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【SPECIAL REVIEW】Tour Is Over ~Cassie RamoneとColleen Green、2人と過ごした12日間のジャパンツアー~

Text by Joe [VVDBLK]

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Photo by Shunsaku Hirai

2014年1月に惜しくも解散した、ガールズバンド・Vivian GirlsのGt./Vo. Cassie Ramoneと、2月24日に新譜『I Want To Grow Up』がリリースされる女性SSW、Colleen Greenの2人がそろってアメリカから来日し、1月後半ジャパンツアーを敢行した。

このニュースは、国内USインディーファンを中心にコアなリスナーにとって話題になったことは言うまでもない。そんな彼女たちのツアーを企画した張本人は、名古屋在住のミュージシャンでもある、Joe君。これまでも、No BabiesOOIOOMurder MurderMoan(Shinji Masuko from DMBQによるユニット)といった国内外アーティストの名古屋公演などを企画。名古屋にいながらにして、常に視点はボーダーレスに、自身のスタンスと同調しているであろう国内外で活動するアーティストを名古屋に招いてきた人物のひとりだ。そんな彼が、今回初めてジャパンツアー全体を企画/進行し、彼女たちとともに各地をまわった。

誤解してほしくないため、事実としてあげておくと、実は海外インディーズ・ミュージシャンのジャパンツアーを個人レベルのイベントオーガナイザーやインディーレーベルが企画することはよくある話だ。そして、はっきり言ってそれによって大きな収益をあげることは残念ながらほぼない。もちろん、目的はビジネスではないからだ。つまり、よっぽどの音楽愛がなければできるわけもない、ということも同時に知っておいてもらいたい。

CassieとColleenの音楽をこよなく愛するJoe君にとっても人生初の大仕事となった、東京〜静岡〜名古屋〜京都〜大阪の5都市を足早に駆け巡った12日間のツアーの記録を瑞々しいテキストともに綴ってもらった。

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TOUR IS OVER

– Cassie Ramone & Colleen Green Japan Tour Report –


Text by Joe [ VVDBLK ]/ Edit by Takatoshi Takebe [ LIVERARY , THISIS(NOT)MAGAZINE ] 

Photo by Joe (Tour photo) and Shunsaku Hirai(Live photo at unlike.

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day1

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ツアー初日、鴬谷ワッツアップでのライブは正直ちゃんとお客さんが来てくれるのかどうか不安なところはありました。しかし開場時間が近づいた頃、お店の人から何人か並んでいると聞き、とても驚きました。なぜならこのぐらいの規模のライブで開場前に人が並んでいる場所へ僕自身が行ったことがなかったから。

 

結果、満員といってもいいほどの人に囲まれるなか、Cassie RamoneとColleen Greenのツアーは幕を開けました。ワッツアップで共演したThe DeathとNekonokekaosはとてもかっこよくて、今後もまた何か縁があればいいなと。また企画をしてくれたShino Shitことシノくんには本当に感謝です、彼なくしてこの素晴らしいスタートはなかったので。僕も二人もここまでお客さんが来るとは想像もしていなかったので飛ぶ様に売れていく物販に若干心配をしながらも、楽しんでもらえてよかったなと思い一日目が終わりました。

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day2

 

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昨年オープンしたばかりの渋谷HMVでのインストア。協力していただいたManga Shock、Essentialの竹内氏とHMVのみなさんのおかげで、こちらもたくさんのお客さんに足を運んでもらえました。Cassieが使うためのアンプを持ってきてくれたガガキライズの吉澤くんにも感謝。打ち上げのような感じでCassieがどうしても行きたいと言っていた下北沢にあるバー『ぷあかう』で終電まで飲みました。

 

この東京での二日間は主に渋谷と原宿の間をウロウロし、Cassieは古着のスウェットを2着、僕はBig Loveでレコードを購入。宇田川にある瓦というカフェを二人が気に入ったので連日伺い、お茶しました。そこには帰国前日にも伺いました。相当気に入ったようなので、次に来る時もお店が存続しているといいなと思います。

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day3

 

