2016.10.06.Thu - 10.10.Mon | 岡崎シビコ(愛知|岡崎)
あいちトリエンナーレ2016のパフォーミングアーツ部門として開催される、音楽と美術の間を越境する新しいかたちの展覧会「OPEN GATE」が岡崎シビコにて10月6日(木)〜10日(月・祝)の5日間、開催される。主催は、Asian Sounds Research。
Asian Sounds Researchとは、Sachiko Mを筆頭に日本とアジア(ASEAN地域)において、音を中心とした新しい表現や実験を紹介しあうリサーチプロジェクト。 音楽と美術の両方の特徴を生かし、その「あいだ」にある未知なる表現を発見し生み出す活動をしてきた。
これまでに、2014年からマレーシア/ペナン島にてリサーチを実施し、2015年6月に展覧会「OPEN GATE」 を同地にて開催。流れる音と作品が常に変化し続ける空間の創出により、展覧会や公演という概念を超えた独自のスタイルを生み、注目を集めた。
日本初公開となる今回は、マレーシア、カンボジアでのリサーチと、岡崎のまちを見渡すビルの屋上という会場の特性を織り込んだものとなる。参加アーティストは国内外から集結。
<OPEN GATE 2016参加アーティストは以下の通り>
チ・トゥ
美術家。1981年クアラルンプール生まれ。ユーモア、風刺、そして視覚的詩情を多層的に探求するアーティスト。その作品が広範囲にわたるテーマや論点を扱っているため、アーティストとしての彼の活動を正確に説明することは簡単ではない。その実践は高踏と戯作、社会性と個人性、明白と難解の間を揺れ動き続けている。
アダム・キティンガン
北ボルネオ島コタキナバル出身のマルチメディア・アーティスト。現在、自身の出自を探求し、ボルネオ固有の芸術と音楽の復興に力を入れている。工芸師として、単に工芸品を研究し収集するだけでは不十分であり、土着文化の視覚的語彙を洗練し広げて行くことが自らの役割だと感じている。
スヴォイ・サレス
1972年バタンバンに生まれ、現在はカンボジアのシェムリアップ在住。彫刻、インスタレーション、パフォーマンス、そして映像による作品は戦争や難民の生き方を想起させる ー 金属、軍服、迷彩柄などの素材や、多量の忍耐が必要とされる動きを用いる。彼の批評的、カタルシス的作風は自身の反体制的な活動を物語るところからを起点としているが、暴力に関する歴史的な独自性や暴力に関する傍観をあえて全面に出すことは求めていない。むしろ、彼の作品は現在と過去の数々の瞬間を行き来し、生き残りや冒険の過程や、力や無益といった概念から引き出されている。近年彼は論争の絶えない政治史に示唆を加える物体やモニュメントの転用を通して「現代もまた危険な時代である」という見解を提起している。
ウィンウィン
マレーシア、ペナン島出身の写真家。ウェディングカメラマンとしての経験をもち、瞬間をとらえる熱心なフォトジャーナリスト。現在はAir Asia機内雑誌や『Foodsion Magazine』といった雑誌や広告会社などに作品を提供。学士取得後に写真の道へ進み、その最初の一歩はKuang Yee Bridal HouseのU-Smile Studioでの子供写真の記念撮影より始まった。また、大学で写真講義を、Nikon Penang, Malaysiaでは写真の講座を担当している。
米子 匡司
音楽家。トロンボーン、ピアノ奏者、プログラマー。自律動作する自作デバイスと楽器を使って演奏・楽曲制作を行う。音楽のほか、住居兼オープンスペースFLOAT/PORTの運営や、自動販売機の制作、雑誌『余所見』の制作など、芸術と暮らしの周辺の活動を行っている。電子即興アンサンブル「SjQ」および「SjQ++」メンバー。近作は、町の地図を元に、フィールドレコーディングと演奏を組み合わせた<音の地図>シリーズ。
水内 義人
美術家。大阪在住北海道生まれ。独自の視点と解釈で作られていくユーモアのある作風で展示やパフォーマンスを行い、国内外で活動している。他に自身の声のみを使った1人コントユニット「DJ方」、バンド「巨人ゆえにデカイ」、「おならオーケストラ」等も継続的に行っている。2010年、Asian Cultural Council の助成により、ニューヨークで半年間滞在制作を行う。自主レーベル「Mrs.triangle(ミセストライアングル)」運営、同名で自身の作業場にて立呑み屋も営業している。
