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FEATURE / 特集記事 Jan 07. 2015 UP
孤高の存在、OGRE YOU ASSHOLEの強さ。
3部作最終章『ペーパークラフト』、その向こう側。

SPECIAL INTERVIEW : 出戸学、清水隆史、勝浦隆嗣(OGRE YOU ASSHOLE)

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老夫婦の恋愛観と、見えない毒

ーいいなぁと思ったレコード(音楽)のムードや雰囲気みたいな抽象的な部分を自分たちの楽曲に落とし込むという方法で作曲のアイデア作りをしているという話を別のインタビューで読んだのですが、音楽、レコード以外のソースってどんなものがあるんですか?

出戸:まあ映画とか。本とか、漫画とか。普通ですね。最近だと、映画は友達に勧められて『ピクニック at ハンギング・ロック』っていうのを観ました。あと漫画は、『河童の三平』読みましたね。

ーちなみに、昔からよく聞いてる歌謡曲とかあるんすか?J-POPとか聴いてた頃もあると思うんですけど。

出戸:ないんですよ、僕。

ーえ!

出戸:うちの実家が、歌謡曲とかJ-POPとか流れない家だったから…。

ーテレビも見ない?

出戸:テレビはあるけど、食卓でそういうJ-POPとか流れると、うちの親父が悪態つき始めて、チャンネル変える、みたいな。

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出戸:(父親が)認めてたのは、Charとか、井上陽水とか。あと、サザンオールスターズとかも好きだったかな。

ー歌詞を考えたりメロディを考えるうえで、何かしらの手本というか、誰かの影響を受けてるってのはないんですか?オウガは日本語詞だから、いくら洋楽を聴いてても日本語の歌をつくるって点では直結しないんじゃないかなって思って。

出戸:自分はなんだろうなあ。何かに影響は受けてるとは思うんだけど。子供の頃は、邦楽ほとんど聴かなかったんです。何故か日本語の歌があまり好きじゃなくて…。でも「コーネリアス」とか 「ボアダムス」とかは、なんとなく聴いてたのは覚えてます。

ーフリッパーズ・ギターは聞かなかった?

出戸:フリッパーズ・ギターに戻って聴いてみたら、自分はダメだった。アレ、同じ人なのに?って(笑)。

ーなるほど。じゃあカラオケとか行ったら歌う曲がない、みたいな感じなんですか。

出戸:そうそう。行かない(笑)。

ーでも、子供の時とか同世代ぐらいだと、とんねるずの「ガラガラヘビがやってくる」とか、学校で流行ったりしてたと思うんですけど。

出戸:まあ知ってるけど。でも好きにはならなかった。

ーそれ、友だちと話が合わなさそうですね(笑)。そういうませた感じの(子供時代を送ってた)人だったら、「将来は東京に行きたい」とかって思考になりそうなんですけど、そうはならなかったんですか?たまたま愛知の大学に受かったからっていうのもある?

出戸:そういうのもある。でも、昔からそこまで東京に憧れはなかったな。長野(から東京)は近かったから、ちょこちょこ行ってたし。それもあるかも。でも歌詞は何に影響受けたかはわからないですね、自分でも。ちょっと考えてみます。

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写真は、取材前に「greatest hits」で出戸君が掘り出した一枚。「何だかよくわからないけど、MOOGのコンピらしいです(出戸)」。

 

ーちなみに、音楽聞くときって、歌詞とか重要視します?

出戸:うーん、最近するようになってきた。洋楽とかでも歌詞とか、読みなおしたり。『homely』ぐらいから。その前までは、歌詞を考えるときでも、音的な歌詞というか、楽器の音の邪魔にならないような歌詞に意図的にしてたというか。文法とかはめちゃくちゃでもいいみたいな。

ー何かしらのメッセージや伝えたい事柄があって歌詞を書くっていう感じではないですよね。

出戸:それは全然、全くなかったです。でも、言葉って結局、意味のない単語を3つ並べただけでも、人ってなんか勝手に意味があるんじゃないか?とそのメッセージ的なものを読み込むから…。その力を利用して、できるだけわかんなくする、みたいな歌詞の書き方だったんだけど。最近は、なんかそのあまりにもこう行間がありすぎるなあって思って、歌詞に意味をつけようとは考えてる。

ーその行間を読んで勝手に想像してる人たちをみて、クスクス笑ってたりするんですか?

