クラブクアトロ名古屋(愛知|矢場町)
「音楽のジャンルのために
なんでわざわざ自分の格好を変えてるわけ?」(呂布カルマ)
―あの、みんな気になってると思うんですけど、呂布さんは前からずっとそういったファッションなんですか?
呂布:当時は今よりも丸出しのB-BOYがもっといましたけど、俺は今と変わらない感じでしたね。ヒップホップにハマったのが結構大人になってからなので。中学生でハマってたらもしかしたらそういうラッパーぽい格好をしてたかもしれないですけど。
鷹の目:でもそういう呂布さんのファッションは親父の影響なんでしょ?
―ファッションが親父の影響って人もいるんですね(笑)。
呂布:そういうのの始まりって、まずは親父の整髪剤を盗んで使うところからじゃないですか。
鷹の目:「じゃないですか」って言われても(笑)。やらないでしょ。
呂布:え、やるでしょ〜。柄シャツは大学生くらいからずっとです。
―じゃあお父さんも柄シャツだったんですね?
呂布:そうですね。で、親父の誕生日にアロハシャツをプレゼントしたんですけど、そのとき「ていうか、俺これ着たいな」って思ったんです。かっこいいなと思ったんですよ。それまでは洋服に興味がなかったんですけど。それ以来、アロハを自分で買うようになってアロハを超えた柄シャツを追求していった結果こうなりました。みんな同じに見えますよね。あれはあんまりかっこいいとは思わない。俺がB-BOYだった時は1秒もないから。
鷹の目:確かにみんなアーティストとして目立ちたいならもうちょっと見た目でもパンチあったほうがいいんじゃないかとクラブ行くたびに思ってました。クラブ来てるお客さんと一緒じゃんみたいな。
呂布:結局は誰かのモノマネをしてるだけなんですよ。俺の場合は見た目がB-BOYじゃなかったからそれだけであいつはダメだって周りの人から思われていたとは思いますが。
―あえて奇をてらってるとも思われそうですけどね。
呂布:全くそういう意図はなくて、むしろ音楽のジャンルのためになんでわざわざ自分の格好を変えてるわけ?みたいな。
―基本的に他のシーンの方とつるむことなく二人でここまで来たって感じですか?
鷹の目:基本的にはそうですね。
「ヒップホップの人たちって
すぐ本気にしちゃうし、
ユーモアが薄いんです」(鷹の目)
お互い相手に対して、どんな存在だと思っていますか? 呂布→鷹の目:出来の良い妹。/鷹の目→呂布:呂布さんのことはアーティストとしては才能があると思うし尊敬して
―ちなみに、「JET CITY PEOPLE」クルーは今、何人くらいいるんですか?
呂布:何人いるんだろうね。
鷹の目:自覚してるやつは10人くらいいると思います。
―はっきりと固定されたチームではないんですね。ちなみに、名前の由来は名古屋を代表するバンド・BLANKEY JET CITYからだと何かで読んだんですが、PEOPLEを付けたのはJET CITYの住人って意味でですか?
鷹の目:JET CITY〇〇ってのにしたいと思ってて、でも、◯◯RECORDSとかは嫌だったんで、まあ普通に人かな〜と。あんまり深くはないです(笑)。
―JET CITY PEOPLEの次のステップとして、レーベルのブランド力を上げたいって気持ちはありますか?
鷹の目:単純に僕の希望としては「Stones Throw」とか、日本で言うと「lessthanTV」みたいなレーベルには憧れているんでそこを目指したいですね。めちゃくちゃ売れてるヤツもいたり、え!?何こいつ!?誰っ!?っていう変なヤツまでいるようなレーベルになっていきたいなと思っています。
Y-クルーズエンヤ feat. 呂布カルマ
「JET CITY PEOPLE」のリリース作品にはヒッポホップジャンル以外のアーティストも。ロックバンド・6EYES、ハードコアバンド・王様ハロバノ耳といった面々。そして、先日アルバムがリリースされたばかりのY-クルーズエンヤは、3月23日(木)名古屋クアトロにて開催される「LIVERARY LIVERALLY #5」に出演。
鷹の目:レーベル自体が面白いと思えるレーベルは、ジャンルとかバラバラでも、嗅覚めちゃめちゃいいな!と思えるし、レーベルに所属しているアーティストに共通したユーモアがあるなって感じます。ヒップホップの人たちってすぐ本気にしちゃうし、ユーモアが薄いんです。
呂布:ヒップホップには調子乗ったり自慢したりする文化があって、そうすると鼻につくんで、怒る人は怒るんですよね。
―そういう文化の延長線上にあるかもしれないのがMCバトルだと思うんですが、呂布さんの知名度に火がついたのはMCバトルでの功績だと思うんですが、バトルがこんなに流行ると思ってましたか?
