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FEATURE / 特集記事 Oct 17. 2021 UP
【PHOTO REPORT:現在進行形多治見】
陶器商や作家らが出店を連ねた「たじみ陶器まつり秋」、
世界最高峰の焼き物コンテスト「国際陶磁器展美濃」、
土の企画展開催中の工房兼シェアハウス「at01」など新たな挑戦も!

 

2021年10月9日(土)、10日(日)に開催された「第75回たじみ陶器まつり秋」のレポート取材のため、2日目の10月10日(日)の朝から多治見へ向かったLIVERARY編集部。

歴史あるこの陶器まつりの他にも、当日は各所でさまざまな企画が開催されていた。国際的な焼き物コンテスト「国際陶磁器展美濃」、前回の取材でも紹介した株式会社エクシィズ井澤コーポレーションが手掛ける話題の土の展示「MINOSOIL」が展示中の新施設「at01」、同じくエクシィズによる「TAJIMI CUSTOM TILES」と題した新規事業で、海外アーティストと多治見産のタイルのコラボ作品の展示が行われる本町オリベストリート・なでしこ蔵、さらにJR多治見駅構内では人間国宝クラスの陶芸家たちの作品も展示……などなどまさに見どころだらけ!な多治見を、写真家・三浦知也とともに巡った。

 

PHOTO REPORT:

現在進行形多治見

Photo:Tomoya Miura
Text & Edit:Takatoshi Takebe(LIVERARY)

 

「美濃焼祭」/JR多治見駅南北自由通路

多治見駅について改札を出るとすぐの通路部にて「美濃焼祭」が開催されていた。ここでは、美濃が誇る8名の巨匠たちの貴重な作品が展示された「美濃焼巨匠ギャラリー」、多治見市内の窯元がそれぞれの特徴を活かしたやきものを販売する美濃焼窯元直売ブース」が並び、市外から電車で訪れた来訪者たちに多治見の魅力をダイジェストで伝える内容に。

 

 

「第75回たじみ陶器まつり秋」/美濃焼卸センター

続いて、多治見駅から車を走らせること10分ほど。「第75回たじみ陶器まつり秋」のメイン会場となっている「美濃焼卸センター」へ。コロナの影響もあり告知が遅れたため、例年よりは人の集まりが少ないと言われていた今回だが、朝11:00という時間帯ですでに一般駐車場入り口はすでに「満車」の表示が!何とか中に入り、会場内を巡った。

 

普段は、出荷用倉庫となっている場所をそのまま使って蔵出し市を行う会社も。


「倉庫」という特殊なシチュエーションもあり。独特な雰囲気の中、こちらも賑わいを見せていた。

 

さまざまな陶器商社が集まる、美濃焼卸センター。この日だけの特価価格で出品する販売ブースの他だけでなく、前回の取材動画でも紹介したカフェレストランや体験工房、お買い物ゾーンも併設した「株式会社織部」の巨大施設に立ち寄ってみた。

 


広々とした店内スペース。こちらもほとんどすべての商品がお祭特価となっている。


作家作品を紹介するコーナーも。


コチラは藤井敬之さんの作品。奥様と娘さんの3人で作品を作っていることからバラエティ豊かな作風となっている。

作陶体験コーナーには子供の姿が多く見られた。


施設内の奥にはゆったりと寛げるカフェが。豊かな緑が生茂る自然林を臨めるテラス席が人気。


この日は、代表取締役・間宮 章光さんも店頭に立ち、お客さんの接客に。

 

織部を後にし、先程回ったメインストリートとは別の通りへ。

 

 

こちらでは、陶器を中心に作家やクラフトマンたちのブースが並ぶ。秀逸で上品な作風のものや、カラフルでPOPなもの、はたまた独自の路線を突き詰めたオリジナリティの高い作品など見るものを飽きさせない内容に。

 

 

「今年は出店数を絞った形。来年はもっと多くの出店を募って、さらに規模は大きくしていきたい」と、陶器まつりの実行委員である「株式会社井澤コーポレーション」代表取締役・井澤 秀哉さん。コロナ対策もあり、ゆったりとした使い方ができたことは来年以降も引継ぎつつ、地元の企業ブースだけでなく、より多くの多様な作家たちがこの祭りに出店する意欲を持ってくれることは多治見の発展につながるだろう。

 


写真左:「たじみ陶器まつり」の旗振り役で美濃焼卸センターに会社を持つ「株式会社井澤コーポレーション」代表取締役・井澤 秀哉さん。写真右:「たじみ陶器まつり」広報担当で、多治見の中心地にオープンさせた「新町ビル」内のセレクトショップ「地想」店主・水野雅文さん。

 

「国際陶磁器フェスティバル美濃’21」「第12回国際陶磁器展美濃」/セラミックパークMINO

「美濃焼卸センター」を後に、続いて向かったのは、陶磁器を介して人々の交流を図る文化施設「セラミックパークMINO」。ここでは開催されていたのは世界中のアーティスト、陶作家たちが応募するコンテスト形式の企画展が行われる「国際陶磁器フェスティバル美濃’21」が開催中。

 

 

ゲートを渡り、館内地下へと進むとてつもない広さの展示会場があり、圧倒的な作品群が並ぶ、「第12回国際陶磁器展美濃」が開催されていた。

 

 

