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FEATURE / 特集記事 Jun 26. 2015 UP
【SPECIAL INTERVIEW】稀代のトラックメイカーか、単なるヘンタイか?名古屋から放たれた、今最もヤバい匂いのする男・食品まつりを徹底解剖。

spazio rita(矢場町)


foodman

食品まつりのことをあなたは知っているだろうか?僕は正直よくわかっていない。が、何か得体の知れない異臭がする(食品だとしたらそれは明らかに発酵している)…そんな表現しかできない。ただ端的に言えば、彼はトラックメイカーでDJで、自称絵描き。

各メディアの表現によると、「高速でトリッキーなリズムと重低音が特色のシカゴ発ゲットー・ハウスの進化系、ジューク/フットワーク・シーンから登場」とのこと。

名古屋にまだ彼が住んでいた頃は、くろやなぎてっぺい食品まつり(ちなみに、当時は釣心会という名称だった)の2人組ユニット1980円(イチキュッパ)として活動していた。掃除機、扇風機といった電化製品と映像ビジュアル、光、そして打ち込みで作られた音と時にラップ…それらすべてを駆使して行われるライブは現代アートに近いようでいて、単なるアートになりきるつもりもなく、アートか何かを演じていたようにも思える。その後、彼らは「横浜トリエンナーレ2011」「KAIKOO」「Sonar Sound Tokyo」といったビッグイベントに出演を遂げる。

Wikipediaにはこのように書いてある。イチキュッパとは、日本において、小売業が商品を販売する際に広く用いている、消費者の購買意欲を高める心理学的価格決定の一つである。多くの場合、イチキュッパは198円または1980円であると言う意味で使用されることが多い。類似するものに、キュッパ(98円、980円)、ニーキュッパ(298円、2980円)、サンキュッパ(398円、3980円)、ヨンキュッパ(498円、4980円)などがある。

さて、そんな1980円(イチキュッパ)は、住み慣れた街・名古屋を突如離れ、映像、メディアアートを担当していたくろやなぎてっぺい と、音を担当する食品まつりにわかりやすく分解され、それぞれに活動を続けている。

Sound cloudに脈絡無くアップされていく新曲はネット上で話題を呼び、海外からのカセットテープリリースなどを経て、ついに食品まつりは2015年3月、自身初のCDアルバム「COULD WORK」を出すことに。彼のことを知っている人は「ヤバい」と言う。「ヤバい」とは便利な言葉で、そのものについてはまったくよくわからない、だが何かしらの匂いを感じる時、危険を感じるとき、人は「ヤバい!」と瞬間的に口にしてしまうのだろう。

その得体の知れない匂いの成分を分析してみようと、謎を深める男・食品まつりに迫った。

SPECIAL INTERVIEW :
食品まつり a.k.a FOODMAN

Interview ,Text & Edit by TakatoshiTakebe[THISIS(NOT)MAGAZINE,LIVERARY]

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—まず、食品まつりa.k.a foodman って名前について教えて下さい。

食品まつり(以下食品):10年くらい前に、とあるイベントに出演する機会があり、思いつきでそのイベントだけ違う名前で出演しようと思ってたのですが、近所のスーパーを通りがかったときに”食品まつり”という旗を見かけて、そのままそれを採用したのがきっかけです。


—1980円(イチキュッパ)時代後期からしか食品さんのことは知らなかったのですが、その前はどんな活動をされていたのでしょうか?

食品:2000年頃から”釣心会”という名義でライブやDJ、ライブペイント、自主イベントを企画したりしていました。あと、名古屋栄や金山のストリートを中心にウクレレ弾き語り演奏、路上で出会ったミュージシャンとのセッションなども頻繁にやっていました。

ー1980円は、ビジュアルやパフォーマンス性を重視した、メディアアートにも近い表現体だったと思うんですが、自分たち的には「アート」として活動をしていたのでしょうか?また、なぜそのような活動をしていたのでしょうか?