呂布:いえ、思わなかったです。だからラッキーですよね(笑)。俺自身、現行のラップバトルブームのメインキャストのひとりだと自覚しています。偶然起きたブームに乗っかったひとりとかではなく、俺はこれまで通りのやり方で自分のバトルをコツコツと続けてきて、着実に積み上げていったから、バトルブームが来た時にここまで盛り上がったんだろうなってのはあります。
呂布カルマは2016年末、ついにフリースタイルダンジョンに出演。さらに全国的な知名度を上げた。現在はAmebaTV内のニュース番組にレギュラー出演している。
「パンチラインとか言うけど、
なんでラインなんだよ。
16小節全部でかましてこい」(呂布カルマ)
―「フリースタイルダンジョン」が流行って、バトルが盛り上がり過ぎてラップがエンタメみたいになってる状況に嫌悪しているラッパーも多いと思います。バトルの盛り上がりに対しての懸念とかはないですか?
呂布:そういうこと言ってる奴らは単にナイーブ過ぎというか、臆病なだけだと思いますね。負けたら自分に傷がつくことを気にし過ぎている。別に傷なんてつかないのに(笑)。俺はそんなのなんとも思ってないし。勝ったらラッキーだし、負けても何も思わない。それくらいのスタンスです。勝っても負けてもどっちでもいいよって思ってるからずっとやれてると思う。そこは他のラッパーの人たちと確実に違うと思う。
―バトルが流行ったから、そういうのに出ること自体チャラいって思ってるような発言も他のラッパーの方から聞こえてきたりしますが。
呂布:バトルやってても、やってなくてもヒップホップって最初からチャラいもんだと俺は思います。そんなこと言ったら「ヒップホップ自体がすでにチャラいだろ、お前文豪かよ!」って突っ込みたくなりますね。
−なるほど(笑)!ちなみに百戦錬磨の呂布さんですが、呂布カルマならではのバトルで勝つための秘訣とかってありますか?出演者を見て、あらかじめネタを仕込んでバトルに挑むとか?
呂布:俺、実はめっちゃ負けてますからね。まあ、負け方にもよりますが基本的には相性だと思ってます。ジャンケンみたいなもんで、絶対的に誰にでも勝てるなんてラッパーはいないんです。時の運とか客層にもよるし。でも中には明らかに強い奴もいるんでそいつとはやりたくないです(笑)。
昨年開催された「LIVERARY主催MCバトルLIVERARY LIVE”RAP”Y in森道市場2016」のハイライト。同イベントは今年も森道市場にて開催される。
呂布:ネタ仕込むほどでもないけど、対戦相手の弱点を言ってやろうみたいなのは当然ありますよ。韻をこれに繋げてこれで落とそうみたいなのは正直考えてないです。それをやりだすと全部対戦相手に応じて、ガチガチに固めることだってできます。
鷹の目:ネタを仕込んでいくラッパーはダサいって叩かれがちですけどね。
呂布:フリースタイルで強いとされているスタイルはあらかじめネタを作っておいて韻を踏みまくるスタイルですけど、そんなことやってたら曲なんて書いてられないから、俺はやらないです。そういう奴らの音源がダサいのはそういう理由です。
−ラップバトルブームについては、このまま流行っても廃ってもどっちでもいいって感じですか?
