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FEATURE / 特集記事 Feb 06. 2015 UP
【特別対談】イラストレーター:小田島 等 × ロックバンド:ジョセフ・アルフ・ポルカ。 “ひねくれポップ” を追いかけて…

【SPECIAL TALK】Hitoshi Odajima × Joseph Alf Polka

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昨年の夏、ON READINGにて行われた、イラストレーター・小田島等の個展。その際のクロージング・イベントとして、小田島等自らの紙芝居ライブを行い、かねてから交流のある名古屋在住の4人組バンド「ジョセフ・アルフ・ポルカ」(さらに、Drums.原 率いる歌ものユニット「ハートカクテル」)が出演した。

実は、もともと今回の対談はそのイベントの前に行い、個展の告知に使用する予定だったものだが、タイミングが合わず、イベント後の打ち上げ会場で、せっかくみんな集まってるし対談しちゃおう…というノリで行われることに。

案の定、出すべきタイミングのないお蔵入り企画かと、関係者だれもが思っていたのだが、2月7、8日開催のジョセフ・アルフ・ポルカ×小田島等による企画「空からのコアラ」&「すべての危険を冒してみよう」を目前に控えたこのタイミングで、日の目を見ることとなる。

両者の共通項、絵画について、音楽について、さまざまな情報ソースとおつまみが飛び交いながらの、アットホームな居酒屋のムードも渾然一体となり……まるで雲を掴むかのような(たまに、掴めてしまった!かのような)…そんな不思議な対談となった。

 

 

何だか忙しい毎日を日々やり過ごしている、そこのあなた、ぜひ立ち止まって、この座談会の席はまだ空いてますので、ごゆるりとお過ごし下さい。

 

写真

 

※なお、写真撮影を忘れてしまったので、対談の様子は、てんしんくんのイラストで復元されています。

 

TEXT&INTERVIEW : 武部敬俊 [ THISIS(NOT)MAGAZINE,LIVERARY]
ILLUSTRATION: てんしんくん[ジョセフ・アルフ・ポルカ]

―――

 

PROFILE

小田島 等(おだじまひとし)

1972年東京生まれ。桑沢デザイン研究所卒業。 1990年に「ザ・チョイス」入選。 専門学校在学中にイラストレーター、スージー甘金氏の元で修行。 95年よりCD・広告・書籍装丁のアートディレクションを手がける。 同時に漫画家、イラストレーターとして活動。 近年ではペインティングと展示活動にも重点をおいている。 主な出版・リリース物>■ 漫画単行本『無 FOR SALE』(晶文社) ■ 監修本『1980年代のポップ・イラストレーション』(アスペクト) ■ 古屋蔵人、黒川知希との共著 『2027』(ブルース・インターアクションズ) ■ BEST MUSICとしてCDアルバム 『MUSIC FOR SUPERMARKET』(Sweet Dreams) ■ アーカイブ作品集 『ANONYMOUS POP』(P-VINE BOOKS) 展覧会多数。http://odajimahitoshi.com/

 

ジョセフ・アルフ・ポルカ

2007 年結成。てんしんくん(Vo.Key)/木曽 浩太(ba) /西村 友輝(Gt)/原 宏美(Dr)の4人組ロックバンド。通称J.A.P!全員が同じ愛知県の芸術大学卒で、メンバー4人全員が美術科専攻。同じ軽音サークルに所属。「OGRE YOU ASSHOLE」「シラオカ」「YOK」が大学の先輩にあたる。初の全国流通盤となる今作には、アートワークに自身らも含め20名以上の作家/アーティストが参加。また、マスタリングエンジニアは「Maher Shalal Hash Baz」「Tsuki No Wa」「SNO」の庄司広光氏が担当し、彼らの持ち味であるドリーミーな世界観とロウでファイなサウンドがより深みのある音に仕上げられたファーストアルバムを2013年にリリース。その翌年2014年に自主制作盤として、ミニアルバム「天声人語」をリリース。現在に至る。http://josephnoblog.jugem.jp/

 

―――

 

ーでは、みなさん、今日はよろしくお願いします。

 

小田島等(以下、小):もう録ってるんですね?

 

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てんしんくん(以下、て):緊張してきた…。

 

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原:よろしくお願いします〜!

 

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ーではまず、今ではけっこう仲のいい皆さんですが、小田島さんとジョセフ・アルフ・ポルカ(以下、ジョセフ)の出会いはどこから?

