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FEATURE / 特集記事 Nov 11. 2021 UP
【SPECIAL INTERVIEW:鈴木健之 × 大倉曉 × 山本雄平】
名古屋・栄のまちなかを舞台とした映画上映&トークイベント「SDGs映画祭」。
流行に便乗したわけではない、同企画主催者らが考える「私たちのSDGs」とは?

2021年11月6日(土)〜20日(土)|「Nishiki-2 SDGs映画祭」伏見ミリオン座、Hisaya-odori Park、他(愛知|名古屋)

 

「映画で考えるわたしたちのSDGs」をテーマとした、ドキュメンタリー映画上映とトークイベント「Nishiki-2 SDGs映画祭」が11月6日(土)〜11月20日(土)までの間、栄・錦二丁目を中心としたまちなか数会場にて開催中だ。

 

 

会場となるのは、伏見ミリオン座、THE CUPS FUSHIMI、IMOM SPACE、Hisaya-odori Park、TOPPAN DX-GATE、CBCハウジング名駅北の全6会場。各会場では、環境問題や多様性、食に対する考え方などを問う、様々なドキュメンタリー映画の上映とそれにまつわるトークゲストらによる対談企画が組まれている。

主催は、名古屋エリアでセンチュリーシネマ、伏見ミリオン座という映画ファンからの支持を得ている劇場2館の運営も行うスターキャット・ケーブルネットワーク株式会社。この企画の発起人である同社クリエイティブ事業部所属の鈴木健之と、昨年リニューアルを遂げた「Hisaya-odori Park」のディレクターであり、今企画の中核となるイベントをキュレーションしている大倉 曉(Hisaya-odori Park DESIGN CENTER  Culture Engineer)、さらに11月12日(金)『都市を耕す エディブル・シティ』上映とともに行われるトークイベント「これから私達は何を育み、集い、食べて生きるのか」にゲストとして登壇する、食とクリエイティブを通じて、“あたらしいふつう”というキーワードを提案し続けているMAISONETTEInc.代表取締役・山本雄平の3者に今回の「Nishiki-2 SDGs映画祭」について語ってもらった。話は「SDGs」や「映画」といった主題だけでなく、働き方や生き方にまで広がりを見せ、「そもそもなぜSDGsの考え方が大切なのか?」と改めて考えるきっかけになるであろうこの映画祭を体現したような対談となった。

 

SPECIAL INTERVIEW:

鈴木健之(スターキャット・ケーブルネットワーク株式会社・クリエイティブ事業部)

大倉 曉(Hisaya-odori Park DESIGN CENTER  Culture Engineer

山本雄平MAISONETTEInc. 代表取締役)

Text & Edit:Takatoshi Takebe(LIVERARY)
Photo:Haruka Okuma(analogue)

 


写真左から鈴木健之、大倉曉、山本雄平。撮影場所は映画祭の会場の一つ、Hisaya-odori Park。

 

ー今日は企画者である鈴木さんと大倉さんから今企画についてを語ってもらい、今回トークイベントにゲストとして登壇する山本さんに対してもよりイベントの理解を深めてもらいつつ、みんなでSDGsについて考えていけたら、ということで集まってもらいました。

一同:よろしくお願いします〜。

ー今回の映画祭では、16作品のドキュメンタリー作品が上映されるわけですが、個人的なオススメ作品を教えてもらいたいな、と。もちろん全部おすすめだとは思うんですが。では、鈴木さんからお願いします。

鈴木:単純に映画としてオススメしたいのは、やはりメインに持ってきている『ムヒカ 世界で一番貧しい大統領から日本人へ』ですね。

 

 

鈴木:この映画は去年の夏にセンチュリーシネマ(スターキャットが運営する映画館の一つ)でやらせてもらって好評だった映画で。フジテレビのディレクターの田部井監督が、報道の取材でウルグアイに行ったのをきっかけに、現地でムヒカ大統領に会って、そしたらめちゃくちゃに気さくな人で、興味を抱いて彼を追いかけ始めるんです。何度か取材撮影していった映像を繋いだ形になっています。興行作品とはちがい製作費・広告費も少なくて、口コミで広がっていったこともこの映画が本当におもしろいってことの証明になってると思います。基本ドキュメンタリー映画ってジャンルは、やっぱりなかなか人に見てもらうのって大変で。口コミで広げていっても、全国展開までできる映画は少ないんですけど、この作品は全国で上映されるほどにかなり広がった珍しい映画なんです。

ちなみに鈴木さんがこの映画の好きなシーンはどこです?