食品:相方で映像作家のくろやなぎてっぺいくんと元々一緒に作品を作っていたのですが、やっていくうちに「日本的な過剰な広告演出における高揚感というものにオリジナリティ、面白さ、そして消費社会の怖さのようなものを感じ、自分達なりになにか突っ込んだ表現が出来るのではないか?と思い始めたユニットです。今は基本的に音楽ライブを中心に活動していますが、インスタレーションの制作や、路上でのアートパフォーマンスなども行っています。

—そこから、食品まつりという活動形態に至った経緯を教えてください。

食品:“食品まつり”という名義ではノイズやスカム作品などを細々と制作していたのですが、JUKE/FOOTWORKのトラックメイカーとして活動するきっかけになったのは2011年にDOMMUNEで配信された「JUKE解体新書」を観たのがきっかけです。JUKE/FOOTWORKの自由で懐の深い音楽性に、自分が音楽を始めた頃の初期衝動のようなものを思い出しJUKEトラックを作り始めました。


—なぜ、名古屋を離れ、関東へ?

食品:横浜に引っ越ししたきっかけですが、それまでほぼ名古屋以外の街に住んだことがなく、名古屋は今でも大好きな街なのですが、違う所に住んでみたいな〜と思ったのがきっかけです笑  丁度、今もよくお世話になってる横浜のDJチーム・LEF!!!CREW!!!Paisley Parkskentくんと知り合ったことや、1980円でも「横浜トリエンナーレ」に参加したりなど、色々と縁のようなものを感じて移住しました。


—食品まつりの作る音楽は「音楽」という感じがあまりしませんでした。食品まつりの音って一体なんていうジャンルだとご自身で認識していますか?

食品:基本的に食品まつり名義の音楽はJUKE/FOOTWORKというジャンルをベースにしたものをやっていますが、<自分で作ってて楽しい音楽>を意識したりしています。(※ちなみにJUKE/FOOTWORKという音楽ですがシカゴのゲットーハウスの進化系の音楽でBPM160、三連を多用するトリッキーなリズムが特徴のダンスミュージックです)

—soundcloudなどで音源を出す前から発信を先行する姿勢は、昨今人気のネット系レーベルやそういうものからの影響なのでしょうか? なぜそのようなスタンスに?


食品:
soundcloud以前にmyspaceが全盛の頃からインターネットに音楽をアップしたりしていたのですが、やはり自分の出会ったことのない人達や違う国の人達と音で交流できるというのが楽しかったというのがあります。

—インターネットが発達してバンドなどでも簡単にPVやライブ映像などをyoutubeにアップしたりする時代で、うまくいけば一夜にして有名にもなれたりするわけですが、ではそれらのバンド音楽などとネット系レーベルの人たちの音楽ってどうしても違う盛り上がり方だと思っていて、ネット系の人たちの盛り上がり方はある種異常だったりする気もします。それについてどう思いますか?

食品:僕はネット外でしかアクセスできないような音楽も大好きですし、ネットでしか聴けない音楽も大好きなので、どちらの良さもすごく分かってるつもりなのですが、確かにインターネット的なシーンの盛り上がりの早さ、熱の冷め易さってのは感じます。けど今はそうゆう時代なのかな?と思ったりしてます。そのうちまた変わって行くのかな?と、10年後どころか1年後どうなってるのか分からないですしね…。

—ネットは便利、といえども逆に言えばもはやその情報量は飽和状態となっているわけですが、食品さんが、最近気になったサンクラと、面白かった、衝撃的だった、そんなオススメのyoutube動画など教えてください。

食品:最近のリリースや映像ではないのですが、UNITED FUTURE ORGANIZATIONさんの1998年のDJイベントの映像を観たのですが、もうとにかくホント凄いです。是非観て下さい。

—ところで、食品さんはバンドミュージックに興味ありますか?クラブミュージックから入ったんでしょうか?ご自身の現在に至るまでの音楽体験について教えて下さい。

食品:最初クラブミュージックから音楽に入ったのですが、たまたま弾き語りや路上セッションしていたことや、周りにバンドマンの友人が多くいたので、クラブ/バンド どちらものシーンにも好き嫌いはありません。あとクラブ遊びに行き出した頃から何度もライブやイベントをやらせてもらったり、とてもお世話になったCub Daughter (現Cafe domina)がライブステージとDJブースを併設しており、ライブやDJがごった煮のイベントというのが多かったのもあり、どちらに対しても全然抵抗なく楽しめるようになったというのもあります。

—作品作りと比べたとき、ライブは重視しますか?