 

て:初めて会ったのは、たしかハポンで、震災後すぐで。みんながどんよりしてる時で。


ー大橋(裕之)さんとか来てたイベントだ?

 

て:そうそう。

 

小:震災直後の、原発どうなるんだよ的な、みんなヤバイ時だよね。ハラハラしてた。新幹線に乗るサラリーマンも皆、「どうしちまったのだよ、日本」って目をしていたな。

 

て:大橋さんもすごい暗かった(笑)

 

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木曽(以下、木):それ、僕ら出てた?

 

て:出てたよ(笑)

 

小:その時に、俺は、ジョセフと初めて会ってるのかな。

 

て:そうですね。

 

小:その後、大橋くんの漫画(『シティライツ』)にジョセフ・アルフ・ポルカっていう登場人物(?)が出てきて…。大橋くんにどんなバンドなの?と訊いたことがある。

て:あ、大橋さんもその日、初めて会ったんだった。

 

ー小田島さん的に、ジョセフの最初の印象ってどんな感じだったんですか?

 

小:なんかおもしろい名前。何なんだろう?みたいな。おとなしい子たち?と思ったかな…。

 

ーハポンのときのライブは見てたんですか?

 

小:えーと。見てたと…思う…。

 

一同:(笑)

 

小:なんか、ワタワタしていた。ごめんね!

 

 

て:小田島さん、あの時、(震災直後で)ちょっとそれどころじゃない感じもありましたよね。

 

 

小:そうそう。(小田島さんは震災後、生まれ故郷の東京から関西へ移住している)

 

 

ー以前に、小田島さんにジョセフのことを聞いた時、現代音楽家のブライアン・イーノに例えてたと思うんですが。

 

 

小:あー、イーノの、初期の3部作ぽいかな?って。あの、不思議な、理性的に直感的な感じ。

 

て:イーノの最初って、ミニマルじゃないですよね。デヴィット・ボウイみたいなときのイーノですよね。歌もののポップスやってて、結構それは好きでよく聴いてました。

 

小:そうそう。『Taking Tiger Mountain』とか、素晴らしい。

 

て:ジャケがヤバイやつですよね!

 

 

Brian Eno / Taking Tiger Mountain

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“ひねくれポップ”とは何なのか?

ー小田島さんの思う、ジョセフの魅力って何だと思いますか?

 

小:俺、結構“ひねくれポップ”みたいなの好きなんだけど。

 


一同:ひねくれポップ?

 

小:古くはスパークスとか、10cc、クイーン、XTCみたいな流れで。ひねくれポップって言葉が、皆さんくらいから下の若い人と全然出ませんよね。言い方がもう流通してないし、ジャンル化も特にされてないし。今、そういうグループいないよね。だから、そういう人たちの不思議な隔世遺伝みたいな感じで、ジョセフ聴いた時びっくりしたんですよ。そういうつもりでもなさそうなのが、また不思議で。

 

 

ー最近の日本のインディー・バンドって、「なんかおかしい」どころじゃなくて「だいぶおかしい」むしろ「イカレてます、僕たち!」って感じに振り切れてるか、正統派の売れ線か、どっちかかな~って、そんな気がしてます。極論でいうと。シャムキャッツとかは、ひねくれ感かなりありますよね。

 

 

小:そうなんですよ。シャムキャッツも音、変だよね。

 

 

ー変だけどポップ、っていえば、さっきの小田島さん的キーワード“ひねくれポップ”っていう言葉が該当してきますよね。言ったら、小田島さんの絵も、「ひねくれポップ」ですよね。

 

 

小:本当に、ずっとそのつもりでやってるからね。“ひねくれポップ”って、正しいと思うんだ(笑)。

 

 

ー小田島さん自身は、昔と今とでは考え方とかやはり変わってきたんですか?よりひねくれていったとか?

 

 

(唐突に)小:あ、武部君。えっとね、俺の考える“ひねくれポップ”っていうか…これ、音楽のただの趣味趣味な話になっちゃってもいい?(笑)。

 

 

ーど、どうぞ。

 

小:ロンドンポップって言うんですよね。T-REXとかROXY MUSICとか、10ccとか。後々、まとめてグラム・ロックって言い方するようになったという説があります。モダン・ポップとも呼ばれていますね。

 

 

ーイギリスから出てきた?

