Youtube
instagram
twitter
facebook
FEATURE / 特集記事 Mar 29. 2024 UP
【SPECIAL INTERVIEW】
DJ/グラフィックデザイナーとして活躍中のkotsu(CYK)が
自らフライヤーを作り続ける理由。
クラブカルチャーとグラフィックデザインに捧ぐ愛と遊び心。

Feature:kotsu(CYK)


kotsu

 

DJとして各地の夜を駆け回りながらも、同時に自身のパーティーをはじめとしたさまざまなイベントのフライヤーデザインを展開するアーティスト・kotsu。現在、自身のグラフィックデザイン展「RESIDUE」が3月31日(日)まで今池・BYにて開催中だ。

 


本展は、単なるフライヤーアーカイブスには留まらず、過去に制作したフライヤーデザインの素材から引用・再構築し制作された新作も同時展開されていることは特筆すべき点だ。

 

会期最終日となる3月31日(日)には本人も出演するClosing Partyを開催。さらに、LIVERARY Online Shop「LIVERARY Extra」にて今回展示されている、全てのポスターの受注販売及びグッズの販売を開始することに(オンラインでの販売は4月7日(日)までの期間限定となる)。

 


kotsu

 

展示初日には、kotsuによるオープニングトークも行われた。聞き手は、自身も編集・企画業と独学で覚えたグラフィックデザインを行う、武部敬俊(LIVERARY)。トーク内容は、DJやデザインに目覚めたきっかけから、フライヤーとクラブカルチャーの関係性、独自のデザインメソッドなどなど。会場からの質疑応答も含め、当日のトーク内容を改めて再編集・テキスト化し、インタビュー記事としてここに掲載する。

 

SPECIAL INTERVIEW:
kotsu(CYK)

Interview,Text & Edit:Takatoshi Takebe[LIVERARY]

 

Kotsu
1995年千葉県生まれ。ハウス・ミュージック・コレクティブ「CYK」のメンバーとして国内外のクラブや『FUJIROCK』や『Rainbow Disco Club』などのフェスティバルにおいてDJ活動を行っており、2020年に京都移住以後も2023年までに国内で26都市でギグを敢行。今年3月には渋谷WWW XにてALL NIGHT LONG SETも行った。また、DJ活動の傍ら2016年よりナイトクラブにおけるイベントのフライヤーの制作を独学でスタートし、CYKや個人主催でのイベントのビジュアルの他、国内のイベントのフライヤーを多数手掛ける。密かに文脈が埋め込まれたアイデアから出発しサンプリングやコラージュ、画像加工等の技法を使いながらファーストインプレッションの強さと情報伝達とのバランスを取った作品を生み出し続けている。また、他にも多数グラフィック作品を提供しており、過去にコラムが中心となったZINEの製作を行うなどあらゆるフォーマットでアウトプットを行なっている。”DJ”という肩書きに依拠せず活動する彼は、この時代に投下された一種の吸収体による純粋な反応に過ぎない。他作品に”Hiroshi Matsui – 『A Love From Tokyo』LPジャケットアートワーク、”PAL.Sounds – 『PAL.Sounds2』, ”kZm – Aquarius Heaven”等のアートワーク
『STUTS JAZZ JOURNEY』Podcastカバーアート、CYKのアパレルライン『EXTENSION』のデザイン、アパレルブランドへのグラフィック提供、デジタルZINE『Crossbreed』制作などがある。

 

ーDJ活動はいつから始めたんですか?

DJは、18歳の時なんで、ちょうど10年前に始めました。大学に入ってからです。CYKという4人でやっているパーティーコレクティブをはじめたのが、7年前くらいですね。CYKの活動をはじめてから、いろんなイベントに呼ばれるようになった感じなので、体感的にはその頃からが活動のスタートって感じですね。

ーDJやる前から、音楽はもともと好きだった?

