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FEATURE / 特集記事 Mar 04. 2014 UP
「テレビ塔」が見下ろすこの街で…。過去・現在・未来をつなぎ、人と街の出会いをお手伝い?「SOCIAL TOWER PROJECT」とは何なのか?

Special Interview : SOCIAL TOWER PROJECT


「名古屋のシンボルといえば?」そんな風に聞かれたら、

あなたは何が思い浮かびますか?

名古屋城?ツインタワー?ナナちゃん?それとも…オカザえもん??

 

では、

名古屋で一番賑やかな街は?と聞かれたら、

これは、ほとんどの人が「栄」と答えるんじゃないでしょうか。

その街の中心にそびえ立つ、ランドマーク「テレビ塔」。

テレビ塔

このテレビ塔を、「名古屋のシンボル」とし、
周辺エリアのさらなる活性化/再発見を促しているプロジェクト、

それが今回、取材させてもらった「SOCIAL TOWER PROJECT」です。

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ここで、テレビ塔について簡単に説明します。

現在は、展望タワーとしての観光スポットとしてのイメージが強いんですが、
実は、1954年の完成以来、57年にわたり「(TV・ラジオの)アナログ放送電波塔」として、機能してきたのだそうです。

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2011年、地上波放送のデジタル化に伴い、その役割を終えることになったテレビ塔。
今では、展望タワーとなったこの場所のストーリーと歴史を大切に、
単なる過去の遺産とするのではなく、

テレビ塔に行けばいつでも、 何かおもしろいことや、魅力的な人たちに出会える、
日本中から、世界中から、人が集まる栄の新しい社交の場になってくれたら。。。

そんな構想をこのタワーに込めて、日夜活動を行っているのが
「SOCIAL TOWER PROJECT」というわけです。

では、彼らが具体的にどんな活動をしているのか?というと…

▼SOCIAL TOWER PAPER
栄の街を中心にカフェやショップで無料で配布するフリーペーパー。これまでに3号を発行。

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▼SOCIAL TOWER MARKET
年に1回、テレビ塔の下の公園で開催する、マーケットと音楽ライブを中心とした入場無料イベント。

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様々な方法で、この街を盛り上げる「SOCIAL TOWER PROJECT」。
今回は、その中心人物である、SOCIAL TOWER PROJECTのデザイン担当でありディレクターの青木奈美さん、NPO法人大ナゴヤ大学の学長(代表)を務める、加藤幹泰さんのお2人にお話を伺いました。

 

Interview by  Takatoshi Takebe ( THISIS(NOT)MAGAZINE /LIVERARY ) , Satoshi Uehara
Text & Edit by  Takatoshi Takebe , Ayaka Hoshi ( LIVERARY )  

—まず、お二人にとっての「テレビ塔」って一体どんな存在なんですか? 

青木:私は、地下街で結構迷うタイプなので……外に出てテレビ塔を軸に自分が今どこを歩いているかを確認する生活の中での目印、ランドマークのような存在でした。自然にそこにあるといった感じ。でも、テレビ塔がアナログ放送の電波塔としての役割が終わるときに、これまで電波発信で得ていた大きな収入源がなくなり、存続させるにも撤廃するにも莫大な費用がかかり、そのことが「街の課題」になっているということを知りました。そこで大ナゴヤ大学で、「テレビ塔はどうなっていったらいいか」「存続してほしいか、撤廃してしまってもいいか」というアンケートを実施しました。そこではやっぱり、「残したい」という意見がとても多くて、テレビ塔は街のシンボルでありさまざまな人の思い出が詰まっている場所なんだ、テレビ塔を大事に思っている人が多いんだと、改めて感じました。

加藤:僕自身も実を言うと、始めはテレビ塔に特に思い入れはありませんでした。 名古屋という街があまり好きじゃなかったんです。都会だけど田舎だし、なんでも有るようでどこにでも有るものしかなかったり、なんかアイデンティティが無かったり。元々名古屋の人間なんですけど、前職で大阪に行ってて。大阪の人たちはなんで自分の街のことがこんなに好きなのかな~って。自分の街サイコーくらいのことを平気で言っていて、それが単純に凄いなって、うらやましくなっちゃって。 そこから街づくりに興味が出ました。「街づくり」って固いイメージがあったんですけど、 僕はもっと楽しみながら、洒落た感じにとか、遊びの延長のようなところでできないかなと思ってました。 それで、SOCIAL TOWER PROJECTに関わって気付いたら、「テレビ塔って、実はね…」って誰かに語れるくらい、身近な存在になっていましたね。

—それでは、「SOCIAL TOWER PROJECT」をはじめたきっかけは何だったんでしょうか?

