Text & Photo by Ayaka Torii
仕事を辞めずにバックパッカー。
名古屋在住アラサーOL海外一人旅日記
ヨーロッパ編④ジョージア滞在最終日。建築巡りラストスパート、レコードショップで人生初のアナログレコードを購入。
2024年9月9日〜10日
ジョージア旅も終わりに近づいていた。
あらかじめ予定していたメインのスポットには大体行くことができたが、まだいくつか見たい建築物や散策の途中で気になった場所があったので、ひとまず朝外に出た。
まずはトビリシ中央駅。
ここから夜行列車でアルメニアの首都・エレバンに行くことができるらしい。またコーカサス地方に来ることがあったら次はアルメニアとアゼルバイジャンも行ってみたい。
駅の近くには市場があり、野菜や肉などの生鮮食品から服や日用品までなんでも雑多に売っていた。
地下鉄で次の目的地に行く前に、ダンキンドーナツで糖分を補給する。
キオスクサイズの店構えが可愛い。星の形のドーナツを買ってみたところ、中身に大量のイチゴジャムが入っており途中から見た目が大変なことになってしまった。
地下鉄に乗って移動、散策を進める。
トビリシでよく見かける可愛いスーパー・Smart
西洋を感じる光景。ゴンドラで上に行くことができる
シオニ大聖堂
公共サービスホール。近代的なデザイン
次に考古学博物館というソビエト建築に向かった。博物館自体は閉業していて、もう廃墟になってしまっているようだ。
ここはトビリシ観光初日に大学講堂跡地に向かう際、たまたまタクシーから見えたのだが、丘の頂上のかなり行きにくい場所にある。私はタクシーを使って頂上まで一気に登った。頂上で降ろしてもらうと、大きく迫力のある建造物が目の前にあった。
誰もいないので、なんだか急に別世界に来てしまったような不思議な気持ちだった。昔のSF映画のワンシーンに入り込んだみたいだ。
この外壁の彫刻は何を表しているんだろう。よく見ると髪の長い女性がうなだれているようにも見える。昔小学校や中学校の壁にあった謎の彫刻作品を彷彿とさせた。
階段を登って街を見下ろす。
考古学博物館と同じ敷地に、背の高い大きなモニュメントが。
その後、帰りのタクシーを呼ぼうと配車アプリを開いたが、なかなか捕まらない。
しょうがないので下りは歩こうと思い進んでいくと墓地があった。行きのタクシーでは気づかなかったけれど、この丘は霊園になっているようだった。家族や親戚で固まって歩いている人たちとすれ違っていく。
最後の建築巡りとして、市民プール跡地の廃墟へ。
再度タクシーを呼んで目的地へ向かうと、モザイク画を外壁に構える建物に到着。外の階段を登っていくと内部の様子が見えた。
廃墟になっているプールを初めて見たかもしれない。
ウォータースライダーは植物で覆われて、観客席も荒廃しきっている。
さっきの考古学博物館もそうだが、ジョージアは何かと古い建物が放置されていることが多かった。
夕食は最後の晩餐ということで、ついに本場のシュクメルリを食べることにした。
シュクメルリはジョージアの郷土料理で、鶏肉をニンニクで炒め、牛乳を加えた煮込み料理だ。日本でも松屋からシュクメルリ鍋という名前で発売されたことがあり、SNSでバズったおかげで認知度が上がっている。ちなみにこのコラムがアップされた2025年2月10日現在、丁度松屋のシュクメルリ鍋定食が期間限定で発売されているので気になる人は食べてみてほしい。
カリカリに焼かれた鶏肉がクリームの中で煮込まれていた。松屋のシュクメルリ鍋にはチーズが入っているが、本場のシュクメルリにはない。
量が多いと聞いていたので空腹の状態で行き、お腹いっぱい食べたのだった。
夜はロープウェイに乗ってトビリシの夜景を見る。
ここにも巨大な女性のモニュメントが。
最後にトビリシの街を一望し、この日は就寝した。
翌日。ついに今日、トビリシ空港から飛行機に乗って出国する。