鈴木:ムヒカ大統領がスピーチをするシーンが2回あって、一つは国連のスピーチで、もう一つは来日時に日本の大学生たちへ向けて講堂でスピーチするんですけど。口調はすごく優しいんだけど、しっかりと力強いメッセージを感じられて……あのシーンは本当に何回見てもぐっとくるっていうか。ぜひ、若い人に見てほしいな〜って思います。

 

 

大倉:だってこの映画だけ、二回も上映日がありますもんね。

鈴木:みんなになんで二回同じのやるんですか?って、みんな「?」ってなってたけど、「大丈夫でしょ!」って押し切りました(笑)。

鈴木さん的には超推しの映画なんですね。

鈴木:そうそう。「いつかきっとどこかで上映したい」って思って、メモってあったんですよ(笑)。

大倉:鈴木さんは、スターキャットの社歴は長いんですか?

鈴木:スターキャットは18年目ですね。

大倉:ずっと映画畑って感じですか?

鈴木:これが実は違ってて、ケーブルテレビとかインターネットを引く仕事も弊社はやってるんですけど、そっちの部署のエンジニアなんです。

大倉:エンジニア?

ーえ、元々はエンジニア職だったんですか?!それで、今は企画部に?

鈴木:そうそう。単純に映画好きのエンジニア。

一同:へー!!

鈴木:ただスターキャット入った理由が、インターネットのエンジニアリングもできる会社なんだけど、映画事業もやってるから、たぶんいつか俺も映画の仕事に携われるんんだろうなって思って入ったんです。

ーすごいポジティブというか(笑)。でも実現しちゃったんですね。

鈴木:そうそう。だから、入社してからずっとエンジニアリングやってて、言ったらもう技術とか知識は2周くらいしちゃってて。だからもう(エンジニアの仕事は)辞めて、もっとなんか映画のこととかで好きにやってもいいかなって思って、試しに会社に言ってみたら、「全然いいよ」って言われて(笑)。「じゃあやります」ってなって、新規事業としてやってます。

大倉:じゃあ今回のこのイベントは鈴木さんにとって渾身の企画なんですね!?

鈴木:いやいや、まだまだありますよ。

一同:(笑)。

ここは、渾身のイベントってことにしといてもらっていいですか!?(笑)

大倉:鈴木さんにとっては、まだやりたことのファーストステップってことなんですね(笑)

山本:なんかすごいいいストーリーですね。映画に対する愛をすごい感じるんで。

鈴木:結構、映画に救われてる人生かなって思ってます。

 

 

ーそんな鈴木さんの渾身のイベント(笑)「SDGs映画祭」ですが、なぜ大倉さんに声をかけたんです?

鈴木:僕たちの世代での遊びに行く場所って山とか海とかフェスとかってのじゃなくて。もうそこはそれこそ何周もしているし、この歳になってくるとそういう遠くに遊びに行くのも疲れちゃうな〜って思って。もうちょっと身近で気軽に街中で遊べる場を作り出す方がいいな、と。それで弊社映画館単独のイベントではなく、Hisaya-odori Parkも巻き込んで、いろんな場所で開催される形を作ってみたかったんです。

大倉:札幌で「No Maps」ってイベントがあって、音楽と映像とインターネットとか、デジタルカルチャーとかを全部掛け合わせた都市型のフェス、日本版SXSW(サウス・バイ・サウスウェスト)みたいな。

 


「NoMaps 2021」のビジュアル。今年は配信という形で行われた。

 

鈴木:「No Maps」は一か月くらいの開催期間で、その中に映画祭があったり、学生の軽音楽部コンクールみたいのがあったり、ちゃんとしたベンチャーカンファレンスがあったりみたいな感じで。映画と音楽のカルチャーが融合したイベントなんです。会場もいろんな場所を使ってるんだけど、タイムテーブルにまとめると一つになって、こうやって歩くとおもしろいんじゃないの?みたいな、イベントを楽しみながら街を回遊していく設計ができてるんですよね。

大倉:「No Maps」は結構、今回のイベントの組み立て方の参考にしていて、いろんな企業が関わって、それぞれの個性もちょっとずつ持ち寄っておもしろいことができてる実例で。夜はドイツからDJ呼んでクラブイベントやったりもするし、そうかと思えば次の日の朝から小学校の演奏会の決勝戦みたいのをやったり。それぞれのやってることを繋げると街は面白くなるって思うんです。

 

 

