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ネット上で話題騒然となった携帯代99万円の男・SIKASIKAフクイカズトモによる、旅行コラムがスタート!第一回目タイトルは「地球の転び方」

2014.03.08.Sat | Text & Photo by Kazutomo Fukui (SIKASIKA)

一瞬にして、誰しもが、時の人になれるってこと。(良くも悪くも…)

我らが、愛すべきトラブルメイカーであり、
名古屋を活動拠点としてバンドを続けてきたSIKASIKAのVo.Key担当フクイカズトモが身を呈して、教えてくれた。

iphone事件

上記ツイートは、瞬く間に1万リツイートを軽く越え、一時TL上はこの話題で埋め尽くされ、
Yahooニュースや、まとめサイト等が食いついた。

事件の詳細はこちらで→ http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20140227-00000098-it_nlab-sci

 

softbank

あらゆる情報が溢れ返って収集がつかなくなってしまった、現代のインターネットカルチャー全盛期においても、
ウィットに富んだユーモアと、嘘みたいな本当のことって、みんな大好物で、すぐにフックアップしてくれる。

ネットに張り付く現代人たちに、格好の《ごちそう》を用意してしまった、という意味では、
ある意味、グルメバンドという肩書きは間違ってないのかもしれない、、、。
(※ 彼がふざけてプロフィールを「グルメバンド・SIKASIKA」としていたために、Yahooニュースにもそのように載ってしまった)

そんな渦中の人物、SIKASIKAフクイカズトモ君から、
今回の騒動に終止符を打つべく(?)して、旅行記が届きました(笑)。

あまりの騒ぎの拡散状況に、本人はもちろん、周りもみんなびっくりさせてしまった、
単なるひとりのパンクスが書いた、少しトラブル多めな旅行記、です。

ではでは、第一話、はじまりはじまり〜!

 

ーーー

#01「地球の転び方」

今回の訪れた国:スペイン/モロッコ/ポルトガル/チェコ


少し長めの年末休暇を貰った。

生まれた時から落ち着きのない僕にとっては、それだけで十分な理由。
今回の旅行も完全に思いつきで飛び出した旅行だった。

航空チケットの手配は出発2週間前。
年末年始のハイシーズンだったが、日程や経路を上手く工夫して運良くチケットを手にすることが出来た。

12/26に福岡国際空港から出発。
ソウルとフランクフルトで飛行機を乗り継ぎ、まずはスペインに向かった。

今回の日程はフランクフルトから欧州入りし、スペイン、モロッコ、ポルトガル、チェコ…と、

とにかく今この瞬間に行きたい国を強引に13日間で周って帰国する過密スケジュール。

ちなみに航空券の総額は18万円弱。
合計10回も飛行機に乗る無茶苦茶なスケジュールだったけれど、案外安く手配することが出来た。

[ 12/27 ]  バルセロナ(スペイン) 1日目

ソウル、フランクフルトを経由し、深夜のバルセロナに到着。
ホテルの近くのBarで地元のLos Vértigosというパンクバンドがライブをやっていたので覗いてみたが、やはり既に終わっていた。
後にホテルで聴いてみたのだけれど、スピード感のある70′sパンクでなかなかカッコ良い。
http://losvertigos.bandcamp.com/

元々、スペインという国に興味を持つようになったのも、音楽がキッカケだった。
そして、それらの音楽によって人生に大きな影響を受けた。
特にSIN DIOS、E-150という2つのハードコアバンドが大好きで、二十歳くらいの頃はいつもCDウォークマンに音源を入れて持ち歩いていた。

それだけ音楽で思い入れがあった国なので、地元のバンドのライブを観てみたかったのだけれど…今回は願い叶わず。
イヤホンで大好きなスペインのバンドたちを聴きながら、この日はひっそりと騒がしく寝た。

[ 12/28 ]  バルセロナ(スペイン) 2日目

蚤の市-(2)

