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LIVERARY
FEATURE / 特集記事 Aug 23. 2016 UP
【SPECIAL INTERVIEW】 
“戯曲とは何か?”第15回AAF戯曲賞作品『みちゆき』が、
映像作家・伊藤高志と劇団・地点によって上演!

愛知県芸術劇場小ホール(愛知|栄)

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―様々な要素が重なり合ってるわけですね。戯曲の中では、屍体やハエやがしゃべったりすることで、言葉の意味合いにも幾層かの変化を付けていますよね。ハエも人間が演じるんですか?(笑)

伊藤:最初読んだときはどんな着ぐるみかと思ったけどね。(笑) そういう方向性ではないです。(笑)

―戯曲の中では、最後の海のシーンに対して、割とポジティブな表現がされているなと感じました。

山本:そうなんです。まだ何かを見たい!っていう欲望はまだ持っている。見ないで、静かに沈黙していきましょうっていう方向ではない若さがあります。若い世代同志だと、最後「なんか希望あるよね」っていうところになぜかたどり着くんですよね。

伊藤:そうだね。オジサン連中はもっとネガティブ。(笑)

―ちょっと感覚的なことになってしまうんですけど、若い世代でも結構分かれていて、もう絶望して諦めちゃってる人たちと、そんな中でもどう希望をもっていくかっていう人たちと、二分化されてる気がしていて。

山本:そうですね、それもすごく分かります。そういう分断も、ひょっとしたらこの戯曲の中にも入っているかもしれませんね。私ちょうど、今33歳で、中間くらいの年代なんですが、20代のライターさんに「自転車をこぎ続けてもゴールが見えない中で、仕事してるんです」みたいなことを言われたことがあります。そういう絶望感もわかるし、もうすでに自転車をこぐことさえも嫌なんだっていう人たちが出てきているのもわかる。その上の世代の、「今の若者って動かないよね」みたいな冷たい視線も感じる。プロデューサーとしては、そこへどう演劇で切り込んでいくのかっていうところを考えています。なので、若い世代にぜひ観てもらいたいと思っています。

―そうなんですね!学生は1000円!安い…!

山本:そこは意識的にやっていて、去年までは、学生料金はもうちょっと高い料金設定にしていたんですが、学生さんって興味がある人たちでも、中々劇場に足を運んでいただけないというジレンマがあったので、あえて、学生の自主公演での値段設定くらいにしようと。難しいからわからないで済ませないで、大人が本気でつくっているものをとにかく見て、体感して、っていうような気持ちをもっています。

―もうとにかく、見ないととわからないぞ、っていう。

伊藤:そう。

山本:今これだけ人と人とのぶつかり合いが減っている中で、舞台って延々とこういうことをやっているわけです。

―そうですよね。言葉の通り、実際に身体がぶつかり合っている(笑)

山本:はい。それを感じてほしいなって。

伊藤:今回トリエンナーレで上映する『三人の女』も是非見てください。面白いですよ。その空間でしか見れないんでね。 この作品は、4つのスクリーンを使った映画なんです。インスタレーションだと多面スクリーンで、美術館の性質上拘束できないから、どこから観てもいいし繰り返し観てもいいよっていうのが当たり前みたいになってきてる。始まりがあって終わりがある映画の常識を打ち破るっていう意味があったんだけど、最近はちょっとそればっかりになってきちゃってるでしょ? なので今回は4面スクリーンのインスタレーションなんだけど、しっかり始まりから終わりまで見てもらう。制限された33分を一面のスクリーンじゃなく広がりのある空間で体感してもらう、という作品です。それはある意味演劇的なものかもしれないし、インスタレーションなのかもしれないし、境界を超えるような形で世界を作れないかなっていうのを現した作品なんですよね。

山本:その一週間後に『みちゆき』の公演があるので、両方見られると絶対面白いと思います。

伊藤:『三人の女』は台詞が一切なくて、視線をすごく演出していますから。

山本:『みちゆき』とは対照的な作品になりますね。

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(design: MATSUMOTO Hisaki)


稽古場を覗くと、三浦基が様々な指示を出しながら役者たちと試行錯誤を繰り広げていた。「演劇とは、何かを批評することであり、何かを考えた“距離”を見せることなんだ。」と、とあるインタビューで話していたのを思い出す。

元の戯曲を大胆に再構築して発語される言葉の数々は、どれも鑑賞者への容赦ない「問い」のように感じられた。それは、簡単にわかることを求め、すぐに考えることを止めてしまう、そんな不甲斐ない現代社会に対する強烈な危機感からなのか。

稽古場を出ても、しばらくの間、頭の中に様々なセリフがリフレインしていた。

一体、どんな完成形を見せてくれるのか。今から楽しみで仕方がない。

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イベント情報

2016年9月9日(金) ~9月12日(月)
愛知県芸術劇場ミニセレ
第15回AAF戯曲賞受賞記念公演 『みちゆき』
作:松原俊太郎
演出:三浦基
映像:伊藤高志
出演:安部聡子、石田大、小河原康二、窪田史恵、河野早紀、小林洋平、田中祐気
http://www.aac.pref.aichi.jp/gekijyo/syusai/detail/160909_michiyuki/