鈴木 昭男
60年代に「音の自修イベント」を開始。70〜80年代、 創作音器によるパフォーマンスの時期を経て、90年代よりインスタレーションも手掛け、耳澄ますプロジェクト「日向ぼっこの空間」以後、音の作品「oto-date 」を世界各地で継続している。ドクメンタ8、ドナウエッシンゲン現代音楽祭、大英博物館、ザツキン美術館、AV・フェスティバルなど、過去数十年に渡り世界各地の美術展や音楽祭に招待されている。
相川 瞳
幼少よりピアノ、16歳から打楽器を始める。東京藝術大学音楽学部打楽器科卒業。2007年3月には、ブルガリアで開催されたプロヴディフ国際打楽器コンクールDUO部門にて2位入賞。(1位なし)レコーディング、アーティストサポート、現代音楽、ミュージカル等、ジャンルを問わず、マルチな女性パーカッショニストとして活動中である。
上原 なな江
葛飾区出身。東京藝術大学卒業。オーケストラや吹奏楽、ミュージカルで演奏活動を行う。2009年ブルガリア国際打楽器コンクールにて第3位を受賞。最近では朗読と現代舞踊、演奏のコラボレーションに挑戦中。「夢十夜」(夏目漱石)など日本の文芸作品を中心に取り上げ公演を行う。
植野 隆司
ギタリスト。1996年よりヴォーカリストのさやとともに「テニスコーツ」のメンバーとして活動し、国内外のツアーやアルバム制作を展開。他、数々のセッションに参加。2013年にソロ作品のベストアルバム『ウエノタカシとは何か?』、2015年『Ueno 100songs』、2016年『MONTHLY UENO TAKASHI』、『Ueno Action』を発表。また2015年より、VICE JAPANのギタリストインタビュー番組『OFF STRINGS』でホストを努めている。2015年には初めて絵の展示を行い、2016年は『テニスコーツ』展を開催、多くのゲストを迎え自らと共演するライヴを展示の中で開催した。
さや
ボーカル、キーボードを弾く。植野隆司のバンド「プカプカブライアンズ」に参加後、1995年、majikickレコーズを設立、約50作品をリリース。1996年より「テニスコーツ」のメンバーとして活動、国内外のツアーやアルバム制作を展開。他、数々のユニットやセッションに参加。2015~2016年「テニスコーツ」『Music Exists Disc1~3』などをリリース。また、うたのワークショップを行った。2015年、植野の初個展の中で「しろいものや」を展開。2016年は『テニスコーツ』展を開催、多くのゲストを迎え共演するライヴを展示の中で開催した。
大友 良英
音楽家。 実験的な音楽からNHKの連続ドラマ「あまちゃん」の劇伴まで、その作風は多種多様、国の内外を問わず、様々な地域で活動してる。「プロジェクトFUKUSHIMA!」を立ち上げるなど、音楽におさまらない活動でも注目される。2014年アジアのミュージシャンのネットワークを作るアンサンブルズ・アジアのアーティスティックディレクターに就任する。2015年札幌国際芸術祭の芸術監督に就任。
Sachiko M
サインウェーブを使った電子楽器を演奏し世界的に活躍する即興音楽家。2003 年アルスエレクトロニカ・ゴールデンニカ賞受賞。サウンドインスタレーショ ン作品発表、写真集出版など活動が多岐にわたる中、NHK連続テレビ小説「あまちゃん」劇中歌の作曲に参加。「潮騒のメモリー」で第55回日本レコー ド大賞作曲賞受賞。以降ドラマの劇中歌を中心に作曲活動を開始。現在 “Asian Sounds Research” プロジェクトディレクターとして「音楽」と「美術」の間に切れ込む新たな形の発表を試み続けている。
会場は愛知県岡崎市の商業施設「岡崎シビコ」屋上
開催にあたって、プロジェクト・ディレクターのSachiko Mに5つの質問を投げかけてみた。
Interview&Text :Takatoshi Takebe[THISIS(NOT)MAGAZINE,LIVERARY]
写真左:Sachiko M
-愛知トリエンナーレで今回滞在される、「岡崎」及び「愛知」という土地について思うところがあればお聞かせください。どのような印象ですか?
