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愛知県大府市にて、現代美術展「境界のかたち 現代美術 in 大府」が開催。うしお、折原智江、下道基行、鈴木一太郎、平川祐樹、松川朋奈が出展。

2021.01.23.Sat - 02.14.Sun | おおぶ文化交流の杜 allobu(愛知|大府)

 

 

図書館、ギャラリー、スタジオ、レストランが併設されている愛知県大府市の文化交流施設・おおぶ文化交流の杜 allobuにて現代美術展「境界のかたち 現代美術 in 大府」が1月23日(土)〜2月14日(日)まで開催中。

本展示会は、ギャラリーや図書館を舞台に、見るひとに余韻を残す作品が特徴的な6名の現代美術アーティストの作品を紹介。期間中は、ホールで日用品演奏ユニット・kajiiの公演も予定している。

展示会のコンセプトとしている「境界」は、国境などの境界線としての意味だけではなく、「大人と子供」、「過去と現在」など様々なところに引かれている「境界」に焦点を当てる。新しい時代に活躍するアーティストの作品を紹介することで、今の時代の「境界」を見つめる。

今回出展するのは、うしお折原智江下道基行鈴木一太郎平川祐樹松川朋奈の6名のアーティスト。以下、それぞれの作品について触れてみる。

 

うしお《詠み人知らず「なかきよの…」》2021年    photo: Tamotsu Kido 

ゲームに用いられる道具やルール、イメージを再構成する手法で「思い通りにならない状況」を可視化する作品を発表してきた現代美術家・うしお。本展示会では、江戸時代の船頭・小栗重吉の太平洋漂流のエピソードをもとにした映像と空間を構成。いつ終わるともわからない漂流生活のなかで、人間はどのように振る舞い、どのように人間らしく生きていくことができるのか?さまざまな問いを投げかける。

 

折原智江《記憶の石化》2021年   photo: Tamotsu Kido

取り扱う素材と作家の身体性やコンセプトを織り交ぜてきた作家・折原智江。死のイメージを伴う線香を、あえて縁起物の象徴とされる松の盆栽で形作りした作品や、自らの涙で塩を生成した盛り塩など、逆説的な印象を与えつつも遊び心が感じ取れる作品が特徴的。石の塊のように見えるこの作品は、2020年1月1日から2020年12月31日まで365日分の新聞を積層させたもの。

 

 

下道基行《14歳と世界と境》2013-2019年  photo: Tamotsu Kido

過去、LIVERARYでもワークショップの様子を特集した現代美術作家・下道基行下道基行とともに「見えない風景」を「言葉の地図」で巡る。他者の視点から眺めることで、鮮やかに一変する景色と感覚。)の、中日新聞の夕刊(毎週水曜日)で連載された「14歳と世界と境」は、愛知県内の中学校で特別授業を行い、中学生に「身の回りの境界」についてインタビューして出来たもの。このコラムは2013年のあいちトリエンナーレでも作品が展示された。

 

鈴木一太郎《英雄不在の騎馬像》2021年  photo: Tamotsu Kido

愛知を拠点に活動している鈴木一太郎は、昔の彫刻をモチーフに、あえてドット絵やピクセルアートの手法で作品制作する。メディアが発達した時代にリアリティとは実際に目にした立体物から感じ取った身体的体験なのか、ネットや紙面など平面情報から得た視覚的認識なのかという疑問を追求している。戦争の功績を讃える象徴とされた騎馬像が、時代の変化によりどのような価値観や意識に変わったのか見る人に問う。

 

平川祐樹《a film by #01》2021年  photo: Tamotsu Kido


平川祐樹
は、メディア考古学を応用しながら、場所や物が持つ性質を新たな視点で作品制作する映像作家。本展示会の映画のイメージの元になっているのは、焼失や紛失で元のフィルムが現存していない昭和初期の映画のワンシーン。当時残された記録写真やブロマイドなどの関連資料から再構築し、虚構に過ぎなかった過去の物語の空間を、現実に存在する現代の空間に結びつける。

 

 

松川朋奈《自分で選べるということに、今も戸惑うけれど》2021年  photo: Tamotsu Kido

偶然カフェで隣に座った人や、SNSで出会った人のインタビューなどから、女性の油彩画を描く松川朋奈。作品には、身体に残る痕跡や脱ぎ捨てられた衣服など、彼女たちが抱える問題や物語が落とし込まれている。今の時代を生き抜こうとする私たち自身の姿や、抱える問題を描きだすことで、個人にとどまらない社会全体の姿が作品に現れている。

 

<以下、「境界のかたち 現代美術in大府」ステートメント>

開催地の大府市は、市民がアートに身近に触れる機会を創出するため、「アートオブリスト」という現代美術展を精力的に展開してきました。その大府市は、愛知県内で尾張地方と三河地方の境界に面しており、歴史的にも県内の交通の要衝として東海道線上の名古屋方面から東京方面への起点となってきました。私たちは、国境や市町村の境目といった地図上の境界線だけではなく、様々な境界に囲まれています。大人と子供、二次元と三次元、過去と現在、あるいは自分と他人など、目に見えない曖昧なものとしても、様々なところに引かれている境界を見つめることは、日本や世界で社会や公共空間への意識が変化する中で、どのような意味が生まれるでしょうか?このような意識を背景にしながら、国内外で活躍するアーティストによる作品を紹介することで、新しい時代の中で境界に向き合うヒントを探ります。

 