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レンタカーを借り、いよいよツアーらしい旅の始まり。浜松に新しくできたKirchherrでのライブでした。途中富士川SAでお決まりの「富士山をバックに写真撮影」を済ませ、若干早く浜松に着いたので僕の友人でもある浜松インディを語る上で外すことはできないクワケン氏が経営する孤高のレコード屋Sone Recordsにお邪魔し、会場の入っているビルにあったとてもオールドスクールな喫茶店へ行きました。この喫茶店もかなり気に入ったようで、サウンドチェックが終わったあと再び伺いました。

 

そういえばこのツアー中、各地のライブハウスPAさんを驚かせていたのが二人のサウンドチェックのスピード。リハと書かないのは本当に音のチェックを一瞬して終わりだったからなんです。もちろん機材をセッティングして、音が出るところまではそれなりの時間はかかりますが、一旦出ればその後は一瞬。なのでPAさんも「えっ? 終わったの?」みたいな感じになっていました。

 

浜松でのライブには個人的にずっと観たかったのいずが出てくれて、またエレクトロニクスとギターを駆使して不思議な音楽を奏でるI.FU.E.C.、僕のバンドVelvet Antsが共演。この日もお客さんはたくさんいて、物販もたくさん買ってもらえて楽しく過ごせたんじゃないかと思っています。この日はツアー中唯一誰かの家ではないところで宿泊だったのですが、これがまたすごい場所で、そんなところに泊まれたのもいい思い出になりました。

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day4

 

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前日に入った喫茶店に行ってみたところ閉まっていたのでミスドでコーヒーを飲んだ後、浜松行ったらランチはここと決めている『天錦』で天丼を食べてから名古屋へ。一旦僕の家に寄って荷物の選別と詰め替えをし、会場のKAKUOZAN LARDERへ。生憎の雨で客足はどうかと心配もありましたが、予約をいただいていたお客さんの大部分には来ていただくことができ、またこの日は二人がお互いに一曲ずつデュエットをするという特別な夜になりました。最終日にもやったんですが、名古屋で最初にやってもらえて嬉しいなと思いました。すごく好きなバンド、ハートカクテルにも出てもらったんですが、いいライブをしてくれてこれも嬉しかったです。

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day5

 

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朝、名古屋の代名詞ともいえるコメダでのモーニングの後は京都へ。道中も天気は悪いままでどうかなって思っていたものの、京都へ着き天下一品で昼ご飯を食べている(Colleenはなにか薬を探しに駅内をウロウロしていた)うちに上がっていました。

 

前回、No Babiesとのツアーの時にもお世話になったMetroでSecond Royal小山内さんに企画していただきHomecomingsとshe saidに共演してもらいました。その二つのおかげか、京都という土地柄か、この日のお客さんは若い子が多かったように思います。音楽に関わっていく上ではそういう状況ってのは大事だと思います。若い子が現場にいないと続けていくのは難しいと思っているので。

 

she saidもHomecomingsもどこか90年代のアメリカの音を思わせる感じで、特にHomecomingsはVelocity Girlっぽいとこもあるなと思いながら観ました。Colleenはアンプを使わず全てPAに突っ込み、あのローファイ全開なドラムマシンもかなりドープな音になっていて、いいライブをしました。Cassieも楽しそうにしていたのでよかったです。Fluidのジャック氏にも久しぶりに会って、お互い歳をとったことを確認しました。

 

ライブ終演後は車を走らせDMBQ、Moan、またBoredomsの楽器や音の製作などと僕が尊敬している数少ない日本の音楽家・増子さんの家に。二日間ライブがなく休みだったのでこちらに四日ほど泊めていただき、いろいろお世話になりました。

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day6

朝のんびりと寝て、増子さんに用意していただいたコーヒーを飲みながらなにをしようか話し合い。まず近所のうどん屋さんへ昼ご飯を食べに、それからリサイクルショップ2件をくまなく探索し、各自何かしら収穫物を手に帰宅。買物欲爆発して靴2足、ベルト、財布、パジャマ代わりのジャージとパンツを購入。この日は結局この後はどこへも行かず増子さんの家でまったりと。Cassieはアコギを借りずっと練習をしていて、なんだか面白くて笑えてきました。夜になるとWater Faiのクレちゃんがマキちゃんとバンドの打ち合わせに、goat、bonanzasの日野くんが増子さんと(僕も関わっている)4月のライブの打ち合わせをしに来て、増子さん特製カレーをみんなでいただきました。

