Interview by YOSHITAKA KURODA(ON READING)
東山公園のbookshop&gallery ON READINGでは、定期的に様々なアーティスト、クリエイターが展示を開催しています。
このコーナーでは、そんな彼らをインタビュー。 今回は、女の子のイラストを中心に書籍、雑誌、広告、CDジャケットなど様々な媒体で活躍中のイラストレーター、高橋由季さんにお話を伺いました。
―絵は小さい頃から好きだったんですか?
そうですね、姉が絵を描くのが好きだったので、その影響で私も小さい頃から描いていました。学校は、広島にある美術の短大と専攻科で合計3年、日本画を勉強していました。アカデミックというよりは結構自由にやらせてもらえる学校で、油絵もやらせてもらえたり、いろいろな画材や技法を学ぶことができました。
―日本画を選択したのはなぜなんですか?
日本画の画材は、ここで学ばなかったら一生使うことがないかも、と思って選んだんです。なんでもやってみたくて。このころは自分の足でモチーフを探して、その場でスケッチをし、絵に落とし込む丁寧な作業をしていました。顔料はなかなか扱いが難しく、描くたびに発見があり、ちょっと面倒臭いんですけど、そのうまくいかないところも楽しかったです。
―今はもうやってないんですね。
またやってみたいな、と思ってます。卒業して3~4年は学校のOB展があって、年に1度は日本画を描いていたんですが、それ以来はぱったり描いていなくて。画材は違いますが、例えば今回の展示でも背景の塗り方は、当時の描き方をしているものもあります。
―卒業後、すぐに絵を仕事にしようと思ったのですか?
卒業後は3D CADの会社に就職して、仕事をしながら年に一度は展示をして、コンペに出したりという生活を続けて、やっぱり絵の仕事をしたいなと思って3年を区切りにしてフリーになりました。その後も広島や東京で展示をしながら活動をしていて、2014年にJAGDAの総会が広島で開催されたときにビジュアルを描かせていただいたのと、雑誌『イラストレーション』のザ・チョイスで江口寿史さんに準入選いただいたのがきっかけで、コンスタントにお仕事をいただけるようになりました。
―イラストレーターでデザイナーのカヤヒロヤさんと、デザインユニット・コニコも結成されていますよね。コニコのお二人は、つい最近までは広島にずっといたんですよね。
そうなんです。まだ東京に来て一年経ってないんです。コニコはもともと、広島で活動をしていくために作ったんです。地方ではどうしても、いろいろなことをやれた方がいいので、例えば紙モノのデザインだけじゃなくWEBデザインもやるとか。イラストとデザインをパッケージで提案ができるのでいいかなと。
あと、そもそも、イラストの仕事を作りたかったというのがあって。例えばショップカードのデザインの依頼を受けたときとかでも、イラストを使用したアイデアを提案してみて、そうやってひとつひとつ仕事を作っていったんです。最初は本当になんでも描いてました。
―高橋さんは、ずっと女の子をモチーフに制作してきていますよね。造形的に、女の子に魅力を感じているんでしょうか。
そうですね、モデル体型の綺麗な女の人ではなくて、普通の女の子が好きなんですけど、例えば歩いてても、かわいい女の子とか見ちゃいますね。絵の描き方や表現は変わっても、女の子を描くことは本当に飽きないですね。大学生の頃は近藤聡乃さんとか奈良美智さんが好きで、少女の不思議さやダークな部分に惹かれた時期もありました。あとは子どもの頃から観ていたチンプイとか藤子不二雄のアニメ、漫画に出てくる女の子もすごく好きです。
―イラストレーターとして活動し始めた当初と、描く絵は結構変化していってるんですか?
仕事を取るために営業も回ったりしていたのですが、そういうところで「もっと女の子が目立つように背景の描き込みは抑えたほうがいい」とか「線画でシンプルに」とか、アドバイスを受けて絵が変わっていったというところもありますね。「この目さえあれば仕事になる」と言われたこともありました(笑) もともとは、背景を結構描き込むのが好きだったんですが。あとは、デザイナーさんが仕上げでアレンジを加えてくださったことで、こういう表現もあるのか、とか勉強させていただくことも多いです。
正直、ここ数年は仕事のことで必死だったので、自分が本当に描きたいものが何なのかが、ぱっと思いつかなくなっちゃうこともあって。欲が絵に向かないというか。今はゆっくりとでも、もう一度そういうことに向き合う時期なのかなって思ってます。
―今回の作品集と展示「ニューテレポーテーション」について聞かせてください。
今回は、「超能力」をテーマに選びました。SF的な表現にも以前から興味があったのと、あとがきにも書いたのですが、私自身や見てくれた人が新しい場所へ飛んでいけるようにという想いも込めています。
自分の中では表現において挑戦できたところもありつつ、モノクロという制限がある中で色々と模索できたのがよかったなと思ってます。全ページ描きおろしで、「本を作る」という全体の構成から発想していけたのは面白かったですね。楽しく描けました。最後の2週間くらいは〆切に追われて大変でしたけど(笑)
―間に合ってよかったです(笑)今回の作品集は、高橋さんの魅力のひとつである、構成力、カメラワークがふんだんに楽しめるものになっていると思います。ぜひ、たくさんの方に観てもらいたいですね。
2017年8月2日(水) – 8月28日(月)
高橋由季 個展 『ニューテレポーテーション』
会場:ON READING 名古屋市千種区東山通5-19 カメダビル2A
営業時間:12:00~20:00
定休日:火曜日 ※8月8日(火)、 8月15日(火)、8月22日(火)~25日(金)は休業
問:052-789-0855
http://onreading.jp/
SPECIAL EVENT ニューテレポートレート(似顔絵) 日程:2017年8月26日(土)、27日(日) 時間:26日|13:00~18:30 27日|13:30~18:00 お一人様 20分程度 料金:3000円+税(作品集「ニューテレポーテーション」付き)予約制 ご予約:http://onreading.jp/exhibition/takahashi_yuki/ ※女性限定の募集となります。 男性・小学生未満不可。お一人様につき1枚とさせていただきます。 作品集「ニューテレポーテーション」に掲載の1シーンをモチーフに、あなたの似顔絵を描きます。
高橋由季 / YUKI TAKAHASHI
イラストレーター。
女の子のイラストレーションを中心に、書籍、雑誌、広告、CDジャケットなど様々な媒体で活動中。ザ・チョイス江口寿史さんの審査にて準入選。2016年韓国のブックショップYOUR MINDより「Coffee & Bread」を出版。デザインユニット「コニコ」としても活動。
http://takahashiyuki.com/
http://conico.co/
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