FEATURE:洪申豪
現在、日本では台湾ブームが加速し続けている。さまざまな雑誌やメディアが取り上げているのは、単に旅行者へ向けた台湾の観光地だけではない。音楽を中心に台湾ならではのローカル/カルチャーにも注目が集まっている。中でも「台湾インディー」と呼ばれる音楽シーンへの眼差しは熱い。その旗手となったのは、おそらく“台湾のナンバーガール”と称され、日本の音楽ファンのハートも掴んだバンド・透明雑誌だ。
今回、取材同行をさせてもらった洪申豪(ホン・シェンハオ:以下、洪くん)はその透明雑誌のGt./Vo.を務めてきた人物。そんな彼が現在、若手ミュージシャンたちともに新たなバンドを結成した。その名もVOOID。
VOOID
彼らが新音源を引っさげての初のJAPANTOURへ。名古屋は明日、8月16日(水)に鶴舞KD.JAPONに登場する。(イベント詳細についてはコチラ。https://liverary-mag.com/music/61030.html)
透明雑誌はもちろん、台湾インディーシーンのバンドと日本をつなぐ役割を果たしているキーパーソンが本国と台湾でライブハウス「月見ル君想フ」を企画・運営する、寺尾ブッダという人物。
彼は、自身のレーベル「BIG ROMANTIC RECORDS」を立ち上げ、落日飛車(英名:Sunset-Rollercoaster)、森林(英名:Forests)など台湾バンドを次々と台湾/日本に向けて紹介・発信し、バンドの来日公演の企画も行ってきた。
洪くん(左)とブッダさん(右)と、名古屋名物・味噌煮込みうどん。
2017年2月、洪くんのソロ来日公演時に台湾からのゲストであるコチラの2人とともに、名古屋観光を兼ねて大須〜栄エリアのレコードショップ4軒を巡った。今回はそのレポートをお届けする。
SPECIAL REPORT:
台湾インディーを代表するバンド、
透明雑誌の洪申豪(現・VOOID)と巡った
名古屋のバンドマン御用達レコード店4選!
Text&Edit:Takatoshi Takebe[THISIS(NOT)MAGAIZNE, LIVERARY]
Photo:Ryoji Yamauchi
新旧カルチャーが交差する、大須エリア。
大須は、名古屋市の中心街・栄から徒歩圏内に広がる商店街。4つの大通りに囲まれ、東西には2つの駅(鶴舞線・大須観音駅、名城線・鶴舞線上前津駅)がある利便性にも恵まれたこのエリア。古くから続く歴史的スポット〜現在進行形のユースカルチャーまでを包括した新旧文化が入り混じり、パワフルに溢れかえったマジカルスポットでもある。
そんな大須エリアにはバナナレコード、グレイテストヒッツなど有名レコード店も多く存在する。今回、洪くんとともに巡ったのはバンドマンを中心に人気の高いセレクトレコード/CDショップ3店(RECORD SHOP ZOO、FILE−UNDER RECORDS、ANSWER)。
まずは、RECORD SHOP ZOOへ。
ZOOはさまざまなパンク、インディー系(特に国内モノ)が豊富に取り揃えている店。また、多様な音楽ジャンルの中古盤も取り扱っていることもあり、若者を中心に人気だ。
こちらのお店で洪くんが気になったタイトルはこちら。日本のヒップホップで一世を風靡した、EAST END×YURI(イーストエンド プラス ユリ)は台湾でも人気なのだそう。
以前、筆者が数年前に台湾に訪れた際に、toeやenvy、MONOといった日本産ポストロック/ポスト・ハードコアバンドが台湾で人気だったことを思い出しながら、台湾における日本の音楽シーンの認知度の高さについて洪くんと話しが盛り上がった。ちなみに洪くんはそれらのややマニアックな音楽だけではなく、現行の日本のインディーズシーンの流行にも台湾の音楽好きたちは精通していると話す。「Yogee New Waves、never young beach、Suchmosあたりの人気ももちろんよく知っている」とのだそうだ。
続いては、大須の裏通りにあるANSWERへ。
ANSWERは、国内外のパンク・ハードコアなどを中心に取り揃えるレコードショップ。
店内に入ると、冷蔵庫があり、ビールなど酒類の販売も。
壁一面に並ぶ、レコードも圧巻の風景。
ANSWERではDMBQ、CAR10をチョイス!