そうですね。DJやる前からまあ好きではあったんですけどって感じで。大学に入るときに、サークルに入らないと友達ができないって思ってて、でも飲みサーみたいなのは入りたくないなって思っていて。そしたら、中学の時からの友達が「音楽芸術研究部」っていういわゆるDJサークルに入るよって誘われて。で、その部活に入って。部室があるんですけど、そこにDJ機材が置いてあって。それを触ってるうちにDJのやり方を覚えていった感じです。

ーえ、独学なんですか?部活の先輩にもDJのやり方とか教えてもらったりとかはなく?

そうですね……そんなに教えてもらってないですね。どちらかといえば、YouTubeで他のDJのプレイとかを見て、それを見様見真似で独学で身につけていった感じです。

 

 

ーグラフィックデザインはどうやって身につけていったんですか?

これは今話したDJの覚え方にもつながるんですけど、当時は周りにDJもデザインも教えてくれる人はいなくって。というか、DJに関していえば、今より 若いDJ自体がそもそも少なかったと思うんですよね。体感的には、今の10分の1くらいしか当時はいなかったんじゃないかな。かろうじて誘われるイベントも「なんかこのフライヤーを自分のインスタに載せたくないな〜」って思ってしまっていて。そういう状況の中で、だったら自分で納得のいくデザインのフライヤーを作ったほうが早いなって思って。独学でデザインも覚えていきましたね。

ーDJもデザインも独学!デザインを始めた当時に影響を受けたフライヤーデザインはどんなものでしたか?

90年代とかに行われていた「レイヴ」とか「アシッド・ハウス」って呼ばれるジャンルのパーティーのフライヤーは参考にしていましたね。当時は2色刷りのアナログな色彩のフライヤーが多くて。〈レトロフューチャリスティック〉な感じというか、最初の頃はそういうデザインに影響を受けて作ってましたね。

ーkotsu君のデザインの第一印象としては、ほとんど日本語が入っていないこともあって、海外のクラブのフライヤーみたいだなって思っていて。日本語をたくさん入れてわかりやすくしていけばするほど、宣伝物ってどうしても一般的にはダサく見えてしまうと思うんですけど。フォントのサイズとか文字/情報の載せ方について、気にしてることとかあります?

Instagramのストーリーとかわかりやすい例だと思うんですけど、写真とかはいい感じなのに文字を載せた瞬間に文字だけがパキッとしてしまって、生っぽいRAWな感じがなくなってしまって個人的にフィットしなくて。それをフライヤーを作るときは意識的に、文字が背景というか絵に馴染むように結構細かく文字やフォントもいじっていて。

 

 

ー確かによく見ると文字の輪郭がぼやけてたり、印刷したインクの滲みのような加工がされていたりしますね。

やっぱりフライヤーって文字で情報を伝達するっていう役割のもとに構成されているアートというか作品だと思ってるんですけど。その文字組みも含めてフライヤーデザインって好きで。文字が分離していないように、融合させるように文字部分にも手をかけるべきだと自分は思っていて。

ー前に話したときに、kotsu君は基本的にPhotoshopだけでデザインを完結させるって言ってたんで、その作り方の影響もあるかなって思いますね。大体はIllustratorを使ってデザインって組むと思うんで、それだとどうしても背景と文字をレイヤー的に分けて考えるデザインの構造になってしまう気がします。Photoshopっていうツールだけで作っているからこそ、文字も背景のグラフィックも合わせて、一枚の画像っていう意識によりなっていくのかなって。ちなみに、DJもそうですけど、グラフィックにおいても、文字の加工の技術的なところとか、そういうの細かい技術はどうやって自分の思い通りのものを作れるように習得していったんですか?

これめちゃくちゃ単純で、とにかくたくさん作るってだけですね。あとはソフトとずっと対話してるみたいな。ある機能を使ったら、「あ〜これ押したらこうなるんだ!」という発見の連続で覚えていったっていう感じで。それは今も現在進行形です。自分の好きなリファレンスとか、誰かが作ったデザインとかが脳の中のどこかに置いてるんですけど、まだ使ったことのない機能を試しながら、「あ、これこうやってたんだ!最高!」という感じで家で一人デスクトップの前でブチ上がりながら作っていますね。情報伝達の意味でのデザイン技能はもうある程度習得できているとは思ってるんですけど、まだまだグラフィックデザインは奥深くて楽しみながら作らせてもらってます。

 


kotsuのアートワークを散りばめたBOOKも販売中。

 


ー今回は過去に作ったフライヤーをポスターにして展示するっていうエキシビジョンってことで、告知にもステートメントは載せてますが、ここに書かれている今回の展示の意義というかコンセプトみたいな部分について、改めて教えてもらえますか?