ーなるほど、お二人にとってのモデルケースが既にあってそこを目指していくためのまず第一歩が今回の「SDGs映画祭」ってことですね。では続いて、大倉さんのおすすめのイベント、上映作品を教えてください。

大倉:そうですね。LIVERARY読者ならDJイベント「芝生チル」はきっと楽しんでもらえると思いますし、そこで上映される映画『太陽と踊らせて』はぜひ観てほしいですね。

 

「芝生チル」前回の様子▼

 
 
 
 
 
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大倉:主人公のDJ、ジョン・サ・トリンサ愛をすごい感じる映画です。しかも「商業的にこういうフィルム作れば売れるよね」っていう思いじゃなくて、監督が本当に映像として紡ぎたくて撮ってるっていうのをすごく感じられる映画なんですよ。純粋に作品としてもおもしろいし、監督の思いも含め、一人の人間が作った作品として魅力的ですね。

 

 

この映画の主人公、DJ ジョン・サ・トリンサはどこがどう魅力的なんですか?

大倉:この人はイビザ島の中でも、大箱のDJとかじゃなくて、小さなビーチの、海の家のようなところで30年くらいDJをしていて、しかも毎日してるっていう人で。イギリス人で、もともとカメラマンだったんだけど、音楽がすごい好きで、いろいろやめてイビザに来て、好きなことやって暮らそうとしたらカメラがなくなっちゃって仕事がもうできない!ってなるんだけど、「レコードあるんだったら、DJうちでやれよ」って海の家の人に声をかけられて。それがすごい雰囲気あってよかったから明日もやってよって言われて始まったのが彼のDJとしての人生。そこからずっとその海の家を毎日盛り上げ続けている。

 

 

ちなみに、この映画はSDGsっていうテーマにどう関係してくるんですか?

大倉:「多様性」を感じてもらえる映画だなって思っています。ヒップホップもロックもクラシックもテクノも全部繋いで一つにするのがDJで、それってまさに「多様性」を体現していますよね。声高に「SDGs」だ「ダイバーシティ」だなんて言わなくても、楽しい空気とか雰囲気でみんながニコニコしてる、これも一つの「多様性」の表現で。「バレアリック」(=イビサ島を含む、スペイン南部の地中海に浮かぶ群島の呼称。イビサ島の夕暮れに合うチルアウトミュージック)の本質ってそこだな、と。同日開催される「芝生チル」も同様で、俺たちはこういうジャンルだって主張し合ったり、固執するんじゃなくて、とにかくその場に訪れた人々みんなが気持ち良くなれたり、楽しくなれるために音楽を流すっていう意味では「バレアリック」と「芝生チル」はかなりマッチするんじゃないかな、と思って、『太陽と踊らせて』と「芝生チル」のコラボレーションをさせてもらうことにしました。

なるほど。久屋でやる映画は大倉さんが選んでるってことですね。山本さんが登壇する12日の上映作『都市を耕す エディブル・シティ』は、どんな映画なんですか?

 

 

大倉:この映画は文字通り“エディブル・シティ”つまり“食べられる都市”。アメリカのサンフランシスコとかで実際にあった話です。物価が高くなったりすることで野菜が買えない、安全なものが手に入らないっていうことが実際に起きて、だったら空いてる公園とか空き地を使って野菜を作ろうぜってなって、町中の人がそれを育てた結果、健康になったとか、新たなコミュニティが生まれたりとか、仕事が生まれたりとかしていく。そんな食べ物を育んだり耕すことで、新しく人と人が繋がったり、カルチャーが生まれていくっていうドキュメンタリー映画です。

ー面白そうですね!

大倉:他にもいろいろ候補の映画はあったんですけど、公園や久屋エリアを盛り上げる立場として、ハードをつくって終わりじゃなくて、場ができた後にソフトや仕組みでどうやって活かしていくのか?をいつも考えています。その時に、食べたり、何かを育む、という、生き物や自然として本質的な行為をこのエリアで実装できると、より魅力的な場所になるな、と思うんです。実際にある実例を知ってもらうきっかけとして、この映画を観てもらって、公園の在り方とかを名古屋の人たちに考えてもらいたい。あとは、行政や指定管理者、市民やテナントさんとか公園に関わる人にもメッセージとして届けられたら……っていう自分の中での裏テーマもあります(笑)。

ーHisaya-odori Parkの使い方、使われ方については現状ちょっと勿体ない感じもしていて、賛否両論ありますもんね。今後この公園がどうしていけば、どうなっていけば、よりおもしろいことになるのか?そのための第一手でもあるってことですね。

