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【SPECIAL REPORT】「音楽活動を行うことに“責任”があると思っている」—Red Bull Music Academy主催、DJ Black Coffeeトークセッション参加レポート。

2015.02.28.Sat | RED BULL MUSIC ACADEMY WorkShop Session|club JB's (栄)

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「Red Bull Music Academy 2003」の卒業生でもあり、その名を世界に轟かせる音楽プロデューサー兼DJのBlack Coffeeが、今年2月末に来日。2015年2月28日(土)、「Red Bull Music Academy Presents Black Coffee Japan Tour @club JB’S」にて来場し、夜のライブイベント出演前にスペシャル・ワークショップ・セッションが行われた。

RBMA Workshop Sessionについてはコチラを参照

会場に入ると、まずは同時通訳を聞くためのイヤホンが手渡された。奥へ進むと、そこにはすでにたくさんの人々。通常イベント時は、フロアとして使用されている空間には、イスが列挙し、いつものClub JB’sとはやはり違った雰囲気に。

前面のスクリーンに、Red Bull Music Academy の紹介VTRが流れ、その後、インタビュアーのMike Sundaが簡単な挨拶をすませると、拍手とともに本日の講師・Black Coffeeが登場。

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今回のワークショップセッションでは、インタビュアーMikeが、Black Coffeeの音楽制作/活動に対する姿勢や考え方について、また、現在の南アフリカの音楽シーンについてなどを、これまでの彼の活動内容などに触れながら、トークを重ねていった。

彼は、大学ではジャズを専攻していたが、ハウスミュージックや流行していたクワイト(KWAITO=90年代半ばに登場した南アフリカ流のヒップ・ホップ)などに傾倒した。当時、母親には、ミュージシャンになるとは言えなかったらしいが、アーティストになると告げたのだそう。

ちなみに、「クワイト」というのが気になって、代表的なアーティストを少し調べてみた。ややレゲエの要素があるのも特徴的。ただ、トラックだけを聴いているとハウスミュージックのようにも聴こえる。

Arthur Mafokate – Oyi, Oyi –

South African Kwaito Pop Mix

現在も、彼は自身が作り出す音楽の中で、トラックだけでなく、そこに乗る<ボーカルの声>、そしてそこに込めた<メッセージ>を重要視していることにも言及していた。

そして後半、来場者への質問を投げかける、司会のMike。

ここでは、以下のような質疑応答が。

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質問者A —アフリカの音楽を外に出していきたい?もっと拡げていきたい?

Black Coffee(以下、BC):音楽的に芳醇な土地だと思う。昔のアフリカのクラシックな音楽もどんどんと出していきたい。そういった音楽のプラットフォームのようなものを作りたいと思っている。


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質問者B —レコードレーベルのオーナーとして重要なことは? (BC自らレーベルも立ち上げ運営している)

BC:
経験を構築すること。自分のレーベルは、メジャーレーベルではないので、メジャーへの協力は必要とされる。自分のレーベルと同じような意思の大きなレーベルと協力し、テレビや映画の音楽として売り込むこと。実際に、自分の場合は、ユニバーサルと契約した。ネットワーク、業界的なノウハウを彼らは持っている。

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質問者C —便利なテクノロジーは、アーティストのイマジネーションを失わせるのでは?


BC:
テクノロジーに助けてもらうという考え方だ。例えば、飛行機の中で、あるメロディのアイデアが浮かんだから、空の上でヘッドフォンを使ってすぐに簡易レコーディングをした。それを家に帰って、スタジオで再録音し曲にすることができた。

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ここで、筆者も挙手し質問をしてみた。

—音楽以外に、もし何らかの活動をするとしたら、何をやりたいですか?

BC:アート活動以外にはやる気はない。(音楽をやっていなかったら)絵画をやっていたかもしれない。暇ができたら誰かに教えてもらうか、一人で絵を始めるかもしれない。

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インタビュー形式のトークから参加者との質疑応答まで、すべての質問に対し、海外アーティストのインタビューでよくあるジョークを交えた笑いの要素はほぼ皆無。

一言一句を大切に、言葉を選びながら丁寧に答える姿を間近で見て、彼の人柄や背負っている大きな使命感やバックグラウンドを体感できたように思える。

トークセッション終了後、居残ったファンたちとのにこやかな交流をする、Black Coffee。

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その後、イベントは一旦クローズし、22:00からリスタート。

来場者数はおそらく200人を超え、朝方まで盛り上がりを見せていた。
言葉で音楽を伝えることは、野暮なことかもしれないが、トークセッションに参加したことで彼の音楽に対する姿勢を頭で理解した直後に聴く、BlackCoffeeのプレイは言うまでもなくすばらしいものだった。

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そして、今回のRBMA ワークショップセッションに参加した愛知在住のDJ/トラックメイカー3名にコメントを頂戴した。

 

<以下、参加者からのコメント>

AGO (43歳)  職業:デザイナー

外国人DJをゲストに迎えた時に良かったなって思うのは、実際のDJプレイももちろんだけど、事前にメシ食いながら聴く、音楽やら世界情勢やら哲学やらなんやらの話。 その後のプレイも聴こえ方が変わってくるし、音楽が生まれる背景ごと知れた気になって、相手の人間性も含めて、ずーっと残る。 こういう、招聘パーティの前にそのアーティストとディスカッション出来るのも、それと近い体験だよな〜と思って見てました。RBMAどんどんやって欲しい。

asamy(?歳) 職業:WEBディレクター/デザイナー

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彼の音楽を流すと必ずと言っていい程「誰の曲ですか?」と聞かれるので、個人的にとても不思議な存在だったBlack Coffee。先日のRBMAで、彼の音楽に対する想いや、経験・刺激になったことを聞いて納得。彼の強いメッセージが音楽にあるから、多くの人に響くんだと感じました。貴重な経験ができて感謝です。

