instagram
twitter
facebook
「CINEMA CARAVAN in 白川郷」開催直前インタビュー。世界遺産で映画上映するだけじゃおもしろくない… 音、食、そして観光と生活、すべてを投影する最もシネマティックな村祭。

2015.07.18.Sat - 07.20.Mon | 岐阜県白川村

FH000018今回のCINEMA CARAVANは、野外博物館合掌造り民家園にて開催。写真の家屋では、ShareTheTableが行われる予定だ。

 

ーちなみに、メインコンテンツは「映画」だと思うんですが、その他にもいろいろな要素が準備されていますよね。それらについても教えて下さい。

大倉:ではメインコンテンツとなる「映画」からまず説明します。飛騨地方には実はもう映画館ってないんですよね。で、映画館がないのと、白川村って合掌造りがあるので、花火大会がないんです。だから、子供たちにとっても夏の遊びがないな〜って思っていて。そういう夏の遊び方、楽しみ方ってのを用意してあげたいって思ってるのが背景です。初日はオープニングデーとして、映画の楽しさを伝えたいっていうことで、『ニューシネマパラダイス』。中日は、ファミリーデーってことで、村の中の人も外から来る人も含め<親子>をテーマにした作品がいいな〜って思って。村の投票も集めたんですが、その中で『サマーウォーズ』が決まりました。最終日は、白山の森や合掌造り含め、この村に残る<日本の原風景>っていう映画の中で表現できればいいなって思っていたのと、あと今回の三日間で終わりではなく、今後につながる日にしたい思いがあったので、キャラバンメンバーからのレコメンもあった『雨あがる』にしました。

 

『サマーウォーズ』劇場予告編

現在公開中の『バケモノの子』の製作陣が手がけた、美しい日本の原風景と心熱くなるストーリーにより、大ヒットを記録した日本アニメ映画。

 

—なるほど、では、続いて「Share The Table」については?

大倉:食のイメージが低いのがこの村の弱点。でも、実は米とか水とか素材はいいものが揃っています。じゃあそれをどう調理してもらおうか?っていうのが発端で。さらに岐阜の美濃、郡上、飛騨とかそれぞれどの地域もいい素材は持っているんですが、点在してしまっている感があったので、それをひとつにつなげたい。岐阜県の「食」の魅力を伝える上で一番わかりやすい「食べて味わう」っていうのをぜひやりたいと思っていて。もともと、シネマキャラバンが決まる前から、「食」をテーマにしたイベントはできないかと行政としての動きもありました。それを今回のキャラバンの中で掛け合わせたっていう。素材を活かしてもらう、アウトドアでの調理ってのが映えるなっていうのが今回お願いしたシェフの吉川倫平さんを志津野さんに紹介してもらいました。

 

ー「Share The Table」の趣旨としては、みんなで食卓を囲もう!ってことですか?

志津野:もちろん、そこの楽しみもひとつの要素です。家族だけ、恋人だけっていうのじゃなくて、全く知らない人とおいしいものをたべる、っていう。共通の時間を共有することで縁をつくるきっかけになる、それは音楽や映画もいっしょだと思うんですけど。で、さらにその食の背景も知ることが大切で、地元の食材を食べて、それをつくった農家さんのことも知る、その土地のことを知る、それをみんなでテーブル囲んでシェア(共有)しようっていうもの。それで今回、白川郷では「食」をひとつのコンテンツに入れたい、ってことだったんで是非やろうよ、と。

 

kankou_info20150622_01

「Share The Table」。残席わずかとなっているのでお早めに。予約はコチラから

 

ー今回、初日にライブもする、DJのMITSU THE BEATSさんが滞在して音楽を作るっていうのがすごくおもしろそうと思ったんですが実際にどんな風になるのか?が予想つかないです…。

志津野:今回、映像作品として村に残すものをつくりたいと思っていて。シネマキャラバンとしてもそういう素材があると、また次の土地に行く時に、今回だったら岐阜のストーリーを見せることができるし、伝えることができる。日本だけでなく海外も視野に入れています。それで、いつもその映像に載せる音楽は仲間内のつくった曲を使ってたんですけど、せっかくある程度の期間、滞在できることになったし、だったら映像と一緒に音楽も並行して現地で作っていこうよ、ってことになって。その場でフィールドレコーディングをすればその土地にしかない音も作れるかもしれない。例えば、合掌造りの軋む音とか、水の流れる音とか、そういう素材を使って、そこにビートを合わせて作り込んでいくことで、映像作品としてのクオリティも上げていきたいっていうのがあって。映像を作る僕と、その隣に音楽を作る彼がいる状態で、コミュニケーションをリアルタイムでとりながら制作を相互に進めて行ければ、という。ちなみに、MITSU THE BEATSも一日目にDJでプレイしてもらうけど、そのために呼んだのではなくて、むしろ滞在して音をつくることをいっしょにやりたいってのが目的で呼びました。ついでに、どうせいるならライブもしたらどう?っていう流れで。