私は数日前に訪れたファブリカのレコードショップのことがまだ気になっていた。もう一度行ってみて視聴して、いい感じのレコードがあったら買おうかな。そう思い、ファブリカを再訪することにした。
ファブリカへ向かう途中、教会を見つけて入る。不思議の国のアリスのような世界観。
ファブリカ到着。
レコードショップは午後から開店だったので、敷地内のレストランで軽い食事をした。ジョージアはワイン発祥の地と言われているので、ジョージアワインを飲むことに。
ジョージアワインとサラダ
13時になり、レコードショップが開店したので入店。
VODKAST RECORDSという名前のお店
私はジョージアのレーベルのレコードを視聴することにした。せっかくならここでしか買えないものが欲しい。
私が気になったのはNikakoi というアーティストの、2003年にリリースされた「Shentimental」という2枚組のタイトルだった。水色のジャケットにロボットと女の子のイラストが入っていて、なんとなく相対性理論のアルバムのような、空想科学チックな印象を受けた。ジャンルはIDMと書いてある。
実家以外でレコードをかけるのはこの時が初めてだった。ヘッドシェルに人差し指を添え、盤面の縁に針を置く。ヘッドホンを着けて緊張気味にSTARTボタンを押した。
ヴァイオリンのゆったりした音楽が始まり、エコーのかかった男性の声が入ったその直後、高速のドラム演奏で曲が始まった。なんだか聴いたことがあるこのドラムフレーズ。私はパワーパフガールズのOPを思い出していた。後から知ったがこういう曲のジャンルをドラムンベースというらしい。ドラムンベースの代表的アーティスト、エイフェックス・ツインの存在もその後知ったのだった。
良い。
しかも2枚組4面。このタイトルのみでアナログDJができるかもしれない。
飲食店やマーケットイベントなどでよく見る、DJをやる人たち。自分にとってDJは身近でありながらも遠い存在だった。いつかやってみたいと思っていたけれど、きっかけがない。でも、ここで買ったレコードが足掛かりとなって、DJを聴く側からプレイする側になれるかも。
私はこのレコードを買うことにした。レジへ持って行き、お店のステッカーと一緒に黄色のビニール袋に入れてもらった。残りの2ヶ月間、日本に帰るまで大事に持ち歩こう。
宿に戻る前に少しだけ寄り道をした。まずはアイスクリームのお店へ。
次にUzu Houseで教えてもらった、日本人の方が営むベーカリーでパンを買った。
お店の方と少しだけ会話をした。いつ帰るんですか、という問いに今夜トビリシを出ますと返事をする。
現金で払うと、お釣りに2ラリ硬貨をくれた。
「今日発たれるならこちらを記念にどうぞ。2ラリはあまり出回ってなくて珍しいんです。さっき別のお客さんのお釣りでもらったので、あげます。」
2ユーロ硬貨のような金と銀の2色コイン。これまでの滞在中見なかったデザインのコインだ。
お店の方の心遣いが嬉しい。ジョージアで最後に訪れたのがこのベーカリーで良かったと思った。
ソビエト建築、クラブなどのアンダーグラウンドカルチャー、コーカサス山脈の大自然…。
多面的な魅力を持つ国、ジョージア。毎日楽しくて、おかげで記念すべきヨーロッパ1カ国目の旅はあっという間に終わってしまった。これからの2ヶ月も、長いようですぐに帰国の日が来るんだろうな。
名残惜しさの中、私はトビリシ国際空港へ向かった。初めて買ったレコードを片手に下げて。
その後、私は名古屋のイベントでたまにレコードをかけるようになったのだった。
次回、初めてのイスラム圏、トルコ・イスタンブールへ。
鳥居 絢香 / Ayaka Torii
1992年生まれ。名古屋在住の会社員。LIVERARYスタッフ。
海外旅行と名古屋のカルチャー、飲食店が好き。
沢木耕太郎と誕生日が同じ。
Instagram: ayaka_10r
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