2014.02.01.Sat | 2014.2.1 OPEN!|l'atelier du savon / maison YWE
2月1日(土)、「栄」に新たな複合ショップがオープン。
「栄」といえば、パルコや松坂屋、ラシックに丸栄といった巨大なショッピングビルが建ち並ぶ…大概の人がきっとその辺りをまず思い浮かべるんじゃないだろうか。
だけど、それらのビルが列挙する南大津通商店街から、少し、西へ。路地を抜け、さらに西へ1本入ると、呉服通りに出る。ここは、表通りの賑やかさはないものの、休日となれば、ちょっぴりハイセンスなファッションを纏ったひとたちが歩いている、そんなイメージのストリート、その一角。外観からして元気溌剌なヴィレッジヴァンガード栄店があって、そのお隣。
見慣れた風景の一角にすっくと出現した、淡いグレーの新たな建物…。
そのビルの1Fに、アパレルショップ「l’atelier du savon(アトリエ・ドゥ・サボン)」、
そして、2Fには、カフェ「maison YWE(メゾン・イー)」が同居する。
今回は、その両店に関わる方々に集まっていただき、オープン前に取材させてもらいました。
(取材・撮影場所は、1Fのl’atelier du savonです)
“街歩きしたくなる、そのフラッグのひとつとなる路面店の魅力”
前述した、いわゆる「栄」のイメージから少しずれた、距離的にも少し離れたこの場所で、どうして今、路面店をスタートさせたのか? まずは、そこから聞いてみました。
「路面店ってやはりちょっぴり敷居が高くて、ほんの少し緊張する場所であったりするんですけど、そこから一歩、中へ入ると、店員さんとの会話が弾んでしまって、気づいたら自分のお気に入りの場所になっていって、むしろ一番、居心地のいい空間になっちゃったりすると思うんですよね」と、l’atelier du savon店長の村上さん。
「私はやっぱり街歩きをしながらのショッピングが好きですね。よし、買い物に行くぞ!という感じよりも、もう少し自由でワクワクする感じがして、楽しいじゃないですか。もっとこの街を歩いてほしいなって思っています」(村上店長)
ひとつの館(やかた)の中にたくさんのありとあらゆるブランドやショップが入っている大型店も楽しくて、買う側としては便利なこともあるだろうけれど、少し息がつまるときもある(僕個人としては、SALE中のショッピングビルのカオティックな風景なんかを想像すると、自然と足が遠のいてしまう)。
街歩きをしながらのショッピングは、店から店へ移動するその合間の何気ない街の風景なんかが、ギャラリーでいうところの絵と絵の合間の白壁みたいな感じで、その歩行距離は全く無駄にはならなくて、むしろ、ちょうどいい気がする。
中部エリアでは初出店、さらに初の路面店となる、l’atelier du savon。
レディースを中心にメンズやユニセックスの個性豊かな6ブランドを取り扱う。その中のひとつ、「I am I 」デザイナーである村中さんは、この建物の企画/設計から関わっている人物。では、一体どういったコンセプトだったのだろう。
「最初にまず、このお店に訪れるお客さんのライフスタイルも提案できるようなお店づくりを…と考えてみました。そうすると、衣食住のうちの「衣」がうちのお店なら、「食」もどこかのお店に入ってもらえないかな?って思ったんです。で、僕は30代なんですけど、たまたま名古屋にも僕と同世代くらいでおもしろいことを真面目に発信している人たちがいるってことで、紹介してもらったのがre:Li(リリ)さんだったんです。」(I am I / 村中さん)
“上質の料理と、人々が集う食卓を。”
re:Liは同じく栄に店を構えるカフェ。現在、ラシック内で好評展開中の「THE SHOP」といった新たな試みや、音楽家と食のコラボ「EAT BEAT」など、さまざまな企画をディレクションし、発信しつづけている。ただ、その高い感度と深みのあるメッセージ性だけにとらわれず、地に足の着いた料理店としての最重要事項「美味しい料理を提供する」ことについては甘んじない考え方を貫いてきたカフェだ。
[これらの写真は、すべてre:Liで開催されたEAT BEATで撮影されたもの]
今回、このビルの2Fに店を構えることになった maison YWEは、そんなre:Liの実質の2号店となる…
という書き方をすると、ちょっと語弊があるようです。
re:Liを運営する、MAISONETTE.incショップマネージャー・大岩さんの考えるお店作りとは…?
「僕たちは常に、ひとつのお店をつくるとき、コンセプトを0から考えるようにしています。だから、YWEをオープンするにあたって、単純にre:Liの2号店ができたとは思われたくないんです。re:Liでは、しっかりとした食事<美味しいだけじゃない、毎日食べても飽きない“身体にも美味しい”ご飯>を提供することを大事にしています。今回、出店することになったYWEは、そのベースである食の大切さの理念は残しつつ、”シェア”、”テーブルトーク”というキーワードを盛り込んだ、複数人でおいしい料理を囲み、楽しめる場を提供したい、そんなお店づくりをしていきます。」
この日は、あいにくまだ工事中だったので、2FのYWE店内の撮影はできなかったが、店内構造は、ざっくりとシンプル。個席はつくられておらず、間仕切りのない広々としたワンスペースに、8人掛けできるほどの大きなテーブル、そしてオープンキッチンとそれを囲むカウンター、テラス席…。料理も大皿のメニューが中心で、それを文字通りシェアし、テーブルトークに花を咲かせてほしい、そんな店の思いがダイレクトに反映されている。
最後に、YWEの店長・松本さんがこう付け加えた。
「アパレル店といっしょにひとつの建物で飲食をやる、というこの状況を活かす、とすれば、やはり、春夏秋冬をより意識したメニュー構成だと思うんです。洋服のコレクションで言えば、SS(春夏)、AW(秋冬)ってのがありますよね。それと同じで、料理に使う食材にはそれぞれ旬があります。旬の食材を活かしたメニュー作りってもちろん当たり前のことですが、そこをやはり大事にしていきたいですね」
何度も足を運びたくなるショップというのは、訪れるたびに、その印象を変え、お客を飽きさせることのないお店だろう。松本さんの言うように、1Fのl’atelier du savonの洋服のラインナップが変化することで、無意識のうちに僕たちは視覚的に新しい季節の到来を感じることになる。そして、2Fに上がれば、味覚的にも日本の四季を味わい、楽しむことができる…。
そんな素敵な複合ショップビルが栄にできました。今までの栄という街にはなかったであろう、新しい「栄」をつくるべくしてこのビルは生まれた(のかもしれない)。
決して大型店やファストファッション、ファーストフードを否定するわけではないけれど、改めて街を歩いて、散策して、ふらっと立ち寄りたくなる場所がこの街にまたひとつ増えたっていうだけで、出掛けてみたくなるんじゃないでしょうか?きっとそこには、新しくて心地のよい風が流れていると思います。
Text by Takatoshi Takebe [ THISIS(NOT)MAGAZINE / LIVERARY ]
Photo by Ryota Ebina[ Sundwich.Inc / LIVERARY ]
![]() l’atelier du savon |
![]() maison YWE
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南区・内田橋商店街の市場が20年の時を経て観葉植物店とレンタルスペースとして復活!オープニングイベントを開催。TENUSIS™️によるシルクスクリーンワークショップや飲食店など出店も多数。
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