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FEATURE / 特集記事 Mar 17. 2017 UP
【SPECIAL INTERVIEW|澁谷浩次/yumbo × 小池喬/シラオカ】
仙台の至宝・yumbo、待望の新作リリースライブで名古屋に登場。
O.Aを務める小池喬から澁谷浩次への10の質問。

TOKUZO(愛知|今池)


yumbo。写真右端:澁谷浩次


仙台を拠点に活動を続けてきたバンド・yumbo(ユンボ)。2016年10月12日にリリースされた4枚目のオリジナルアルバム『鬼火』が待望のリリースはひとつのニュースとなった。
高い評価を受けた前作『これが現実だ』から5年9ヶ月ぶり、彼らの活動にも影響を与えた東日本大震災以降を経た新作は、全曲ライヴでは披露済みの楽曲が並ぶ。ファンの間からはリリースが待望視されるなか、予想外に制作に時間がかかったという。そして、最終的にはCD2枚組という充実の質量を持ったアルバムとなった。

 

新作『鬼火』のディスク1の一曲目「悪魔の歌」では、MC Sirafu、遠藤里美(片想い)らのホーン隊と、LAKEのコーラスをフィーチャーするなど、多彩なゲストも話題となった。

 

 

そんなyumboが3月28日(火)に名古屋TOKUZOに登場。LIVERARYでは、今回の名古屋公演で前座を務める、小池喬(シラオカ)から、yumboリーダーであり全曲作曲作詞を手がける澁谷浩次に対してのメールインタビューを依頼。果たしてその内容とは?

 

SPECIAL INTERVIEW:

小池喬(シラオカ)→ 澁谷浩次(yumbo)へ10の質問

Edit: Takatoshi Takebe  [THISIS(NOT)MAGAZINE / LIVERARY ]

 

澁谷さん、少し経ちましたが、yumbo「鬼火」発売おめでとうございます。この作品の一ファンとして、不慣れではありますがいくつか質問させてください。ここで収まりきらないお話しはまた3月28日の名古屋で!(小池喬)

 

Q1-ではまず最初の質問です。アルバムのタイトルに「鬼火」という言葉を選んだ理由があれば教えてください。

澁谷:『鬼火』という曲を書くまでには、2007年ぐらいから2011年までの、とても個人的な経験を経た時間を要していて、その時間から醸造された酒の、樽の底に残った結晶(あるいは紛れ込んで干涸びた虫の死骸)のような言葉が『鬼火』でした。それ以降の自分の生き方を象徴するような、あるいは、自分が無事に死ぬまでのお守りになるような言葉として君臨したんです。曲が書き上がって、まだ人前で歌う前に地震が来たので、自信作なのに発表できずに世界が終わるんだろうか?と思いました。

Q2−今回のアルバムには沢山のゲストミュージシャンが参加されていますね。中でも意外だったのは「悪魔の歌」のLAKEのコーラス。どのような経緯でLAKEが参加することになったのですか?


LAKE

澁谷:あのLAKEのコーラスはアルバムの中でも凄く印象的ですよね。僕は作詞も作曲もアレンジもするし、一応歌も演奏もする人間として生活しているわけですが、どれについても「出来そうで出来ないこと」が、途方もなくあることを自覚しています。基本的に、自分の曲に誰かに入ってもらうというのは、その「出来そうで出来ないこと」を提供してもらうためです。『悪魔の歌』はアルバムを準備している段階でオープニングに鳴る曲だとイメージしていたんですが、ライブ用に間奏やアウトロに施していた僕のコーラスアレンジは物足りないと思っていて、いつしかコーラスのパートを外してしまいました。僕にとってレコードの1曲目というのは、「何か凄いこと、ワクワクするようなことが起こる曲」であり、「このレコードを買って良かった」と思わせてくれるような曲でなければなりません。あの曲を1曲目に収録するにあたって僕が最も希望したのは、出来そうで出来ないコーラスアレンジを充実させることでした。当初は自分で書いて頑張って歌おうかと試みていたんですが、アレンジはどうにかなるとしても歌声はどうにもならない。買って良かったと思わせるほどの事が出来ない。そこで最も僕の理想に近い歌声とコーラスアレンジ能力を有しているLAKEに依頼したんです。LAKEはyumboと同じ7e.p.のレーベルメイトという以外には接点が無かったんですが、幸い、お互いの作品を以前から聴いていたし、逆にLAKEのマーク・モリソンのSkrill Meadowというプロジェクトのためのホーン・アレンジと演奏も頼まれたので、金銭ではなく互いの得意分野の仕事でやりとり出来たのが良かったと思います。

Q3−「人々の傘」「悲しきマグロ」での工藤冬里さん(マヘル・シャラル・ハシュ・バズ)の即興ギターは素晴らしいですね。何回か録り直ししたのですか?秘密でなければ教えてください。