大倉:はい。そういう意味も含めて、今回この映画をピックアップしました。あとはトークイベントももちろん参加してほしいと思っていて。ゲストとして登壇してもらうのは、それぞれがそれぞれのスタンスで食に携わっている方々です。まず、食と農のデジタル循環クリエイターという肩書を持つ、プランティオ株式会社CEOの芹澤孝悦さん。食材となる農作物を育てる側の人の話を聞きたいなと思ったときに共通の知り合いに紹介してもらえることになって。一回話をしてみたら、彼は食の民主化っていうことをキーワードにしてるんですけど、都市部の中でただ消費するんじゃなくて実際にそれを育んだり、集まることによって、新しいコミュニティーや価値が生み出しているスタートアップです。渋谷区の公園でこれから実際に行う新規プロジェクトとして、これまで公園で作物とかを育てることは日本の法律上できなかったんですけど、それを渋谷区で事例として作るのだそうで。そのお話なんかは、Hisaya-odori Parkにも活きる話になるんじゃないかなと思っています。で、そんな彼と話をしてもらいたい相手として、料理人の一人としてビストロイナシュヴェのオーナーシェフ・酒井淳さんと、地元名古屋でしっかりと地に足をつけてすごく創造的に食に関わっていらっしゃるMAISONETTEInc.山本雄平さんのお二人にも出てもらうことにしました。

ーなるほど。この酒井さんって方はフレンチのシェフってことなんですが、SDGs的なシェフ?!なんですか?

酒井さんは市内でいくつかお店をやっているフランス料理のシェフで。例えば、ミッドランドスクエアに入っているビストロイナシュヴェは、カジュアルフレンチなんですけど、お値段的にも敷居も高くなくて、農福連携の農場の野菜や、循環型の畜産のお肉を使っていて、とても美味しい。フランス料理というすごく階級的、消費的なイメージのあるジャンルの方が、SDGsに真正面から取り組んでいる様子を是非お話を聞きたいなと思いました。山本さんは、土を耕したり、文化を育むっていうことをお店や広告など、色々な立場から多角的に伝えている方だという認識で。今日着ている「ask food」Tシャツも実はMAISONETTEInc.さんのデザインされたグッズなんですが、去年のソーシャルタワーマーケットで初めてお会いして、食に関する感覚で通じるものがあるな、と思ったので、今回のイベントへの参加を打診したんです。この2人に加えて、都市生活で離れがちな食べ物育てたりとか、コミュニティを育むっていうことをやっている芹澤さん。3者ともに根底はいわずもがな持続可能なものだったりとか、新しい暮らし方ってこうだなっていう考えを共通して持っている方々だと思っています。

ーこのお三方のトーク、すごく濃い話が聞けそうですが、当日司会をされる大倉さんはまとめるの大変そうですね!(笑)

大倉:(笑)。やってることは一見してバラバラに見えるんですけど、考えやスタンスで繋がっているというか、かなり近いものがあると思うんです。仕事を続けるうえでビジネス的な考え方は大事なんですけど、三者ともにそれをSDGsっていうことを笠にせずに活動していらっしゃる。それぞれ違うことをやっているからこそ見えてるものも違うし、だからこそこの3人にお話を聞いてみたいなって思ったんですよね。あと、今回、ビストロイナシュヴェMAISONETTEInc.さんにタッグを組んでもらって、「自然の循環」をテーマにした特別なコース料理も出してもらうんです。

ー映画とトークだけじゃなくて、実際ご飯も食べられるんですね!

大倉:そうなんです。酒井さんがいつもレストランで使っている食材や、山本さんたちがその日の朝採ってきた野菜が食卓に並びます。鈴木さんからこの映画祭の相談を聞いたときに、真っ先にやりたいと思ったのがこの12日の企画です。トークを聞いてと映画観てって、それだったらどこでもできちゃうし、誰でもできる。だったら何かを感じて帰ってもらう入り口が多い方がいいなと思って。野外で、しかも食を通じてって、五感をフルに使うことで、ダイレクトに感じるものがあるので。なので、映画、トーク、そして食そのものを取り入れたイベントにしました。

ーなるほど〜。ちなみに、山本さんに質問なんですが、スタイリングや広告の仕事と並行して食のことをやりだしたきっかけは何だったんですか?