呂布:せっかく流行ってるので廃れずにずっと続いてほしいですね。一過性のものじゃなくて、しっかり定着するレベルまでいけばいいと思いますね。
鷹の目:俺はバトルの内容がどうか?には大して興味がないです。ただ、今はバトルに出ること自体が自分の宣伝としてはすごい効果的だとは思ってます。逆にYoutube動画とかにもならないバトルの大会は出なくていいかなと思ってしまうくらい。
−確かに宣伝効果はでかいですよね。
鷹の目:現に呂布さんの場合、年末の「フリースタイルダンジョン」に出た翌月のCDの売上枚数とんでもなくよかったんで。
呂布カルマのファーストアルバムはすでにプレミアがつき、ネットオークションで高値でやり取りされてるのだそう。
−バトルに出ることに対しては宣伝効果があるというのが今では大きな理由なんですね。バトルが楽しいとかそういう気持ちはない?
呂布:ひとかけらもないし、むしろやりたくないです。
−(笑)。宣伝効果になるにしても、バトルに出るラッパーに対してのネガティブな意見もあると思うんですが、それに対してはどう思いますか?
鷹の目:それは正直、バトルに出てこない負けるのが嫌な現役ラッパーの言い訳ですよ。
呂布:バトルに出てるラッパーは、音源とかライブを地道にやってる人たちの悪口は言わないですよ。バトルの悪口言ってるやつはお前が出てきて証明しろよって思います。女々しいと思うし、だったら出てきて優勝してみろよと。自惚れかもしれないですけど、自分は地方にいて、地道に作品を出してきて、ライブもやりつつバトルもやりつつしかも結果を出している。バランスよくやってると思います。
−ちなみに、独自の道を歩んでいるお二人にとって音楽的な憧れの存在、スターみたいな人物ってのはいるんですか?
呂布:やしきたかじんです。夜は高級クラブででかい顔しつつ、昼間はテレビに出て、サングラスでオールバック。これはまさに俺の進むべき方向じゃないの?って思いましたね(笑)。
鷹の目:電気グルーヴがすごく好きで、自分の中でのお手本なんです。本気出して音楽やればベルリンでもライブできて、でも普通にふざけたことばっかりやってるって、いいですよね。
−やっぱりお二人とも目指すべきポイントがそもそもヒップホップのアーティストではないんですね。
呂布:テレビには出てこない人でいうなら井上陽水です。ラッパーにはいないですね、一人も。
「近場の友達に勝つためにやってたって意味ないんです」
(呂布カルマ)
−なるほど。では、曲作りについてお聞きしたいんですが、バンドだったらスタジオに入って練習したりして上達していくと思うんですが、ラッパーにとって練習ってあるんでしょうか?
呂布:歌詞を書くことだと思います。60点の曲作ってスタジオ何回も入って練習したってその点数は永遠に変わんないです。まず100点の曲を書く努力はするべき。それを再現する努力は一切しないです。ライブでどれだけ失敗しても気にしないです。
−100点の曲というのはどこのフレーズを切り取っても全部がかっこいいってことですか?
呂布:パンチラインとか言うけど、なんでラインなんだよ。16小節全部でかましてこいやって。
鷹の目:作詞って本来そうですよね。曲がよくないラッパーはその意識が少ないんですよね。サビだけ、みたいな。捨ててるところが多すぎるんです。
呂布カルマ「恥知らず」
この曲を聴いていると、今回のインタビューで彼らが語った内容がしっかりと歌詞となって曲になり吐き出されていることを感じる。待望の呂布カルマ新作アルバムは、現在目下製作中で今年中にはリリースされるとのこと。こちらも楽しみにしておきたい。
−どこのフレーズを切り取ってもかっこいいって重要ですよね。最近はYoutubeとかでほんの少しずつしか聞かない人も増えてるんで、呂布さんは声ももちろん特徴的ですけど、少し聴いただけでも呂布カルマだ!ってわかりますよね。
鷹の目:独特の違和感が残るんだと思いますね。他がみんな同じようなリリックばっか言ってますから。
−曲の作り方としては、1曲の中に一つのテーマとかメッセージがあって、それを詩にしていく流れなんですか?
