Text & Photo by Ayaka Torii
仕事を辞めずにバックパッカー。
名古屋在住アラサーOL海外一人旅日記
ヨーロッパ編⑤トルコ・イスタンブールで定番観光。
伝統菓子バクラヴァ、モスク巡り、船に乗ってボスポラス海峡を渡る。
2024年9月11日〜9月13日
約1週間のジョージアでの滞在を終え、次の目的地、トルコ・イスタンブールへ向かった。
20時半にジョージア・トビリシ国際空港を出発し、アルメニア・エレバン空港で乗り継いで深夜にイスタンブールに到着するスケジュールだ。
が、ここで予期せぬ出来事が。トビリシ国際空港に到着して航空会社のカウンターでチェックインをしたところ、オンラインチェックインをしていない旅客は追加費用がかかるというのだ。
この時、FlyOneという聞いたことのない格安航空会社を使ったのだけれど、ネットにあまり情報が出回っておらず追加費用のことを全く知らなかった。長旅での無駄な出費はなるべく避けたいところだが、渋々、約6000円の手数料を払って手続きを済ませた。
トビリシ国際空港には野犬と思われる犬がチェックインカウンター周辺で寝ていて、搭乗ゲートにはなんと鳩がいた。日本の空港では絶対にあり得ない光景を面白がりつつ、飛行機に乗ってジョージアを発った。
空港でアルメニア語表記の水を購入。見慣れない文字の形。
約1時間でエレバンに到着。
フライトの発着案内にはエレバンからロシア・モスクワに向かう飛行機がいくつも出ていた。いつか必ずロシアに行こうという気持ちが増す。
その後エレバンを出発し、トルコ・イスタンブールに深夜3時頃到着。市街地までのバスが動くまで、空港のベンチで寝た。
早朝、バスが動き始めたのでホテルまで向かいチェックイン。深夜の移動で疲れていたので、午前中はゆっくり寝て過ごした。
横になっている間、外からスピーカーを通したコーランの朗読が聞こえてきた。礼拝の時間らしい。
私はイスラム圏に来るのが初めてだった。コーランの音声を聞いて、じわじわとトルコに来たという実感が湧いてくる。日本人の旅行先としても人気のあるトルコ。周りからの評判もよく、昔から行ってみたいと思っていたので、ようやく来ることができて嬉しかった。
正午になりお腹が空いたので、バクラヴァのお店に行くことにした。
バクラヴァとはトルコの伝統菓子で、小さいパイのような生地にナッツや甘い蜜が入った食べ物だ。
数年前、名古屋でトルコランプを作るワークショップに参加した際に食べたことがあり、美味しかったので本場のバクラヴァを食べてみたかった。
有名店である「Hafiz Mustafa」というお店に入店。トルコの紅茶、トルコチャイと一緒に頂く。
小ぶりなサイズのお菓子がお皿に並んでいて可愛い。
それぞれ種類が違っていて、緑色のものはピスタチオ味だった。
口に入れると甘い蜜がじゅわっと口に広がる。何も付けなくても甘いのに、お皿の真ん中に練乳のような見た目の、これまた甘くて白いシロップもついていた。
かなり甘いので4つ食べただけで満腹感を感じる。移動で疲れた体に、ガツンとくる甘さがちょうどよかった。トルコチャイはシンプルなストレートティーのような味でバクラヴァに合う。
イスタンブールでは本当にトルコチャイをよく見かけた。ホテルのチェックインの際にまずレセプションでチャイを貰い、街ではお盆にチャイを乗せて運んでいる人を何人も見た。古い喫茶店のようなお店では人々が集まってトランプのようなゲームをしながらみんなチャイを飲んでいる。コーヒーよりも圧倒的に紅茶がシェアを占めていて、生活に根ざした飲み物となっていた。
そのあとは散策せず、ホテルに戻ってトルコの次の国の計画を立てることにした。飛行機や宿を予約しないといけない。
イスタンブールには2泊3日だけ滞在して、次はフィンランド・ヘルシンキへ向かう予定だ。
…だったのだが。
私はジョージアでテクノクラブに行った体験が忘れられなかった。
サウンドシステムから放たれる音楽。薄暗いフロアでスモークが焚かれブルーやパープルのライトが緩やかに浮かぶ非日常の空間。
深夜特急では沢木耕太郎が香港でカジノに取り憑かれ熱中するシーンがあるけれど、私にとってのそれはクラブなのかもしれなかった。あの高揚感をもう一度味わいたい…。
この後の旅では、特にアンダーグラウンドな場所に行く予定はなかった。欧州にあまりカルチャーのイメージが無く、ヨーロッパのクラブ事情について全く知らなかったのだった。
私が知らないだけで、ヨーロッパにももちろん有名なクラブが沢山あるんだろう。でもチャラ箱とかじゃなくて、音楽を聴くための良質なクラブに行きたい。そういうスポットはどこにあるんだろう…。
私は「ヨーロッパ クラブ 有名」で検索した。すると、ドイツ・ベルリンがテクノが有名な街だという情報を得た。さらに、ベルリンには世界一入るのが難しいと言われる「Berghain」というクラブがあるらしい。バウンサーの厳しいチェックを通過した者だけが入場できるようで、しかも場所は元発電所だった建物を生かして作られたクラブということで、そのストーリー性に強く惹かれるものがあった。
