Text & Photo by Ayaka Torii
仕事を辞めずにバックパッカー。
名古屋在住アラサーOL海外一人旅日記
ヨーロッパ編③ジョージア軍用道路を北上、カズベキでコーカサス山脈の大自然を感じる旅。天国に一番近い教会とモザイク画のモニュメント。
2024年9月8日
早朝地下鉄に乗り、アブラヴァリという駅に向かった。
今日は現地ツアーを予約していたので、ロシアの国境付近に位置するジョージア北部のカズベキという山岳地帯に行く。
バックパッカーとしてはツアーを使わずになるべく自力で旅したいところだが、ジョージア北部は行きたいスポットが広範囲で点在しており1人で行くにはハードルが高く、ツアーでは行きたい場所がおおよそ網羅されていたので事前にネットで現地ツアーを申し込んだのだった。
地下鉄のホーム。天井の黒い円が綺麗に整列している
アブラヴァリ駅に到着。
駅周辺の集合住宅
ツアー参加者はアブラヴァリ駅の前で集合ということになっていた。だんだんとツアー客っぽい、動きやすい服装にリュックという出立ちの人が集まって来たので私もその集団の中に混ざった。日本人のカップルが1組いたので自然を装い近くに寄って安心感を得る。しばらくするとオレンジの旗を持ったツアースタッフが来て、オフィスまでみんなを案内した。
オフィスの中で待っていると、行き先の札を持ったスタッフが来て呼び声がかかった。ゴリ、カヘティと地名が上がっていくたびにオフィスから人が出ていく。ここにいる全員がカズベキに行くわけではないらしい。なかなか呼ばれないなと思いながら、部屋のテレビで丁度流れていたGlass BeamsのMahalのMVをぼんやり見ていたら最後にカズベキ、と声がして残った人全員がオフィスから出た。私も外に出て、マイクロバスに乗ってトビリシを出発した。
ジョージアにはジョージア軍用道路という、トビリシからロシアのウラジカフカスにかけて敷かれた約200kmの幹線道路がある。
この道路に沿って北上しながら、途中観光名所に立ち寄りつつ、最後にロシアとの国境沿いのカズベキへ着地するというのが今日のスケジュールだ。
15人ほどのツアー客を乗せたマイクロバスはトビリシの街中を抜け、あっという間にジョージア軍用道路に乗って山間部に入っていった。トビリシをちょっと出るとこんなに雰囲気が変わるのか。ジョージアが山の国であることを実感した。
まずはアナヌリ要塞という要塞跡地へ。こちらは教会もあり、向こうにはジンバリ湖という湖が広がる。
教会の装飾を見るのが楽しい。壁に描かれた宗教画、十字架、金色の繊細なレリーフ等々じっくり時間をかけて見てしまう。ゴシックなモチーフに中二心をくすぐられる。この後の2ヶ月間も、訪れたヨーロッパ各国で教会を見かけては中に入って見物することになる。
女性は頭にスカーフを巻いてから中に入るというのがルールだったので、入り口に置いてあったスカーフを借りた。
人々の祈り方が印象的だった。丸い小さなキャンドルに火を灯してスタンドに置き、右手で十字を切る動作を何度か繰り返して、手にキスをしてその手を壁や絵画に添える、というのが一連の流れのようで、老若男女皆その仕草をしていた。ジョージアの主な宗教はキリスト教の一派であるジョージア正教らしく、このような祈り方がポピュラーなのかもしれない。
バスはその後パサナウリというヒンカリ発祥の地と言われる村に向かった。ここで他のツアー参加者と一緒に昼食をとる。
パサナウリのヒンカリ。トビリシで食べたものより大きい
ハチャブリという、中にチーズと卵が入ったパン
ヒンカリにハチャブリ。ジョージアの料理名は語感が可愛い。
ツアーには様々な国から参加者が集まっていた。中国、インドネシア、ドイツ、ニュージーランド。私のように1人で参加している人も何人かいた。料理はかなりボリュームがあったので、みんなで分けて食べた。
昼食後、バスはさらに北上しグダウリという地域についた。グダウリにはロシア・グルジア友好記念碑というモニュメントがある(グルジアというのはジョージアのかつての呼び方)。このモニュメントを実際に見てみたくて、私が今回のツアーで最も来たかった場所だ。記念碑は小高い丘の上に位置していた。
半円形の巨大なモザイク壁画。
友好記念碑という名前が付けられているが、ロシアとジョージアは現在あまり関係性が良くない。このモニュメントはジョージアがソ連統治下にあった1983年に建てられたものらしい。正面から左側がジョージア、右側にロシアの歴史と文化が描かれている。
ロシア側には宇宙飛行士のモザイク画が
壁画の後ろには広大な山の風景が広がっていて、パラグライダーが飛んでいるのが見えた。
どうしてここに記念碑を建てようと思ったのだろうか。周りに何もないので、山の中に突然現れる壁画はなんだか超常現象的だった。
グダウリを出てマイクロバスはさらに北に向かい、いよいよロシアとの国境沿い、最北端のカズベキを目指す。
バスから見えた倉庫。ジョージア語と中国語が並んで書かれているのがなんとも不思議
今までは曇り空だったが、嬉しいことにカズベキに来ると晴れ間が出ていた。コーカサス山脈の景色がかなりクリアに見える。
稜線が美しい。
人生で初めて海外の山の風景を見た。標高は5000mほどと富士山より高いので、この時人生で見た山の中で一番高い山となった。
カズベキにはゲルゲティ三位一体教会という、天国に一番近い教会と言われる場所がある。
教会は標高2170mの山の頂上に位置し、ジョージアの名所について調べると必ずと言っていいほどこの教会が出てくる。
ゲルゲティ三位一体教会
ぽつんと頂上に佇む小さな教会、そのバックに雄大なコーカサス山脈が広がる光景を見ていると地上と空が近くなったような感覚になり、天国に一番近いという謳い文句にも頷ける。
本当はネットによくある写真のように、遠くから教会を見下ろすようなアングルで写真を撮りたかったが、ツアーではそのようなフォトスポットには行かず、一気に頂上まで向かったので近くから写真を撮った。
最後にカズベキのホテルのカフェで一休み。ホテルのバルコニーから見える山の風景も素晴らしかった。
ツアーはこれで終了。軍用道路を南下しカズベキからトビリシまで戻った。所要時間は3時間ほどで、アブラヴァリ駅に着くと21時を超えていた。
夜のトビリシ。遠くにテレビタワーが赤く光る
カズベキ日帰り旅行はジョージア・ロシアの歴史に触れ、コーカサス山脈の大自然を感じる旅となった。
次回、ジョージア最終日。私がこの地で最後にやりたかったこと。
鳥居 絢香 / Ayaka Torii
1992年生まれ。名古屋在住の会社員。LIVERARYスタッフ。
海外旅行と名古屋のカルチャー、飲食店が好き。
沢木耕太郎と誕生日が同じ。
Instagram: ayaka_10r
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I Am Robot And Proud が6年半ぶりとなるアルバムリリース&バンドセットでの日本ツアー敢行。名古屋公演は今池・TOKUZOにて。Lullatoneが共演。
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仕事を辞めずにバックパッカー。名古屋在住アラサーOL海外一人旅日記ヨーロッパ編①2ヶ月の旅の始まり。旧ソ連の面影が残るジョージアの首都・トビリシでソビエト建築探訪。