KEN GIFU CULTURE SUMMIT(岐阜|可児)
2月3日(土)〜2月5日(月)の3日間、 岐阜県にある可児市文化創造センターalaにて「KEN GIFU CULTURE SUMMIT」という名のアートイベントが開催された。
会場となった複合文化施設・可児市文化創造センターala
同イベントを企画したのは、岐阜を中心に活動する謎のアート集団・TOMASON。
TOMASON
「岐阜を中心に活動する謎のアート集団」といっても、TOMASONの首謀者であり美術作家として活動する高野開登は現在都内在住。高円寺FAITH他、さまざまなギャラリーで展示を行ってきた。
高野開登
地元・岐阜を離れ、東京に出た高野の視点で岐阜出身のアーティストを中心に声掛けし、故郷である岐阜県可児市に集めることで、それが大きな起爆剤となりカルチャーの活性化につながるはず!そんな初期衝動がこの「KEN GIFU CULTURE SUMMIT」には込められている。
イラストを立体化させたフィギュア?や、大掛かりなステージ装飾など、すべてTOMASON作。
場内には、TOMASONの作品はもちろん水野健一郎、遠山敦といった現在進行形で活躍する岐阜出身の現代アーティストたちによる展示作品がさまざまな場所に展示されていた。
河池貢士
最高記念室
水野健一郎
遠山敦
初日のオープニングイベントには、東京拠点のアイドルや芸人、地元のバンドやヒップホップダンサーなどもタイムテーブルに名を連ねる。通常のアートイベントとは、〈アート〉そのもの捉え方や発信の仕方が明らかに違う「KEN GIFU CULTURE SUMMIT」。
この気になりすぎるオープニングイベントにLIVERARY編集部は参加。そのレポートをお届けする。
会場入口には手書きのタイムテーブルが。
SPECIAL REPORT:
KEN GIFU CULTURE SUMMIT/TOMASON
Text&Edit:TakatoshiTakebe[THISIS(NOT)MAGAZINE,LIVERARY]
Photo:Yuuka Nishimura
宇佐蔵べに
開始早々に始まったのは、ポップでキッチュな“見捨てられたアイドル”ことあヴぁんだんどの宇佐蔵べにによるライブ。一発目からインパクト大!
その後、会場内から出場希望者を募るかたちで行われた「KEN GIFU のど自慢大会」というカオティックな企画が進行されていく。
のど自慢大会の様子。
会場にいるお客さんが参加できる「のど自慢大会」(=カラオケ)。「なぜ、のど自慢大会なのか?」という疑問が脳裏に浮かぶなか、芸人でありコピーライター/CMプランナーの顔も持つ五明 拓弥、先ほどライブを終えたばかりのあヴぁんだんどの宇佐蔵べに、さらに展示作家のひとりである現代アーティストの水野健一郎というムダに豪華な審査員らが登場する。歌番組の審査員のようにワンステージ終わるごとに、ひとりひとりコメントを加えていく。
写真左から宇佐蔵べに、水野健一郎、五明拓弥。
意外なまでに盛り上がった「のど自慢大会」が終わると、続いては「オカルト体操」の時間!?
UFOやネッシーなど画像スライドにあわせ、オリジナリティあふれる「オカルト体操」が披露されていった。
続いて、主催者・TOMASONによる開会式。
黒いベースボールシャツに「トマソン」「西可児」と書かれたオリジナル・ユニフォームをまとったTOMASON(写真中央)。両脇は今回のステージのMC2人。東海地区を中心に活動しているタレント・竹原大二(左)と、芸人・五明 拓弥(右)。
TOMASONメンバー全員が特製ステージに上がった開会式は、なぜかイベント中盤のタイミングで。「今回の企画が、TOMASONの活動としては最後の展示となる」という、どう受け止めたらいいのかわからない衝撃的な事実もこの時点で告げられた。
地元岐阜出身/在住のバンド、パフォーマーらによるステージショウが次々と……。
爆発的なパフォーマンスで観衆を魅了する、ヨルトエ。
「僕らはこんなにもアーティスティックな空間でライブをさせてもら
東京カランコロンのいちろー
その後、会場を移し「レセプションパーティー」という名の出店エリアがオープン!
部屋に入ると、熱海でローカル/カルチャーを発信するショップ・論LONESOME寒がゲスト出店しているほか、岐阜の地元店らが参加。たくさんの人で賑わいを見せ、交流会的な場に。
「論LONESOME寒」クルー。彼らもローカルからカルチャーを盛り上げようとするTOMASONの意思に共鳴し参加。
出展作家らとビール片手に楽しく談笑をしていると、「この後、またさっきの部屋で『締めの挨拶』があります!」ということでぞろぞろと移動。
締めの挨拶を行うTOMASON。
最後は、関係者を巻き込んでの大合唱(笑)!
現代アート展と学園祭の融合?
「アートショー」という言葉が掲げられた「KEN GIFU CULTURE SUMMIT」。ぶっつけ本番なところが多々あり、常にTOMASONメンバーがあたふたと対応におわれながらも、しっかり彼ら自身がのど自慢大会に参加しカラオケを熱唱している姿を見ていると、「アート」という事象を初期衝動と学園祭ノリで表現したシニカルな意味での「アートショー」であり、アーティストから地元のツレまでさまざまなジャンルの人種を巻き込んで行われた、高野開登ならではの「現代アート展」だった、とも言えるだろう。
バンドの出音がでか過ぎて見ているのが辛くなり展示室を出ると、ドアの外にはロビーに併設された市民図書館があり、素知らぬ顔で新聞を広げるご老人や、井戸端会議に花を咲かせる主婦たち、走り回る子どもたちの姿が。それがこの場所のいつも通りの風景なんだろう。岐阜県の可児市というニッチな場所にそびえ立った、おそらく巨額を投下された立派な巨大複合文化施設の一室で、このドタバタした「アートショー」が行われていた、というシュールなシチュエーションも可笑しい。まるで幻のように跡形もなく片付けられ、何事もなかったようにいつもどおり平然とした時間が今はゆっくりと流れているのだろうと想像する。