エルス・エンカンツというバルセロナ最大の蚤の市へ遊びに行った。
旅行に行くときには必ず蚤の市や市場へ足を運ぶ。
目に飛び込んでくる光や匂いの全てに、地元の人たちの生活や文化が凝縮されていて面白い。

エルス・エンカンツは知名度が高い蚤の市で、見物人には観光客が多く、東洋人も珍しくは無かった。

この日は特別な出会いもなく、何故かメキシコシティのチベット料理店の灰皿を一つだけ買って帰った。
バルセロナ、メキシコシティ、チベット。…もう何が何だかわからない。

その後は、適当に肉屋を周って生ハム乞いをしてみたり、公園で芝生を転げまわったり、目的もなくフラフラと猫のように過ごした。

モロッコ猫多すぎ-(1)

[ 12/29 ] バルセロナ(スペイン) 3日目

サグラダファミリア サグラダからのバルセロナ市

そろそろ、しっかりと観光をしようとサグラダ・ファミリアへ。

地下鉄に乗る前に小腹を満たすために普通のパン屋で買った焼き菓子がとても美味しかった。
形はフォーチュンクッキーのようなリボン状で、パイ生地の中にココアクリーム(?)が入っていた。
今回の旅行で一番美味しかった食べ物だった気がするが、写真も情報も何一つ残っていない。
何故ならこの数時間後に、様々な記録を保存していたiPhoneを盗まれてしまったから。
ちなみにこのiPhone、買ってからまだ1週間も経っていないピカピカのiPhone 5Sだった…。

サグラダ・ファミリアへ着くと、冬休みということもあって券売所には長蛇の列。
最後尾で待つカップルに声を掛けてみると、大晦日のチケットを予約するために並んでいるのだと言う。
この日はまだ12月29日なので、実に2日後まで入場待ちの客が溢れているということだった。

仕方がないので、この日は入場を諦めて同じガウディ建築の世界遺産であるグエル邸を観に行くことにした。
しかし、そのグエル邸もサグラダ・ファミリアに負けず劣らずと面白い建築物で、ガウディ建築に全く興味が無かった僕も思わず興奮をした。
ちなみに、それだけ興奮したグエル邸も何故か写真があまり残っていない。
何故ならこの数時間後に、様々な記録を保存していたiPhoneを盗まれてしまったから。

バルセロナ-景色-グエル邸_R

こちらがiPhoneからフォトストリーム上に残っていた最後の写真↓
フォトストリームに残ってい

現地時間で22:00頃。

3日間過ごしたバルセロナからカサブランカ(モロッコ)へ深夜便で移動するためにバルセロナ国際空港へ。
夕食を済ませた後に大きな荷物はホテルに預け、普通のリュックを一つだけという軽装でバルセロナのリセウ駅から地下鉄に乗車した。

元々バルセロナやカサブランカの治安をあまり軽視してはいなかったので、なるべく身軽な格好で動くことだけは決めていた。
勿論、そのリュックも背負うのではなく、胸の前で抱くようにして持っていた。

当時の地下鉄はそこそこ混んでいて、近い距離に他の乗客が居ても違和感がないくらいの乗車率だった。
当然、自分の周囲にも多くの乗客が居た。

乗車した直後だった。
上着の右ポケットに何となく違和感を感じた。
まるで誰かに引っ張られているような感覚。

「これは、もしかして…?」

そんな思いが頭を過ったものの、幸い右のポケットには何も入れていなかったので、
「ばーか!」と思いながら体を揺するように適当に動かしたことを覚えている。

スリや強盗などの犯罪に関しては、バルセロナへ渡る前からある程度は警戒をしていた。
その中でも増加傾向にあると聞いた「ケチャップ強盗」や「首絞め強盗」に関しては、珍しさもあって特に警戒をしていた。