 

 

小:そう、ニューウェイヴが起こる前。シークエンサーが出てくる前ね。歌モノで、わりとストレンジな世界ですね。そういうのが好きなの。奇妙なグループって「俺だけが好きなんだ」と、思えるというか。リスナーの心を掴みますね。ビートルズ系のポップバンドの良さって、不変的で素晴らしいけど、たまに退屈じゃない? けども、言うたら、後半のビートルズなんかは、“ひねくれポップの元祖”だしね。いつだって面白いものは、“ひねくれポップ”だと思っています。酔っ払ってて、うまく言葉になってません(笑)。みんなで、世界中の音楽を“ひねくれポップ”にしよう。本当は、人類にミスチルは向いてない!

 

 

一同:(笑)。

 

 

小:やっぱ脇道、獣道がオシャレですよね。本当の脇道行くほどハードコアじゃない場合、こういうモノが待ってますよね。イーノとか10ccとかウィザード、ラトルズとか。ブラーやトーキング・ヘッズ、DEVOなんかも広義として入るんじゃないかと。日本だと、ハルヲファンとか、葡萄畑、シネマとかカーネーションとかムーンライダーズとか。いいバンドばかり。

 

 

て:バンドやり始めた時に、こういうのやろうってみんなで聴いたのが、ムーンライダーズでした。

 

 

小:かっこいい。

 

 

木:単なる音楽ファンが、自然な環境で、バンドやったらムーンライダーズみたいに自然となるんじゃないかと思うんですけどね。

 

 

 

小:あー、その一言、素晴らしい。

 

 

木:そんなに、「ひねくれた曲作ろう」とか思ってなくても、ジョセフもみんな絵を描く人で、その人たちがバンドを組んだら、とりあえずはロックの基本フォーマットに乗っ取るじゃないですか。そこに、まず乗ってみたら、こうなった、みたいな感じなんじゃないのかなって思います。

 

 

小:ひねくれてる方が、今、ピュアかもね。友達少ない系の。

 

 

ーこじらせ系みたいな感じですね(笑)

 

 

木:大変じゃないですか。こう、ちゃんとロックバンドみたいなことをやろうと思うと…。

 

 

 

ーちゃんとやると大変なバンドって…例えば、どんなバンド? X-JAPANとか?

 

 

 

小:エーックス!(笑)

 

 

木:あー、ああいう人たちって、すごいじゃないですか。もはや、ちょっと日本人離れしてる感覚なんじゃないですかね?自然に、「バンドやってみよう」って言って、なかなかあの地点には到達できない。結構振り切ってますよね。

 

 

小:80年代アメリカの大味過ぎるハードロック、ヘヴィ・メタルが素地にあるだろうね。

 

 

木:なんか、やってて恥ずかしくなく、自然にやろうと思うと、どうしてもひねくれていく感じになるんじゃないかな。

 

 

小:その前に、“ひねくれポップ”って、まだ存在するのかっていう問題があると思う。

 

 

ーその“ひねくれポップ”が、売れた(大衆に受け入れられた)例ってなんですかね?あ、でも「サニーデイ・サービス」とかも当てはまるのかな?

 

 

小:うむ?サニーデイは違うんじゃないかな。けど、実はちゃんと独自のTwistはしていますよね。普通の女の子にはわからないような。あ、ベースの田中貴君、ニール・イネスが好きなんだよね。

て:もうちょっと王道というか、ロックの流れみたいなの意識してる気がしますね。

 

小:そうだね。

 

 

ーなるほど。

 

(突然、食い気味で)小:あ!ちょっと待って、“ひねくれポップ”の本道の話を今から言いますわ!

 

 

一同:(笑)

 

 

続・ひねくれポップ論。

 

 

ーポップっていう言葉自体も、だいぶ定義難しいじゃないですか。それのひねくれたやつだから、もっと難しいですよね。

 

 

小:そうです、そうです。だからつまりは、どっから始まるんだろうな、“ひねくれポップ”って…あの、Sha-Na-Na(シャナナ)ってバンドいますよね。ウッドストックにも出てる。アメリカのコミカルなバンド。彼らが、つまり、批評眼を持ったロックを展開したのがはじまりだって説とね、あと、スパークスなんじゃないだろうか?って説があります。

 

 

Sha-Na-Na Live @ Woodstock 1969 At The Hop

 


ー誰かがそう言ってたんですか?