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day7


大阪市内へショッピングの予定を立てておきながら結局、昼までダラダラしていたので前の晩のカレーをお昼ご飯にいただいてから出かけました。まずはマキちゃんの職場近くにあるというコーヒースタンドMillpourへ。ここのコーヒーがおいしいと二人からオススメしてもらったのですが、本当においしいコーヒーで、Colleenは「今まで飲んだ事のない味!」とものすごく嬉しそうに言っていたし、Cassieは一杯目の飲み干すとすぐさま二杯目を買っていたほど。

 

それからとりあえずアメリカ村にあるBIGSTEP内にある古着屋で買物。と言っても買っていたのは僕だけ。二人も楽しそうに見てはいたのだけど。次にFlake Recordsへ行こうと思い歩いてる途中にいつも寄っている物量豊富な古着屋へ。ここでは二人も何点か購入。Flake Recordsには店主ダワ氏がいなかったので店を出てラーメンを食べに行きました。ここも増子さんたちにオススメのつけ麺がメインの店で、量がものすごく多くて、二人はほとんど残していて若干怒りの念が沸いたのはここだけの秘密。

 

歩いてる最中に二人がボーリングがしたいと言い出したので増子さんの家へ一度戻り、休憩をしてから、みんなでボーリング場へ行きました。昔からそこに存在しているであろう昭和臭が充満したその場所にはホットスナックの自販機がありました。CassieとColleenに何ゲームやりたいのか尋ねると二人は声を揃え「1ゲーム」と。そんなわけで夜10時半ぐらいからCassie、Colleen、僕の3人は増子さんとマキちゃんを観客にボーリングをしました。しばらくやっていなかったので1ゲームだけだったけどなかなか楽しくできました。結果がどうとかいうのは置いといて。

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day8

 

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また雨で、少し不安に。昼ご飯を食べ大阪市内へ向かっている間も雨は止む気配がありませんでした。早めに梅田に行けそうだったので前日に行ってたいそうお気に入りだったMillpourへ寄っていたら入り時間ギリギリにNoon + Cafeに到着。ここには2003年12月にJet Set主催のイベントでJames MurphyがDJをしていた時に来たことがあったのですが、昨今の風営法の云々で名前や店内の間取りが多少変わっていましたが、なんだか懐かしい気持ちになりました。

 

以前、浜松や名古屋でもライブをしたことがあるTwinkle Twinklesのななちゃんと大阪のDJチームHoney Bee Partyに企画をしてもらい、Wallflowerとななちゃんの新バンドFairy Flossに出てもらい、どさくさに紛れた感じで僕もVVDBLKで出させてもらいフロアをどん引きさせました。

Colleenはこの日もPAを使い、いい音出してました。Cassieもすごくいいライブで、お客さんからもたくさんの拍手をもらっていました。終演後はサインを求める人や写真を撮る人がいっぱいで二人は忙しそうでした。増子さんとWater Faiのマキちゃんも遊びに来てくれていたのでCassieとColleenが「緊張する」と梅田に向かう車内で言っていました。

 

ライブがある日は毎回飲んだくれているのでなかなか打ち上げとかやれなくて各地のみなさんには申し訳ないなと思っていますが、この日も終演後は増子さんの家に戻り、壁になにか書いてもらいたいという増子さんの要望で二人が壁に絵を描いてから就寝。