次は、栄方面に向かう大通り沿いの雑居ビル内にある、
FILE-UNDER RECORDSへ。
FILE-UNDER RECORDSは、UK、US、国産インディーの新譜のみを取り扱うショップ。名物店主の山田さんとの会話も、街のレコード店に訪れる常連客たちにとって楽しみのひとつだろう。
FILE-UNDER RECORDS店主・山田岳彦さん。BO NINGENらも過去にリリースしてきたレーベル「KNEWNOISERECORDINGS」も運営する。
店内には、国内外のレーベルから入荷以外にも、直接バンドマンたちが持ち込みしたCDやテープ、CDR作品などもある。中には、いつの日か大きく羽ばたく可能性を秘めたバンドの作品もあるかも!?
FILE-UNDERではこちらの2枚をチョイス。
最後は、栄の裏通りにあるstiffslackへ。
stiff slack(通称:ss)は、ハードコア〜エモ、マスロック、ポストロックといった音楽ジャンルにフォーカスを絞ったコアなショップとして知られる。以前にLIVERARYの企画で、岐阜出身で現在は東京を拠点に活躍中のバンド、cinemastaの辻友貴との対談で登場したレーベル兼ショップ。(店主・新川拓哉と辻友貴の対談はコチラ。https://liverary-mag.com/feature/19190.html)
stiffslackのレーベル/ショップを運営する、新川拓哉さん。
店主・新川拓哉は自身もバンドマンとして現在進行形で活動中。これまで多数の海外ア―ティストのリリ―スや招聘ツア―を企画してきた。その確かな審美眼は熱狂的なファンを全国に持つほどだ。
壁にはさまざまな来日バンドらのサインが残されており、stiffslackのこれまで積み重ねてきた歴史と、アーティストとレーベルの信頼関係を感じさせる。
stiffslack隣には、Absenteeという名のバーも併設。夜な夜なバンドマンたちが集う。
同店では、エフェクターのセレクト販売も行っている。
stiffslackではコチラのカセットテープ作品をチョイス。
新川さんとの会話も楽しんだところで、そろそろタイムアップ。
今回まわった4店はそれぞれに店主の個性が光る名物店ばかり。レコ屋巡りを経て、洪くんも名古屋がお気に入りの都市のひとつに加わった様子。ぜひ、あなたも巡ってみてほしい。
そんな彼が始動したニューバンド・VOOIDのライブはいよいよ明日、8月16日(水)鶴舞KD.JAPONにて!是非、ライブもお楽しみに。(イベント詳細についてはコチラ。https://liverary-mag.com/music/61030.html)
2017年8月16日(水)
VOOID (f.taiwan) JAPAN TOUR 2017
会場:名古屋 K.D JAPON(名古屋市中区千代田5丁目12-7)
時間:OPEN 19:00/START 19:30
料金:前売り ¥2500/当日 ¥3000(ドリンク代別)
出演:VOOID/The Skateboard Kids/she said
予約:K.D JAPON webサイト or TEL/052-251-0324(K.D JAPON)
洪申豪
日台でカリスマ的人気を誇るインディロックバンド「透明雑誌」「VOOID」のフロントマン。アコースティックな雰囲気を基調とし、様々な音楽性を包有したエバーグリーンなポップスを歌う。台湾のインディレーベル・Petit Alp Records(PAR)の創設者として、数々の台湾インディアーティストのリリースを手がけている。また、イラストレーターとしても評価が高く、2015年に初の個展を行い好評を博した。これまでに3枚のソロアルバムを発表しており、最新アルバム「Cancer + 2songs」は2017年2月にBIG ROMANTIC RECORDSよりリリースされた。さらに今年7月26日には7インチ「Campari 7 Inch」をリリース。VOOIDの初音源も自身のレーベルPetit Alp Records(PAR)より満を持してリリースされた。