今さっき話した話にも通ずるんですが、(イベントの告知という役割を持っている)フライヤーとかポスターってあくまでも期日があるので、イベントタイトル、出演者、日にちっていう情報を伝える伝達物でしかないっていうもので、そのイベントの日が過ぎてしまったら(情報としての)価値や役割も失われてしまう。その軽さってのが好きで。完全なアートではないっていうか、アートコンプレックスとまでは言わないですけど、作品化している作家さんへのリスペクトもありきで言わせてもらうと、自分はあくまで野良のデザイナーだなって思っていて。それでも、かなりの数のフライヤーデザインを作ってきたことには、ちょっとした自信が伴ってきて。それを展示という形で世に出すってことは大事なことかもなって。個展をやらないか?って誘ってもらったときに思いました。

ー第三者からのお誘いがあったからこその気づきって感じですね。

そうですね。で、展示をやる上でどうしたら自分のデザイナーとしての自信の無さを払拭できるかな?と考えて、今回の展示も過去のフライヤー作品をポスターにしたものだけでなく、過去のフライヤーで作ったグラフィックデザインの素材とかをリエディットして再構築した作品を新作として展示しているんですけど。

ータイトルの”RESIDUE”ってのは?

”RESIDUE”は、残滓(ざんし)ていう「残りカス」とか「残ったもの」みたいな日本語の英訳で。本来のフライヤーの価値がなくなった後に、殘るものって何なのだろうか?ていうの問いを今回の自分の展示のコンセプトに置いていて。で、実際展示してみたら、来た人たちが「このイベント行った!」とか「こんなイベントあったんだ〜」って会話が始まって。すごい何かこうみんなの思い出がひとつに紐づいているアート作品ってなかなかないな〜って考えたときに、フライヤーやポスター作品というもののもう一つの価値を再確認できた気がして。

 

ちなみに、このぺらっとめくれている形で展示している作品があるんですけど。これは展示のコンセプトにも通ずる、かなり重要な作品で。自分がツアーとかで長期で家を空けたときに、久々に帰ってきたときに、部屋に貼ってあったフライヤーがぺろっとめくれていたことがあって。まるで、「やっとお前帰ってきたな!」みたいにフライヤーに言われているような、自分が見られてるような気がして。なんかそのときにフライヤーの裏面に目がついてるイメージが降ってきて、それで、裏面にプリントしてあるんですけど、これは以前別のフライヤーで使用した目のグラフィックの素材を加工して使っています。

 

 

目があるフライヤー=生き物のような存在に思えてきて、じゃあそのフライヤーは「何を見つめているんだろう?」って想像をしてみたんです。終わってしまったイベントの過去の思い出なのか?それとも、このイベントをやったことによって生まれた何らかの未来なのか?って。フライヤーを見て、和気藹々と喋るって行為はちょっとノスタルジックていうか「あの頃はよかったね」って言ってるみたいな感じもして。でも、「あの頃はよかったね」っていう会話ってなんかちょっと後ろを見ている感じで、自分は嫌で。それよりも未来にどうつなげていくか?ってのが重要だよな、と。だから、フライヤー自体は過去のものなんだけど、そのフライヤーは未来を見つめているっていうアティチュードを作品にしました。この作品が閃いたときは、めっちゃいい!って我ながらブチ上がりましたね。

ー自分のイベントとかだったら、自由に作れるとは思うんですけど。受け仕事とかだと思い通りに作らせてもらえないなんてこともありましたか?苦労したフライヤーとかってないですか?

