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【SPECIAL COLUMN|SummerOfFan】終わらない夏休みの宿題。第一話:盗んで始める。

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これまでに6EYES、odd eyes、THE ACT WE ACT、MILK、ロンリー、AlfredBeachSandalGellers、マリアハト…など11枚の名盤をリリースし、7inch専門レーベルとしてコアな音楽ファンのハートを鷲掴みにし、粉々にしてきた、SummerOfFan。“終わらない夏休み”をテーマとする、SummerOfFanチームによる謎のリレーコラム(の予定)が構想から約1年以上かかってようやくその口火を切った。

 

第一話:盗んで始める。

Text by カベヤシュウト

 

以前に、「映画に関してのコラムを書いてほしい」とお題目いただいたにもかかわらず、書こうと思ってた作品がどうしようもなくつまらない、ただの助長なゴミだったせいで完全にヤル気が失せてしまって放っぽり出したままになってしまった。

もちろん、ヤル気以前に能力も全くないので、めちゃくちゃ面白い作品だったとしてもきっと書かなかった。映画を批評もしくは言語化するのは、感覚の残響をすくい取って、水に絵を描くような途方もない作業だと思っていて、そんなことをやり遂げるには気が違うまで映画を信じ続ければならない。そこまでは自分には出来ないし、怖れに負けて頭を垂らすしかなくなってしまう。いや、これも全部デタラメ。ただ面倒くさかっただけ。

一生何もしない。

もうすぐで夏が始まる。梅雨の間は麻痺して死んでいるので、無いのと同じ。

サマー・オブ・ファンのメンバーで毎日集まってた頃は、コレクティブ・ハウスで、朝からビールかウイスキーを飲んでいた。2009~2011年にかけて。先が何もない不安に苛まされながら家を出て、酒を買ってコレクティヴ・ハウスに向かう。ジリジリとした太陽を背に受けながら鶴舞公園を通り抜け、上前津のサウンドベイに寄って、ファイルアンダーを横目に栄を抜ける。そのまま栄を抜けたら、錦に入り、夜の残骸を無視して丸の内に辿りつく。そして、騒がしい光の中でテンションが上がって意識が飛び–––––気付くと、たこ焼きに一味と唐辛子を死ぬほど入れて、それを辛くない、全然イケるわーって言いながら食べて肛門をぶっ壊したり、爆音で音楽流しながら暴れたり、延々と酔い続けた挙句に台所で寝たりしてて、どこまでも終わってた。ウェイステッド・ユース、それが何よりも心地よかった。

過去はこれから少しづつ書く。忘れていくことを思い出しながら書くのは難しい。過去も未来も分からない。瞬間にしか存在しえない気がしてるから。

最近の話。

外に券売機があるラーメン屋で1万円札を券売機に通し、札のお釣りをとり忘れ、すぐに気づいて取りに戻ったが、札の受け取り口は空で、照明に鈍く反射する安銀のフォルムだけがジリッと耐えていた。9000円!を見ず知らずの他人に引き渡すことになってしまった僕は手が震え、感情のやり場をなんとか内に留めるために(暴れて逮捕されたくないから)ワナワナしながらも、うー、、とか呻きながらラーメンは食わずにそのまま店を出た。
チャラついた茶髪の店員がすぐにうちにはそういうの関係ないんで〜って駆け寄ってきたが(もちろん悪いのは俺と盗んだ奴だけ)、また怒りがヤバくなってきたから、こいつから金を取って走ろうと思った。けどしなかった。ビビリだから。
で、金がなくなったから、買う予定だったレコードと本を一旦諦めた。

 

 

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