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FEATURE / 特集記事 Aug 26. 2018 UP
【SPECIAL INTERVIEW|廣村正彰】
星が丘テラス・TT”にてデザイナー・廣村正彰の映像作品「ジュングリン」展示中。
会期後半に間宮晨一千(星が丘天文台)を交えてのトークイベントも。

2018年8月17日(金)〜9月13日(木)|TT” a Little Knowledge Store(愛知|星ヶ丘)

 

廣村正彰。日本を代表するデザイナーのひとり、田中一光 のもとでデザインを学び、これまで数々のデザインワークを手がけてきた。企業のロゴデザインからアートフェスや水族館などの施設の空間デザインなど多岐にわたる。

 

最近では名古屋城本丸御殿完成公開を祝した、こちらのロゴデザインも。

 

そんな彼が2010年より新たな取り組みとして始動したのは、映像インスタレーション・プロジェクト「ジュングリン」

 

「ジュングリンとは「順繰り」に「ing」をつなげた造語であり、日々の繰り返しの中で見落としがちな行為や風景を、普段とは異なる視点を通して提示することによって、新しい「気づき」を生み出します」(廣村正彰)

 

現在、星が丘テラス内のTT” a Little Knowledge Storeを会場に『廣村正彰「時報ジュングリン」連続する時間のなかにある小さな物語』が開催中だ(会期は9月13日(木)まで)。

30分毎の時報機能をともなった新作「時報ジュングリン」を展示や、1作品40秒の既存の全25作品を、ひとつにつなげた特別バージョンも上映されるのだそう。

 

 

LIVERARYでは、同展示の企画者のひとりである間宮晨一千(星が丘天文台)TT” a Little Knowledge Storeの企画運営を行う山本雄平(MAISONETTE inc.)とともに、廣村正彰にインタビューを行った。

 

 

SPECIAL INTERVIEW:

廣村正彰
Masakazu Hiromura

Interview:Shinichi Mamiya(星が丘天文台)、Yuhei Yamamoto(MAISONETTE inc.)、Takatoshi Takebe(LIVERARY)
Text&Edit:Takatoshi Takebe(LIVERARY)
Photo:Ryouken Kamiya(間宮晨一千デザインスタジオ)

 

―なぜそもそも廣村さんはデザイナーになろうと思ったんでしょうか?

廣村:「デザイナー」って言われたら当時の僕は「インテリアとか家具のデザインをする仕事」を想像していました。今でもそうなんですけど、何かしらのプロダクトを作る人ってかっこいいな〜っていう憧れがあったんです。でも、結局、グラフィックデザインの学科のほうが入りやすかったから、それくらいの理由で大学でグラフィックデザインを専攻しました。

―え、デザイナーへの入り口は、割とふわっとした感じだったんですね。

廣村:もともと僕らの世代(70年代以降)は、いろいろなコトが終わった後の時代だったんですよね。学生運動も下火になっていて。大学に行っていきなり活動家の学生が教室に乱入してきたかと思ったら、わーっと叫んですぐ出ていってしまって…「今の何だったんだ?」って思ってたら、普通に授業が始まる、みたいな。そんな感じでした。だから何事にも無気力で冷めている、「しらけ世代」なんて言われてました。何となく平凡な大学時代を過ごしていましたね。

―大学卒業後は、国内でも著名なデザイナーである田中一光さんの事務所に入られたんですよね?それってそんな簡単に入れるもんじゃなかったと思うんですが。

廣村:たまたま先輩が田中さんの事務所で働いていて、僕はアルバイトで入れてもらえたんです。とにかく辞めていく人が多かった。過酷すぎて。でも、ぼくはオーディオマニアで、そこで師匠(田中さん)と話が合って、真空管の交換を日課として任されたり、レコードの買い出しを頼まれたり。最初はほんと使いっ走りというか、丁稚奉公みたいな感じで雇ってもらってました。

 

 

―田中一光さんとうまくコミュニケーションが取れたから、仕事が続いた?

廣村:何回も辞めさせられそうになりましたよ(笑)。師匠と先輩とで、寿司屋とかに誘われたりすると「あ、やばい」って思ってました。そういうときにだいたい「いつ辞めるんだ?」っていう話をされるタイミングで。で、「早く転職先見つけます!」みたいな感じで、次の日に「ここを受けようかと思ってるんですが・・・」とかって相談すると、「そこはやめておいたほうがいい」って言われて(笑)。そのまま10年働いて、その後独立したんです。

―なるほど。デザインのことや仕事のやり方について何か教わったこと、印象深いエピソードとかってありますか?

廣村:そうですね、よく言われたのは「お前は凡人なんだ」ってことですかね。「凡人なんだから、他の人の3倍働け!」って言われました。あとは、生まれてきたことそのものを否定されたり(笑)。もう師匠が絶対!の時代だったんです。

―今の時代だとその発言はだいぶ問題になりそうですけど(笑)

山本:でもそういう師匠が絶対!っていう時代だからこその良さもありますよね。きっと。

廣村:今の時代、デザイナーがデザインだけやってたらダメですしね。その点、間宮さんとか建築デザイン以外のこういうこととかも取り組んでたり、マルチですよね。それぞれの時代に合った、やり方があるんだと思います。

間宮:廣村さんの制作された岩出山中学校、埼玉県立大学の空間グラフィックがあったじゃないですか。あれにいたく感動したんですよね。

 

 

―今回、廣村さんがつくってくださった「星が丘天文台」のロゴについても教えてもらえますか?