青木:「テレビ塔の新たな活用方法はないですかね?」とテレビ塔さんと名古屋市さんから相談をいただいたのがきっかけです。 このプロジェクトは、行政を含める4つの団体の協力により運営されていて、今は、名古屋市、久屋大通発展会、名古屋工業大学・伊藤孝紀研究室、そして、大ナゴヤ大学で、実行委員会を構成しています。

—なるほど。ちなみに、「SOCIAL TOWER PROJECT」は街おこし的な活動でもあると思うんですが、街おこしってまずは、”人を集める”という意味で、何かしらイベントをやりたがりますよね?でも、イベントだけだと、一時的な盛り上がりで終わってしまいがちですよね〜。いかに、継続させるか、そして、より日常的にしていくところが大事だと思うんですが、そういった仕掛けも考えてらっしゃるんでしょうか?

青木:そうですね。この街、このエリアに興味を持ってもらうことが第一の目的なので、私たちはただ「 イベントがやりたい!」ってわけではないんですよね。まず、テレビ塔や周辺エリアに実際に足を運んでもらうってことが大事だと思っています。そこで(イベントの他の)新たな仕掛けとして、街の案内所の機能を持たせた「SOCIAL TOWER CITY GUIDE」を始めました。また、テレビ塔を拠点に「街歩きツアー」を行う「SOCIAL TOWER TOUR」もスタートしたんです。街のさまざまな人を案内人にたてて、一緒にこの街を散歩してもらい、今までひとりでは勇気がなくて入れなかった老舗店とかにみんなで入ってみよう!みたいな。

SOCIAL TOWER CITY GUIDE
テレビ塔1階に設置された街の案内所。 名古屋・栄エリアの穴場や飲食店などイチオシの情報を案内している。実は、LIVERARY編集部も、街のガイドとしてこちらの企画に少し参加させてもらってます。

SOCIAL-CITY-GUIDE

▼SOCIAL TOWER CITY  TOUR
栄エリアにある有名建築家が建てた建物をまわったり、錦三丁目の老舗高級クラブに行ったり、知る人ぞ知るスイーツの名店をめぐったり、老舗純喫茶や居酒屋をはしごしたり…。「テレビ塔のある街にある面白い場所」を、応募のあったお客さんたちともに、実際に街を歩くツアー。現在、10コース。

きんさんツアー03 たてものツアー

ーどういう風に新しい企画って決まっていくんですか?

青木:「名古屋テレビ塔に新しいカタチの社交場を」というコンセプトのもと、どうしたらこの街がより魅力的に見えて、足を運びたくなるかということを考えて、スタッフみんなで話し合います。市民の方と一緒に考えるワークショップのようなことも行ったりします。意識しているのは、「こういうのがあったらいいな」と考えているだけではなく、きちんとそのイメージを具現化していくということ。これまでの経験を次に生かして新しい動きにつなげていくことです。
今年トライするのは、販売する書籍として「SOCIAL TOWER BOOK」というガイドブックを出すこと。これまで発行してきた「SOCIAL TOWER PAPER」(=フリーペーパー)だと、どうしても一時的なメディアに過ぎなくて保存性という面では弱いので。やはり、ちゃんと本にまとめて販売することで、より広く多くの人に、この街の情報を届けたいという気持ちです。

—「フリーペーパー」も「ガイド本」も紙媒体で…実際に人々が集う場を作り出す「マーケットイベント」もそうだし、切り口が全部アナログな感じなんですね。今の時代は、真っ先に「WEB」が思いつく気がするんですが、WEBで何かしよう?ってのは、敢えてやっていないんですか?

