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FEATURE / 特集記事 Oct 31. 2013 UP
【SPECIAL INTERVIEW】イラストレーター、fancomiが語る、そこに無いものを導きだす装置としての絵

Interview / Text by KYOKO KURODA (ON READING/ELVIS PRESS)

この夏、ON READINGの出版レーベル『ELVIS PRESS』からイラストレーター・fancomiの初作品集「BOKU no HON」をリリースした。東京〜京都〜大阪の巡回展を経て11月13日からON READINGにて出版記念展を開催する。「BOKU no HON」は不思議な本だ。ペーパーバックサイズの表紙をめくると、波線のドローイングがページいっぱいに描かれている。さしずめ、序章や寄稿文のように。その後も、絵本のようなページ、図鑑のようなページ、画集のようなページなど、どのページを開いても、何かの本になっているようだ。表紙に書かれた謎かけのような言葉「WHO DID WHAT WHEN AND WHERE? BUT IT IS ONLY AN OPPORTUNITY. 」(誰がいつどこで何をしたか?しかしそれはきっかけにすぎない)に誘われて、何度も繰り返し読んでしまう。(読めないのに。)この本はどうやって生まれたのだろう。展示開催に先駆けて、fancomiさんに聞いてみた。

    ―2011年8月にsunshine to you!との二人展 『sunshine PARK』を開催した際、fancomiさんが展示したのが、本を模した作品だったんですね。それがすごくよくて、fancomiさんは書籍の装幀がすごく合う、現代のディック・ブル—ナだって興奮して。私たちがfancomiさんの本を作りたいと思ったのはあの作品がきっかけでした。それで、架空の本の装丁を集めた作品集なんてどうでしょう、とか、過去の作品をまとめた作品集を作りたいとかぼんやりとした状態で、お願いしたんですよね。サイズと仕様だけは、こちらで決めていて。

    お話を頂いた当初から、全部書き下ろしで新しいものを作りたいと考えていました。というのもまだまとめるには早すぎると思ったし、それよりも初めての本を出させて頂ける機会に、自分の作風というか考え方を形にしてみようと思いました。以前ON READINGで展示をした際に作った「本のオブジェ」、これは絵と文字を模した線で本のカバーだけを作って、その中身を想像してもらいたいというアプローチで制作しました。今度はそれを、本全体で出来たら楽しいだろうなと思いました。それで全ページ絵と文字を模した線で構成された、「本みたいな本」「まったく読めないけど読める本」を作ろうと決めました。

      ―うんうん。まさに「まったく読めないけど読める本」。fancomiさんの作品集、というより「BOKU no HON」というひとつの作品、になったなと思います。「BOKU no HON」の中には、絵本みたいなページもあれば、図鑑みたいなページもあって、急にタッチが変わったりとか笑。答えはないんだろうけど、答えをさがしてしまう。これって、それぞれにはモデルがあったりするんですか?個人的に、革を切る道具?のページが気になったのですが、あれは何かのカタログや広告として、実際にあったものですか?

      あれは、テレビで服飾の職人さんが出ていて、変わったナイフで切るんだな〜と印象に残っていました。僕は目に留まったものや気になった事をあまりメモしたりはしないのですが、それでも覚えてたものだけ落書き程度に描き留めておくことはよくあります。それが後々題材になったりしてますね。うろ覚えの状態でものを描くことが多いかな。基本的に色んな事がうろ覚えなんで。。。この本の中で最初に出てくる犬のモデルは、東京の家具屋さんにいる看板犬です。それとか、ウチのヌイも出てるし、散歩してて見かけた鴨もいますね。他にも元を辿ろうと思えばいろいろあるかな。

      ―モデルいるんですね〜、会ってみたい!ヌイ?「ヌイ」って何ですか?

      ヌイはヌイグルミです。うちにはいっぱいいるんですよ。ヌイを好きなのにも絵を描くのと何か共通する感覚があるんですよ。表情を固定されてるヌイにもそれぞれ性格とか感情とか見出すことが出来る。それって僕の主観に過ぎないのかもしれないけど、何かに誘導されているような気もする。その誘導する現象を自分の作品でも出来たらと良いなと思うんです。確定はさせないけどある道筋に自然と誘導する。そんな感じが良いんです。いつかヌイ関係の仕事をしてみたいですね〜。

      ―いいですね〜。手前味噌ではありますが、出来上がった「BOKU no HON」は、ほんとにいい本だと思います。何度でもいつでも読める本。よく言われるのは「外国の本みたい」「日本の方ですか?」とか。fancomiさんの絵は、国籍も性別もわからないというか、越えているように感じますが、今のスタイルにはどうやって行きついたのでしょうか。

      ありがとうございます。そう言ってもらえたら少しは成功してるのかな。国籍とか性別とか感じさせないといのは、僕にとってそのことにこだわりが無いからだと思います。無名性みたいな事を大事にしているところもあって、描かれているものが何者で何の為に何をしてるとかは、僕の中ではあまり重要じゃなく、ただ存在しているというところの方が大事なんです。そこに存在することで何らかの変化や、反応を起こすきっかけくらいにはなると思うんです。スタイルがあるのかどうか自分ではまだわかってないですけど。今でも色んな描き方をしたいと思うし。根底になにか通じるものがあれば、表面上の見え方は多様にあっても良いと思っています。スタイルよりもスタンスを確立したいと思っています。

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fancomi / 大森 純

プロフィール

1980年埼玉生まれ。
2004年A&A青葉益輝広告制作室入社。
2009年よりフリーランスのイラストレーター/デザイナーとして活動開始。
2010年第3回グラフィック「1_WALL」ファイナリスト。
その他多くの個展、グループ展で精力的に活動。
企業ロゴ、広告、書籍、雑誌、CD、グッズ展開、などジャンルに捕われず幅広く活動中。
http://fancomi.com

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