出戸:「クスクス」ってことはないけど(笑)。「ふむふむ」とか「へ~っ」っていう、どっちかというと感心することの方が多いですね。こういう風に解釈されるんだ、こういう風に聴かれるのか~って。おもしろいこと書いてる人とか見つけると、けっこううれしい。

—前作『100年後』の「記憶に残らない」とか、今作『ペーパークラフト』の「ムダがないって素晴らしい」とかって、男女間のことを歌ってるようなフレーズが出てきてる気がして。

出戸:どちらかと言えば、男女間のことを書いた歌詞なんだけど、敢えて言うなら、完全に性的興奮を失ったセックスレスな男女間というか(笑)。

ー老夫婦の恋愛みたいな?

出戸:そうそう。若い男女間の恋愛って、ちょっとしたコメディだと思ってて。そういう愛だの恋だのを歌にするとちょっとね…。ギャグにすればおもしろいと思うんだけど。でもそこをまじめに歌っちゃってもなぁっていうのはある。だから老夫婦の恋愛感情だったり、もしくは、もう感情もない世界の人のことに置き換えたりするのだったら、歌えると思って。そういうのをわざと演じた、ってのは今回のアルバムであって。「いつかの旅行」って曲とかは、プロデューサーの石原さんが「っていう主語で歌ってみたら?」って言ってきて。主語を「俺」にして、それだけで他の歌の世界観と変わってきて。歌詞のアイデアでそういうのは、初めてもらって。今まで何も言われたことなかったんだけど。やってみたら意外と書きやすくて。

ー自分じゃない、他の誰かになれる?

出戸:そうそう。「僕」って書くといつもの感じになっちゃったりする。「俺」って書いたら、すごい勢いで書けて、歌詞は一晩でできちゃって。

ー『ペーパークラフト』でいうと、曲だけ聴いてると、心地いい感じのムードを持った曲が多いと思うんですが、歌詞を読むと、めちゃくちゃシニカルというか曲のムードと歌詞の間に歪みがあるなあと思って。歌の内容と曲調が乖離しているというか。同調はしてない。もし、海外の日本語わからない人がオウガの音楽を聞いて、後から歌詞の意味を知ったら、この歌詞めちゃくちゃ変じゃん!って思うだろうなって。

出戸:『ペーパークラフト』はある意味、毒が一見してないように見える作品になったと思う。勝浦さん、なんか言ってたよね。今回は毒が見えにくくなってるって。

勝浦:今までよりは、毒が小さくなって散りばめられてるから。パッと見た時は、気づきにくいかなって。それは、バンドが技術的に上手くなってきたからってのはある。

ー上手くなってきた?毒の隠し方が?

勝浦:隠すっていうか、前はもっとイビツだったのが、少しバンドが成長したから、ある意味、一見すると無味無臭な感じになったというか。

ー細菌兵器の作り方みたいな話ですね。一見して安全なように見えて、実はものすごい毒が入ってる新兵器の開発に成功した…みたいな。

勝浦:細菌兵器(笑)。うまい例えだね。でも、毒だとイメージが悪いから言い換えたいな…(笑)。なんだろう、違和感ズレっていう言葉が近いのかな。前はそれが目に見えて塊のまま曲中にあった。アレンジがすごい変だったりとか。そういうことしなくても、やりたいことができるようになったっていう感じはある。

 
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名古屋にいた頃の思い出がない?

