2013年、突如シーンに登場し、国内インディーズバンドの中で俄然注目を集め続けるバンド・森は生きている。
彼らが満を持して発表した2ndアルバム『グッド・ナイト』の発売記念ツアーの名古屋公演が、12月27日(土)新栄・アポロベイスにて行われる。共演には、The Pyramidが抜擢された。
今回のツアーインフォを見てみると、対バンが設けられたのは名古屋公演だけで、他はすべてワンマン公演となっている。実は、今年の秋に京都で、The Pyramidのライブを観た、森は生きているメンバーが「ツアーの名古屋編はぜひとも共演したい」と話をしていたのだそう。というわけで、念願の対バンが実現した名古屋公演。親和性の高いツーマンライブとなりそう。
全くの新人バンドであったにも関わらず、2013年夏にリリースされたデビューアルバムが大きなヒットを記録した、森は生きている。その活動歴や年齢からは想像の及ばない深い音楽的見識と表現力を兼ね備えたそのアルバムは、ある種の同時代的な熱狂の中、最新音楽シーンにおけるシンボリックな作品として高い評価を得てきた。各地でのリリースツアーやFUJI ROCK FESTIVALなどをはじめとして、数々のフェスやイベントでの積極的なライブ演奏を通じ順風な活動を繰り広げ、インディーシーンという枠組みを軽く跳梁し、その存在感を確固たるものとしていった。しかし、彼ら自身はその安寧を甘受することなく、純粋なる音楽主義者達として新たなる表現と美意識を獲得すべく、時にユーモアを交えつつも真摯な探求と鍛錬の日々を重ねてきた。
予てよりバンドが血肉化してきた数々の有機的な音楽遺産に加えて、このセカンドアルバムでは、サイケデリックロックや、時にはプログレッシブロック~アヴァンギャルド的な語法も交えつつ、枚挙するに戸惑われるほどの数多の要素や音楽美が溶かし込まれている。レコーディング~ポストプロダクションにおいてもバンドの完璧主義が全面的に敷衍され、ベーシックトラックに於けるアナログテープ録音から、各メンバーは勿論、影山朋子(Vibraphone etc.)、池田若菜(Flute/吉田ヨウヘイgroup,發展)といったゲストミュージシャンの演奏も交えた様々な楽器音・電子音の重層的配置、更にはリーダーの岡田拓郎自らによる偏執的とも言える精緻かつ玄妙なミキシング作業までを通して、生鮮と爛熟が奇跡的にバランスする、圧倒的な音楽世界が作り上げられている。そして、ファーストアルバムでも独自の美意識を薫らせていた歌詞表現も更に奔放な羽ばたきを得て、音像と詩的心象がただ一つに融解していくように、聴くものを幻夢の世界へと誘い混む。それは恰も、歴史に晒されながらも清廉を保つ芳醇なシンフォニーのようでもあり、かつてモンパルナスに集った吟遊の芸術家集団による狂騒歌のようでもあり、老練の工人によって紡ぎ出される生活歌(ブルース)のようでもあり、そして、いつか見た未来を朧気に映し出す幻燈の静寂音のようでもある。
2014年という時代に屹立する、森は生きているという純音楽集団にしか創り出し得ない圧倒的名盤にして孤高の作品が、ここに誕生した。
森は生きている 『グッド・ナイト』
発売日:2014/11/19
品番:PCD-24373
値段:¥2,400+税
1.プレリュード
2.影の問答
3.磨硝子
4.風の仕業
5.痕跡地図
6.気まぐれな朝
7.煙夜の夢
a,香水壜と少女
b,空虚な肖像画
c,煙夜の夢(夜が固まる前)
8.青磁色の空
9.グッド・ナイト
2nd Album『グッド・ナイト』より組曲「煙夜の夢」
映像制作は、neco眠る、トクマルシューゴ、来来来チーム、dOPPOなどのMVも手がけてきた映像チーム・ONIONSKIN
The Pyramid