そういうフライヤーは気に入ってないから、今回は展示してないですね(笑)。もちろんある程度、僕のデザインのカラーをわかっていて、オファーしてくれるんで、ほぼほぼ自由に作らせてもらうことが多いですね。そんなに無茶な修正とかが入ってきて苦労したとかはないですけど、デザインを優先して文字を小さくしたりとかしたときに、文字の大きさについては言われたりはしましたね。「もう少し大きく、わかりやすくしてください」みたいな。いつもそこはせめぎ合って、作ってますね。自分でも小さくしすぎたときにこれだとやっぱわかりにくいって言われそうだなって不安になって大きくしたりとかもするんですけど。でも、結果としてそういった鬩ぎ合いやプロセスがあったからこそ、最終的にこの作品は生まれたのか、とポジティブに考えますね。商業とクリエイティブのバランスってのはあると思うし、どんなクリエイティブな仕事でもブチ当たる壁かなとは思いますが、クラブのフライヤーってジャンルは比較的自由度が高いですよね。

ーだからこそkotsu君のように作品性を持たせた、アート(作品性)とワーク(商業性)の間での遊びが生まれるんでしょうね。ちなみに今回のフライヤーにメインビジュアルに使っているモチーフについて教えてください。

 

 

これは、友達んちで冬にみかんを食べてた時のエピソードに由来してて、みかんって食べてたら皮とかのゴミが出るじゃないですか? その友達がもう要らなくなった賃貸の物件紹介のチラシで折り紙みたいに折って、ゴミ箱を作ってくれたんですよ。それってまさに自分が展示で表現しようとしていた(情報としては)要らなくなった過去のフライヤーから未来を見出すっていうコンセプトと、3カ月前の賃貸物件のチラシを再利用してゴミ箱にするっていう新しい価値を吹き込むような行為が重なって。ちょうどその時、メインビジュアルどうしようかな〜って考えていたのあって、見た瞬間に、「うわ!これだ!こういうことじゃん!」って声が出ましたね。それでそのチラシで作ったゴミ箱を写真に撮って、その日のうちにグラフィックにしましたね。

ーでも、パッと見てまさかこれがチラシを折って作ったゴミ箱だなんてわからないのもいいですよね。

そうそう。ある人は「車?」って言ってくれたり、何かのマシーンのように見えるって言われたり。なんとなく、80年代的なSFの感じというか、レトロフューチャー感も出て、気に入ってます。そういう小ネタみたいなのは結構フライヤーに入れ込んでいて。

 

 

 

例えば、このフライヤーはMOODMANっていう重鎮のDJをゲストとしてお迎えしたイベントで、他に僕含め3人DJが出ることになってたんですけど、3人ともMOODMANとBtoB(=1曲ずつ交互に選曲し合うプレイ)をする時間を設けるっていう企画にしてて。で、この企画を自分たちの中で密かに、「MOODMAN道場」って呼んでて。MOODMANの肩を借りながら俺らも上がってく、みたいな。だから、背景に音符のような道を敷いて、その上をターンテーブル3台が駆け上がってくビジュアルにしたんです。で、道場ってことで、右下に柔道の帯のビジュアルを入れてたり、わかりにくいけど、照明のビジュアルは「MMM」っていうイベントタイトルにしてたりします。

ー小ネタ満載!というか、全てにちゃんと意味があるんですね。勉強になります。

 


ちなみに、このポスターはさっき話したチラシのゴミ箱のビジュアルをバーって貼り付けていったら、人間の横顔のように見えてきたんで、その方向性で再構築したデザインポスターです。フライヤーに新しい命を吹き込む、から発展して人間に見立てた、というデザインですね。人格を持ち始めた、みたいな。そういう軽さを持った自由度の高いデザイン性がやっぱりフライヤーならではの、魅力だなって思いますね。

ーなるほど。今回の展示の中で気に入ってるフライヤーは?

江ノ島から見える景色をマウスで描いて作ったのが、OPPA-LAのコレで。真ん中に配置してるカモメみたいに見える白いビジュアルは実は、CYKのメンバーにNaoki Takebayashiってのがいるんですけど、彼の写真をめっちゃぼやかして入れてて。そういう遊び心を入れ込めたっていう意味でも気に入ってます。

 

 

 

ーkotsuくんのデザインは、何かしらのアイデアが降ってきて、それを形にするっていうメソッドだと思うんですが、どれくらいのスピードで作ってるんですか?結構早そうですよね。

そうですね、めちゃめちゃ早い方だと思います。基本、アイデア降ってきてから形にするまでは大体3時間くらいなんで(笑)。

ー早いっすね!

