若者に熱狂的な支持を受け、おそらく確実にその時代を動かしていたであろうバンド・GOING STEADY、そして、銀杏BOYZのメンバーとして活動していた男・安孫子真哉。現在、バンドは脱退。群馬に身を置き、普段は配達の仕事をしているという。そんな彼が、新たな動きとして、レーベル・KiliKiliVillaを昨年よりスタートさせたことは話題となった。これまでに、LIFE BALL、CAR10のアルバムをリリース。そして、4月22日にはMILK、Killerpassら名古屋勢や、京都シーン界隈のodd eyes、Homecomings、Hi,how are you?などを含めた現行のパンク〜インディーシーンの熱気をぐっと詰め込んだコンピアルバム『While We’re Dead. : The First Year』をローンチする。
01. Laughing Nerds And A Wallflower / NOT WONK
02. リプレイスメンツ / SEVENTEEN AGAiN
03. SILENT MAN / THE SLEEPING AIDES & RAZORBLADES
04. Littleman / SUMMERMAN
05. The sunrise for me / over head kick girl
06. FINE / Homecomings
07. Tornade Musashi / CAR10
08. I ALWAYS / MILK
09. それはそれとして / Hi,how are you?
10. All Time Favorite / odd eyes
11. レイシズム / Killerpass
12. The Sun Wind In Summer Zeal / SUSPENDED GIRLS
13. Douglas / LINK
今回のインタビューを読んでもらうと、このコンピアルバムこそが安孫子氏がレーベル発足時に体験した、各地方のバンドからもらったデモCDのプレゼントの山を再現したようなものなのではないだろうかと予想できるだろう。つまり、レ―ベルを始めるきっかけとなった、若い世代の現在進行形のバンドたちとの出会えた喜びや体験、衝撃が詰まっている。その中に、名古屋のバンドも収録されていることから、今回の対談企画は持ち上がった経緯がある。
その橋渡し役を無意識のうちに済ませていたバンドが、Killerpassだ。彼らがこのコンピに収録されるレコーディング当日、安孫子氏も収録現場にやってくるということで、急遽、Killerpassベースボーカル・林と、THE ACT WE ACTボーカル・五味、そして、名古屋を拠点にレーベルを企画運営するSummerOfFanの首謀者・S(Sはインフルエンザのため、当日はSkypeでの参加に)が集まり、KiliKiliVilla・安孫子真哉を囲んでの座談会的対談を敢行。
今回は、共通項として根底に流れているであろう「パンクとは何か?」という少しハードル高めのトークテーマを主軸とし、ざっくばらんに語り合ってもらいました。
さて、パンクとは何でしょう?
それは、レコードが大好きで、オタクで、ライブのときはフロアでお暴れ。それは、マイノリティーなカルチャーの一端。それは、先輩からもらった鋲ジャンであり、民主主義と相反する思想であり、オープンでクローズドな文化で……etc。
さまざまなキーワードが飛び交う、この対談を読んでいくと、ますます、それが一体何なのか?わからないような、だけど、同時にストンと落ちるような感覚も受けるのではないだろうか。あなただけのパンクが見つかればそれでいいのかもしれない。
—まず、簡単に自己紹介も兼ねて、安孫子さんとここにいる名古屋のバンドたちとの出会いから教えて下さい。
安:最初のきっかけは、SEVENTEEN AGAiNというバンドが東京にいて、去年の6月にそのカセットテープ・リリースのレコ発を、killerpassが名古屋で企画してくれて。そこに僕が同行していて、そんとき初めて、林くんや五味くんと会ったって感じですね。それまで名古屋はほぼ知り合いゼロでした。
五:そうです、そうです。僕は本当に衝撃的っていうか、びっくりし過ぎて。前日に林くんからメールがあってさ。「今から安孫子さんがウチに泊まりに来ます」みたいな(笑)。「は!?」みたいな感じになって、それで、「まねきねこ」 に遊びに行ったら、安孫子さんが本当にいて!すごかったよねぇ、みんな取り囲んじゃって。
(一同笑)
五:もう、みんな意味わかんなくて、「なんで安孫子さんがここにいるの!?」みたいな。
安:あー、そんときにだね、MILKのメンバーにも会ったのは。
—じゃあ、そのタイミングで名古屋のその界隈のバンドたちを知ったって感じですかね?
安:そうそう。で、その頃は、まだ僕はレーベルをやるとかは何も考えてなくて、ただフツーに遊びに行ったっていうだけ。
—なるほど。現在レーベルは3人でやっていらっしゃるんですか?
安:で、その後、京都にも行ったんだけど、SEVENTEEN AGAiNに付いていって、その時にいっぱいいろんなバンドから音源いただいて、何か思う事もあり、何かしたくなった、みたいな。そのツアーの帰り道にいろいろ考えていて。だから、その時に名古屋に行ったのが、レーベルを始めるにあたってのすべてのきっかけっていう言うんすかね。その前までは現行のバンドさんの情報ほぼゼロでした。それが去年の6月のことでした。
SEVENTEENAGAiN / シュプレヒコール
—他のレーベル・メンバーはどういう感じの人たちですか?