青木:一応ホームページはあるし、FacebookもTwitterも動かしているんですけど、やっぱりテレビ塔自体がアナログ(放送の電波塔)だったので、“アナログな質感”を大切にしたいっていうことで。

ー「テレビ塔をどう活かすか」=「アナログ文化をどう活かすか」という視点なんですね?

青木:そういう意味で、紙で、というのは当然ありますよね。一方で、自分が街で取材したりしていると、本当に古いものがどんどんなくなってしまうなあと感じるんですね。残そうと言う大それたことはできないにしても、やっぱり記録していきたいという思いはあります。名駅の開発は凄く激しいですし、栄エリアも例外ではない。古くからあった居酒屋がもうすぐ閉まるらしいよ、なんて話を聞くと、「ちゃんと取材して残しておけば良かった」と思うんです。身近な歴史を知ってもらう、そういうことが街に関心をもつということにつながっていくことだと思います。ただ「あんな美味しい店がある」という情報ではなくて、そこには人がずっといて、どういう思いでやっていたかストーリーがある。そういうことをお店の人と会話しながら感じていくことが大事なことだから、店だけじゃなく、お店とお店をやる人ごと記録したい。

ーでも、そのお店紹介をWEBでやるっていうやり方もありますよね?なのに、わざわざ紙の地図と観光案内所(=SOCIAL TOWER CITY GUIDE)をつくるってのは本当に「アナログ」へのこだわりというか、そこに軸があるんですね。

加藤:もちろんWEBの方が早いし、便利だし、手軽なんですけど……だけど、効率化を図りすぎると、逆にこぼれ落ちてしまう情報もあると思っていて。 栄の街って目的地に行く途中で気になるものに出会っちゃったとか、予期しないことが起こる、それくらい深い街なんです。皆さんにもゆっくり街を歩いてもらって、そんな思わぬ発見を経験してほしいという願いもあるので、あえてアナログにしているところはあります。

青木:街の魅力って人の魅力だと思うんです。人に会いに行ってコミュニケーションを取ってもらうとか、そういうのってやっぱりWEBとは違う、温かみがあると思うので。WEBの情報発信もいいんですけど、より人の暖かみを示せるようなツールとか企画に重点をおいていますね。
例えば、テレビ塔下の案内所で配布している「SOCIAL TOWER CITY MAP」にしても、店に行くだけなら、普通にテレビ塔下の案内所で情報を見て、GOOGLEマップで検索すれば歩けると思うんですよ。でも、あえてマップを作ったのも、紙を見ながらあっちこっちとやってれば、不便な分、街で新しい発見があるんじゃないかと思うんですね。見えるものも多くなったりするかなと。マップにメモしたり、書き込んだりすることで、友達同士で会話が起きるし、それが体験になりますよね。そういうのは、GOOGLE上ではおきにくい。結局、この社会は人で成り立っている。観光だって、人に会う方が楽しいし、あの人がいるからあの街に行ってみようという方が行く動機づけになると思うんですよ。コミュニケーションってアナログだから、紙で記録するのは、人のぬくもりみたいなものをすべてのことで感じさせたいと思っているからなのかなあとも思いますね。

 

「まちづくり」「まちおこし」と聞くと、
行政ががっちりし過ぎていて、どこか堅かったり、
ちょっとダサいイメージが先行しがち。

しかしながら、SOCIAL TOWER PROJECTはそこを感じさせない。

それは、根底に「まずは自分たちが楽しむ」という部分がしっかりとあって、
自分たちの視点で、「良い!」と思ったものを周りの人にも、純粋にオススメしているからなのかもしれない。

「これ、いいよ!」って人に勧めるって、普段、誰もが当たり前に行っている行為で、
実は、大それたことではなくて、むしろ日常の延長だったりする…。

変に無理していない、良い意味でラフな感じ、それが、
SOCIAL TOWER PROJECTという街のおこし方に対して、
違和感を感じさせない理由なのかもしれない。