 

小:近田春夫さんが、「ハルヲファンはSha-Na-Na影響だ」ってインタビューで言ってた。Sha-Na-Naはウッドストックの時代に、リーゼントにしていて、50年代的なロカビリーをパロディーしてるんですよ。だから、なんか……えーっと、何の話だっけ(笑)全然話が前に進まない(笑)

 

 

ー“ひねくれポップ”とは何か?です。

 

 

 

小:“ひねくれポップ”とは、つまり。。。立ち位置を確認するために、笑いとパロディの要素を取り入れると。一度、自分たちを客体化してみるとか、おどける。マジじゃないかもだぞ、と。道化の要素を入れる。ポップという枠の中で実験するとか。けど、格差社会な世の中で、“ひねくれポップ”なんかしてたら食えないかもしれない(笑)。しかし、そこにコアあるぞ、という。

 

 

木:ある意味、自分たちをちゃんと俯瞰しているところはあるかもですね。

 

 

ー小田島さんは、紙芝居ライブみたいなことって、昔はやってないですよね?

 

 

小:いや、結構やってるんですよ、それが。BEST MUSICってパフォーマンスグループみたいなのはやってましてね。

 

 

 

ーへー。バンドとかではなくて?

 

 

 

小:いや、バンドじゃないんですよね。フルクサス×演芸みたいなのをやってたの。DJの山本ムーグさん(Buffalo Daughter)もそこへ参加してくれたりして。こないだも、久しぶりにやったんですけど。

 

 

小田島等と山本ムーグの「にゃにゃ~き~ in the U.K」

 

て:ムーグさんって、デザイナーでもありますよね?

小:そう、ムーグさんのデザインがイイんですよホント。って、あれ、なんでこの話になったんだっけ?武部君。 

 

ーあ、なので、その“ひねくれポップ”ていうものが道化の要素を取り入れるってことならば、小田島さんがやっている紙芝居ライブって、“ひねくれポップ”的な作家さんだからこそのアウトプットだよな〜って思いました。それが許されちゃう、というか単純に笑えちゃう。

小:うーん、でも、そうなのかもしれない。

 

 

ー“ひねくれポップ”っていうのは、よくインタビューとかで出してるキーワードなんですか?

 

 

小:ずっと好きなんだけど、“ひねくれポップ”って言っても、さっきも言ったけど、若い人は特に通じない。だから、わりと心の奥に鎮座してる魂みたいなものかも。でも、まあ、つまりはジョセフみたいなバンドが出てきてくれて、嬉しいなと。

 

 

 

て:なんか、バンドを組む時って、楽器を買って、曲を作るんだけど、それって、全部疑問しかないじゃないですか? なんでこの楽器なのか? とか。ちょっと抵抗したいんだけど、抗えなくて。だけど、抵抗したいっていう、悪あがきみたいなのが僕の中では、小田島さんが言う、“ひねくれポップ”に該当するんじゃないかって思って。 いわゆる「バンド」的なことを遠ざけたいんだけど、遠ざけられないギリギリのせめぎあいみたいなのがあって。

 

 

 

小:そうか。絵描いてても、そういう部分あるよね。

 

 

ーひねくれてる時点で、ちょっと「悪」の要素はあるもんね。

 

 

 

て:不良っていうか…。

 

 

 

ーそうそう。「不良」なんだけど「あがき」だから、結局は本当の悪じゃない。あがいてるに過ぎないんだよね。

 

 

 

て:だから、結局サビも入れちゃうし、ギターソロとか入れたりしちゃうけど、でも、抵抗はしたいっていう…。

 

 

 

小:わかるわかる。(いきなり)ジョセフに質問したいんだけどね。ムーンライダーズについて話してくれない?聞きたいんだけど。ジョセフがムーンライダーズをどう思ってるかっていうのを、LIVERARYの読者が知るっていうことが、重要な気がする。

 

 

 

木:あの、東京ロッカーズに対する、立ち位置が好きなんですよ。あの人たちが、自分たちよりもっと若い世代がああいうことやりだして、それを、やってた本人たちよりも、現象として冷静に評価して、それを自分たちも取り入れてやりだして。「オッサンたちは俺たちのテリトリーに入ってくんじゃねえ」みたいなことを言われてたみたいですけど…

 

 

小:あー、有名な話ね。野宮真貴さんが、十代の時に客でライブ観てて「ジジイひっこめ」って言ったという。それを、後にこんなふうに言われたことがあるってムーンライダーズが話したら、野宮真貴さんが「それ、私です」って(笑)。

 

 

て:僕は、ニューウェーブってそこまで通ってないんですけど、ムーンライダーズとかが入口になって聴いてて、でも全部、僕らは終わった後の時代じゃないですか。

 

 

小:そうだね。

 

 

て:で、かろうじてニューウェーブ的なもので、直接僕らが影響受けてるのは、ファミコンとかが強くて。ファミコンで流れる音楽とかのバックグラウンドとしてニューウェーブを体感してる、というか。

 

 

小:ゲームからニューウェーブ感覚に接したのか。順でいったらそうだもんね、MOTHERの音楽とか?