DJ ToM/中山智貴(27歳) 職業:放送局勤務/フリーディレクター

 

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僕の制作ジャンルと異なるアーティストのワークショップでしたが、メディアでは聞けないであろう彼の話の数々には驚きと感心の連発。正直、自分の音楽制作に少し息詰まっていた時期でもあったので、音楽制作への大きなエナジーを貰いました。今後も名古屋でたくさん開催してもらいたいです。

 


Portrait Photo :  LIVERARY
 

ーーー

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—音楽活動を行うことに、“責任”があると思っている。

Black Coffeeが今回、話した中で最も印象的だった言葉、それは“責任”だった。

この2文字を噛み締めながら、DJやトラックメイキングをしているミュージシャンがどのくらいいるのだろうか。普段、ライブハウスに行くことが多く、クラブミュージックには明るくない筆者としては、かなり印象に残る言葉だった。

事実、彼は「予定していたギグが行われる村で、洪水が起こった際、音楽を届けることよりもまず先に、すぐさま食料を贈った」というエピソードについても語っていた。南アフリカに光を見出したとされる、彼の功績は音楽だけでなく、もはや政治家や大企業レベルの影響力があるのかもしれない。

Black Coffeeはもちろん、そして、RBMAの活動は、今後も世界中の若者き音楽家たちに音楽のすばらしさを提示し続けることだろう。

 

Text & Edit :Takatoshi Takebe[THISIS(NOT)MAGAZINE, LIVERARY]
Photo :  © Suguru Saito / Red Bull Music Academy
Special Thanks : Red Bull Music Academy, club JB’s

 

―――

<関連動画>

事故で片手の機能を失うBlack Coffee。そんな彼を支持する南アフリカの人々を切り取ったドキュメンタリー・ムービー。

―――

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Black Coffee (from South Africa)

一躍時の人となり名声を得たことを考えると、アーバン・ハウスパーティーの市場に貪欲に裾野を広げようと躍起になり、ビートにばかり囚われているその他大勢のアーティストのひとりではないかと見られるかもしれない。だが実際は違う。南アフリカ・ミュージック・アワード受賞作品である『Home Brewed』が示すとおり、DJ兼プロデューサーであるBlack Coffeeは、従来の音のあり方そのものに対峙しているといえる。立体感のあるバランスと美しい旋律に組み込まれた、控えめな洗練さと同時に感じられるノリの良いアフロハウスや演出された高揚感。それらはBlack Coffeeが好む本物のアフロポリタン・ハウス、すなわちアフリカの地でじっくりと熟成されていながら、トレンドセッターとしての要素が垣間見られるサウンドなのである。南アフリカ、クワズール・ナタール州のダーバンで生まれたBlack Coffeeは、音楽を学ぶため専門学校でジャズを専攻した。2003年のRed Bull Music Academyに、南アフリカの参加者として選ばれたことをきっかけに南アフリカのDJシーンに躍り出て以来、後ろを振り返ることなく前進し続けると心に決め、精力的に活動を続けている。2005年、デビューアルバム『Black Coffee』をリリースし、同年<Soulistic Music (PTY) Ltd>を設立。Black Coffeeにとって世に出る足がかりとなったこのデビューアルバムは、ごく基本的な機能だけを備えた楽曲ソフトを使い制作したことを本人が明かしている。「基本的なアイデアを詰めただけで、MIDIコントローラーは一切使わずコンピュータマウスだけで作ったから、アルバムの制作工程をどう説明したらいいのか分からない。」と語る。また彼にとって、歌に楽器の生音を使用することも大事な要素となっており、それによってトラックに魔法がかかったように命が吹き込まれるのである。卓越したクリエイティブな才能を余すことなく発揮するBlack Coffee。彼が創り出すサウンドは、ファミリーという小さな単位から、コミュニティー、仲間同士、文化、国、そして世界という大きな規模に至るまで、幸福感をもたらしていることに疑問の余地はないのである。

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Red Bull Music Academy(レッドブル・ミュージック・アカデミー)

レッドブル・ミュージック・アカデミーは、世界を巡る音楽ワークショップとフェスティバルのシリーズ。現在の音楽のあり方を変えていく人々のためのプラットフォームです。世界各地から選ばれたプロデューサー、ヴォーカリスト、DJ、楽器の演奏家など、独自に音楽を追究する30名の参加者から成る2組のグループが、毎年新しい都市において各2週間開催される音楽学校に参加します。内容にはレコーディング・セッション、著名な音楽関係者によるレクチャー、コラボレーション、そしてその街で最高峰のクラブやコンサート会場でのパフォーマンスが含まれます。それは、科学研究室とバビロンの空中庭園とKraftwerkのプライベート・スタジオを足して3つで割ったような場所を想像してもらえば、きっとかなり近いでしょう。アカデミーが始まったのは1998年、ベルリンを出発点としてケープタウン、サンパウロ、バルセロナ、ロンドン、トロント、ニューヨーク、東京と地球を横断してきました。2015年、このアカデミーはフランス・パリにて開催されます。(公式ホームページより引用)

posted by LIVERARY

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