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FEATURE / 特集記事 Feb 05. 2017 UP
【SPECIAL REPORT】
ゆったり流れる阿久比ならではの素敵な時間とともに…
〈食〉の大切さを巡った、とある一日。

愛知県知多郡阿久比町

みなさんは「阿久比町」って知ってますか?もちろん、近隣に住んでいる方々はご存知かとは思いますが、まだまだ「地名は知っているが、行ったことがない。そもそもどこにあるの?」なんて人も多いかもしれません。そんなややマイナーなこの町で新しい試みがスタートします。その名も「阿久比プレイガーデンプロジェクト」

 

阿久比の魅力を発信する、それが「阿久比プレイガーデンプロジェクト」の目的…とのことですが、同企画の発起人である阿久比町役場さんに、この新プロジェクトについて少しお話を伺ってみました。

 


写真左から、阿久比町総務部政策協働課主査・新美育代さん、阿久比町総務部政策協働課企画政策係長兼協働推進係長・河合裕司さん

 

−そもそも、〈阿久比の魅力〉とは何だと考えてらっしゃいますか?

新美:知多郡阿久比町は、知多半島の上部中央に位置するまち。阿久比町では、ここ数年、子育て世帯の移住が増えています。のどかな田舎町ながら、名古屋や三河地方へのアクセスが良好で暮らしやすいことが、人気の秘密のようです。私たち阿久比町が調査したところでは、このまちに暮らす子育て世代の8割が、「阿久比に住み続けたい」「阿久比に愛着や誇りを感じる」と答えています。

−なるほど。ではその阿久比の魅力を外へ発信したいと?

河合:そうなんです。町外の認識はまだまだで。阿久比町についての外からの反応は、依然として「名前は聞いたことはあるけれど、行ったことのない自然豊かな町」に過ぎません。

新美:そこで、昨年からスタートしたのが、「阿久比プレイガーデンプロジェクト」。暮らす人が普段感じてはいるけれど、はっきり認識していない、阿久比の良さを町内外の人たちにアピールし、もっと知ってもらおう。そのために阿久比の魅力を体感できる機会や場所をつくっていこうという試みです。このプロジェクトを通じて、阿久比をまずは知ってもらって、さらに楽しんでいただけたら、と思っています。

 

この「阿久比プレイガーデンプロジェクト」の第一弾企画として、野外親子料理教室「あぐいっしょクッキングスクール」が3月5日(日)に開催されます。

 

 

「子育て世代に阿久比の魅力を知ってもらいたい」という思いが込められた同イベントに、名古屋・栄の人気カフェ「cafe re:Li」総料理長・奥村麻美さんが抜擢されました。

 


奥村麻美(管理栄養士/料理家/re:Li総料理長)
大学で栄養学を専攻。いくつかの病院で管理栄養士として経験を積んだ後、2011年、名古屋の都心にカフェ「re:Li(リリ)」を設立する。野菜をたっぷり使ったカラダに美味しい料理を提案。食べ合わせや栄養のバランスを常に心掛けており、出産を経てからはより食への意識が高まっている。

 

今回の取材では、cafe re:Li・奥村さんとともにイベント当日に先駆け、阿久比町へ実際に行ってきました。取材テーマはずばり〈食〉。米農家、お酢メーカー、カフェオーナーやベーグル屋さん、さまざまな〈食〉に携わる4人と対話していくなかで、この町の持つ魅力をより深く考える時間に…。奥村さんとともに阿久比を巡った、LIVERARY編集部がレポートします。

 

Interview&Text : Chikako Asai
Edit : Takatoshi Takebe [ THISIS(NOT)MAGAZINE, LIVERARY ]
Photo : Tomoya Miura

 

#01

阿久比で〈食〉を発信する子育て世代。
生活を中心に据え、地元で活動するという選択。

Interview with :
nanohanaya・花岡麻子さん & ココカラカフェ・吉崎しのぶさん

 

 

「高速道路から見える阿久比町のイメージは大きな田畑や牛舎など。名古屋と違って、のどかなところだなあって思っていたんです」。奥村さんがそう切り出すと、三人の会話はすぐに弾み出した。

取材場所は、住宅地の一角を改装した「ココカラカフェ」。このカフェの店主の吉崎しのぶさんと、天然酵母ベーグルの「nanohanaya」を営む花岡麻子さんは、阿久比生まれの阿久比育ち。幼稚園も中学校もいっしょの同級生だ。

 


「ココカラカフェ」店主・吉崎しのぶさん

 