くびしめ

必要最低限の対策は取っていた、財布には少額の紙幣と小銭だけ。
大きめの現金は靴下や雑誌に挟んだり、パスポートなどの貴重品はジャケットの内ポケットや簡単には絶対に手の届かないところに。
それだけ金品と貴重品を分散させて所持していたので、空っぽの右ポケットを探られたことに関してこの時は全く問題にしていなかった。

乗車したレシウ駅の隣のドラサネス駅で乗客の乗降が終わり、地下鉄が再び走り出した。
車窓を眺めながら何気なく左ポケットに手を入れたとき、そこにあるハズのiPhoneがなくなっていることに気付いた。

「まさかね…。」

もしかしたらただの勘違いかも知れないと、祈るような気持ちで鞄の中を探してみる
しかし、iPhoneは見つからない…。
既に、周囲の乗客の顔ぶれも少し変わっていた。

この時、初めてiPhoneを盗まれてしまったことを確信した。
「適当な体の一部を触ってターゲットの注意を集中させる。その間に狙い定めた別のポイントを探る…」
後に現地の警察官から聞いた話だけれど、これは“複数人数で活動するスリ団に多い手口”とのこと。
そして、更なる特徴としては一目で分かる東洋人などの外国人(観光客)がターゲットになりやすく、
そのターゲットから警戒心をあまり抱かることない女性による犯行が多いとのこと。

…確かに、自分の周りには女性客が何名か居た。

念のために乗車駅まで戻り構内を含め近辺を軽く探すものの、拾得物としても届け出は無かった。

本来であれば、この時にスグに警察へ行き、そこで電話を借りてでも携帯の回線停止を行うべきだった。

しかし、そのとき、自分の選んだ行動は「とりあえず空港へ向かう」という強気なもの。

その理由としては、

1. 搭乗予定のカサブランカ(モロッコ)行きの飛行機に間に合わなくなること

2. 警察に行くよりも、まずはiCloudを使った追跡を行うことが有効だと勘違いしてしまったこと

3. 携帯電話を悪用されるリスク・可能性をあまり重要視していなかったこと

1つ目の理由に関しては、そのままの通り。とてもモロッコに行きたかった。
2つ目の理由に関しては、仕事用にMacBookを携帯していたので追跡の可能性を盲信していた。
3つ目の理由に関しては、iPhone本体のパスコードロックをこれまた妄信していた。

iPhone本体には、普段から5桁のパスコードロックを自動モードでかけている。
そのパスコードロックは1分間の無操作、もしくは画面オフで自動的にかかるようにしてあり、
旅行中も端末を使用した度に画面をオフにしてロックをかけていた

今、こうやって改めて振り返ると「おい、マヌケ!」としか言いようが無い。
けれど、当時はこれでも真剣に現状と解決策を考え、落ち着いて行動をしているつもりだった。
「Apple IDで不正ログインされてカード情報や個人情報を根こそぎ盗まれた…」
そんな話を聞いたことがあったので、とりあえずApple IDのパスワードだけは念のためにすぐ変更をした。

そういった慢心や勘違いと共にバルセロナからカサブランカへ渡り
wi-fiが使える環境を見つけてはiCloudでの追跡を行ったもの、消えたiPhoneが反応を示すことは無かった。

バルセロナからカサブランカへ渡る前後には、iPhoneが手元に無いために直面するトラブルが続いた。

航空券やホテルのバウチャーはiPhone内のPDFデータで持ち歩いていたため、出国する際には酷く手間がかかった。
基本的に航空券もホテルも前払いでチケットレスだったので「念の為にPDFで…」という考えだったのだけれど、

今回に関しては、パスポートの提示だけでは済まないシーンが多かった。

モロッコへの渡航の際は「帰りの航空券(他社)を確保している証拠がないと出国を許可出来ない」と言われ、大ピンチ。
最終的にはチェックインカウンターの中にお邪魔して、オンライン上で可能な限りの証拠を集め、何とかクリアした。

