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FEATURE / 特集記事 Oct 13. 2016 UP
【SPECIAL REVIEW|アッセンブリッジ・ナゴヤ2016】
現代美術展「パノラマ庭園-動的生態系にしるす-」を巡った、ある一日。
アートとゆっくり邂逅を遂げた港まちが今、おもしろい。

Assembridge Nagoya 2016

Cordinate : Minatomachi Art Table, Nagoya [MAT, Nagoya]&港まちづくり協議会

港まちを舞台とした現代美術展「パノラマ庭園-動的生態系にしるす-」が9月22日(木・祝)より10月23日(日)まで、開催中。同企画展は、クラシック音楽と現代アートとまちの融合イベント「アッセンブリッジ・ナゴヤ2016」のアート部門となる。

〈まちとアートの融合〉なんて言葉はすでに在り来りになってしまったものの、この企画展は決してインスタントなものではなく、ずっと蓄積されたまちとの親密な関係性と、このまち特有の目に見えない懐の深さゆえの、アートとまちの真の交流を感じさせてくれる。外観は単なる接骨院であっても、中に入ると、途端に空気が変わる、あの非日常の世界へ誘われる体験はここでしかできないし、手芸店を改装したギャラリーに近所のおばさんやおじさんたちがふらっと覗きに来る姿もここでしか見れないのではないだろうか。目に映る光景のひとつひとつのシーンがまるですべてアートのように感じられる瞬間のおもしろみがある。

今回、LIVERARYでは「ピカソ展」でのインタビュー取材に登場したカルチャー系女子代表・中村彩乃さんにレポートを依頼。まちを舞台としたこの巨大なエキシビジョンを巡った、彼女のある一日をご紹介。まだ未体験の方もすでに訪れた方もぜひとも読んでみてほしい。

 

SPECIAL REVIEW:Assembridge Nagoya 2016

現代美術展「パノラマ庭園-動的生態系にしるす-」を巡った、ある一日。

Text : Ayano Nakamura
Photo : Wanaka Okada
Edit : Takatoshi Takebe [ THISIS(NOT)MAGAZINE, LIVERARY ]

 

11:00 

港まちポットラックビルに到着。

 

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名港線「築地口」駅2番出口を出て左へ、すぐの道を左折して進むと、右手にポストと青いファサードが見えてくる。 旧文房具店を改装した建物が、港まちポットラックビル。

 

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中に入ると、港まち全体の情報がのった巨大な地図が迎えてくれる。各展示会場や開催イベント、まちのおすすめスポットなどをまずはチェック!

 

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受付にてパスポート(700円)を購入。ポットラックビルが総合案内所となっているので、知りたいことはここで聞いておこう。(※あいちトリエンナーレ2016のチケット掲示の方は600円)パスポートを購入したら、氏名を記入。これで期間中、何度でも展示をみることができる。

 

準備が整ったところで、いざ会場へ!

まず最初に迎えてくれるのは、下道基行の《見えない風景》。

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プレイベントでも好評だった《見えない風景》は、まちに存在するふとしたランドマークを拾い上げ、言葉の地図をつくるワークショップ(前回のワークショップの様子はコチラ)。 これまで全国各地で開催してきた《見えない風景》のアーカイブも展示されている。

 

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今回は新たに「港まちの言葉の地図」が制作されていた。 そして、下道さんの視点から眺めた港まちの風景をたどっていくのも面白そう!

 

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さらに会場壁面には港まちの大きな白地図が登場!来場者が道中で見つけた風景を書き込んでいくことで、今回だけの特別な地図ができあがるという。 複数の視点が混じり合うことで、新しいまちの姿が現れていく。わたしも早速、来る時にみつけた風景を書き込んでみることに。

 

階段を上りポットラックビル2Fへ。

2Fでは、コラクル渡辺英司、2組のアーティストによるコラボレーションの展示が行われている

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パブリッシャーであるコラクルが出版した1冊に、彫刻家・コンスタンティン・ブランクーシが自作した鍋や食器などの日用品に焦点を当てた本がある。そこから、渡辺さんがその日用品を模刻するというコラボレーションによる作品が展示されていた。 日々の生活から生まれる芸術の可能性について、ゆっくりと考えてみるのもよさそうだ。 

 

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コラクルがこれまでに出版してきた本や写真、版画など様々な作品が並ぶ。 アイルランドを拠点に活動している彼らの本を手に取って読める貴重な機会!これは嬉しい!