マヘル・シャラル・ハシュ・バズ

 

澁谷:歌詞にとって必要だったので、そこだけが至醇なものに聴こえる、という状態を、あの2曲では作り出したかったんです。工藤さんというのは放っておいても常に浄化された水(音楽)で満たされた風船みたいな人で、どんなシチュエーションに置かれても適切な距離感で即興を投入出来るお手本のようなものです。曲や歌詞に対する解析能力がずば抜けていて、ジャッジも早く適確、なおかつ共存しようとする意思も強いので、超能力者なんじゃないかと思うぐらい、本当に怖い存在でもあります。録音は神保町の試聴室で、ライブ前の時間を割いてもらったんですが(小池さんとの2マンじゃなかったかな?)、アンプの位置やマイクのセッティングなども含めて、完全に工藤さんの思うようにやってもらったんですが、実際の工藤さんの演奏はCDで聴ける部分だけではなく、曲の全体を覆うように弾いてもらっていて、その中からミックスで僕が必要と思う瞬間だけを抽出しています。録り直しも工藤さんの判断で、1~3回ずつぐらいだったと思います。録音の時は工藤さんとエンジニアの多田さんだけがバックトラックを聴いていて、僕はアンプから外に出ているギターやピアノの生音しかモニターしていなかったので、濃厚な親密さに感情を静かに揺さぶられるような、極めて贅沢な体験でした。

Q4−メインボーカル担当の高柳あゆ子さんはどんな方ですか。

澁谷:小池さんもそうだと思いますが、僕の知る限りでは歌声の通りの人だと思いますよ。裏表のない、率直で、優しい人です。

Q5−今まで歌詞カードをこんなに読み返したことはなかったかもしれません。まるでル・クレジオの小説のようです。澁谷さんは作詞はどのような時に、どんな風にしてるんですか。

澁谷:ル・クレジオは『発熱』しか読んでいないので影響は無いと思いますけどね~。作詞にはいくつかの段階とパターンがあって、最初は布団の中で寝ながらイメージしている時期、次に曲調(リズムだけとか)を思案しつつ歌詞に使うと決めた言葉(たいてい一つか二つの言葉)について思いを馳せている時期、次に具体的に楽器を弾きながら曲の案を練っていく中で、案出したメロディーと準備していた言葉との兼ね合いから導き出された言葉をどんどん書き出していき、あとは曲と同時に組み立てていきます。別のパターンでは、曲と歌詞の大部分を同時に思いつくことが稀にあって、それは自分にとってうまくいく可能性が高いです。

Q6−今回久々の名古屋での公演ですが、そもそもライブをすることは好きなのですか。

澁谷:自分だけの感覚を言えば、いまだに自分の曲を見知らぬ誰かが聴いて喜んでくれるという事に励みを得ています。それが適切で嘘の無い演奏であれば、僕はライブの場でyumboを聴くのが好きですし。ただ、自分が観客でいる時期が長かったので、『こんなとき観客はこう感じているだろう』とか『こうした方が好まれるだろう』といった事を熟知している筈なのに、なんら生かせていないのはどうしたことかとは思います。

Q7−「リツイート」という言葉が歌詞として歌われると妙なリアリティを感じます。実はぼくはよく澁谷さんのツイートを参考に映画を選んでいます。最近見たもので何かおすすめはありますか?(個人的には、ワン・ビン監督の『収容病棟』が素晴らしかったです!)

澁谷:「リツイート」という言葉を歌詞に使った『人々の傘』を書いた場所は、地震の後の一ヶ月弱を避難所として暮らした火星の庭という友達の喫茶店で、あれは僕の書いた曲の中では最もイレギュラーな環境で書かれたものでした。これまでそうしてこなかっただけで、僕は周りに人が居ると歌詞や曲が書けないと思い込んでいたんです。もちろん、一人だけの環境で書く時とは言葉の選別に無意識の影響が及んでいる気はします。書いた時は全然意識しなかったけど、リツイートなんていう言葉は10年後には完全に死んでるかもしれませんね。「うどんのように伸ばされて」なんかは大丈夫だと思いますけど…。

 

yumbo「人々の傘」

 

あ、質問はお勧めの映画でしたね。最近観たものだとそうですねえ、宝くじをなくした男が右往左往するジャック・ベッケル監督の『幸福の設計』、とてつもない陰のある質屋の主人と能天気な移民の若者を描いたシドニー・ルメット監督の『質屋』、愛人と共謀して妻を殺そうとする男の改心を描いたF・W・ムルナウ監督の『サンライズ』、一分の隙も無い最高の娯楽映画であるジョン・ヒューストン監督の『アニー』、死刑囚となった男を救おうと、男の恋人と伯父が奮闘するジョン・フォード監督の『周遊する蒸気船』あたりは自信を持ってお勧め出来ます。御覧になった映画が多いかもしれませんが。僕はやたらに映画を観ていますが、行き当たりばったりに観ているので、案外誰でも観ているような有名な映画や監督をちゃんと押さえていないんですよ。『カサブランカ』のDVDも昨日買ったばかりだし。ここ数日はいまさらトリュフォーにはまっていて、『日曜日が待ち遠しい!』『トリュフォーの思春期』と立て続けに名作を観て参っているところです。ワン・ビンの『収容病棟』は高柳さんも好きだと言っていました。