DJ MITSU THE BEATS

 

ーなるほど。

志津野:俺たちキャラバンメンバーっていうのは、一人一役じゃ済まされないっていうか。例えば、俺が料理人だったら、料理だけやればいい、っていうことにならないっていうか。料理人なら、その料理を並べるカウンター作りも、その食堂に設置するテントの組み立ても指揮をとれよ、そして、キャラバンメンバー全員で移動する間のまかないも全部やれよ、みたいな。それは、だから、ミュージシャンだっていっしょで、「リハは3時間前に入ってください」で「ハイ、本番!」で、終わったら「はい、メシです」ってこっちが出すんじゃなくて、「メシが食べたい?そこらへんに最高の食材があるぜ?料理?自分で作り方がわからないなら、そこにシェフがいるから聞いてみなよ?」みたいな、全部自分たちでやれよっていうスタイルで。そうすることで、<人間力>も上げられるでしょ?っていう。プロのミュージシャンは音楽でメシ食ってるかもしれないけど、別においしいご飯を作れるに越したことはないわけで。さっきの料理人の話でも、別に大工になれ!なんて思わないけど、カウンターを作ることで技術を身につければ、自分の子供の棚を作れるくらいの技術につながるかもしれないわけで。俺の中で、キャラバンは全員旅人で、みんなフラットになれるところだと思っていて。「あなたは何ができますか?」からスタートして、「私は写真ができます」「俺は音楽が作れます」みたいな感じで今、集まってきているコアメンバーは15人くらいかな。

 

ーちなみに音作り、映像作りについては、何となくイメージはあるんですか?

志津野:それはもうフタをあけてからのお楽しみ。もちろん彼のやってきた音楽とか方向性とかもちろん知ってるけど、でもこの山に来て制作からしかもこんなビートでやってほしいって、彼の新しい一面をすごく引き出したいっていう思いはあって。ここには誘ったからには、もう自然と向き合わないといけないわけで。そこにおいては、ミュージシャンも料理人もカメラマンも1人の人間として全員がフラットになるから、そういう時は弱さも強さもみんな出る。そういうところも含めてすべて映像に落とし込みたいとも思ってるし。そういう体験をしておけば、いざというときもう体が動いちゃうみたいな。それが究極のシネマティックであると、自分の中では思っていて。それこそが一番、伝えたいことかもしれない。だから、シネマキャラバンは単なる「映画祭」じゃなくて<動くLIVEな媒体>っていう言葉を掲げています。コンテンツにおいては今、発表されているMITSUくんとか、「Share the Table」だけでじゃなくて、他のキャラバンメンバーもコンテンツ。例えば、今テントで準備やってる仲間にも、NAOITOっていうKINGDOM☆AFROCKSってバンドのリーダーだったミュージシャンも来てるし。彼らはその場さえできちゃったら、自分のタイミングで何かしらやれる面々だから…。そこがすごい面白いと思ってて。

 

ー告知はされてないメンバーも、その場で新たに何かしらのコンテンツが飛び出すかもしれない…もう予測不可能ってことですよね。…これは、村長に絶対伝えきれない魅力だと思います!(笑)

全員:(笑)

大倉:だから、そういう外からのビジターメンバーであったり、地元の飛騨の木工文化だったり、美濃和紙であったり、岐阜県という地域の素材をどうアップデートしていくのか?っていうところも考えています。これから作り込んでいく中で、どんな3日間になるのか?どんなワンダーランドができあがるのか?っていうことです。

 

ー最後にお聞きしたいのが、大倉さんも志津野さんも外部の人間であるわけで、そういう人たちが中核になって、自分の生まれ故郷でもなければ育った土地でもない地域おこしに、心底参加できるのか?っていうのが引っかかるんです。そこらへんはどうお考えですか?