 

 

て:ニューウェーブって、YMOがやってるみたいに、ある音楽を電子音だけでやると、ジャンルがあやふやになるようなユニークさの出し方があって。ファミコンのBGMとかって全部そうじゃないですか。どこから来たのかわからないようなメロディーは、実はラテンの音楽だったりとか。電子音にした時点で、変な感じになっていて。

 

 

小:なるほどね。単純な音にした時ね。あー面白いね。ニューウェーブとゲームね!ニューウェーブっていうのは、つまり、人間が「ワ・タ・シ・ハ」って、ロボットを演じてるってことじゃないですか。ファミコンのBGMって出せる音程が限られてるから。。。

 

 

木:オリジナルで出せる音程が三つか四つしかないんですよね。

 

 

小:そこに楽曲をスルーさせると、色々が端折られ面白いという。

 

 

ー昔の携帯の着メロもそうですよね。

 

 

小:ドット絵が、象形文字に近づいてしまうとか、そういう現象ですかね。前に進んでいってるはずなのに、退行しちゃう。

 

 

 

ー小田島さんはゲームの仕事はやってないんですか?

 

 

小:ないんですよ。ゲームに疎くて、全然ゲーム知らないんです。ゲームっ子じゃないんです。

 

 

 

て:ムーンライダーズはMOTERとかテレビゲームで知ったんですけど、アルバムとかで聴くと(ゲームと)全然違うじゃないですか? バンドってこういうことしなきゃいけない、ってわけじゃなくて、バンドはバンドをしなくていいって教えられた気がします。

 

 

ーちなみにジョセフが、バンドの共通項として「ムーンライダーズみたいな感じ」って出したときのアルバムはどれ?

 

 

て:『MANIA MANIERA』『青空百景』『カメラ=万年筆』

 

 

 

木:あと、その前の『NOUVELLES VAGUES』

 

 

小:わー、そんな話だけで2時間行けそうだな。さ、、、武部くん、話もとに戻ろうか!

 

 

て:え、どこに戻ります?(笑)

 

 

木:じゃあ、ちょっと小田島さんにも聞きたいですし、音楽じゃなくて、絵の話をしますか?

 

 

 

絵の話。

 

 

 

ーそうだね。ジョセフのメンバーは、もともと、小田島さんの作品は好きだったんだよね?

 

 

 

て:サニーデイとかは知ってたんですけど、「これもそうなんだ、すごい!」ってなったのはTEASIのジャケットでした。あとSAKEROCKの中の漫画、これも同じ人だ!って。くるりとかも、見たら小田島等って書いてあって…。

 

 

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木:僕が一番意識したのは、シャムキャッツの『たからじま』と『渚』。

 

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小:『渚』、自信作。棺桶に入れて欲しい。そっかそっか。嬉しいな。

 

木:で、展示見に行ったんですよ。

 

 

小:ありがとう。

 

木:ああいう、手描きの絵ってよく描くんです?

 

小:うん。近年すこぶる描けるようになったの。90年代にパソコンで絵を描きすぎて、手で絵が描けなくなった時期があって。それ、長いコト重病になった。あれ本気でやばい。

 

て:高校の時、フォトショップが来た時に、手で描いてスキャンするならいいけど、ペンタブは絶対使うなって言われてました。絵が描けなくなるとまずいからって。だから、僕いまだに仕事でも鉛筆でかいたのをスキャンしてます。

 

 

小:そうなんだ。魂吸い取られるみたいなところあるのかしら。

 

ー小田島さんは、吸い取られたんですか?