会場:愛知県芸術劇場小ホール 名古屋市東区東桜一丁目13番2号 愛知芸術文化センター地下1階
時間:9月9日(金) 19:30~/9月10日(土) 19:30~☆/9月11日(日) 15:00~★/9月12日(月) 19:30~
※開場時間は開演15分前
☆公演終了後、演出家・作家によるアフタートーク有
★公演終了後、‘Theatre Meeting『みちゆき』を語ろう’を開催
料金:一般3000円/学生(25 歳以下・要証明書) 1000 円 (全席自由・整理番号付き)
※未就学児の入場はご遠慮ください。
託児サービスあり、要予約・有料。託児申込・お問合せ:トットメイト(0120-01-6069)

※10名以上の場合は団体割引あり。詳しくは劇場事務局(052-971-5609)にお問い合わせください。

チケット販売:
・愛知県芸術劇場オンラインチケットサービス http://www.aac.pref.aichi.jp/dm/
・愛知芸術文化センター内プレイガイド 052-972-0430
(平日10:00〜19:00/土日祝は~18:00/月曜定休、祝休日の場合は翌平日)
・チケットぴあ TEL:0570-02-9999 [Pコード 451-756]
・地点 http://chiten.org/reservation/index TEL 075-888-5343
地点WEBでご予約いただいたチケットは当日受付にて精算となります。

※購入方法によりチケット代金のほかに手数料が必要になる場合があります。


2016年8月30日~31日
あいちトリエンナーレ2016映像プログラム『三人の女』
舞台構成・演出:伊藤高志
音響構成:荒木優光
監督・構想・撮影・編集:伊藤高志
映像出演:石倉直実、田中志朋、宝来麻耶
撮影協力:米倉伸
実験映画撮影:ジョン・ピロン
協力:京都造形芸術大学 共同利用・共同研究拠点
会場:愛知県芸術劇場小ホール
時間:8月30日(火)17:00/18:30/20:00
     8月31日(水)11:00/13:30/15:00/16:30/18:30
http://aichitriennale.jp/artist/itotakashi.html
チケット:あいちトリエンナーレ2016国際展チケットを提示
優先予約:下記メールアドレスに件名:『三人の女』希望、①お名前、②お電話番号③鑑賞日時を記載してお送りください。
filmprogram@aichitriennale.jp
主催:あいちトリエンナーレ実行委員会
TEL:052-971-6111 Email:filmprogram@aichitriennale.jp

松原俊太郎
1988年5月生。熊本県熊本市出身。神戸大学経済学部卒。ベケットとジョイスに出会い、傲慢にも小説を書き始める。5本ほど書き終えるも箸にも棒にもかからず、東京で派遣社員として労働。出会いにのみ救われ、1年間で辞職。地点 『ファッツァー』で演劇と出会う。エッセイなどをものしながら各地を転々とし、京都に歓待される。戯曲を書き始め、『みちゆき』で第15回AAF戯曲賞大賞を受賞。引き続き、京都で文筆に勤しむ。

伊藤高志
1956年福岡市生まれ。九州芸術工科大学在学中に、実験映像作家松本俊夫ゼミで製作した写真アニメ『SPACY』(1981年)で鮮烈なデビュー。以降、日本を代表する実験映像作家として数々の映像作品・映画を手掛ける。1999年、演出家・太田省吾と共に京都造形芸術大学映像・舞台芸術学科の創設に関わり、近年はダンサーとの共同作業による舞台芸術作品も多数発表している。現在、九州産業大学芸術表現学科教授。主な作品に『ZONE』(1995年)、『最後の天使』(2014年)、『三人の女』(2016年)など。

地点 CHITEN
演出家・三浦基が代表をつとめる。既存のテキストを独自の手法によって 再構成・コラージュして上演する。言葉の抑揚やリズムをずらし、意味から自由になることでかえって言葉そのものを剥き出しにする手法は、しばしば音楽的と評される。これまでの主な作品に、チェーホフ『かもめ』『三人姉妹』、ブレヒト『ファッツァー』、イェリネク『光のない。』『スポーツ劇』など。2005年,東京から京都へ移転。2013年には本拠地・京都に廃墟状態の元ライブハウスをリノベーションしたアトリエ「アンダースロー」を開場。レパートリーの上演と新作の制作をコンスタントに行っている。2011年にモスクワ・メイエルホリドセンターでチェーホフ『桜の園/ワーニャ伯父さん』を上演。 2012年にロンドン・グローブ座からの依頼で初のシェイクスピア作品『コリオレイナス』を上演するなど、海外での評価も高い。

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