Sachiko M:岡崎について答えます。まずは、静か。そして川とお城と緑。広々していて、あまり便利ではないけれど、なぜか居心地がいい、今回の開催都市としてここを選択した理由です。
-今回、複数のアーティストが滞在されますが、どのような基準で選ばれたのでしょうか?もしあればおひとりずつのご紹介も兼ねて、教えてください。
Sachiko M:一人一人は長くなるので、またの機会に。まとめてで言えば、まず、人との交流が出来る人、メンバーそれぞれの相性が良さそうな人、風変わりなこの企画を楽しんで参加してくれそうな人、そして今回で言えば、岡崎シビコの屋上を彷徨ったら似合いそうな人。それは作家、音楽家、撮影、制作全てのスタッフに関しても同じです。
-日没まで、という<時間的な演出>やシビコという<特殊な場>(コンサートホールなどではない)だからこそのアイデアはありますか?今回の公演において、<場所>や<時間>というものも意識した部分があれば教えてください。
Sachiko M:場所ありきで、その場所の良さも問題点もまるごと受け入れながらの空間創出を考えていきます。岡崎シビコさんの営業時間に合わせ、一番快適な時間帯を探り、一番見て欲しい状況、一番合う方法などをその場所の特性から引っ張り出します。そこから演出を考えるので、制限があってもむしろそれは演出のアイディアの一つとなる、そんな作り方です。
-始まってみないとわからないことはあるかと思いますが、すでに見えてきたビジョンなどあれば教えてください。どのような5日間になると思いますか?
Sachiko M:とりあえず、まずは、お客さまもご一緒に彷徨い歩いていただこうか、と思っております。広いので、それぞれで同時多発に物事が起こる、というより、ゆっくりゆっくり次の地点に向かう大きな川のようなゆるやかな流れを最初は作ろうと思います、そこからの数日間はあまり考えておりません。5日間同じメンバーでパフォーマンスをしますし、すでに作品を作っているチームは数日共に過ごしてます、それだけでもきっと何か変化が起きてくるでしょうから、私はそれを逃さず見守りながら、ゆるやかなディレクションを多少加えるだけです。
-OPEN GATEを楽しみにしている、読者の方に向けて、メッセージなどがあれば教えてください。
Sachiko M:戸惑いも含め、ぜひ、一緒に彷徨い歩いてください。ゆっくりと、そして出来ればお静かにお過ごし下さい。そこで鳴っている音がとても小さい場合が多いです。お聴き逃しのないように。そして、この特別な空間、時間になるであろう様々な瞬間を同じ場所で体感していただければ幸いです。みなさまのお越しをお待ちしております。
ビジュアルアーツ作品とサウンドパフォーマンスを絡ませ、更新&発表され続ける5日間の公開& パフォーマンス。生まれては消えてゆく様々な“動き続ける”瞬間に出逢えるだろう。
Photo by :Win WIn, 渡部勇介
2016年10月6日(木)〜10日(月・祝)
OPEN GATE 2016
会場:岡崎シビコ(岡崎市康生通西2丁目20−2)
時間:公開 15:00~19:00/パフォーマンス 日没前後(17:00頃)
料金:1000円
問:あいちトリエンナーレ実行委員会事務局
TEL:052-971-6111(公演期間中のみ) E-mail:ruru.aichi@gmail.com
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