呂布:そういう作り方では全くないですね。ただただ自分が今まで聴いてきた物と自分が作ったものを聴き比べて、かっこいい/かっこ悪いを客観的に判断していきます。それができないとだめだと思う。常に100%のものを作ろうとすべきで、それが100%相手に伝わるかはわからないですが、適当に作った曲はすぐにバレると思うから。「こっちは100点のつもりでやってるんだよ!」って言われたらそれまでですけど。ヒップホップってインスタントにできちゃうから速さが美徳な部分があるし、でも、一曲一曲をちゃんと作らないとラッパーは基本的にビートメーカーからトラックをもらって作るので、ビートメーカーに申し訳ないですよね。はっきり言って全部当たり前のことなんですけど、それができてない奴が多いんです。
鷹の目:ヒップホップは楽器できない、歌歌えない、練習できない奴がやってるんですよね。
−そういう人たちを救う音楽という側面もあると思います。同時にだからこそ、ごまかしがきかないリアルな音楽なんですよね。
鷹の目:変わったことやって目立つのも早いですね。飽きられるのも早いと思うけど。
呂布:俺は人の真似は絶対にしないですね。ライブを見たときにかっこいい人がいると先にやられた〜とは思いますけど、絶対に真似しない。よく「呂布くんって独特だよね、言葉のセンスやばいよね」とかって言われるんですけど、いやいやそれってラッパーにとって最低条件だろと思うし。
鷹の目:バンドで音楽やるより才能至上主義かもしれない。
呂布:当時、みんなが友達同士で競ってる中、僕は正直もっと高いレベルで活躍してる人を見ていました。近場の友達に勝つためにやってたって意味ないんです。おもろいおっさんになっていくしかないです。目指すべきは、たかじんなんで。
今後も名古屋で活動していきたいですか? 鷹の目:拠点は名古屋で今まで通りやっていきたいと思っていますが、
いよいよ今週3月23日(木)名古屋クラブクアトロにて開催の「LIVERARY LIVERAPY #5」。
こちらのイベントに呂布カルマ、JET CITY PEOPLE ALL DICKSらが出演。さらに「森、道、市場2017」出場を懸けたラップバトル予選大会も併催され、バトルのビート担当DJとして鷹の目も登場!なお、予選大会出場者発表も近日、LIVERARYにて行いますのでお楽しみに!
「LIVERARY LIVERALLY」特設サイトがOPENしました! ※是非PCから見てみてね
▼イベントの観覧/参加ご希望の方は下記よりチケット購入が可能です
※クレジットカード/コンビニ決済可)。
※1ドリンク代500円は、当日クアトロ受付にて別途お支払いいただきます。予めご了承下さい。
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2017年3月23日(木)
LIVERARY × 名古屋PARCO presents
LIVERARY LIVERALLY #05
会場:クラブクアトロ名古屋
時間:19:00 OPEN/START
料金:前売1800円(+1D)/当日2300円(+1D)
ゲストライブ:呂布カルマ/JET CITY PEOPLE ALL DICKS/Y-クルーズ・エンヤ/ZOMBIE-CHANG
※LIVERARY LIVE”RAP”Y 2017予選大会を同時開催(挑戦者エントリー受付中!)
出店:居酒屋 大大大/VOU(京都)/大橋裕之の似顔絵屋/The Sessions/YES AND CO/California Parlor 〜 Quiet Village
チケットメール予約:info@liverary-mag.com
チケット直接購入:Peatix : http://liveraryliverally05.peatix.com/view (その他チケットぴあなどのプレイガイドでも購入可能)
2017年5月13日(土)
チキチキ!第2回LIVERARY LIVE”RAP”Y in 森、道、市場2017
会場:大塚海浜緑地(ラグーナビーチ)&遊園地ラグナシア
時間:5月12日(前夜祭):15:00~22:00/13日(土)10:00~22:00/14日(日)10:00~20:00
出演:呂布カルマ、サイプレス上野、ジョニー大蔵大臣、仙人掌、他
司会:MCデンジャラスハーブ、ビート:鎮座DOPENESS
詳細:http://liverary-mag.com/music/56091.html