 

小:マサイ族とかが、写真に撮られると魂吸い取られるから逃げるって話じゃないけど、フォトショップ使うと、魂吸い取られるかもね。マック第一世代だから、「こんな便利なもんない」とか、大して知らずに言っててね。で、生の絵がかけなくなっちゃった。画家の箕浦健太郎くんに「おだじーのデザインはめちゃめちゃ絵描いてきた人のデザインだ。もう一回、絵描いたほうがいいよ。うち遊びにきてください」って言われて、絵の具とか全部用意してくれて。ミノケンに絵を描くように命ぜられたんですよ(笑)。2010年くらいのことですね。楽しそうに絵を描いてるミノケンに会った。で、リハビリを経て、また絵が描けるようになった。そうするとまた、フォトショップも楽しく使えるようになっ た。

 

ーなるほど。

 

小:あ!じゃあ、ここでジョセフみんなに聞いちゃいます!西村くんいないけど。一人ずつ、好きな画家の名前言ってって。まずてんしんくんから!

 

て:え!いきなり…(笑)。画家かあ…。

 

小:画家じゃなくてもいいよ。てんしんくんが明日死んじゃっても、この人だけは推しときたい!みたいな人でも。

 

て:う~ん(苦笑)。

 

 

小:難しいね~。漫画家でもいいし、イラストレーターでもいいよ。てんしんくんの詞に影響与えたモノでもいいよ。

 

 

ー余計に質問が難しくなってる(笑)

 

 

て:なんか僕、どっぷり、この人に影響受けた、みたいな人がいなくて。音楽でもそうなんですけど、広く浅く、さわりだけ知っておくタイプで。そうすると、印象に残った何か、部分だけが影響に出るじゃないですか?

 

 

小:なるほど。

 

 

て:100%この人についていくみたいな人がいない。思想的な部分では、一時期「バスキア」好きでしたけど、画風に影響受けた、とかはなくて。

 

 

ー本(秀康)さんとかは?

 

 

て:本さん全然知らなかったです。

 

 

小:レコスケくんかわいいよね。

 

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て:タムくんも全然知らなったんですが、イラストを見た人に「タムくんみたい」って言われて、誰だよタムくんって…って思いました(笑)。

 

 

 

小:てんしんくんの絵は、タムくんのに似てない気するけどね。俺さ、中学時代、大竹伸朗さんのコラージュを見る前に、ポップアートを見ちゃったの。大竹さん、今ほどメジャーな存在じゃなかったから。昭和の中坊がエドゥアルド・パオロッツィ みたいな作品作ったら、大竹伸朗さんみたいになっちゃったの(笑)。そういうのあるよね。

 

 

原:なんかリンクしちゃうんですかね。

 

 

小:うん。

 

 

て:なので、僕は「答えれない」っていう答えで。

 

 

小:てんしんくんはヒーローを持たないほうがいい気がする。なんか、それ、わかる。ふんわりしていて欲しい。じゃあ次、木曽くん。

 

 

木:最初に(てんしんくんが)その答えを出しちゃうと答えにくいなあ…。

 

 

小:じゃあ、こうしよう!「LIVELARYを見ているお前ら!俺たちはジョセフアルフポルカだ!レペゼン名古屋!お前らいい加減にしろ!こっちは普通のバンドじゃねんだぞ!今から好きな芸術家、言うぞ!テメエらわかってんのか!」…ていう感じでお願いします!

 

 

一同:(笑)

 

 

木:僕は、ポール・セザンヌかなあ。

 

 

小:セザンヌね。たまらんね。

 

 

木:入口は、奥村土牛でした。その人が最初はすごく好きで。辿っていったら。セザンヌは最初「ふーん」て感じで、ちょっと個性的な雰囲気だな~くらいに思ってたんですけど、もうちょっと分かってくると、人柄的にも、奥村土牛ともしかしたら似てたのかもなって思うところがあって。

 

 

小:人柄ってわかるの?(笑)

 

 

木:奥村土牛は、少し、シーンから身を引いてる感じなんですよね。セザンヌもそうなんです。その当時、印象派が出てきて、絵の世界が変わっていくんですよね。そんな中、セザンヌは、時代の変化に影響を受けつつも、もう少し前の時代の、構成的なものに引き戻している。結構、その当時の周りの画家から、ひとり浮いてる。距離を置いてるんです、

 

 

ー(セザンヌの絵を見せてもらう)ごめん。パッと見た感じ、めちゃめちゃ普通の絵にしか見えないんだけど。特徴としては何なんですか?