 

 

山本:順番的には、僕もともと飲食業から入っていて。大学自体はずっとラーメン屋でバイトしてました。その後にn.v.cafeっていう今はもうないけどそのお店の系列店があって、そこで料理人としてアルバイトしたのが今につながっています。スタイリング業も最初はフードとインテリアのスタイリストとしてやり始めたんですけど。ちなみに、うちの料理長は僕の下で働いてたスタッフなんです。

ー飲食業界からスタートされてたんですね。勝手ながら、どっちかっていうとファッション業界出の人だって思ってました(笑)。

山本:大学も経済学部卒だからね、何者でもないのよ別に(笑)。

ー料理人ではなく、スタイリング業をより突き詰めていこう!ってなっていったのはなぜですか?

山本:なぜスタイリストになったかはね、正直ちょっとよくわかんないんだよ自分でも。まあもともと興味があったというか、それより広告業界にすごい興味があったかな。

飲食もやりつつ、広告の仕事もしたかった、それをいきなり並走したってことですよね?それがすごいなって思っていて、その二つの軸でやってる人ってあんまりいないんじゃないですか?

山本:そうかな?デザイン会社が飲食店やってるとこも多いし。

でもそのパターンのお店ってデザイン会社が本当に食のことを大事にしているわけじゃなくて、どちらかと言えば取って付けたような店が多い気がしててて。イメージ戦略的だったり、自社の宣伝のため、仕事を取る間口を広げるためにやってるんでしょ?って僕とかは思っちゃいます(笑)。

山本:それは暴論過ぎでしょ(笑)。僕が知ってる飲食をやってるデザイン会社さんは、食に対して、デザインという切り口でどんな挑戦ができるか?っていうことを試行錯誤しながらやっているっていうイメージがあります。僕らの場合は、スタイリストって何だろう?ってのを、突き詰めたときに行き着く先が自分のライフスタイルだったり、生き方に行き着くと思っていて、何を着るか?じゃなくて、どう着るか?みたいな話と一緒で、何を食べるか?誰と食べるか?どう食べるか?どう編集し、どう生きるか?それがどんな人になるのか?につながっていくだろうし。そういう考えでいくと、食ってすごくおもしろいし重要だな、と。

なるほど。では、どっちかって言ったら広告やスタイリングの仕事よりも、食の方がむしろ中心にあるんですか?

山本:うちの会社の面接に来るとわかるんですけど、なぜ僕らが食の仕事をやってるのかって明記していて。食っていうのを食事だけじゃなくて、例えば経験するとか、何かを見聞きするとか、何かしらを吸収することを僕らはそれも「食だ」って受け取っていて。で、人間って、例えば食べたものでしか構成されないのと一緒で、絶対に経験したこと、知ってること、聞いたことそういうことでしか人間って成長しないし変化もしないじゃないですか。だからすべてにおいて得るもの、吸収するものをきちっと整えていきましょうっていう考えが。それの一番わかりやすいのが食事ですよねって。食事も適当に摂る人はやっぱりいいクリエイティブができないんじゃないか?って僕らは思っちゃう。

うわ〜胸に刺さるお言葉…。僕、コンビニばっか行ってます(笑)。

一同:(笑)

山本:夜中のカップラーメンがおいしいのは僕らも知ってるし、疲れたときにレッドブル飲みたくなるのわかるから、それらを否定するんじゃなくて、あくまでも選択できるっていう。

大倉:自分が何を得ようと思って、得ているのか?その選択する行為を意識的に、大切に考えるってことですね。

山本:僕らは「新しい普通」って言ってるのは、ニューノーマルとかじゃなくて、ニュースタンダード。僕らなりにちゃんと基準をもって生きようよ、と。

大倉:その基準がなるべく誰かのものではなくて自分の基準を持つってことですね。

山本:SDGsってのが今流行ってるから、じゃあやります!っていうのじゃなくて。ちゃんといろんなことを調べて勉強して日々自分自身がどうサステナブルに生きるかっていうか。サステナブルに生きようと思うと、ある程度インディペンデントな部分も必要だと思うし、いろんなことに取り組んでいかないといけない。コロナ期間中、一番大きな得たものがやっぱり畑をいじる時間をたくさん作れたっていうのがあって、それによって以前よりもさらに食と向き合うスタッフが増えて、全然畑やったことない子たちが畑めっちゃいいですね!ってなってくれて、それはすごくいい経験だったなって思います。

 

山本さんの畑の様子▼

 
 
 
 
 
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大倉:それをやった結果、スタッフ間の雰囲気とか人の感じとかって変わったんですか?