どうしよう。ヘルシンキに行く予定だったけど、めちゃくちゃベルリンに行ってみたい。
迷った挙句、急遽ヘルシンキからベルリンに行き先を変え、明後日発のベルリン行きの航空券を買い、Berghainの徒歩圏内のドミトリーを予約した。
完全に勢いだけで決めた弾丸ベルリン行き。海外での急な行き先変更は初めての体験だった。いつもの海外旅行は限られた日数でスケジュール通りにこなすことを余儀なくされるが、2ヶ月の長期旅行では気分で行き先を変えることができるのだ。なんだかバックパッカーらしい行動だなと思い、余計に気分が高まっていた。
今いるイスタンブールのことすらまだよく知らないのに、テンションのままにベルリンについて調べ、そのうち私は就寝していた。
翌日。朝早起きして街に出た。
もうひとつ気になるヴァクラヴァのお店があったので、朝ごはんに食べに行くことに。「Karakoy Gulluoglu」というお店へ向かう。
昨日の「Hafiz Mustafa」とはまた違った見た目のバクラヴァが出てきた。
こちらはあまりパイという感じではなく、ナッツがゴロゴロ入っていたり、削ったチョコがまぶしてある。たっぷりの甘い蜜は共通だった。バクラヴァはお店によって結構個性があるようだった。
糖分をチャージして、イスタンブールのモスクを巡りに歩き始めた。
イスタンブールのモスクといえばアヤ・ソフィアとブルーモスクの2つが有名だけれど、それ以外にも至るところにモスクがあり、そこまで有名ではないモスクも規模が大きくて豪華絢爛だ。京都のお寺のように、道を歩けばすぐに次のモスクに出くわす。
歩いているとすぐにモスクが視界に入る
アヤ・ソフィア
遠くに見えるスルタンアフメト・モスク(ブルーモスク)
モスク内部の水場
スルタンアフメト・モスク(ブルーモスク)の外観
モスクはどれもドーム型の高い天井を有しており、内部の装飾が繊細で綺麗だった。いつまでも上を見上げてしまう。
壁に描かれたアラビア文字っぽいカリグラフィーに異国情緒を感じて、自分は今イスラム圏にいるんだと再確認をする。
モスクの次は海の近くを散策した。
イスタンブールは港町だ。海に面していて、漁業も栄えている。
サバラップという、鯖を薄い生地で巻いたトルティーヤのような料理を食べた。
日本人として馴染みのある鯖をトルコで食べることになるとは。久しぶりの魚が美味しい。
その後も港周辺を歩き、魚市場を見たりした。
実は、ここイスタンブールも深夜特急に登場する街だ。
香港ぶりに聖地巡礼をしようと、私はフェリー乗り場へ向かった。
小説の中で、沢木耕太郎が船でボスポラス海峡を渡る描写がある。
ボスポラス海峡とはヨーロッパとアジアの境目にある海峡だ。イスタンブールはボスポラス海峡を挟んでヨーロッパ側、アジア側両岸に土地を持つ。
いくつもの船がこの両岸を往来しており、私も船に乗ることにした。
今いるのはヨーロッパ側のカラキョイというエリアだ。ここから船に乗ってボスポラス海峡を渡り、カドキョイというアジア側の港に向かう。二つの港は名前が似ていてちょっと紛らわしい。
船に乗ると観光客だけではなく、地元民っぽい人たちもかなりいた。船は観光用ではなく、普通に公共交通機関として使われているようだった。船内ではおじさんがチャイや果物やお菓子を売っている。
夕方、日が少し西に傾きかけた頃、船は出発した。
たくさん船が往来している
途中、ロシア語の表記のある港湾施設を見かけた
補修中の何かの建物
20分くらいで船はカドキョイに到着した。
もう少しで日没だったので、港で日が沈むのを見守った。地元民も観光客も港付近に座って夕日を眺めていて、みんなで空を見ているのがなんだか花火大会の光景に似ていた。
日が沈むのを見届けて、カラキョイに戻るため、もう一度船に乗って復路を進む。
日没後で空がだんだん暗くなってきている。
私は船から夜のイスタンブールの街並みを眺めた。
空がだんだん暗くなっていく様子
船から見た夜のイスタンブールの街並み
カドキョイに到着する頃には完全に日が落ちて夜になっていた。
近くにライトアップされたモスクが。
空には月が出ていて、まさにアラビアンナイト。なんて幻想的なんだろう。
写真で見るよりも実際はさらに何倍も美しかったので、イスタンブール行きを検討している人はぜひ夜のモスクを見てほしい。
初めてのイスラム圏。イスタンブール小旅行を終え、私は翌日の朝、ドイツ・ベルリン行きのために空港へ向かった。
次回、ドイツ・ベルリンでBerghain入場に挑戦。お楽しみに。
鳥居 絢香 / Ayaka Torii
1992年生まれ。名古屋在住の会社員。LIVERARYスタッフ。
海外旅行と名古屋のカルチャー、飲食店が好き。
沢木耕太郎と誕生日が同じ。
Instagram: ayaka_10r
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