Q8−澁谷さんの好きな映画俳優を教えてください(男女問わず)。

澁谷:思いつくままに挙げていくと900人ぐらいのリストが出来てしまいますが、さすがにウザいと思うのでベスト10に絞ります。付記した作品は僕が一番好きな出演作。

アーネスト・ボーグナイン『北国の帝王』
ウォーレン・ベイティ『草原の輝き』
クリント・イーストウッド『ブロンコ・ビリー』
ジェームズ・スチュワート『素晴らしき哉、人生!』
シェリー・ウィンタース『テナント』
ジーナ・ローランズ『フェイシズ』
シャーリー・マクレーン『あなただけ今晩は』
ネッド・ビーティ『脱出』
ピーター・フォーク『ハズバンズ』
ロイス・スミス『グリニッチ・ビレッジの青春』

Q9−澁谷さんの営む喫茶ホルンにいつか行ってみたいです。その時のために、おすすめメニューがあれば教えてください。

澁谷:ありがとうございます。小池さんの名盤『お風呂の栓』『宇宙のくしゃみ』も売ってます。お勧めはそうですねえ、パクチーが乗ったチキンレバーカレーと大根のサンバルの2種盛りが僕は一番好きですが、カレーは日替わりで組み合わせも随時変わるので、名古屋からいらっしゃる方は2日ぐらい前に言って頂ければ用意できるかもしれません。フレンチプレスで淹れている珈琲と、夏海さんが作っているチーズケーキやガトーショコラなどのおやつも是非。

小池喬

 

Q10−最後に、名古屋で待つyumboファンへメッセージを!

澁谷:いくつもある地方都市の中でも不思議な縁を感じ、不思議な体験もしているのが名古屋です。前回KDハポンで演奏した時には加入していなかった皆木大知(ギター、ベース)を連れて行きます。東京からオーボエのてんこまつりさん、大阪からサックスのみやけをしんいちさんも来てくれます。まだ名古屋で演っていない曲が沢山あるのでご期待下さい。あとついでに、今池近辺で中古VHSが買える店があったら教えて下さい!

 


Disc 1

悪魔の歌 (The Devil Song) 
石が降る (Raining Stones)
地獄の歌 (The Hell Song)
偉大なるサークル (Greatest Circle)
暗がりにひとつ (One for the Darkness)
失敗を抱きしめよう (Let’s Hug Failure)
人々の傘 (People Umbrellas)

Disc 2

優しい音楽 (A Gentle Music)
悲しきマグロ (Sad Tuna)
真夜中のパーティー (Midnight Parties)
嘘の町 (False Town)
馬男 (Horseman)
薬のように (Like a Medicine)
鬼火 (Onibi)

イベント情報

2017年3月28日(火)
『鬼火』リリース・ライヴ 名古屋
会場:今池TOKUZO
開場 6:30pm / 開演 7:30pm
料金:前売3500円/ 当日3900円+ 各1drink 
出演:yumbo[Guest Player:てんこまつり(Oboe)/みやけをしんいち(Sax)]、Opening Act:小池喬
チケット販売・予約:TOKUZO/チケットぴあ(Pコード:323-047)/ローソンチケット(Lコード:43835)/7e.p.
詳細:https://7ep.net/events/yumbo170328/

yumbo
澁谷浩次 (pf, b, vo, 作詞作曲)を中心に、1998年に仙台で結成。幾多のメンバーの変遷を経て、2013年までに山路智恵子(perc)、工藤夏海 (hrn)、高柳あゆ子 (vo)、芦田勇人 (eupho, g)、皆木大知 (g,b)が順次加入し、現在のラインナップとなる。高柳加入後初の作品であり高い評価を得た3rdアルバム『これが現実だ』以来、5年9ヶ月振りとなる2枚組アルバム『鬼火』と、長らく廃盤状態となっていた1stアルバム『小さな穴』(2003)を2016年10月12日に「7e.p.」より発売。

小池喬
1980生まれ。愛知県立芸術大学油彩科卒。名古屋のスロウコアトリオ・シラオカのボーカル/ギター。バンドでの活動は現在停止中だが、ソロでは映画の音楽を担当するなどの活躍ぶりをみせる。2014年に「7e.p.」よりソロアルバムをリリース。最近ではイラストレーター/漫画家・こいけぐらんじとしての活躍も。

7e.p. http://7ep.net/

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