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民俗学者・編集者の畑中章宏によるトークイベント『畑中章宏の民俗学的読書術』。第四回は、写真家、牛腸茂雄の不朽の名作『SELF AND OTHERS』を民俗学的視点で読み解く。

2023.03.12.Sun | ON READING(愛知|東山公園)

 

民俗学者であり、編集者として写真集も手掛けてきた畑中章宏が、「民俗学」をキーワードに様々な本を、より多角的、多面的に読み解いていくトークイベント『畑中章宏の民俗学的読書術』。写真家、牛腸茂雄の不朽の名作『SELF AND OTHERS』を取り上げる第四回目が、3月12日(日)にON READINGにて開催される。

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私は民俗学者ですが、このイベントでは、「この本が、どうして、民俗学と関係あるの?」という反応がかえってきそうな本を、毎回とりあげていくつもりです。どうしてそんな本を選ぶのかというと、みなさんが民俗学に抱く〝固定観念〟をときほぐしたいと思うからです。
民俗学とは一見つながりがなさそうな現代思想の著作、小説、童話、詩集、紀行文学、科学書などなどを、 私なりの問題意識から読み解いていくことで、民俗学が現在進行形のリアルな学問・方法であることを皆さんに知っていただきたいのです。

牛腸茂雄(ごちょう・しげお)という写真家を皆さんはご存じでしょうか?
牛腸さんは1946年に新潟県加茂市で生まれ、桑沢デザイン研究所で写真を学び、1977年に写真集『SELF AND OTHERS』を自費出版しました。幼少時に胸椎カリエスを患っていた牛腸さんは、83年に36歳で夭折しますが、残された写真群は魅力を放ちつづけています。
牛腸さんの写真表現が写真史上で「コンポラ写真」と呼ばれる動向のなかに位置づけられること、牛腸さんの学生時代の日本が市民運動、学生運動が盛んな時代だったこと、また胸椎カリエスという難病に向き合う人生だったことなどが、『SELF AND OTHERS』に定着された写真世界を語る際に関連づけられてきました。もちろんこうした文脈を抜きにして、牛腸さんの写真を見ることは重要ですが、それ以外の読み方はないのでしょうか。
民俗学や写真史、写真論において〈民俗写真〉と呼ばれる領域があります。民俗写真は一般的に、共同体ごとに行われている祭りや行事、あるいはそこでの日常風景を捉えたものだとみなされています。しかしそれでは都市に住む人々の生活や感情は〈民俗写真〉の対象からははずれるのでしょうか。じつは私は牛腸さんの写真にも〈民俗的〉な感情が流れていて、それを読み取ることができそうだと想像しているのです。
そんなふうに今回は、日本の現代写真のなかでもとくに個性的な輝きを放つ『SELF AND OTHERS』を〈民俗学〉〈民俗写真〉の視点から読み解いていきたいと思います。
(畑中章宏)
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イベント情報

2023年3月12日(日)
畑中章宏の民俗学的読書術 第4回 牛腸茂雄『SELF AND OTHERS』
会場:ON READING 名古屋市千種区東山通5-19 カメダビル2A&2B
時間:14時~16時
参加費:1,500円(会場参加 or オンライン参加:アーカイブ配信あり)
※会場参加の場合はON READINGお買物券500円分付
ご予約:https://onreading.jp/event/htnk4/
問:052-789-0855
http://onreading.jp/

畑中章宏(はたなか・あきひろ)
民俗学者。著書に『柳田国男と今和次郎』『日本残酷物語』を読む』(平凡社新書)、『災害と妖怪』『津波と観音』(亜紀書房)、『天災と日本人』『廃仏毀釈』(ちくま新書)、『先祖と日本人』(日本評論社)、『ごん狐はなぜ撃ち殺されたのか』『蚕』(晶文社)、『21世紀の民俗学』(KADOKAWA)、『死者の民主主義』(トランスビュー)、『関西弁で読む遠野物語』(エクスナレッジ)、『日本疫病図説』(笠間書院)、『五輪と万博』『医療民俗学序説』(春秋社)ほか。

posted by Y.KURODA

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