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FEATURE / 特集記事 Feb 05. 2017 UP
【SPECIAL REPORT】
ゆったり流れる阿久比ならではの素敵な時間とともに…
〈食〉の大切さを巡った、とある一日。

愛知県知多郡阿久比町

 

#02

百年の伝統を、この地で守り続ける。
昔ながらの製法で作られる阿久比の酢。

Interview with 
三井酢店(みついすみせ)常務・三井克己さん 

 

奥村さんはサラダに使うドレッシングを必ず手づくりでこしらえる。「自分で調合してつくった方が好みの味になるし、塩分も抑えられる。そうすれば、絶対に無添加だしね。」飲食店にとって酢のストックは欠かせないが、最近家庭のキッチンには酢を常備しているところが少なくなってきているのだそうだ。

阿久比にも酢のメーカーがあると聞いた私たちは、ココカラカフェの吉崎さんの案内で三井酢店を訪ねた。

 

 

琥珀色の食酢やカラフルな〈飲むお酢〉がずらりと並ぶ店内には、お酢ドリンクをオーダーできるテーブルも。テーブルのすぐ脇には絵本やぬいぐるみが置かれている。店主の三井さんは「お子様連れが多いからね、ゆっくりしてもらいたくって」と言う。ささいなことだが、小さいお子さんがいる2人にとってはこういったサービスはうれしいもの。

さて本題に入ろう。まずは、三井酢店さんのこだわりについてお話から。

 

 

「はい。じゃあ、まずうちの酢のつくり方についてね」。三井酢店の常務、三井克己さんのトークは軽妙だ。創業から約百年。変わらずに、昔ながらの静置発酵法にこだわる。酒粕を搾った「すまし」を発酵槽に入れ、むしろのような「菰(こも)」をかけて蔵でじっくり醸す伝統的な製法だ。ちなみに、30日から40日という長い期間寝かすのだそう。早ければ数日でできてしまう製法が開発された現代では、贅沢とも言える手のかけ方だ。だから、大量にはつくれない。

「嗜好品の酒と違って、酢はどこまで行っても調味料。さほど消費されるものじゃないんです。もっといい米を使って高く売ったらいいと言われることもあるけれど、そんなの食べ物で遊んでいるみたいじゃない」。ふと三井さんの口をついて出た、食品に携わってきたプロの言葉に奥村さんと吉崎さんは、はっとして居住まいを正す。

 

 

三井さんはちょっと照れて、これはお父さんである先代の教えだと付け足した。「もうリタイアしているけれど、今でも仕込みだけは欠かさずやるんです。父は生粋の職人なんですよ」。教えの他にも、受け継がれているものがある。「酢の味は、代々伝わる酢酸菌によって決まるんです。この酢酸菌がなければ、酢はできない。だから、酢の世界に新規参入はないんです」と茶化して言う三井さんだが「絶対に絶やすことはできない」という意味だと受けとめる。

 


試飲させてもらった「飲む果実のお酢・りんご」で乾杯!りんごの甘味だけと酢だけでつくられた健康的なおいしさが人気の理由。

 

十数年前、知多半田駅前の再開発で、三井酢店は隣の半田市から阿久比町へと移転した。四代目が蔵を受け継ぐ頃には、「阿久比の酢」としてすっかり定着しているだろう。「跡継ぎはもう決まっている」と三井さんが少し誇らしげに教えてくれた。

 

Information :  
三井酢店(みついすみせ)
愛知県知多郡阿久比町卯坂字姥ヶ谷60-1
TEL:0120-86-2044 
営業時間:10:00~18:00
定休日:水曜日
http://www.321su.co.jp/

 

次ページ:「最後は、阿久比を代表する特産品「レンゲ米」の農家さんを訪ねて…。 」

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イベント情報

2017年3月5日(日)
あぐいっしょクッキングスクール
会場:阿久比スポーツ村芝生広場(愛知県知多郡阿久比町大字卯坂字浅間裏3-2)
時間:9:00〜16:00(9:00〜11:00/11:30〜13:30/14:00〜16:00の3部制)
※いずれか1回まで参加可能 ※希望者多数の時間帯は抽選に
参加条件:5歳〜小学生までの子どもとその保護者
参加人数:1組4人まで ※保護者1人は必ず参加が必要
参加費:500円(1人につき)
持ち物:エプロン・三角巾・お手拭きタオル
定員:48組(各回16組程度)※参加者多数の場合は抽選に
申込期限:2017年2月15日(水)※必着
※食物アレルギーのある方は、事前にお問い合わせを。
詳細:http://www.town.agui.lg.jp/playgarden/

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