山本:すごいわかりやすい話でいうと、食材に対する意識が明らかに変わったと思いますね。今までの基準なら、無意識に捨ててしまったものを、これはまだ焼けば美味しく食べられる、とか意識を持って取り扱うようになる。紫蘇の葉一枚、バジル一枚とかも大切に扱うようになるというか。そういう葉っぱ一枚でも収穫するってなると意外と手間なんですよ。一個一個プチプチやって採るわけだし。そういう農家の苦労を経ていることって、自分で収穫をやってみたからこそわかることなので。

ーなるほど〜。

山本:あと、食材って基本スーパーに並んでるものは形も整ってるし大きさも一緒なんですけど、畑に行くと発見があるんです。例えばバジルって大きくなって木になっちゃうと一般的には葉っぱが固いって言われちゃうんですけど、それはそれでおいしい食べ方があるんですよ。固い分歯ごたえもしっかりしてて香りも強いから、じゃあそれをこういう食べ方にしたらおいしいよねとか、あとは植物によってはお店には葉っぱしか出てないけど実は花が一番おいしいものとかもあって。僕はルッコラの花が一番好きなんですけど、ルッコラの花なんて絶対スーパーとかには並ばなくって、でもめっちゃおいしいんですよ。あとパクチーの根っこも。パクチーって根っこを残して葉を切っても、またどんどん生えてくるんですよ。そうすると根っこはどんどん大きくなっていってて、その根っこを取っちゃうと葉が育たないんで普通は収穫しないんですけど、実は根っこが香りが強くておいしいんです。スタッフを畑に連れて行く時は一個根っこを抜いてかじってみなよって。畑に行かないとできない会話だったり、おもしろい体験っていうものがある。そういう新しい体験のようなものを、僕らがお客さんに対して、会社として、店として、発信していきたいし、きっかけや入り口を作っていこうよって。そういう考え方を新しく入ったスタッフに教えるのにも活かされてますね。

鈴木:食から学ぶ。すごいね。

大倉:やっぱり人を良くするって書いて食なんで、ね。

鈴木:農園って結構いいかもしれないね、体験としては。

大倉:農園と言えば、『ビッグ・リトル・ファーム』もいい映画ですよね。この映画は11月14日(日)にIMOM SPACEさんで上映されますが、本当はうちで上映したいな〜って思ってたくらい好きな映画です。

 

 

鈴木:この作品は、本当のドキュメンタリーで8年間撮り貯めた映像のアーカイブなんですよ。ドキュメンタリーって言ってもいろいろなタイプがあって、一年くらい誰かを追いかけて取材撮影したっていうのがよくあるドキュメンタリーものなんですけど、この映画では本当に農園を始めるっていう夫婦が自分たちで自撮りした8年を繋いで作られていて。でも、内容としては脚本ありきで進めたんじゃないか?っていうくらいにすごくよくできた話になってます(笑)。ネタバレになっちゃうからあんまり話せないんですけど、農園を作るプロフェッショナルな人に助けてもらって、その人の言った通りにやっていくと、農園の中が生き物が循環し始めていくんですよ。すべて自分たちの農園で、自分たちの小宇宙ができるみたいな。見ていて気持ちいいくらいに。

山本:農園の作り方の話でいうと、うちの畑全然きれいに整ってないんですよ。僕がしっかり管理できているわけではないし、基本は両親が愛情もって草むしりとかケアしてくれて頑張ってくれてるんですけど、とは言ってもある程度高齢だし、本業でもない。愛情はしっかりあるけど、時間をかけられるか?って言うとそうでもなくて。でも、うちのスタッフたちはその畑を見て、これなら自分たちでも農園できるって思ったみたいです(笑)

大倉:なるほど(笑)。

山本:でもそう思ってくれたのは、すごい良かったなって。ハードルを下げることができたっていうか。

鈴木:大倉さんが公園で農園やりたいって言ってた夢も叶う日が来るかもしれないですね。

大倉:ねーそうそうそう。やりたいなあ、僕もどこまで関われるかわからないんですけど。自分だけが言ってても始まらないと思うから。やっぱ名古屋市内とか東海圏の都市部とかに住んでいると、良い悪いじゃないけど、食べ物を育むところから自分と自然が繋がっている感覚の人がまだまだ少ないのかなって印象があって。そういう意味では『ビッグ・リトル・ファーム』とか『エディブル・シティ』も、自分たちの食べてるものがどこからきてどこに向かって、それを体に入れた自分たちがどうなっていくかっていうことを考えるきっかけになってほしい。そんな思いでやってます。

ー今回の映画祭以降、Hisaya-odori Parkもどんどんイベント仕掛けていく予定なんですか?