食品:ライブもとても重要ですね。基本ライブ用から曲を作ることが多いのですが、その時の感触を作品作りに生かすことは多いです。

—今回、初のCD作品としてリリースした「COULD WORK」ですが、それぞれのトラックをセルフレビューしもらっていいですか?できれば、食品(食べ物)に例えてみてください。お願いします。

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「COULD WORK」食品まつり a.k.a foodman
Label :  / 2015年3月22日
Format:CD / ¥1,380 + 税


01. Kawazakana →イワナ 
02. KOUGEKI ROBO →チョコボール
03. Hitou He Go (秘湯へGO) → 水ようかん
04. mosquito&clap → ナビスコ
05. kiki → サバ
06. MAJIDESU MONOGATARI →古いコーラ
07. PEPOPEPOKEN →かき揚げ
08. 核 feat. Aristophanes貍貓 →かりんとう
09. 浮世離Vapor feat. diskomargaux → ねるねるねるね
10. AWA BURO →ういろう

—ありがとうございます。レコ発名古屋編は「トリプル絶対レコ発!」という告知をされていますが、そのイベントについてもざっとご紹介下さい。


食品:
6月28日(日)、名古屋のspazio ritaで開催します。名古屋で不定期に猫町くん(会場のspazio rita店長)と僕でやってたイベントなのですが、今回は東京からダイアナチアキさん率いるTERROR FAMILIA名古屋のレジェンド6eyesをゲストに招きまして、丁度リリースの近いTERROR FAMILIA、日陰者スーサイド私の合同リリパを開催します。僕のイベントは毎回不安になるような(良い意味で…)雰囲気のスリリングなイベントですので、やばいもの観たい人は絶対きてほしいです!
 
—最後に、もしも音楽活動をしていなかったら、今頃何をやっていたと思いますか?

食品:南の島で釣りしたりしながら、ヒッピーみたいな生活してたと思います。

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イベント情報

2015年6月28日(日)
食品まつり a.k.a foodman”COULDWORK”&日陰者スーサイド”ハイドロ16g” &TERROR FAMILIA”Ⅰ” triple release scum party
open 18:00 / start 18:30
adv ¥2000(1d込み) / door ¥2500(1d込み)
Live:食品まつり a.k.a foodman/日陰者スーサイド/TERROR FAMILIA
DJ:食品まつり a.k.a foodman/日陰者スーサイド
Live Paint:食品まつり a.k.a foodman
友情出演:バーバパングリン/本、ゲーム/アイスコーヒー/by  and more


食品まつり a.k.a foodman
横浜在住。トラックメイカー/DJ/絵描き。NYのブルックリンを拠点とするGiant ClawとSeth Graham主宰の〈Orange Milk〉よりデビュー、国内ジューク・シーンから出現し、七尾旅人、禁断の多数決、Nature Danger Gangなどのリミックスや共作を手掛け、ナカコー主宰のレーベル〈sound of romances〉からもEPをリリース、『160or80』やLEF!!!CREW!!!のコンピやミックスにも収録され、海外では現行電子のエッジを研ぎすます媒体Tiny Mix Tapesを中心に取り上げられる。10年代のアンビエント / ニューエイジ以降のコラージュとサウンド・アート、シカゴ・ジューク / フットワーク以降のビート感覚で、フレッシュな生鮮市場と着色料満点のジャンク・フードが並列するような奇怪な作品をサウンドクラウドと国内外のレーベルから次々と投下。 名古屋から横浜に拠点を移し、ライブハウスからクラブまであらゆるイベントで活動中。2015年3月にmeltingbot/orangemilkからミニアルバム『Couldwork』をリリース。
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