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FEATURE / 特集記事 Oct 31. 2013 UP
【SPECIAL INTERVIEW】イラストレーター、fancomiが語る、そこに無いものを導きだす装置としての絵

Interview / Text by KYOKO KURODA (ON READING/ELVIS PRESS)

―fancomiさんの特徴と言えば、目鼻のない人々や動物たち、あと今回の本ではとても重要な意味をもつドローイングである「むにゃむにゃ文字」(←なんかいい呼び名ありますか?)。クールさというか、ある種のいい距離感、そして想像の付け入る隙を感じます。これらにはどういった意味があるのですか?

「むにゃむにゃ文字」、面白い言い方ですね。何て言えば良いですかね?特に決めてないんでどう呼んで頂いても。それ自体には意味というより役割がある感じがします。もちろん文字を表現するためのモノですが、それは絵と絵を、絵と物語を、本と読み手を、「繋げる」役割です。僕の本に入りやすくする橋渡しのようなものだと思っています。

―なるほど~。文字「らしき」ものがあると、自然と「なんて書いてあるんだろう?」って思いますよね。絵から想像したりして。 fancomiさんの絵によく登場する、目鼻のない人々ですが、表情は描かれていないのに、なぜだか「わかる」んですよね~。以前の展示の際に、似顔絵を書いていただいたんですが、髪型と輪郭だけなのに、なんかすごい似てる(笑)。これは本当に不思議だなと思いました。 fancomiさんはデザイナーでもあるので、イラストレーションもとてもデザイン的というか、何をもってその人の顔であると判断しているのかのギリギリのところがあらわされているのかなと。文字もむにゃむにゃと線が引かれているだけなのに、あるべきところにあるから文字らしきものに見える、ということですもんね。あの目鼻のない人々はどうやって生まれたのでしょう?

確かにデザイナーとしても仕事をしてるので、デザイン的に思考するところもあると思います。ときにそれが邪魔になることもあって、もっと上手く融合出来ればなと常々思っています。 顔のない人が生まれたのは初個展の少し前です。2010年に初個展するまでは、絵で仕事をしてたわけでも展示などで 発表もしてたわけでもないので、気ままに色んな絵を描いてたんですよね。いざ、絵を仕事にしていこうとしたときに、僕の絵とはどういうものなのか結構悩んだんですよ。それこそ色んな顔も描いてました。ですがどれも僕じゃない気がして、そんな中描きかけだったのか何なのか、ドローイングの中に顔の無い人がいたんですよ。 それ見てるときに一番しっくりきたんですよね。そのときの気分と合致したんだと思うんですが、顔の無い人の中に色んな表情を浮かべる事が出来たというか、まだ何も無い自分の心境とかもリンクしてたのか、なかば開き直った感じもあったんですけどね。今もまだこの顔のない表現に可能性を感じてます。この顔の中にもっと色んな表情が見えてくるような作品を生み出さなきゃと思っています。 でも、そのうち違うな~と思ったら突然顔描いちゃうかもですね!

―fancomiさんの作品はストーリーを想起させてくれるものが多いですよね。fancomiさんに聞いてもいつも「そうかもね。そうじゃないかも」と言ってはぐらかされるような気がするですが(笑)、ストーリーはご自身のなかではきっちり決めてるんですか?

僕自身もはっきりとは決めてないんですよ。はぐらかす様に言うのは作者の言葉は絶対になっちゃうからです。やはり確定より誘導をしていたい。絵を見て僕の想定してないような展開を話してくれる人とかもいて、そういうの聞くのを結構楽しんでます。僕の作品が、そこに無いものを導きだす装置になれば面白いかなと、描いてある絵そのものはあくまで入り口でその後に(前でも)続く物語を想像してもらえたら一番嬉しいですね。

―fancomiさんの作品には少年(なんか賢そうですよね!)がよく出てきます。fancomiさん自身はどんな子供だったんですか?ファミコンとかやってました?

僕はどうだろな~基本明るい方でしたよ。昔から一人遊びより友達と会うのが好きでした。トランスフォーマーとかキン消しとかで適当に話作って遊んだり、チャリンコ乗って別れ道で棒を倒して行く方向決めてどこまでも行ったり、全然隠れてないとこに秘密基地作ったり、ま~普通の子供ですよ。一人のときはテレビ見てるか、絵描いてるかでしたね。そこはあんまり今と変わらないかな。ファミコンもあったけど僕はそんなに好きじゃなかったです。というか、ちょー下手なんですよ。波動拳とか出せないし。未だにゲームは苦手。それより自分でルール決めれる様な遊び方が好きだったと思います。

―お話の中でも何度も出てきたキーワードですが、作品の制作にあたり「物語」を大事にされているように感じます。(プロットということではなく「物語」性というか、そこに「物語」があるということを。)実際に影響を受けた作品や物はあるのでしょうか?ジブリがお好きと聞きましたが

基本、超テレビっ子で本とか読むのが好きじゃなかったし、入ってくる情報は文字とか一枚絵よりも映像が多かったです。だからアニメみたいに絵と物語が同時に入ってくる方が自然なんですよね。抽象的な作品を見たときでも勝手に物語というか、色んなシーンを浮かべたりしてます。それは音楽聞いているときもそうで、その方が飲み込み易いんです。 ジブリは好きですね。そのときで見たいのが変わるんですけど、「おもひでぽろぽろ」はいつ見ても良いですよね~。ジブリ以外でもアニメは好きです。影響を受けたものもたくさんありますよ。「ウォレスとグルミッド」も良いですね。あの二人の関係性がとても好きなんです。僕の作品の中でも二人組(一人と一匹とか)がよく出てくるんですが、やっぱり一人は寂しいですからね。

―私も「おもいでぽろぽろ」すんごい好きです。25歳越えてから、ぐっと好きになりましたね。他には、どんな作家さんやアーティストが好きですか?

好きな作家ですね~思いつくままに言いますと、マティス、ホックニー、リキテンスタイン、アレックスカッツ、ユトリロ、杉浦茂、長新太、まどみちお、湯浅政明、堀内誠一、トーベヤンソン、ディックブルーナ、チャペック兄弟、ジムウードリング、ポールコックス、ルネラルー、メビウス、タンタンの冒険描いた人、エトセエトセ・・・他にもいっぱいいて、一言で言うのは難しいのですが、何か通じるものを自分なりに感じているんだと思います。

―今後やってみたいことを教えてください。

パッケージとか、パターンを使ったテキスタイル、映像化もしてみたいし、やってみたいことは色々あるんですが、絵本というか、ちゃんとした物語になってるような本を作りたいと思っています。というか進行中です。僕が相変わらず進みが遅いので迷惑をかけてる人がいるのですが、近々お披露目出来ればと思っています。

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fancomi / 大森 純

プロフィール

1980年埼玉生まれ。
2004年A&A青葉益輝広告制作室入社。
2009年よりフリーランスのイラストレーター/デザイナーとして活動開始。
2010年第3回グラフィック「1_WALL」ファイナリスト。
その他多くの個展、グループ展で精力的に活動。
企業ロゴ、広告、書籍、雑誌、CD、グッズ展開、などジャンルに捕われず幅広く活動中。
http://fancomi.com

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