Text & Photo by Ayaka Torii
仕事は辞めずにバックパッカー。
名古屋在住アラサーOL海外一人旅日記
香港・マカオ編②香港の建物を巡る
2日目 2023年11月23日(木)
香港でやりたいと思っていたことの一つが集合住宅巡りだ。
香港には集合住宅がたくさんある。
人口に対して国土が小さいため、背の高い集合住宅が増えていったらしい。
かつて香港には「九龍城砦」という巨大なスラム街があった。かなり大きな建物で、狭い土地にびっしりと小さな部屋がひしめき合っていて(気になる人はぜひググってみてほしい)、私はネットで初めてその写真を見たとき、見た目のインパクトに圧倒され、香港に行ったら集合住宅を見てみたいと思っていた。
九龍城砦は90年代初め頃に取り壊されてしまったので今はもう見ることはできないけれど、他にも気になる建物の目星を付けていたので、この日は香港の集合住宅巡りをしつつ、散策することに。
チョンキンマンションを出て、地下鉄に乗って彩虹という駅で降りる。
駅構内、虹色にカラーリングされた柱
まずは朝食のお店へ。
地元の人で賑わう店内
店内は地元のお年寄りたちで繁盛していた。
お店の人に空いている席に促され、現地の人と相席になった。
着席してすぐにポットと湯呑みとボウルのようなものが机に置かれる。香港では湯呑みを自分で洗ってからお茶を飲むという習慣がある
ようで、現地の人のやり方を真似して、ボウルの中に湯呑みをくぐらせる。
注文の仕方がわからなかったけど、エビ餃子を指差したら持ってきてくれた。
お茶セット
エビ餃子。ぷりぷりで美味しい!
食後、まず初めに向かったのは通称・レインボーマンションと呼ばれる集合住宅。
彩虹という地名にちなんでなのか、虹色にペイントされた団地があるらしい。それがこちら。
可愛すぎる…!
外壁の淡いパステルカラーのグラデーション。ヤシの木、ビビッドな配色のバスケットコート。
まるでK-POPのMVに出てきそうなビジュアル。NewJeansがカムバするときはぜひここで撮影してほしい。
学生がバスケしたり地面に座りこんで話していたり、また一方ではお年寄りがベンチで佇んでいたりして、地元の人の憩いの場になっているのも良かった。
レインボーマンションから歩いて数分、次の集合住宅・坪石邨黃石樓へ。
無機質で直線的なデザインの灰色の建物。真ん中が吹き抜けになっていて、見上げると真四角に切り取られた青空が見える。
美術館のような雰囲気で、集合住宅なのになんだか洗練された印象があり、生活感を感じない不思議な空間だった。
次は楽華南邨という団地の屋上へ。
これが何のために作られた建造物なのかよく分からないけど、インスタ映えスポットとしてすでに話題らしい。
中心が円形に切り取られた水色の壁が、等間隔で並んでいる。天面の鉄骨が影を落とし、壁にストライプ模様を作り出していて可愛い。
その後香港のお寺・黄大仙に立ち寄りおみくじを引いたりお香を焚いたりして、いったんチョンキンマンションで休憩した。
おみくじの結果を解説してくれる占いの店が並ぶ。
夜、再び街へ散策に出た。
深夜特急にも登場する廟街という露店が立ち並ぶ通りを歩きつつ、行きたかった創業70年以上の老舗喫茶・美都餐室で香港式のフレンチトーストを食べた。
揚げたパンにバターが乗った香港式フレンチトースト
沢木耕太郎は廟街周辺を訪れた際の自身の心境をかなり詳しく書いている。街の熱気と喧騒に気持ちが昂る描写が印象的で、私の好きな場面だ。
当時の香港と今の香港はまた違うかもしれないけど、沢山の人と露店と古びたビル、漢字のネオンサインのきらめきは、確かに胸が高鳴るものがあった。脳内ではパスピエのチャイナタウンがエンドレスで流れる。
香港と言えば、ビルから道路側に突き出た、巨大な横長のネオンサインが沢山立ち並ぶイメージがあるけれど、老朽化で最近撤去されてしまったようだった。
こちらも九龍城砦と同じように、写真でしか見ることのできない、過去の記録になってしまっていた。コロナ前に訪れていれば見ることができたかもしれない。そう思うと、やっぱり行きたい場所には行けるうちに行った方がいいなと改めて思った。今日行った集合住宅も、数年後もそこにある保証はどこにもない。
その後、ビクトリアピークという香港の夜景を一望できるスポットに行くため、九龍半島と香港島を繋ぐスターフェリーという船に乗った。このフェリーも深夜特急に登場する。
スターフェリーの様子
ビクトリアピークから見る香港の夜景
2日目はこれで終わり。
次回、3日目は香港で最も訪れてみたかった場所へ。さらに香港からマカオへの移動も。お楽しみに。
鳥居 絢香 / Ayaka Torii
1992年生まれ。名古屋在住の会社員。
2022年夏よりLIVERARYスタッフを始め、ライティング、イベント運営に携わる。
海外旅行と名古屋のカルチャー、飲食店が好き。
沢木耕太郎と誕生日が同じ。
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