 

最後に、SOCIAL TOWER PROJECTの今後について、聞いてみました。 

加藤:SOCIAL  TOWER PROJECTのチームで、色んな意見出し合ってやっているので、僕の意見がSOCIAL TOWERの代表となってしまうといけないんですけど、僕個人としては若くて面白い人がチャレンジできる街になればいいなと思っています。 空きテナントや有効活用できるスペースがあると思うので、そういう場所を若者を応援してくれる大人の方々が、『若者チャレンジ枠』みたいなことで使ってもいいよというような風土や制度を作れたらなって。靴作りとか、家具作りをしたいお店出してみたとかという人たちが、例えば、靴や家具を作っているような人たちが、お店を出したいなと思った時に、「だったら栄だよね」って選んでくれるような、栄行ったらなんか面白い人とか、面白い店に出会えるって思って、人が訪れるようなことをSOCIAL TOWER PROJECTで仕掛けていけたら面白いかなぁと思います。


青木:私はこのテレビ塔付近の北の街を盛り上げたいです。 私の学生の頃はこの辺りにかっこいい服のショップがたくさんあったんですよ。ちょっとかっこいい街って感じだったんですけど、だんだん大津通りの方に追いやられてしまって。 南の方は若者で、洒落た大人の人は北へ、、、遊ぶ場所が変わっていくっていう流れの核になる場所を作れたらなぁと。 だからマーケットのターゲットも「生活を大事にしている人」とか、「価値観をちゃんともっている人」というのを想定しています。そしてそういう人が、マーケットの出店者さんとちゃんとコミュニケーションを取りながら、モノの良さを確認しながら買い物ができる場づくりを大事にしています。 そういう場所が街のあちこちに広がっていったら素敵ですよね。 あとは、テレビ塔を会場にライブをやってみるとか、色んな人たちがテレビ塔を「何か面白いことができる場所」として、認識してくれたらいいなーと思います。「あそこに行けば何か面白いことをやっている」「面白い人たちが集まっている」とか、そういうイメージができていくと、もっと面白くなるだろうなと。そうして、私たちと違う方向からもどんどん盛り上がっていったら大成功だと思ってます!そういった形でこれからも街と人を繋げていきたいです。

 

彼らの熱い思いを聞いていたら、
「今週末あたり、テレビ塔に行ってみようかな~!」
なんて思えてきました(よね?)

ってことで、、、

3月16日(日)、3月29日(土)の2日間、
TV塔を使ったイベント「LIVERARY Liverally Vol.01」を開催します
イベントの詳細はコチラで。

ぜひ、この機会にテレビ塔と同じ視点から見渡す、街の眺望もご覧になってみてはいかがでしょう。
きっと、いつもの栄とは少し違った景色に映るのではないでしょうか。

 

青木奈美/
大ナゴヤ大学コーディネーター。 株式会社クーグート デザイナー、サカエ経済新聞編集長。名古屋生まれ、幼少期をバンコクで過ごす。大学卒業後、鞄の企画卸製造会社でのプレスを経て、04年、株式会社クーグートに入社。 以降クリエイティブディレクション、アートディレクション、デザイン全般をこなし、 さまざまなプロジェクトを手がける。 06年からはデザイン業と平行し、web 新聞「サカエ経済新聞」の運営を開始。 編集長として「街をデザインする」という視点から、栄エリアの情報を日々配信。 09年からは「名駅経済新聞」の運営も開始し、仲間と共に奮闘中。

加藤幹泰/
大ナゴヤ大学学長。1984年生まれ。名古屋市中川区出身。 アメリカ留学と人材ビジネスのサラリーマン時代の経験から「ヒトの繋がりから生まれる可能性」を肌で感じ、「社会 問題をデザインで解決しいく」という大阪のNPO法人で、コミュニティデザインを学ぶ。 現在、大ナゴヤ大学で「ナゴヤを面白がる人を増やす」をコンセプトに人に焦点をあてた企画やイベントを仕掛け、 誰もが楽しく自分のまちに関われるきっかけ作りを行っています。

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