大倉:それは結構難しい質問ですね。僕は白川郷の地域おこし協力隊をやっていて思うのは、僕は名古屋生まれであって、それこそLIVERARYみたいな生まれ故郷を盛り上げたいな〜って思っているんですが、地域に対する愛情の持ち方っていう意味では、この経験をいつかは自分の本当の生まれ故郷にも何かしらの形でフィードバックできたらなっていうのはありますね。でも、一方で、第二の故郷というかさきほどの雷さんの話ではないけど、自分の基地(ベース)が色んな場所にできていくって考え方もあって。この考え方は、すごくこれから生きていく中で大事なことだと思ってるし、実際住んでみて、この土地に住んでいる人たちに惚れたというか実際、すごい魅力的なんで、僕は今、彼らにコネクトする行為をしているところです。で、その魅力の部分を磨き上げて、発信していきたい、と同時に、その磨き上げる/発信していくという行為がずっと続いていくのか?と考えると、いつか地域活性化と同じくらいに地域沈静化も必要なタイミングが出てくるとも思っています。刺激を与え続けるだけだといつかそれはダメになってしまうだろうし、そうなったときにそれを打破する方法を新たに考え、どう違うアプローチをとっていくのか?も考える必要があるとは思います。ただ、今はもっと純粋に自分がいいなって思ってるこの村の人たちが生活の中に自分の目の前にいて、その人たちが元気になる、自分たちの足で立ちあがれるきっかけを与えたいって思っています。

 

FH000030

 

大倉さんというあくまで外部の人間が起爆剤的に内部に入ることで、高島さんを含め、村内の人たちの心を突き動かしていることは明らかだ。そして、志津野さんが言う<人間力>のレベルアップが、白川郷の人々にもいずれフィードバックされていくだろう。

 

これまでの守りに入った行政的な観光振興から逸脱した、新しい観光振興のスタイルも生み出せるかもしれない。村興し、町興しという言葉が盛んに言われながら、ローカルというカルチャーが注目を浴びる今、それが本当に一過性に過ぎない「お祭りイベント」で終わらせてしまわないために何が最も重要なのか。どうにかして現状を打破しようとあがいた「経験」は、瞬間的な来場者数や利益といった数値には見えない、今後、何百年にわたり村が生き延びるための、大きな宝になるのではないだろうか。

 

 

1

2

イベント情報

7月18日(土)、19日(日)、20日(月・祝)
CINEMA CARAVAN in 白川郷
会場:岐阜県白川村
開催時間:フードブース|12時〜/映画鑑賞|19:30~
※開催スケジュールや入場料・上映映画等詳細は現在調整中。
詳細:
白川村役場HP http://shirakawa-go.org/
白川村公式Facebookページ https://www.facebook.com/shirakawamuratsushin

CINEMA CARAVAN
「地球と遊ぶ」をコンセプトに、五感で体感できる移動式映画館。時には穏やかな湾の海辺、田んぼの中、丘の上、時代を作ってきた廃墟、または都会のど真ん中で。自分には無かった感覚を刺激する事により、より旅を深くし、個人の人間力を向上する。旅先の風景に野外上映用のスクリーンを広げ、日常から非日常の映画館を作り地元の方々から生きる知恵や工夫を教えてもらい、様々な文化を体験する。町と町、人と人とを繋げ、情報交換する場所作りをし、liveな動く媒体を目指す。いずれ点と点が繋がり縁となるように。(Text by 志津野雷)

 

DJ MITSU THE BEATS
HIPHOPグループGAGLEのメンバーであり、ビートメイカー、DJ、プロデューサーとして03年にソロ・アルバム『New Awakening』をリリース、海外アーティストと積極的にコラボレーションを行う。04年LAのカルチャー誌「URB」で期待するアーティスト100人に日本人で唯一選出される。国内のみならずアメリカやヨーロッパ、アジア圏でも成功し、国内外問わず数々の作品に関わり、そのアーティスト、ジャンルも多岐にわたる。英国営放- BBC Radio 1 ジャイルスピーターソン「World Wide」への出演やヨーロッパ各地の大型フェスにも出演し成功を納めるなど、日本が世界に誇るDJにまで進化、多忙な毎日の中でその創作意欲は留まる事を知らず、今もなお1日1曲以上のペースで日々音楽を造り出している。

 

吉川倫平
1979年東京都うまれ。東京・門前仲町「ビストロシャテール」で6年間、サービス・調理の経験を積み、渡仏。ボルドーのレストランで1年間の修業を積む。帰国後、都内の様々なフレンチレストランを経て「タンジェ」(東京・白金)のシェフに就任。2010年に独立し、渋谷に「Pignon」をオープンする。オープンキッチンのカウンター席をメインにした親しみやすい店内にボリュームたっぷりの多彩なビストロ料理が人気を呼ぶ。スパイスをうまく活用したフランス料理は伝統的な手法をベースにしつつ、海外での経験から得たインスピレーションを自由に取り入れたもの。無国籍とも言える独自の料理観が魅力。

 

posted by LIVERARY

RELATED
あなたにオススメする関連記事


PICK UP
特集・ピックアップ記事

LATEST
特集・ニュースの最新記事

RANKING
今読まれている記事

COLUMN
最新の連載コラム記事

REVIEWモノ・コト・ヒトのレビュー