 

 

木:普通の絵なんですけど、例えば、男の人が向き合ってトランプをしている絵とか。でもこれ、よくみると、なんか変なんですよ。じっと見ていくと、三角形とかの図形が見えてくるんです。

 

 

 

小:おおまかに説明すると、わりとおばさんが描いたような、普通の油絵に見えるけど、結構その前の歴史を覆すような絵なんですよ。有名なフルーツの絵があるんですけど、それは明らかに、そこに置いてあったら落ちてきちゃうような位置にわざと描いていて。

 

 

木:重力的に無理なくらい、斜めになってたりするんですよ。

 

 

ーなるほど。気づかなかった…。

 

 

小:塗り残し部分を露出させるとか。禁じ手をやり出すんですよね。それがキュビズムのキッカケなんだよね。ギョーカイ系?のスタートかもしれない。裏話を表に出してしまう。

 

 

 

木:ピカソが後から再評価するんですよ。ただ、どこまでピカソが再評価したことを、本人が考えてやっていたか、いまいちよく分からないところが結構ありますよね。その感じもいいなと。シーンから離れて、一人で、自分の問題としてやっていった結果というか。

 

 

小:じゃあ、最後、原さんは?

 

 

原:私は…小田島さんの作品にも同じことを思うんですけど、ピエール・ボナールの絵は、中に出てくる人が「あの絵の中で生きてる」というか溶け込んでいる、という感じがするんです。小田島さんの作品も同じようなものを感じました。筆使いとか、揺らいでる感じとかも…。

小:ボナールの話、嬉しいな〜。けど、ボナールの筆致って神レベルですからね〜。

原:感覚的にすごくリンクしているんじゃないかな〜って。あと、ずっと変わらず好きなのは、ギュスターブ・モローです。オイディプスとスフィンクスの絵が好きです。3.11とかがあったりして、世の中の状況と自分の状況を合わせて見たときに、あの絵ってすごいって思いました。

 

 

ーどういうこと?

 

原:なんか、謎かけをするスフィンクスと男の人って、昔から絵の題材にはされていて。色んな人が描いているんですけど、モローはスフィンクスを、綺麗な女の人の顔にしてて。これは、運命との対峙をテーマにしていて、男と女は理解しあうことができない、とか色んな意味があって。この男の人と対峙しているスフィンクスは、運命の形。これに目を背けずに対峙して質問に答えていかないと、一歩間違えると殺される、っていう逃げられない状況を描いてる。ちょうど自分にそういうことが降りかかってきたときに見たら、こういう表現の仕方ってすごいなって思いました。この題材のスフィンクスを、女の人で描いた画家はあまりいないし、構成とかポージングとかも群を抜いて、いいんですよ。

 

 

木:このスフィンクスと男の顔の距離の近さがすごいよね~。

 

原:お互い目を逸らしたら死ぬ、みたいな。

 

木:小田島さんは、好きな画家は?

 

小:そうだなあ… あ、ジョセフのジャケを描いた吉川さん(ジョンのサン)の絵好きだよ!

 

 

一同:(笑)。

 

 

小:この方の感覚は、素晴らしいですね。おっ!と思う。

 

 

原:めちゃくちゃいい絵ですよね。

 

 

て:この裏ジャケ、同じ場所で人物がいないんですけど、パソコンで消したんじゃなくて、一から全部書き直してくれてるんです。

 

 

小:うはは。やりますね。このジョセフのファーストは、ビビっときましたね。

 

10-1

 

 

みんなのこれからについて。

 

 

小:まあ、とにかくね、ジョセフの魅力はね、言い表しがたいんだよね。なんか、今、ふと思ったんだけどさ、ゴンチチとかに勧めてもらうのがいい気がした。

 

 

一同:ゴンチチ(笑)

 

 

小:チチ松村さんが「ジョセフ・アルフ・ポルカってバンドが好きなんですよね」とか言い出したら、バッチリな気がする。ジョセフは、そういう「そこ?」みたいな輪を広げていきましょう!

 

 

 

ーなんでゴンチチにアプローチした?みたいな(笑)。

 

 

小:そうそう!武部くん、このインタビューいいところに落ち着いたね。

 

 

ーえ?

 

 

小:ジョセフは今後、ゴンチチにお世話になっていこう。

 

 

 

一同:(笑)。

 

 

木:小田島さんの今後の活動についてもお聞きしたいです!