安:もともと、僕が前に在籍してたバンド・GOING STEADYのレーベルや製作の先輩方ですね。その(昨年6月の)名古屋にいったときの後に、久しぶりに会って、そのツアー中の出来事も交えながら「いやぁ、今のパンク・シーン、面白そうっすー」みたいな話をしていたら、「え?そうなんだ!」みたいになって。で、みんなでいろいろチェックし始めて…。みんな、ここ数年(インディーパンクシーンの情報が)抜けていたっていうか。チェックしてみたら「なんかすげえ面白そうだね!」みたいな話になって、とりあえずまた数日後くらいに会おうかってことになって…。次に会ったときにはもう「レーベルしない?」っていう話になった。僕は、”何か始めたい”って思っていたからすげえちょうど良いわー!と思って。ま、基本パンクバンドが好きっていうか、パンクの歴史の中にあるバンドがいいなっていうレーベルのテーマは最初からあるかも。
—それって、ちゃんと(パンクの歴史にある音楽を)聞いているっていうか、ちゃんと滲み出てくるようなバンドっていうことですか?
安:そうそうそう。滲み出るなのか、はみ出てるなのか(笑)。でも、その文脈がちゃんと踏まえられてるっていうのが、自分的には大事かな。じゃないともうワケわかんないから。
—上っ面のパンクになってしまう?
安:上っ面っていうか、僕ももう年齢が年齢だから、いろんな音楽を聴いてきて、いろいろ好きだけど、結局、パンクバンドが好き、っていうかパンクの歴史とかがすげぇ好きなんだな~とかっていうのがありまして。バンドを辞めて、いろいろ生活していく中で、普段クソみたいに仕事して…。そういう時に聴いてみると、しみじみやっぱりパンクバンド良いなぁ~ってなって。ライブ行っても楽しいしね。で、そんな中で…こんなこと言っていいのかわからないけど、昔から変わらない伝統的パンクサウンドのバンドもいるわけじゃない?もちろん変わらないでやっているところもやっぱ凄いなって思うよ。好きだしね。だけど、今までの歴史を踏まえつつ「進化してる」っていう感じる、エッセンスとしていろいろ入っているんだ!みたいな新しいバンドたちがかなり衝撃的で。
—でもやっぱりそういう現状の音楽シーンを見渡してみて、なんだか面白いレーベルないな〜っていうのもあって、それで「作ろう」と思ったんでしょうか?
安:いや、そういうのはなくて。ぶっちゃけここ数年の状況なんてわかってなかったから。一回、シーンから離れて距離をおいていて、いざ戻ってみたら「あぁ、こんな面白いことになってるんだ〜」って感じた。ただそれだけで。だから「じゃ、すいません俺も仲間に入れてくださ〜い、失礼しま〜す!」みたいな感じですよ。
CAR10
—例えば、CAR10(=KiliKiliVilla第2弾リリースとなった足利発の3ピースバンド)とかって、(音的に)「パンクか?」っていうか、ストレートなパンクと言われている音楽とはちょっと違うというか、オルタナというかいろいろ混ざっている感じがあるじゃないですか。で、例えば、今日レコーディングをしているkillerpassとかってどっちかと言うとストレートな感じがするんですけど。
安:ふんふん。
—でも、安孫子さん的には、新しさを感じた?
安:そう、なんかねぇ、バンドサウンドって色々な組み合わせだと思うんだけど。自分の中のkillerpassの音楽性の整理としては、ドタバタのヨーロピアンなのか南米なのか謎のハードコアビートを叩くドラマーと、そこに、結構空間系のエフェクトとかもしてるインディーロック的なギターが乗って。ベースの人は謎のパンクキッズで…みたいな。そうだから、ヘタしたら高校生とかのメロコアキッズが聞いたら「ヘタなメロコアをおっさんがやってるなぁ」みたいな(笑)謎な感じかもしれないけど。でも、別に何かになろうとしてないと言うか。ハードコアとかすごい好きだから、ハードコアバンドやろうぜ、ソレっぽいことやろうぜ…じゃなくて。ただ普通に組み合わさった結果が、オリジナリティにつながっていたり、面白いことになっているっていうのが、僕は楽しい。
—あ~、すごいわかりやすい。
安:ぶっちゃけ音はどうなるかわかんない(笑)。だけど、彼らが持ってる価値観は自分にとって極めて新鮮っていうか、少なくとも僕が知っている10年くらい前の雰囲気からまた広がったなって思う。
—ってことですが、それを受けて、林君どうですか?
林:ありがとうございます。やっぱり自分のことなんで…。
五:今、ずっと安孫子さんの話を緊張の面持ちで聞いてたもんな(笑)
林:そうっすね、怒られるかと思った…
五:怒られるとかないでしょ(笑)
安:いやでも、この人寝過ぎですよね?
一同:え?
林:あ、睡眠時間が長いっていうのを安孫子さんに怒られました…。
五:まぁ林君は、仕事上、夜勤明けとかで企画やってることがほとんどだから。
安:でも、睡眠時間10時間くらいとってるって言ってて。
—そりゃ寝過ぎ。
安:20代後半でそんなに寝るか!?って(笑)
一同(笑)
林:いや、睡眠は大事っすよ。
<次頁より、スカイプにてMr. SummerOfFanことS氏が登場!>
2015年4月19日(日)
SUMMER OF FAN Presents
“While We’re Dead.: The First Year”
コンピレーション発売記念ライブ
7DaysWar2015 DAY1
SummerOfFanvs KiliKiliVilla
会場:今池HUCKFINN
OPEN 15:00 / START 15:30
ADV 2,500円 (+1drink) / DOOR TBA (+1drink)
出演:
<SIDE:KKV>
CAR10
Homecomings
odd eyes
SEVENTEEN AGAiN
<SIDE:SOF>
6EYES
CASIOトルコ温泉
MILK
DJ Summer Of Fan
問:summeroffan@gmail.com