Gofish / 肺、ピアノのまわり」、10インチEP「Gofishトリオと柴田聡子」など多数リリースあり。

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