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FEATURE / 特集記事 Feb 25. 2017 UP
【SPECIAL INTERVIEW】
地酒を通じて、人を知る、風土を知る。
東濃5市9蔵が集結する日本酒の祭典「MEETS TONO」が伝えたいこと。

名古屋テレビ塔(愛知|栄)

 

 

酒は人。
それぞれに個性が光る、
東濃9酒蔵をご紹介。

 

−では、一番右から順番にご紹介お願いします。

長谷川:「三千櫻酒造(中津川市)」さんは、主に手作りで酒をつくっているんですが、海外の方々を呼んで、酒造りというものを日本の文化として教えているんですよね。今年はメキシコに教えに行ったりもしていて。現地で、南米初の酒蔵をつくる計画も実行されているんです。

大鋸:今も、メキシコからの研修スタッフが来ているようですよ。

 

三千櫻酒造(中津川市)にて。杜氏・山田耕司さんとメキシコ人初の杜氏となるレイエスさん。

 

−へ〜。そんなすごいグローバルな活動をされている酒蔵があること自体、驚きました…。

大鋸:「鯨波」(恵那醸造/中津川市)はこの中でも一番飲みやすいかもしれない。単純に味が丸いんですよ。

長谷川:取材させていただいたときも、すごく丁寧な仕事をされる生真面目な性格の方だな〜っていう印象で。

大鋸:酒はね、作っている人の性格がそのまま出てるんですよ〜。

長谷川:ほんと、まさにそうですね。

大鋸:ちょっと飛ばしちゃいますけど、「女城主/岩村醸造(恵那市)」の当主はね、まだ若くてイケメンなんですよね。酒の味もやっぱりイケメンですね(笑)。

 

女城主/岩村醸造(恵那市)当主・渡會充晃さん。

 

大鋸:「笠置鶴/大橋酒造(中津川市)」はこの中だと一番辛口のお酒。「恵那山/はざま酒蔵(恵那市)」は、甘くてフルーティーで若い人に飲みやすい酒です。

−では続いて、「若葉/若葉」「始禄と小左衛門/中島醸造」こちら2つとも瑞浪市なんですね。

大鋸:そうそう。若葉さんと中島さんはね、お隣同士で良きライバルといった感じですね。

長谷川:2つは両方とも約300年の歴史を持つ老舗なんですが、創業タイミングが数年の差があって。それだけで地元では中島さんのほうを「酒屋」、若葉さんの方を「新酒屋」って呼ばれるそうです。

大鋸:中島さんのところは、本当に勉強熱心でね。いろんな米でいろんな酒造りに挑戦されてますね。その分、思い入れも強いんでね。卸す酒屋も選んでますよ。この「始禄」はまだ手に入りやすいですが「小左衛門」は全国の特約酒店にしか卸してなくて、決められた酒販店でしか販売できないんです。それくらいプライドも高いし、厳しい世界なんですよ。

長谷川「千古乃岩」さんは、4代目の代表が東京農大で醸造学を学んでいて、取材時にも、科学の専門用語がポンポン飛び出して…すごくマニアックなお話を聞かせてくれたのは印象的でしたね。最後、私たちの多治見市の酒蔵「三千盛」さんは、創業時からずっと辛口を貫いてきた酒蔵で、世間でどれだけ甘口が流行っても断固として辛口にこだわり続けてきたんです。蔵も存在感があってかっこいんですよ〜!

 


三千盛(多治見市)。

 

長谷川:実は、今回の「MEETS TONO」で声をかけた酒蔵の中には、経営規模の理由でイベントには酒を出すことができないっていう酒蔵もあったんです。

大鋸:「小野櫻/山内酒造場(中津川市)」さんはね、ご夫婦だけでやっている酒蔵で。一切機械を使わずに、全部自分たちの手仕事だけで作ってるんですよ。もうね、酒をつくる桶から、混ぜる竹の棒まで江戸時代からのやり方でやってるんです。道具も全部買わずに自分たちで作ってる。水温が高い水を使うと酵母が増え過ぎちゃうんでダメなんで、水は冷えたものを使うんですが、ここは冷蔵庫もないんですよ。だから、自然に冷えた水でつくるから、一番気温が下がる朝の4〜5時に仕込みが始まるんです。手伝いに行ったときも僕は眠気との戦いでしたね(笑)。普通は毎年、味が変わらないように機械を使って味の調整を図るんですが、ここはその年に獲れたお米次第で味が変わってくるんです。

長谷川:でも、昔の人たちはみんなそうやって苦労してつくっていたってことですよね〜。

大鋸:そうそう。だからそんな江戸時代からの製法を未だにやっているなんて、すごく貴重。今回の「MEETS TONO」に参加してもらう酒蔵は、いずれも酒の生産量や知名度ではなく、酒造りで真剣に勝負していて、さらにそれだけじゃなくて、地域文化や蔵の歴史も大切にしてきたところばかり。皆、それぞれに熱い思いを持って酒造りに取り組んでいるんだってことをより多くの人に伝わってほしいと思います。

 

山内酒造場(中津川市)の当主・山内總太郎さんと、杜氏・山内満由美さん。

 

−では最後に「MEETS TONO」に行こうと思ってる人、気になってる人に一言お願いします!