廣村:ロゴ制作のお話をいただいたときはまだぼんやりとしかこの企画については説明がなかったんですが、まず「星が丘天文台」っていう面白い名前には惹かれましたね。で、何かすごくワクワクするようなことが起きるような、そんなイメージがありました。BUMP OF CHICKENってバンドの「天体観測」って曲があるじゃないですか。あの何がそこにあるかわからない、星なんて見えないかもしれないけど、とにかく望遠鏡かついで急いでそこへ向かう、最終的に星が見えたかどうかなんてどうでもいいんですよね、その少年のような気持ちがきっとこのプロジェクトのベースにあるだろう、と。それをこのロゴに込めさせてもらいました。

 

それぞれのロゴデザインは非常にシンプルだが、そこにはしっかりと廣村の思いが込められている。そして、採用に至ったのが下記デザインだ↓

 

星が丘天文台さん(@hoshigaokatenmondai)がシェアした投稿

 

 

間宮:なるほど〜!

廣村:僕なんかずっと精神年齢19歳くらいで止まってるんですよ。今年でもう62になりますけどね。体は老いても、いつまで経っても心は青年なんです。

山本:すごくわかるな〜その話。ぼくもそうありたいと思っています。

 

 

―では、そんな廣村さんに最後の質問なんですが、現時点での夢って何ですか?

廣村:夢か〜なんだろう。自分の親父が畑をやっていて、定年退職した後にその畑の一角に小屋を作ってたんですよね。そこに友達呼んだりして、ずっとそこで遊んでいて、風呂と寝床があるから家に帰ってくるくらいの感じで。あれはきっと秘密基地だったと思うんですよね。子供のころにも友達とごっこ遊びでつくるじゃないですか、基地。僕もそろそろ自分の秘密基地がほしいな〜って思いますね。

 


写真左から、山本雄平(MAISONETTE inc.)、廣村正彰、間宮晨一千(星が丘天文台)。

 

もともとこのインタビューは、先日同じくTT” a Little Knowledge Storeにて行われた「夢のかけ橋」展にちなんで事前に行われたもの(後日、紙媒体に編纂し発売予定)。クロージングイベントとして行われた「トドトーク」に登壇した際、「僕はデザインがわからないんです」という言葉も漏らした廣村正彰。その言葉の裏には、「迷い」よりもやはり彼の飽くなき探究が未だ続いていることを感じさせる、言葉の重みがあった。

 


『夢のかけ橋』展クロージングイベントの様子。廣村正彰はじめさまざまなジャンルで活躍する12名が集結。仕事のやり方や自信のライフスタイル、今後の夢について語り合った。

 

そんな彼のどこまでも真摯な姿勢は、このインタビューからも感じ取ることができるだろう。「夢とは何か?」「仕事とは何か?」といった単純な質問を投げかけた取材陣に丁寧に答えてくれた、その人となりは印象的だったといえる。

 

展示期間中の8月31日(金)、
廣村正彰登壇のトークイベントが開催される。

8月31日(金)19:00〜から行われるトークのテーマは「まちとつながるビジュアル・コミュニケーション・デザインのチカラ」と題されている。上記インタビューにも登場した間宮晨一千(星が丘天文台)も登壇。果たしてどんな話が聞けるのか? 是非足を運んで生の声を聞いてみてほしい。

イベント情報

2018年8月17日(金)〜9月13日(木)
廣村正彰「時報ジュングリン|連続する時間のなかにある小さな物語。」
会場:TT” a Little Knowledge Store 内(星が丘天文台)
営業時間:11:00−23:00

2018年8月31日(金)
CREATIVE CAFÉ NAGOYA 2018
ユネスコ・デザイン都市なごや×星が丘天文台
まちとつながるビジュアル・コミュニケーション・デザインのチカラ
会場: TT” a Little Knowledge Store 内(星が丘天文台)
(名古屋市千種区星が丘元町16-50 星が丘テラスEAST 3F)
時間:19:00~20:30(18:30開場)
参加料:¥500 (1ドリンク付き)
お申込み:「氏名・人数」 を入力の上、メール
talk@creative-nagoya.jp
イベント詳細:http://www.creative-nagoya.jp/event/ccn2018/

廣村正彰
グラフィックデザイナー。愛知県生まれ。田中一光デザイン室を経て、1988年に廣村デザイン事務所を設立。日本デザイナー協会新人賞、N.Y.ADC 9th International Annual Exhibition銀賞受賞。2008年 KU/KAN賞受賞。2009年 毎日デザイン賞受賞など受賞多数。サインデザインを数多く手がける。東京工芸大学芸術学部教授。特種東海ホールディングス AD顧問。著者『空間のグラフィズム』六耀社。『デザインのできること デザインのすべきこと』ADP。『字本 JI BORN』ADP。『世界のグラフィックデザインシリーズggg Books』ギンザ・グラフィック・ギャラリー。http://www.hiromuradesign.com/

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