本当にいいんだろうか?もっと時間かけた方がいいかもな、って思ったりもしたことあるんですけど、そもそもクラブのフライヤーデザインってそんなにお金がもらえなかったりするし、即興で作るっていうか、その軽さが良いんですよね。

ーこねくりまわしても結局最初に作ったやつが良かったりしますよね。他のデザイナーが作ったフライヤーで好きなものは?って聞かれたらどんなのが思い浮かびますか?

イベント毎にフライヤー作る人を変えると印象がバラついてしまうと思うんですけど、クラブとしてのカラーを統一させるっていうディレクションができてるクラブって海外にはたくさんあって、 中でもニューヨークの「GOODROOM」のデザインディレクションは好きですね。Bráulio Amadoって人が作ってるんですけど、彼は手描きの絵とか多用していて、文字も小さくて、多分最近の自分のデザインに影響を与えてると思います。あと、日本だと「翠月/MITSUKI」ってクラブのWEBフライヤーが画一的な世界観も持たせつつ、アナログ感のあるデザインで秀逸なんですよね。これ、実は毎回のパーティーごとに出演者に何かしらの画像をもらって、文字情報も入れて、レシートの機械で出力したものを再度スキャンして作ってるらしいんですよね。この手法を考えたのが、YOSHIROTTENさんで、『1000 NIGHTS』っていう本にもまとめられてます。海外のクラブだと画一的なデザインでかっこいい打ち出し方をしているクラブは結構あるんですけど、日本でもようやく増えてきて、最近できた大阪の「BAR Inc」っていうクラブのフライヤーも好きですね。そこも文字がちょっと滲んでたりしてて。まあ完全に僕の好みってだけですけど。

 


YOSHIROTTEN 公式HPより「翠月 -MITSUKI- ZINE / 1000 NIGHTS」

 

ークラブカルチャーとフライヤー文化って密接な関係にあると思うんですが、その辺りについてはどうですか?

もっとフライヤーにフォーカスを当てて欲しいなって思いもあって、今回の展示をしたかったてのもあります。バンドとかだとツアーでまとめられたフライヤーが多いと思うんですけど、クラブの場合は毎週末、さまざまな場所でイベントがあって、もちろん僕以外にもたくさんのフライヤーデザインをしている人がいて、それぞれのイベントごとにフライヤーが生まれていってる。これってすごいことだよなって。今回のような展示をきっかけにもっとみんながフライヤーについて語り合ったりする場を生み出せていけたらって思っています。これをきっかけにみんながクラブとかでもフライヤーデザインについて語ったりする機会が増えたりしたらいいですよね。

 


(会場の質問者より)ー今後の展望は?

DJって楽しいんでどんどん予定入れちゃうんですけど、もう少しデザインだったりの制作の時間も増やしていきたいなって思ってますね。もっと質を上げていけたら良いなって。クラブシーンってどうしてもナイトライフのカルチャーでもあるから、もちろんそれなりに規模とか大きくしていきたいって思いもあるけど、継続させていきたいって思いますね。

ーでも、クラブシーンって行く機会が減ってしまうと、現場にいないと無いものにされるというか、感覚がずれていってしまう気もしますよね。

そうですね。ライフステージの変化で色々変わっていくこともありますよね。でも、もともとDJとしてやりたかったことの原義に立ち返って考えたときに、ダンスミュージックというジャンルは一曲一曲を聴くというよりか、長い時間聴くものなので、それだったら深夜の文脈じゃないところでも活躍の場はあるかもしれないなって思ったり。でも、そこまで具体的な展望はないかもしれないですね。

ー若い人たちは特にですけど、「好きなことを仕事にすること」に憧れを持っている人は多くいて欲しいなって思って、この「BY」という場を作ったんですけど。kotsu君のように好きなことを仕事にしていくためのアドバイスって何かありますか?