大倉:そうですね…夏は結局いろいろできなかったし、冬になっちゃうから本格的なイベントは来年とかかな〜。どう使っていいのか?どう遊んでいいのか?っていう部分がふわっとしていて、課題はまだまだある公園だとは認識しています。今回のSDGs映画祭が、公園でこういうことができるんだ!っていう良い例になれば、と思っています。難しいのが、公園だからイベントスペースみたいな感じで、「イベントやりたいです!」「はい、じゃあ貸します」っていう風にはできなくて。例えば、近くに住んでいる人も多いから、音はあまり出せないよね、とか人が集まりすぎると、マナーやゴミの問題も生まれたりとか。全部NGでも楽しめないので、ここまでだったらどう?っていうラインを少しずつ引きながら、みんなで目線合わせて、ハッピーになる実例を一個一個作っていくっていう、まだまだそんなフェーズなんですよね。

難しいですよね、近隣住民全員のOKなんてどうやっても取れないだろうし。公園にもともとあった木を伐採してしまったことに対してネガティブに言ってる人がいっぱいいるっていうのは噂で聞きましたけど。

大倉:僕が公園の運営に参加したのは去年からなので、その肌感覚で言うと、結局行政と指定管理者、市民との間のコミュニケーションのズレや不足が大きいように感じています。例えば、オープン当初、企画時に聞いていたリニューアル後の公園の内容の差を指摘されることが、かなりありました。おそらく、住民説明会があっても、結局いろんな物事があまり解像度が高くないまま、工事や準備が進み、オープンしてみたら、思っていたのと違う、っていうズレが、感情のすれ違いにつながったりんじゃないかな、みたいな。行政と指定管理者も人事異動があるので、どういう思いでこの公園をやっていこうとしたのかも、年々薄れていってしまうだろうし。

ーなんだかあるあるな話ですね〜。

大倉:なので、自分の立場としては、じゃあ公園や久屋という町をどう楽しい場所にしていくのか?を考えて、ひとつひとつみんなで試していくしかないかなってのが現時点での思いです。誰が悪いわけでもないんだから、みんなが楽しめる場所にしていく。それを続けるためには、商業施設としてのある程度のプロモーションや販促も必要だし。それと、久屋は、まちづくり系のことをやってる人たちが実はすごいたくさんいます。みんな、久屋への愛や、思いや、言いたいことがたくさんある(笑)。だけど、それって町のとってはすごくいいことだと思っていて、勉強にもすごくなってます。そういう言葉や意見を、1つにまとめないにしても、みんなが主役でせめて目線をどこに向けていくといいよねっていう表現の場になるのが、この公園の存在意義なのかもなって。これからの公園の課題っていうか、難しく考えたくないですけど……みんなが楽しくなる場所になるといいな!って。

ーHisaya-odori Parkについては良くも悪くも、気になっている人多いと思うんで、大倉さんのような人がいるってことを知ってもらいたいな〜って今日の話を聞いていて思いました。行政とデベロッパーと市民の間に立ってもがいている姿とか、それこそドキュメンタリー映画にしたら良いのかも(笑)。

鈴木:ドキュメンタリーは本当に自分でも撮れるんで、絶対いいと思いますよ。完成しなくていいんですしね、ドキュメンタリーなので(笑)。

一同:(笑)。

鈴木:今回、全ての上映作品をドキュメンタリー映画に絞ったのにはわけがあって、それはやっぱりこのイベント全体のテーマである「SDGs」が未来へ繋いでいくことを目的とした考え方だとして、ドキュメンタリー映画も過去に撮影された映像のアーカイブであり、それを今、見ること自体が、過去と現在が繋がっているわけだし、それが未来にも繋がっていく、そういう意味ではドキュメンタリーと SDGsってシンクロしているんです。

ー今回のSDGs映画祭も楽しみですけど、Hisaya-odori Parkの今後やスターキャットさんの次の一手も乞うご期待!って感じですね。

 

イベント情報

2021年11月6日(土)、7日(日)、9日(火)、12日(金)、13日(土)、14日(日)、18日(木)、19日(金)、20日(土)
Nishiki-2 SDGs映画祭
会場:伏見ミリオン座、THE CUPS FUSHIMI、IMOM SPACE、Hisaya-odori Park、TOPPAN DX-GATE、CBCハウジング名駅北
料金:無料〜有料各会場によって異なる
上映作品、日程、会場など:
11月6日(土)
オープニングイベント ムヒカ大統領が私たちに伝えたかった想い
『ムヒカ 世界でいちばん貧しい大統領から日本人へ』
会場:伏見ミリオン座
18:00〜20:30
トーク:田部井一真 監督