 

 

 

小:漫画家の長尾(謙一郎)くんとバンドしようか、何かしたいよねって話をしています。(※実際、これが実現されることになったのが、コチラのイベントです)

 

 

ーでも、ジョセフはゴンチチ傘下に入れたいんですね(笑)。ちなみに、今日ココには来れてないですが、西村君の好きな芸術家は?

 

 

原:『AKIRA』の大友克洋。

 

木:たぶん、荒木飛呂彦も西村君もファッションで興味のあるところから、ネタを引っ張ってきて描いてると思いますね。

 

 

ー西村君は、じゃあ、オシャレ担当!ってことで。あとライブ中の攻めな感じは、他のジョセフメンバーとは一線を画すよね?

 

 

て:シャムキャッツの東京に呼ばれた時からかな…ライブ中、気合入れて、叫び出したりするようになりました。

 

 

原:あー、あの時からか~。最初の頃のライブは、恥ずかしがって、お客さんに背を向けて演奏してましたから、西村君(笑)。

 

 

 

小:むふふ。もともとは、シャイボーイなんですね〜。(手拍子:パンパン)はい、じゃあまとめるよ〜、、、えっと、だから、今日の対談は、「ひねくれポップ」「ムーンライダーズ」「ファミコン」「セザンヌすげえ」あと、「ゴンチチさん、ジョセフをよろしくね!」ってお話だったね〜。タイトルは「時間、空間、テーマ、すべてを超えた摩訶不思議対談」ってことにしておきましょう~!(笑)

 

 

音楽的時空も、芸術的次元も、 すべてを超越しかけている、ジョセフと小田島さん。
彼らの共同企画は2月7日(土)、8日(日)!お見逃し無く。詳細はコチラ 

イベント情報

2月7日(土)
ジョセフ・アルフ・ポルカ&小田島等 共同企画
「空からのコアラ」
会場:KD japon
開場 18:00 開演 18:30
前売 2000円 当日 2500円(共に+1ドリンクオーダー)
※予約特典あり
出演:
ジョセフ・アルフ・ポルカ
ナガタナオキ(三重)
CASIOトルコ温泉(大阪)
the fascism(長尾謙一郎+小田島等)

2月8日(日)
「すべての危険を冒してみよう」
長尾謙一郎&小田島等 ライブペインティング
会場:KAKUOZAN LARDER
開演 16時~
料金 1500円(+1d)
定員30名
要予約
※2/7 KD japon来場者は500円引き&限定缶バッジ

予約メール:josephalfpolka@gmail.com

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小田島 等(おだじまひとし)

1972年東京生まれ。桑沢デザイン研究所卒業。 1990年に「ザ・チョイス」入選。 専門学校在学中にイラストレーター、スージー甘金氏の元で修行。 95年よりCD・広告・書籍装丁のアートディレクションを手がける。 同時に漫画家、イラストレーターとして活動。 近年ではペインティングと展示活動にも重点をおいている。 主な出版・リリース物>■ 漫画単行本『無 FOR SALE』(晶文社) ■ 監修本『1980年代のポップ・イラストレーション』(アスペクト) ■ 古屋蔵人、黒川知希との共著 『2027』(ブルース・インターアクションズ) ■ BEST MUSICとしてCDアルバム 『MUSIC FOR SUPERMARKET』(Sweet Dreams) ■ アーカイブ作品集 『ANONYMOUS POP』(P-VINE BOOKS) 展覧会多数。http://odajimahitoshi.com/

ジョセフ・アルフ・ポルカ
2007 年結成。てんしんくん(Vo.Key)/木曽 浩太(ba) /西村 友輝(Gt)/原 宏美(Dr)の4人組ロックバンド。通称J.A.P!全員が同じ愛知県の芸術大学卒で、メンバー4人全員が美術科専攻。同じ軽音サークルに所属。「OGRE YOU ASSHOLE」「シラオカ」「YOK」が大学の先輩にあたる。初の全国流通盤となる今作には、アートワークに自身らも含め20名以上の作家/アーティストが参加。また、マスタリングエンジニアは「Maher Shalal Hash Baz」「Tsuki No Wa」「SNO」の庄司広光氏が担当し、彼らの持ち味であるドリーミーな世界観とロウでファイなサウンドがより深みのある音に仕上げられたファーストアルバムを2013年にリリース。その翌年2014年に自主制作盤として、ミニアルバム「天声人語」をリリース。現在に至る。http://josephnoblog.jugem.jp/

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