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day9

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Photo by Shunsaku Hirai

早朝、大阪を後にし、再び名古屋へ。途中京都から滋賀の間でかなり激しく雪が降っていましたが、何事もなく名古屋に着き、また僕の家に一瞬寄り荷物を積み替え。この日は3時から僕の友人の服屋さんunlike.でインストアと夜spazio ritaでのライブがあったのでまずはunlike.へ行き、出店していたcoffee,pleaseのコーヒーを飲み、時間までのんびりと。始まる頃にはたくさんのお客さんで店内が埋まり、Colleenからスタート。普段アコースティックギターを弾かない彼女はなんだか不慣れな感じ丸出しで、それがまたとても彼女らしくて和やかな雰囲気。続いてCassieでしたが、ああいう時間にやるのはかなり恥ずかしいらしく少し緊張していたようだけど、すぐに本領発揮で盛り上げてくれました。

インストア終了後、すぐに次の会場spazio ritaへ移動し、さくっとサウンドチェックを済ませ、軽く夕食を食べに出かけました。Cecile Tiger Againのライブも終始和やかでニコニコせずにはいられないような雰囲気で、誘ってよかったなと思いながら観ていました。お客さんはどう思ったんだろうか。ColleenとCassieも大阪のライブから少しセットリストの内容を変えていて、KAKUOZAN LARDERへ来てくれたお客さんも飽きずに観てもらえたかと思います。

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これは個人的なことなので、ツアー自体とは全く関係がないんですが、この日は僕が好き過ぎて声をかけたことがなかったバンド・The Coathangersも名古屋でライブをしていて、観に行くことは不可能だったけれどなんとかして会いに行けたらと考えていたので片付けてすぐに歩いてそちらの会場へ。階段を下りている途中でベースのMeredithに会い、持参したThe Coathangersの7インチコレクションを見せたらすごく喜んでくれ、SXSWで何度もライブを観ていること、映像を撮ってアップしていることなどを話しているとギターのJuliaもやってきて、また7インチコレクションを見せると同じく喜んでくれ、下まで行きちゃんと話をし、メールアドレス教えてくれというので教えてからStephanieたちはコンビニにいるというので会場を出てコンビニで対面。Stephanieもすごく喜んでくれて一緒に写真撮ろうよ、インスタグラムにアップするからって言ってくれて、写真を撮ったところでそろそろ行かなきゃ、と言うことで僕はCassieとColleenのところへ戻りその日は終了。

 

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day10

 

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いよいよツアー最終日。がんばって早起きし東京へ。少し風は強かったけれども快晴で道中富士山もきれいに見えました。東京に着き車を返す前に荷物を全て下ろし、僕は間に合わなさそうなのでManga Shockの竹内さんに付き添いをお願いし、返却してから会場で合流。

 

ガガキライズとTeen Runningsのマサシさんによるツアーファイナルは満員御礼で、出演者も多く、盛りだくさんの内容。お客さんもみんなイベント自体を楽しんでいるようでよかったです。おかげさまでColleenの物販は完売。Cassieの方もかなり売れて二人とも喜んでいました。今だから書きますが、CassieはThe Time Has ComeのLPを50枚、BossyのLPを40枚、Hunxとのスプリットを60枚持ってきていたので正直やばいなと思っていましたが、スプリットの売れ行きが予想してた通りだったけれどLPはThe Time Has Comeが残り10枚、Bossyが5枚と買っていただたお客さんには感謝感謝です。その併せて15枚のレコードもユニオンとHMVにて販売されますのでもしツアーに行けなかった方、時間がなくて買えなかった方など是非ご利用ください。

 

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全てのライブを終え、渋谷でプリクラを撮ったり、友人へのお土産を買ったり、カラオケをしたりと満喫していました。

 

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夕方、二人を成田空港で見送ってから僕も名古屋へ帰ってきました。大変なことの方が多かったツアーですが、やっぱり終わってしまうと寂しい気持ちになります。おそらく当分は自分が全てを引率する形でのツアーは不可能だと思うので、最後にCassieとColleenとやれてよかったと思います。引率はしなくてもブッキングや名古屋でのライブの企画などはやると思いますので、今後もチェックしていただけたら嬉しいです。

ライブに足を運んでくれたみなさん、ありがとうございました!

東京、名古屋で何度も観に来てくれた方々、物販をたくさん買ってくれた方々には本当に感謝です!

各地で出演してくれたバンドのみなさん、会場のスタッフのみなさん、ありがとうございました!

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posted by LIVERARY STAFF

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