続いて、3Fへ。

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3Fには、徳重道朗の作品《山並み》が部屋一面に広がっていた。今回のテーマである「パノラマ庭園」の「庭」を再解釈し、鑑賞者が作品内へと入り込んでいく大型インスタレーションが展開されている。  置いてあるアイロニックなオブジェ(最高に変態で面白い!)と対峙していると、不思議な庭に迷い込んでしまったような感覚に。床下の椅子に座ってみたり、階段を登ってみたり、穴から顔を出したり…と様々な視点から庭を鑑賞できる。

 

12:00

ポットラックビルを出て、旧・西本接骨院へ!

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ポットラックビルから徒歩1分ほど。近年、閉院した接骨院であったこの建物は、もともと1Fは診療室、2Fは住居スペースとして使われていた。今回は1F、2Fと会場が分かれ、それぞれアーティストの展示が行われている。

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1Fでは6人組のアーティストコレクティブ・オル太《眺望する無人島》の展示が行われている。接骨院のなごりを活かした展示室には様々な凹凸があり、そこをライトボックス化してレントゲンのように透過写真が散りばめらている。日常と非日常が入り乱れた空間だ。

 

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2Fの展示室に入ると城戸保の作品が。大胆に切り取られた港まちの写真が目に入ってくる。 アッセンブリッジ・ナゴヤ2016のメインビジュアルイメージになっている作品もあり、グラフィカルな色彩がかっこいい!

 

 

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イベント情報

2016年9月22日(木)〜10月23日(日)
Assembridge NAGOYA 2016
会場:名古屋港〜築地口エリア一帯
休館日:9月26日(月)、10月3日(月)、10月11日(火)、10月17日(月)
※名古屋港ポートビル展示室は10月17日(月)のみ休館
主催:アッセンブリッジ・ナゴヤ実行委員会
構成団体:名古屋市、港まちづくり協議会、名古屋港管理組合、(公財)名古屋フィルハーモニー交響楽団、(公財)名古屋市文化振興事業団
問:アッセンブリッジ・ナゴヤ実行委員会事務局
名古屋市港区名港1-19-23 港まちポットラックビル
TEL 052-654-7039(受付11:00〜19:00)

【アート部門】
2016年9月22日(木)〜10月23日(日)
パノラマ庭園─動的生態系にしるす─
会場:港まちポットラックビル、旧・名古屋税関港寮、名古屋港ポートビル、ボタンギャラリー、旧・潮寿司 ほか
時間:11:00〜19:00
パスポート料金:700円(「あいちトリエンナーレ2016」のチケット提示で600円)
※名古屋港ポートビル展示場入場券を含む
※中学生以下は無料(名古屋港ポートビル展示室はのぞく)
※パスポートは、ご本人に限り会期中何度でも入場可(名古屋港ポートビル展示室は1回のみ)
参加アーティスト:碓井ゆい、臼井良平、L PACK.、遠藤俊治、オル太、城戸保、クリス・チョン・チャン・フイ、コラクル+渡辺英司、ゴードン・マッタ=クラーク、下道基行、鈴木悠哉、玉山拓郎、徳重道朗、トラベルムジカ、中尾美園、ヒスロム、山本聖子
企画:服部浩之、Minatomachi Art Table, Nagoya [MAT, Nagoya](吉田有里、青田真也、野田智子)

<関連イベント情報>
10月13日(木)
トーク|地域美学スタディvol.3
「平野千枝子:食と場|ゴードン・マッタ=クラークの実践を通じて」
19:30-21:00

10月15日(土)
トーク|「空き家再生スクール 報告会」
19:30-21:00

10月16日(日)
モーニングイベント|L PACK.《たとえば、いつもより早く起きて港街でモーニングを食べてみるとする。》
7:00-10:00

10月18日(火)
トーク|城戸保・徳重道朗 アーティストトーク
19:30-21:00

10月22日(土)
パフォーマンス|ヒスロム
19:30-20:30

10月23日(日)
モーニングイベント|L PACK.《たとえば、いつもより早く起きて港街でモーニングを食べてみるとする。》
7:00-10:00

10月23日(日)
トーク|参加アーティストによるギャラリートーク  Vol.2
14:00-16:00
出演:碓井ゆい・臼井良平・遠藤俊治・城戸 保・玉山拓郎・ヒスロム・山本聖子

詳細:http://www.assembridge.nagoya

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アッセンブリッジ・ナゴヤ2016

名古屋の港まちを舞台にした、音楽とアートのフェスティバル。コンサートホールや美術館ではなく、いつものまちが会場となり、世界的なクラシック音楽や現代アートの数々が人々や風景と混ざりあいます。キッズプログラムも多数用意しておりますので、ご家族でお楽しみいただけます。なお、Assembridgeの由来は、Assemble(集める、組み立てる)とBridge(橋)を組み合わせた、新しい言葉です。http://www.assembridge.nagoya

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