長谷川:酒ってもちろん好みが分かれる嗜好品だとは思うんですが、全国的に有名な酒と飲み比べたって全然負けてないって、僕は思いますのでぜひ遊びに来て、飲んでみて下さい。

大鋸:酒蔵の杜氏は職人気質なんでね、やっぱり我が強いんで。それをひとつにまとめることができるのはやっぱり第三者だなんですよね。だから、今回のようなイベントは自分ら、東濃の人間にとってもすごく貴重なんですよ。SMAPみたいなもんでね、グループで一致団結していくしかないんですよ!

−SMAPは解散しちゃったんで、ここは嵐にしておきましょう(笑)! では最後に、お酒初心者の方もいらっしゃると思うんですが「どの酒が一番オススメですか?」って言われたらなんてお答えしますか?

大鋸:酒って、結局「自分に合う/合わない」「料理と合う/合わない」という、どこまでいっても相性でしかないんです。自分は、酒屋として、酒蔵に行く理由は今年の出来栄えのチェックをしたいんじゃなくて、そこで実際に自分で汗水垂らして作業に加わることで、作る過程も知りたいから。なので、先程の質問の答えは、極論言うと「どれが美味いかどうか?」なんて人それぞれ。そこじゃなくて、その背後にある物語の部分、気持ちの部分を身をもって経験したうえで、買い手のニーズに合った酒をオススメをすること。それが酒屋の使命だと思ってます。

 

 

これは単なる行政主導の観光PR事業とは違う。長谷川さんや大鋸さんたちから出てくる言葉には、酒造りに関わる蔵元たちの人柄や酒蔵そのものの歴史を知っているからこその、リアルな熱量が宿っている。彼ら自身が東濃エリアの酒蔵にとって、一番のファンなのである。

工場で大量生産された酒とは全く別物と言っていい、有名/無名関係なく職人がこだわり抜いて作りだした一杯の酒。そこからあなたは何を感じるだろうか。大鋸さんの言うとおり「味の好き/嫌いはもちろん人それぞれにある」だろうが、そんなことはもはや関係なくなるくらいの素敵な出会いがあることを「MEETS TONO」が約束する。

 

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イベント情報

2017年3月10日(金)、11日(土)、12日(日)
MEETS TONO
東濃の地酒と美濃焼。

会場:名古屋テレビ塔下「タワースクエア」※テレビ塔入口前の1階スペース(名古屋市中区錦3丁目6-15先)
時間:10日(金)17時~21時 11日(土)12時~19時 12日(日)12時~17時
料金:(各日)前売2500円/(当日)3000円(前売チケット・Pコード:634-398はなくなり次第、販売終了)
・会場受付で、入場チケットと引き換えに、スターターセット(オリジナルタイルコイン8枚(通貨)+選べる美濃焼の酒器(1個)+和らぎ水+東濃の各酒蔵を紹介した冊子)をお渡しします
・地酒とおつまみは、全てオリジナルタイルコインで引き換え
・会場は基本的に立ち飲みです。
※開催初日3月10日(金)19時からは、東濃5市の市長が参加しての鏡開きと振る舞い酒も予定。
問:東濃ぐるりん観光事業実行委員会 ミーツ トーノー事務局
info@meets-tono.com  TEL 052-241-7803(株式会社クーグート内)
主催:東濃ぐるりん観光事業実行委員会(構成団体:多治見市、土岐市、瑞浪市、恵那市、中津川市)
後援:名古屋国税局、名古屋市、中日新聞社、久屋大通発展会、多治見市観光協会、土岐市観光協会、瑞浪市観光協会、恵那市観光協会、中津川市観光連絡協議会、NPO法人大ナゴヤ大学
詳細:http://www.meets-tono.com/

 


 

取材協力:

物語のある酒と食品 中山道大鋸
岐阜県中津川市本町1-2-9
TEL: 0573-65-2625
http://nakasendo-ohga.com/

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