ーオウガは大学生時代は名古屋を中心に活動していたので「名古屋でどこかお気に入りの場所とかあったら教えて下さい」って出戸君に取材前に質問したんですけど、「ない!」って回答がきたのには笑いました。「名古屋に対して、全然思い入れないじゃん!」って(笑)

出戸:いやいや、そんなことはないです(笑)。その「お気に入りの場所」って答えた場所で取材するのかな~って思って言わなかった。えっと、じゃあね、「もりもり弁当」って弁当屋さんかな。

ーそんな漫画みたいな名前の弁当屋さんがあるんですか?(笑)

出戸:そうそう(笑)。その弁当屋さんが、今池の「ムーン」っていう、今はもう無くなったスタジオのすぐ裏にあって。そこの弁当をよくみんなで食べてたね。僕ら、そのスタジオ(ムーン)にものすごい頻繁に通っていたから、ある意味僕らで生計保ってたみたいなスタジオだった。

ー(笑)。でも、本当に音楽関連のことしか生活が見えないっていうか、その弁当屋もバンドの練習してたスタジオの近くにあったから…っていう理由だし。あと、レコ屋とかライブハウスくらいですよね? 単純にここの景色が好き!とかお気に入りの場所っていうのはないんすね…

出戸:う~ん…。

ー「はい、これが世界三大絶景です!」って見せられても、何も思わなさそう…。

出戸:そんな感受性低いわけじゃないですよ(笑)。人並みに感動するけど、リアクションが薄いっていうだけ。たぶん。

ー大学時代とか遊びに出なかったんですか?なんか部屋に籠ってレコードを聞き続けてそうなイメージです。

出戸:そんなでもなかったけどね。大学生の時は車持ってなかったから、だいぶ行く場所は限られてた。名古屋は、東山線沿いくらいしかわからない。しかも、その駅と駅の間についてはほとんどわからないから。名古屋、伏見、大須……栄? 伏見とか全然わかんないな。つながってない。…やっぱり音楽しかなかったってことですかね(笑)。

ーあんまり街を出歩いたりしなかった?

出戸:そうっすね。友達の展覧会とか見に行くぐらいだったと思う。


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メッセージも、目標地点もない

ー清水さんは、カメラマンの仕事もされてるって聞いたんですけど、出戸君はもう音楽しかやってないじゃないですか。もしも音楽を辞めたら、他の仕事をやってるとしたら、何だと思いますか?

出戸:なんだろうね、バイトとかしてるのかなあ。

清水:絶対してないでしょ(笑)

出戸:学生の頃にちょっとバイトした時は、わりとすぐ、クビになってた。…まあ、わかんないですね。

清水:彫刻家?( ※ 出戸君は大学時代は彫刻科を専攻していた)

出戸:絶対なれないっすよ、そんな甘いもんじゃないんで。大学の友だちとかで彫刻やってるやつらも、バイトしながらだからね。実際、彫刻で食っていくって、ミュージシャンより難しいかもしれない。

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清水隆史(Ba)

 

ーバンドをはじめたときは、この状態を想像してなかったですか。こうなるとは思ってなかった?

出戸:音楽を仕事にしてるとは思ってなかったね。売れたいというより、あそこのライブハウスに出たいとか、あのバンドと対バンしたいとかってのは…昔はあったけど、今はそういうのも少なくなっちゃったね。

ーそれこそさっき出てきた、セックスレスな老夫婦の恋愛みたいな心境ですか?(笑)

出戸:でも、ちゃんと活動してないと食えないから、そこはキープをしたいなと思うけど、そこが一番大変なところで。僕らみたいな音楽性だと。

ー今回の『ペーパークラフト』で、一応「3部作」って銘打たれたものは終わりじゃないですか。次はどうするんですか?

出戸:まあまた、なんか作ります(笑)。

ー別にそんなに、次のことは考えてない?

