シネマスコーレ(愛知|名駅)
AV監督としてはもちろん、BiSやどついたるねん、GEZANといったアーティストたちのドキュメンタリー映画にも携わるなどしてきたカンパニー松尾によるドキュメンタリー映画『A DAY IN THE AICHI 劇場版 さよならあいち』が2月15日(土)〜21日(金)まで名古屋シネマスコーレにて公開される。
同作はあいちトリエンナーレ2019 映像プラグラム用に撮りおろした、4時間5分のドキュメンタリー映画『A DAY IN THE AICHI』を再編集したものとなっている。
本作は、映像プラグラムのキュレーター・杉原永純と芸術監督の津田大介の尽力により、AV監督・カンパニー松尾を監督にむかえ、企画がスタート。2019年の5月から始まり、あいちトリエンナーレが開幕した8月上旬まで行い、その後、9月末にあいちの会場で4回上映して終わるはずであったが、今回、再編集版を作り、自主公開となった。
“あいち”を舞台に、この地に身を置く人々が登場し、大いなる田舎、文化不毛と言われる愛知エリアの実像や気質もみられる。また、東海テレビの阿武野プロデューサー、圡方ディレクター、伏原ディレクターに取材し、東海テレビ制作の劇場版最新作『さよならテレビ』や、大ヒット作『人生フルーツ』の副読本となる部分も……。
今回、カンパニー松尾監督にメールインタビューを敢行。今回の作品を通し、故郷・愛知に対して今、監督がどんなことを思っているのか?尋ねてみた。
SPECIAL INTERVIEW:
カンパニー松尾
Interview&Text : Takatoshi Takebe [ LIVERARY ]
―簡単に自己紹介お願いします。
カンパニー松尾です。1965年生まれ、現在54歳のおじさんです。名古屋の新瑞に生まれ、2歳の時に春日井に引っ越し、18歳で東京に出て、22歳からAV監督やってます。特技はハメ撮りで、趣味はカレーとバイクです。実家はまだ春日井にあり、母親がひとりで暮らしています。
―昨日は何してましたか?
プライベートでスペインに行って戻ってきました(汗)
―「あいち/愛知」についてお伺いしたいと思います。例えば、『BRUTUS』の編集部の人たちが名古屋特集をつくっているときに言ってた話なんですが、名古屋/愛知のひとたちはすごくパッシヴで自分たちの街に自信がなさそうに見えたけど、話し始めたら、徐々に心を開き始め、みんなほんとは自分たちの街が好きだし、誇りを持っているんだって気づいた、みたいな話を聞いてぼくも同感だったんですが……。
カンパニーさん的には、もともとあいち/愛知に対して、どんなイメージで今回の取材撮影を企画し、どのような人選で進めたのでしょうか?
まず、2018年の暮れに、あいちトリエンナーレ2019映像プログラムキュレーターの杉原さんから、あいちトリエンナーレという芸術祭で”情の時代”をテーマに新作を撮って欲しいと依頼を受けました。そこで、芸術監督の津田大介さんのステートメント(https://aichitriennale.jp/about/concept.html)を読み、直感的に面白そうだなと思って、参加させてもらいました。
もともと、あいち/愛知に関しては、18歳で出てしまっているので知らないことが多いです。気質としては、せっかちで人の話を聞かず、持論&自論だけで生きている、他人には無頓着で、みんな個人主義、それを認め合ってる、みたいな感じで受け取っていました(実際の僕がそういう気質です)。そんなことを念頭に置きつつ、僕の知り合いや身の回りから取材を始め、さらに、この機会を利用して、本業では会えない人達にも会って、とにかく話を聞こうと思いました。わかりやすい対立だったり、どちらか一方の正義ではなく、緩やかな地域と人との調和を描きたくて、敢えて長編を目指しました。
―全部で何人取材したんですか?
31人と猫家族7匹です。
―今回の再編集版でまた追加更新があったそうですが、ちなみになんでぼくはカットされちゃったんですか?(笑)
あいちトリエンナーレで上映した際は、時間をあまり気にせず繋いだので、26人、4時間20分で送りましたが、劇場版としてあいち/愛知以外の上映を考えた時に、4時間超の枠が取れないのはわかっていたので、3時間前半を目指し、物語の一部と登場人物の入れ替えをしました。入れ替えの基準は、濃度です。あいち/愛知濃度が高いライブラリー武部さんの話は、泣く泣くカットしました(涙)すいません!
―取材を進めていくなかで、また撮影を終えて、あいち/愛知に対する気持ちや考え方が変わったりしましたか?
変わったとして、どう変わったのか?教えてください。
よりあいち/愛知のことが好きになりましたが、同時に僕があいち/愛知を出た理由もなんとなくわかりました。
そのあたりは、本編を見て感じていただければと。
―取材した中で、印象的だった方や、印象的だったエピソードあれば教えてください。
蒲郡のチルアウトっぷり、東海テレビドキュメンタリーチームの無骨な姿勢、若者たちの今、あいち/愛知県人の意外なプライドの高さとか。
―この作品を通して、どんなことを伝えたいとかはありましたか? またどんな反応がありましたか?
伝えたいことは山ほどあって、本編に濃縮しました。芸術祭出品作だからと言って、気張ることなく平常心で作りました。
短い情報が錯綜する現代に於いて、この長編ドキュメンタリーはあまりキャッチーではないので、反応は、特にありませんが、「長さは感じない、ずっと見てられる」という不思議な感想は多くもらってます(笑)。もっと多くの方に見て欲しいと思いますー。
―あいち/愛知に住んでいるすべてのひとへ、一言お願いします。
あなたの住んでる町の話です。外側から見ると、こんな感じなんだーとか、自分の家族や身の回りのことを思いながら見てもらえると嬉しいです。
2月15日(土)、21日(金)はカンパニー松尾とゲストによる舞台挨拶もあり。
2月15日(土)カンパニー松尾 舞台挨拶
【トークゲスト】 伏原健之(東海テレビ /『人生フルーツ』監督)
2月21日(金)カンパニー松尾 舞台挨拶
【トークゲスト】 阿武野勝彦(東海テレビ/『人生フルーツ』、『さよならテレビ』プロデューサー)、圡方宏史(東海テレビ/『さよならテレビ』監督)
こちらもぜひ。
2020年2月15日(土)~2月21日(金)※連夜 19:25〜
『劇場版 さよならあいち』
HP:https://aday.themedia.jp/
監督:カンパニー松尾
プロデューサー:杉原永純
出演:カンパニー松尾/山口雅/早川瑞希/松本亀吉/大橋裕之/今村彩子/
坪井篤史/永吉直之/堀部俊仁/堀部昭広/岩瀬貴己/高嶺格 ほか
音楽:Weekday Sleepers/奥平進助/豊田道倫
企画・制作・著作・配給・宣伝:カンパニー松尾
2019年/200分/HDV
2月15日(土)カンパニー松尾 舞台挨拶
トークゲスト: 伏原健之(東海テレビ /『人生フルーツ』監督)
2月21日(金)カンパニー松尾 舞台挨拶
トークゲスト:阿武野勝彦(東海テレビ/『人生フルーツ』、『さよならテレビ』プロデューサー)、圡方宏史(東海テレビ/『さよならテレビ』監督
上映劇場:シネマスコーレ
http://www.cinemaskhole.co.jp
問:052-452-6036