僕もここまでくるのは大変でしたが、今はなんとか好きなことだけで食えてると思います。もともと自分は好きなことを仕事にしたいって思ってたタイプでもなくて。というか、そんなことを思う暇もなかったというか、とにかく目の前にあることに一生懸命向き合って、都度軌道修正していくみたいな。大学生くらいの時は、ノートに自分の将来設計みたいなものを書き出したりとかしてたんですけど、一回とことんバカになって「イェーイ!」とかしか言わないみたいな(笑)。そういう時期を意識的に作ってみたんですよね。そしたら、その方がうまくいったりもして……。さっきの「今後の展望は?」って質問の答えとしては、最終的にみんなと長く遊べたら良いな、くらいしかないかもしれないです。

 

会期最終日となる3月31日(日)には本人も出演するClosing Partyを開催。さらに、LIVERARY Online Shop「LIVERARY Extra」にて今回展示されている、全てのポスターの受注販売(出力サイズはA1〜3の中から選択可能)及び展示グッズの販売を開始することにオンラインでの販売は4月7日(日)までの期間限定となる。この機会をお見逃しなく!

イベント情報

2024年3月19日(火)〜31日(日)
“Residue” Graphic Exhibition (BY}kotsu
会場:BY 
時間:15:00〜21:00
料金:入場無料
定休日:木曜定休(3月21日(木)、28日(木))

2024年3月19日(火)
“Residue” Graphic Exhibition (BY}kotsu
Talk & DJ Party

<TALK>
会場:BY
時間:17:00〜21:00
料金:入場無料(1Drinkオーダー)
※予約優先 ※定員あり
TALK;
トークテーマ「クラブとフライヤーカルチャー/独特デザイン論」
トークゲスト:kotsu
ファシリテーター:武部敬俊(LIVERARY)
DJ:
kotsu
水路

<DJ PARTY>
会場:NORMAL
時間:21:00〜27:00(予定)
料金:1500円
DJ:
kotsu
SBT
JION (MAKOSSA BOYS)
TAIHEI
yusuke uchida(LOVE)

2024年3月31日(日)
“Residue” Graphic Exhibition (BY}kotsu
Closing Party
会場:BY
時間:17:00〜23:00
料金:1000円(With Sticker) 
DJ:
kotsu
MAKOSSA BOYS(MrMr&JION)
Ayyu
jotarorr

Kotsu
1995年千葉県生まれ。ハウス・ミュージック・コレクティブ「CYK」のメンバーとして国内外のクラブや『FUJIROCK』や『Rainbow Disco Club』などのフェスティバルにおいてDJ活動を行っており、2020年に京都移住以後も2023年までに国内で26都市でギグを敢行。今年3月には渋谷WWW XにてALL NIGHT LONG SETも行った。
また、DJ活動の傍ら2016年よりナイトクラブにおけるイベントのフライヤーの制作を独学でスタートし、CYKや個人主催でのイベントのビジュアルの他、国内のイベントのフライヤーを多数手掛ける。密かに文脈が埋め込まれたアイデアから出発しサンプリングやコラージュ、画像加工等の技法を使いながらファーストインプレッションの強さと情報伝達とのバランスを取った作品を生み出し続けている。また、他にも多数グラフィック作品を提供しており、過去にコラムが中心となったZINEの製作を行うなどあらゆるフォーマットでアウトプットを行なっている。”DJ”という肩書きに依拠せず活動する彼は、この時代に投下された一種の吸収体による純粋な反応に過ぎない。
他作品として、”Hiroshi Matsui – 『A Love From Tokyo』LPジャケットアートワーク、”PAL.Sounds – 『PAL.Sounds2』, ”kZm – Aquarius Heaven”等のアートワーク、『STUTS JAZZ JOURNEY』Podcastカバーアート、CYKのアパレルライン「EXTENSION」のデザイン、アパレルブランドへのグラフィック提供、デジタルZINE『Crossbreed』制作などがある。

RELATED
あなたにオススメする関連記事


PICK UP
特集・ピックアップ記事