『よりそい 静寂と生きる難聴医師 2020秋篇』 『山小屋カレー』
会場:CBCハウジング名駅北
10:30~12:30 / 14:00~16:00

11月7日(日)
『根のことの葉 伊勢神宮の森が倉本聰に伝えたこと』『家族記念日』
会場:CBCハウジング名駅北 
10:30~12:30 / 14:00~16:00

森のミニオペラ『ミューズと仲間たち』
会場:CBCハウジング名駅北
13:00〜14:00

11月9日(火)
『プラスチックの海』
会場:Hisaya-odori Park
【トーク】18:30〜19:20
浅尾大輔/養殖漁業者、間瀬雅介/REMARE、多田純二/株式会社相建 代表取締役会長 株式会社忠重CEO
【上映】19:20〜21:00

11月12日(金)
『都市を耕す エディブル・シティ』
会場:Hisaya-odori Park
【トーク】18:30〜19:45
酒井淳/株式会社さかいや代表取締役社長 オーナーシェフ ビストロイナシュヴェ、山本雄平/MAISONETTEinc.CEO、芹澤孝悦/プランティオ株式会社 CEO、食と農のデジタル循環クリエイター
【上映】19:50〜21:00

11月13日(土)
『シンプル・ギフト ~はじまりの歌声~』
会場:伏見ミリオン座
16:00〜18:30
トーク:
篠田伸二/監督 ※オンライン登壇、石原弘之/プロデューサー

『ア・フィルム・アバウト・コーヒー』
会場:THE CUPS FUSHIMI 
13:00〜15:30
トーク:
阿部充朗/「MITTS COFFEE STAND」創業者、古賀聖啓/生産地と協働する会

『ハッピー・リトル・アイランド』
会場:THE CUPS FUSHIMI
16:30〜19:00
トーク:
澁澤寿一/NPO法人 共存の森ネットワーク理事長、名畑恵/NPO法人まちの縁側育くみ隊 代表理事 / 錦二丁目エリアマネジメント株式会社 代表取締役

『太陽と踊らせて』
会場:Hisaya-odori Park
18:00〜19:15(※芝生チルイベント 11:00〜18:00)
DJ:AGO、MUSICMAN、EGUCHI、YoshimRIOT、Marbie、Ikalaser

11月14日(日)
『よみがえりのレシピ』+制作10周年記念映像
会場:伏見ミリオン座
10:00〜12:30
トーク:
高橋卓也「山形国際ドキュメンタリー映画祭」 プロジェクト・マネー ジャー、渡辺智史監督 ※オンライン登壇

『74歳のペリカンはパンを売る。』
会場:IMOM SPACE
13:00〜15:30
トーク:
渡辺 陸/パンのペリカン 四代目店長、石原 弘之/プロデューサー

『ビッグ・リトル・ファーム』
会場:IMOM SPACE
16:30〜19:00
トーク:西田宏平 
株式会社TOWING 代表取締役

『千年の一滴 だし しょうゆ』
会場:Hisaya-odori Park
16:30〜19:30
トーク:
関谷健/関谷醸造株式会社 代表取締役、山本康弘/株式会社ワイマーケット 代表取締役

11月18日(木)
トークイベント「DX – 未来のVRコンテンツ制作」
会場:TOPPAN DX-GATE 
10:00〜12:30、15:00〜17:30
トーク:エリサベス・ヨピス/株式会社ナノボ 共同代表取締役、山口レナ/株式会社ナノボ 共同代表取締役、マルコス・クーパー/株式会社RAKUDO 代表取締役、ティモシー・ボール/株式会社RAKUDO CFO、
高羽将人/凸版印刷、野々村浩史/凸版印刷

11月19日(金)
トークイベント「DX – インバウンド観光に適用されるVRの新技術」
会場:TOPPAN DX-GATE
10:00〜12:30、15:00〜17:30
トーク:登壇者同上

11月20日(土)
クロージングイベント  安田菜津紀さん登壇
『ムヒカ 世界でいちばん貧しい大統領から日本人へ』
会場:伏見ミリオン座 
18:00〜20:30
トーク:安田菜津紀/
フォトジャーナリスト

各チケットの詳細:https://nishiki2-sdgsff.com/
主催:スターキャット・ケーブルネットワーク株式会社

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