出戸:まあ考えつつ…。今はツアーやってるから。ライブでのアレンジとか演奏のことを一番考えています。

—『ペーパークラフト』って、スタジオワークに重点がおかれている楽曲が多いアルバムなので、今回のツアーでそれをどこまでライブで再現するのか?っていうのも興味があります。

出戸:そこは試行錯誤してる。ツアー初日は、リハにすごい時間をかけたんですよ。(※取材日は、ツアー初日の翌日でした)現場に入って初めて、PAの佐々木さんと、エンジニアの中村さんと一緒に音をつくるってことになるから。普段は長野にいるから、その2人とは基本的に現場でしか会えなくて。リハーサルで入念に、2人と共同作業しながら、ライブを作っていくって感じ。まあ、自分たちでもまだアルバムを完全に消化しきれてない部分もあるから、今回はこんな感じのライブをやります、とは今は明言できないけど。

清水:多分、回を重ねる度に、変わっていくかもしれない。まあ、いつもそうですよね。ツアーの最初と最後で同じことをやってることはほぼないと思う。

ーライブでは、スタジオワークやアルバム作品そのものの再現を目指してるわけではない?

出戸:全然ない。ライブはライブ。むしろ、その2つはどんどん離れていくかもね。

ー曲中には、ほとんどメッセージとか込めたりしてないっていう話がありましたけど、じゃあ音楽活動をなぜやっているのか?という疑問も残るんですが。

出戸:なんか前に、勝浦さんがうまいこと言ってたよね。

勝浦:なんだっけ。部活みたいなものだ、って言ったのかな。たまたま入ったのがバンド部で、やめる理由より続ける理由のほうが多いし、やってて楽しいことも多いから。

ーでも、部活だったら「全国大会優勝を目標にする」とかあるじゃないですか。そういうのはあるんですか?よくあるのはフジロックに出たいとか。でも、オウガってもうフジロックも出てるし、だいたいの目標になるような地点は過ぎちゃってるじゃないですか。そしたら、その部活では、何をするんだろうなあって疑問が。

清水:その質問は、陶芸家に「なんで陶芸を作ってるんですか?」って聞くのと似てるかもしれません。例えばプロの陶芸家に、何ガラスじゃなくて陶芸にしたの?って訊いたとしても、「ですよね~」みたいな答えになっちゃって、それ以上話せなくなると思うんですよ。説明がなかなかできないくらいまでもう入り込んじゃってるというか、一つの技術を本気で体得しようとすると、好きだからとかたぶん安易に言えなくなってくる。だんだんと自分の気持ちとか感情が見えなくなってくるんじゃないかなあと。「好きだから」とか「これしかないから」とかも簡単に言えないくらいに。

出戸:まあ、いい曲できたらいいか〜くらいだよね。なんだかんだでやることが多いから、それをこなしていくことかな、1つ1つのライブとか。もうちょっと練習しなきゃ。大会はないけどね(笑)。

 

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イベント情報

2015年1月16日(金)
OGRE YOU ASSHOLE ニューアルバム・リリースツアー ” ペーパークラフト ”
会場:名古屋 CLUB QUATTRO
時間:18:30開場/19:30開演
料金:前売り¥3,600(ドリンク代別途)
info:ジェイルハウス TEL 052-936-6041
official homepage:http://www.ogreyouasshole.com/


OGRE YOU ASSHOLE(オウガユーアスホール)
メンバーは出戸学(Vo,Gt)、馬渕啓(Gt)、勝浦隆嗣(Dr)、清水隆史(Ba)の4 人。2005 年にセルフタイトルの1st アルバムをリリース。2007年前後から、大型ロックフェス出演やメジャーシーンのオルタナティブバンドとのツアー、海外有名アーティストのサポートなどで日本のメジャー音楽シーンで知られるようになった。2009年3月にバップへ移籍し、シングル「ピンホール」でメジャーデビュー。2010年11月にはモントリオール出身のWolf Paradeと共に全米+カナダの18ヶ所をまわるアメリカツアーを行った。2008年制作の『しらないあいずしらせる子』以来、現在に至るまで、プロデューサーの石原洋とエンジニアの中村宗一郎がレコーディングを手がけている。昨年、2014年7月『フジロックフェスティバル』(ホワイトステージ)にて出演。10月には待望の最新アルバム『ペーパークラフト』をP-VINE RECORDSよりリリース。http://www.ogreyouasshole.com/

 

撮影協力:greatest hits

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