イベント情報

2021年1月23日(土)〜2月14日(日)
「境界のかたち 現代美術 in 大府」Imagined Boundaries: Contemporary Art in Obu
会場:おおぶ文化交流の杜 allobu(大府市柊山町6丁目150-1)
時間:10:00〜18:00
入場料:無料(※一部イベントのみ有料)
出展:うしお / 折原智江/ 下道基行 / 鈴木一太郎 / 平川祐樹 / 松川朋奈
https://aichi-art.com/

うしお
1978年山形県出身。山形県拠点。
人間同士のコミュニケーションや社会のなかで生まれる「思い通りにならない状況」に着目し、映像やインスタレーション、ワークショップなど多様な方法で制作するアーティスト。視覚障害者用に開発されたボードゲームの白黒を視覚的には判別できないようにして、晴眼者には文字どおり勝敗の白黒がつけられなくなる様子を映した《Where Are You?》や、組み合わせのカードの偶然によってお茶の味が左右されてしまうお茶会《不如意のティーサロン》など、ゲームの道具や人々があたりまえのように受け入れているイメージや言葉を再構成することで、暗黙のルールを無効にし、それを見直すことをうながす。予定調和に終わらない展開のなかで、戸惑いや躊躇いを覚えながら人がどのように人間らしく反応することができるのか、その振る舞いを批評的に考察する。
https://usiotokojp.info/

折原智江
1991年埼玉県出身。埼玉県拠点。
多摩美術大学工芸学科で陶を学んだ後、東京藝術大学大学院先端表現科を修了。煎餅工場に生まれた作家が寿陵(生前墓)を煎餅で作った《ミス煎餅》をはじめとして、自身のルーツやバックグラウンドへのまなざしを起点に、人間の感情を動かす病や死をテーマとした作品を制作してきているアーティスト。その作品の大きな特徴は、自身の身体感覚にもとづきながら、扱う素材の特性とコンセプトとを織り交ぜるスタイルにある。他者の死に向き合うことで着想した線香で作った盆栽や、自らの呼気で炭を燃焼させる作品、涙から塩を精製した作品などでは、客観的な考察では解決困難な問いを投げかけている。個人的な体験から出発しながら、死者と自分、過去と現在などの対立をシリアスかつユーモラスに越境していく。

下道基行
1978年岡山県出身。香川県拠点。
武蔵野美術大学造形学部油絵科卒業後に東京綜合写真専門学校研究科を中退。砲台や戦闘機の格納庫など日本各地に残る軍事施設跡を4年間かけて調査・撮影し、出版もされた「戦争のかたち」シリーズや、アメリカ・台湾・ロシア・韓国など日本の植民地時代の遺構として残る鳥居を撮影した代表的なシリーズ「torii」など、旅やフィールドワークをベースにした制作活動で知られる。彼の作品は、風景のドキュメントでも、歴史的な事実のアーカイブでもない。生活のなかに埋没して忘却されかけている物語、あるいは些細すぎて明確には意識化されない日常的な物事を、写真やイベント、インタビューなどの手法によって編集することで顕在化させ、現代の私たちにとってもいまだ地続きの出来事として「再」提示するものである。
http://m-shitamichi.com/

鈴木一太郎
1988年岐阜県出身。愛知県拠点。
愛知県立芸術大学大学院博士課程前彫刻期専攻修了。「ヴァーチャルと彫刻」をテーマに、パソコンのモニタ上で人々が見慣れているデジタルな画像を、現実の空間に立ち現わせるような作品を制作し、新しい彫刻のあり方について考察し続けているアーティスト。パソコンの演算処理の結果表示されているに過ぎないビット、ドットまたはピクセルと呼ばれるグリッド状の区切りを用いてイメージを表示させるが、二次元と三次元、リアルとヴァーチャル、現実と虚構など、スマホやインターネットの普及によって曖昧になっている視覚的な領域を揺さぶる作品を生み出している。
https://www.instagram.com/zerotaro/?hl=ja

平川祐樹
1983年愛知県出身。愛知県拠点。
名古屋学芸大学大学院メディア造形研究科修士課程修了。映像を中心として、写真やインスタレーション、あるいはそれら複数のメディアを組み合わせた作品を制作。場所や事物について、考古学や地質学、あるいは化学的な視点からリサーチし、それらがはらんでいる時間の流れを可視化し、硬質で静的なイメージへと結晶化させる。モチーフとなるのは、燃えている蝋燭や凍った葉など端的に経過した時間の痕跡を留める物だけでなく、「失われたフィルム」と呼ばれる古い映画の断片など、それらの固有の物語の一部をなすものである。そこでは、場所や物にまつわる記憶や失われていた歴史が詩的に呼び起こされる。
https://standingpine.jp/artists/5

松川朋奈
1987年愛知県出身。東京都/京都府拠点。
作家自身による同世代の女性たちへのインタビューをもとに、彼女たちが社会で生きていく上で抱える不安や悲しみ、強さや弱さといった内面を織り交ぜながら写実的なスタイルで描き続けている画家。飲食店やネット上で出会った人と話し、彼女たちの身体の一部や衣服、室内の様子などをモチーフにして絵画を構成するが、登場する女性には、傷や妊娠線などの痕跡や衣服の汚れやシミなど、プライベートな事象を想起させるディテールがきわめてリアリスティックに描き出される。現代社会の構造的な問題によって不遇な立場におかれた女性たちがどのように生きるのか? 彼女の絵画には、あらゆる女性が一人の人間として自らを肯定し、豊かに生きていく可能性への力強くストレートな願いが通底している。
https://www.tomonamatsukawa.com/

 

posted by K.NAKASHIMA_LIVERARY

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