吉崎さんは、子育て中の友人から聞こえてきた子どもの食物アレルギーの悩みに応え、阿久比産の米粉でつくるお菓子の提供にこだわっている。「お母さんたちとそのお子さんが同じお菓子を安心して食べられる、そんなお菓子を作りたかった」と話す。また、もともと名古屋のマルシェなどに出店していた経験も経て、「名古屋で知ったおもしろいひとたちを地元にも紹介したい」という思いのもと、ふるさと阿久比に拠点を移すことを決意。現在は産休中のココカラカフェは、飲食店兼多目的スペースとして、人と人をつなぐ場を作りたい思いのもと始めたという。

 


nanohanaya・花岡麻子さん

 

花岡さんは、知多エリアのマルシェイベントに出店をしたり、定期的におばあちゃんの家を間借りしたりとさまざまな場所でベーグルを製造/販売している。ココカラカフェが営業していた頃は、花岡さんのベーグルを使ったサンドメニューもあったのだそう。「生活に近いところ、大好きな家族や友人がいる場所で活動したいから…」と、阿久比の友人たちと企画した畑を使ったマルシェを開催。回を重ねるごとに人気のイベントとなってきている。

 


nanohanayaのベーグルは1個150円〜。ふわふわの食感が人気で出店時はあっという間に売り切れてしまう。

 

花岡さんのベーグルをひと口頬張った奥村さんは「なかなかないですよね。素材の味がこんなにするなんて。」と思わずつぶやく。花岡さんは「卵も油も乳製品も入ってないんです」とうれしそうに答えた。

 

2人と奥村さんには、小さなお子さんを持つ母親という共通点がある。「子どもができると生活が変わる。つくるものも子どもに食べさせたいものに変わりますよね」と、長男が昨年生まれたばかりの奥村さん。cafe re:Liで提供する食に込めた、「人のために食事をつくり、食べた人の健康につなげたい」という思いは、病院で管理栄養士として働いていた頃から変わらない。「自分にしかできないことをやってみたい」という気持ちが、今の仕事に活かされているのだそう。

 

 

今回、「あぐいっしょクッキングスクール」で料理の先生を務めるにあたって、「地元の人たちの思いに、きちんと寄り添って、お役に立てるだろうか」と期待と不安を語る奥村さん。吉崎さんと花岡さんは「阿久比の人たちも、新しい風は大歓迎だと思う。楽しいと思うことをやっていけば、みんなついてきてくれるよね。だから、あえて田舎っぽくしなくても大丈夫ですよ! 」と笑う。

 

 

「料理教室の会場となる阿久比スポーツ村芝生広場は、阿久比のおすすめスポットですよ〜!芝生がきれいで、子どもと遊ぶのにちょうどいいから好きな場所なんです」と花岡さん。吉崎さんも花岡さんも、30分程度で名古屋まで出られる便利さがありながら、ゆったりと時間が流れるのどかな阿久比町が大好きだ。だからこそ、この町で好きなことを続けている。

 


「赤い電車と畑の組合せを見ると、いいなぁっていつも思うんです」(吉崎)

 

吉崎さんと花岡さんはそれぞれ別々のルートで食に関わってきた。そして数年前に偶然、再会を果たした。「こんなに近くで、しかも同級生が同じような思いで活動しているなんて!」とびっくりしたそうだ。思いは、人を引き寄せる。二人と奥村さんとの出会いもまた阿久比に新しい風を運ぶきっかけになるのかもしれない。

 

 

Information:
nanohanaya

さまざまなイベントに出店中。
最新情報は、facebookで。

ココカラカフェ(※現在育児休暇中のためお休み)
愛知県知多郡阿久比町矢高五反田33-4
http://cocokara-cafe.jugem.jp/

 

次ページ:「続いては、100年の伝統を誇る阿久比産の酢メーカーへ。 」

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イベント情報

2017年3月5日(日)
あぐいっしょクッキングスクール
会場:阿久比スポーツ村芝生広場(愛知県知多郡阿久比町大字卯坂字浅間裏3-2)
時間:9:00〜16:00(9:00〜11:00/11:30〜13:30/14:00〜16:00の3部制)
※いずれか1回まで参加可能 ※希望者多数の時間帯は抽選に
参加条件:5歳〜小学生までの子どもとその保護者
参加人数:1組4人まで ※保護者1人は必ず参加が必要
参加費:500円(1人につき)
持ち物:エプロン・三角巾・お手拭きタオル
定員:48組(各回16組程度)※参加者多数の場合は抽選に
申込期限:2017年2月15日(水)※必着
※食物アレルギーのある方は、事前にお問い合わせを。
詳細:http://www.town.agui.lg.jp/playgarden/

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