中には、かなり緻密な作業によって作られた焼き物とは思えないような作品も。様々な国、人種による陶器の捉え方の違いが見られる興味深い展示となっていた。

ちなみに、グランプリとなった作品はこちら。中国の作家、マ・フイユアンによる「陶器シリーズ」という美しく巨大な連作で、日常にある陶器をモチーフとした絵がタイルに描かれていた。

 

 

aside/新町ビル

この「国際陶磁器展美濃」に過去に参加していた作家たちを集め展示した「aside」と題された企画展を「新町ビル」で見ることができた。美しいシンプルな器から、スポンジやマスク、軍手といった日用品を完全模写した陶器作品など個性的な作品が同列で並んでいた。

 

TAJIMI CUSTOM TILES /本町オリベストリート・なでしこ蔵

「新町ビル」から、市内の中心部へ向かうと「本町オリベストリート」がありまちなか美術館と題した企画展を行っている「なでしこ蔵」という施設がある。ここでは、美濃焼卸センター内に会社を持つ株式会社エクシィズによる新プロジェクトの一つ「TAJIMI CUSTOM TILES」によって、多治見のタイルとアーティストをコラボさせた実験的な作品展が行われていた。

 

 

コラボレーションを果たした海外作家は、素材の探究と自らの手で作品を作ることに重きを置くイギリス・ロンドン在住のデザイナー、マックス・ラム。そして、身近な素材を別解釈で捉えた作品を制作する韓国・ソウル拠点のデザイナー、カンホ・イの2名。「タイル」というものの固定観点を崩し、再構築したような新しい形のタイル作品は、斬新で刺激的な作品を生み出した。

 


インテリアとしても存在感を放つ、マックス・ラムによるタイルのソファ。


こちらも存在感は抜群。不思議な形状のループが美しいカンホ・イによる作品は、タイルの製法を使って作られている。

 

「TAJIMI CUSTOM TILES」はデザイナーや建築家を対象に、多治見から新しいタイルの可能性を発信するプロジェクト。そのブランディングの一つとして今回のコラボレーションが企画されたのだそう。近隣の方からは「多治見でこんなすごいアートが見れるなんて」と称賛の声も上がっているのだそう。

 

MINO SOIL Tajimi Edition/at 01

続いて、笠井さんとともに訪れたのは、多治見の銀座商店街内に誕生したばかりの作家が滞在制作を行える工房兼シェアハウス「at01」。この新施設は、多治見の「新町ビル」水野雅文(地想)と共に立ち上げ、同ビル内にて陶器のギャラリーショップ「山の花」を営む花山和也さんと、デザイナーの石井一東(ambos)、横井雄哉(i/r/h)らによってスタートした空き家再生プロジェクト「at Tajimi」の第一弾企画となる。

 


現在すでにオーナーの花山和也と一人の作家がここで生活を送っている。今後も作家は増えていく予定だ。

 

工房兼シェアハウス「at01」のプレイベント的に開催されていたのは、株式会社エクシィズと株式会社井澤コーポレーションが打ち出した新企画で、美濃焼と多治見を新しい角度からブランディングを図る「MINOSOIL」の展示だ。

 


複数の原料を生成できる粘土質の土、高火力の元となる赤松の木々、適性のある中性の軟水。この三要素が揃う美濃だからこそ、焼き物の産地としてこの地方が発展したというバックグラウンドがある。

 

美濃焼を作る上で必須の素材である美濃の土をフィーチャーし、その可能性をデザインを通して発信することを目的とした「MINOSOIL」。本展は、素材に秘められたありのままの美しさを土そのものを展示したり、採掘場の様子をフォトグラファーの高野ユリカによる写真と、録音した土の上を歩く音で伝えるといった実験的なエキシビションとなっている。

 


「MINO SOIL」「TAJIMI CUSTOM TILES」など次々と新しい美濃焼文化の発信を行っている「株式会社エクシィズ」代表取締役・笠井 政志さん。

 

美濃焼の言わば原点である「土」を新しい捉え方で、改めて見せるこの企画は、先行して東京・青山スパイラルホールでも開催され、メディアや来場者からも大きな反響をいただいたのだそう。

今後これらの新しい多治見の動きがどのような形で花開いていき、美濃焼文化を更新していくのか?今後も注目していきたい。

 

今回の記事にも登場した多治見の新たな動きにおけるキーパーソンたちが登場するインタビュー動画はこちら▼

イベント情報

2021年10月9日(土)、10日(日)
第75回たじみ陶器まつり秋
たじみ陶器まつり秋メイン会場 多治見美濃焼卸センター(多治見市旭ヶ丘10-6-33)/8:30~17:30

2021年9月30日(木)~ 10月17日(日)
国際陶磁器フェスティバル美濃′21 
会場:セラミックパークMINOほか(多治見市東町4-2-5 ほか) 

2021年10月7日(木)~ 10月17日(日)
aside
会場:
新町ビル(多治見市新町1-2-8)/12:00~19:00(月曜定休)
ヒラクビル(多治見市本町3-25)/11:00~18:00(水曜定休)営業時間は10:00〜21:00

2021年10月9日(土)〜10月17日(日)
TAJIMI CUSTOM TILES
会場:本町オリベストリート・なでしこ蔵
時間:10:00~17:00

2021年10月7日(木)~ 10月17日(日)
MINO SOIL Tajimi Edition
会場:at 01(岐阜県多治見市新町2-31 銀座商店街アーケード内)
詳細:https://minosoil.jp/ja/

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