カサブランカのホテルでは「チケットレス?そんな仕組み聞いたことがないね!」と、前払いをしているのにも関わらず宿泊拒否を受け、ゲームオーバー。
(※ホテルの手配はExpediaを利用。バウチャー無しでのチェックインが可能な便利なサイト…のハズ。)

当日は周囲のホテルにも空きが無く、結果として一睡もせずにカサブランカの街を歩きながら彷徨った。
地図もiPhone頼りだったので、軽く遭難したような状況だった。

街中で汚い地図看板を見つけては、音楽用に携帯していたiPod touchのコンパス機能を駆使して現在地を確認する作業。まさかiPod touchのこの機能を全力で使う日が来るなんて、思いもしなかった…。

結局、安全策(?)としてひたすら線路の上を歩いてターミナル駅を目指す事にした。
Loloi Popを唄いながら、気分はスタンド・バイ・ミー。

まさに眠れぬ夜だった。

人口が300万人を超えるモロッコ最大の都市であるカサブランカだが、24時間空いているコンビニやレストランなどは見当たらなかった
ちなみに名古屋市の人口で230万人弱なので、どれだけ日本と文化や環境が異なるのかが解ると思う。

wi-fiが使える施設もホテルを含めてあまり多くはないようで、iCloudでの追跡を再開出来たのは翌日12/30の9:00頃のことだった。
(時差はバルセロナ時間 +1時間)

[ 12/30 ]  カサブランカ(モロッコ)

モロッコ猫多すぎ-(2)

朝日が上り、少しずつ街が動き始めてきた。
疲れた頭には全てがスローモーションに感じられた。

路面電車の始発は走り出したが、店などが開く気配はまだ無い。
とりあえず座って温まりたいと思い、行き先もわからない路面電車に乗った。
惰性に任せて終着駅まで付き合ったが、駅前の荒れ果てた空き地には汚れたヤギとゴミの山しか無かった。
とんでもないところに来てしまったと思う反面、自分の現在地が全く分からない状況に何故か興奮した。

そのころは既にナチュラルハイのような気分になっていて、歩いてすれ違うモロッコ人全員に会釈をしたり、
無駄にスキップで全力疾走したり、無意識のうちに嫌なことを全て忘れてしまおうとしていた。

その後、ビジネスマンよりも埃と煙が頻繁に行き交うオフィス街で近代的なカフェをやっとのことで見つけ、
そこでやっとwi-fiを繋ぐことが出来た。

祈るような気持ちでiCloudを開くも、相変わらず「反応なし」の表示。

そろそろ何かしら他のアクションも起こさなければと思い、
ここでようやく同行者に借りた携帯電話でSoftBankの盗難・紛失専用窓口へ電話をかけた。

この時、コールセンターで相談した内容は、

「盗難・紛失の場合、機種変更の費用負担はどうなるのか」
「回線停止をすると追跡は難しくなるか」

この2点のみだった。

いかに自分がバカで能天気なハッピー野郎なのかが、誰にでもよく理解できる記憶。
回線停止をする前に思考停止しちゃってる。

そんな相談に対してコールセンターの方から頂いた回答は、

「機種変更の負担額は75,000円になる」
「回線を止めたら追跡は不可になる」

というものだった。

責任転嫁をするつもりは微塵もないけれど、
このときには不正利用の可能性などについて互いに言及することは一切無かった。

記憶が間違っていたら申し訳ないけれど、確かこのような内容だったと思う。

その結果、自分の出した回答は「…もうちょっと頑張ってみます。」というまさかの選択。

いくら頑張ってもダメなことがある!ということは、好きな子に5回告白してフラれたときに学んだハズでは無かったか
75,000円という現実的な目下の出費にばかり気を取られ、

「やば!やっぱりどうにかしなきゃ!」という気持ちになってしまったのだと思う。

その後、改めて考えを整理した結果、自分が所持しているJCBカードの海外旅行自動付帯保険の存在を思い出し、今度はJCBのコールセンターへ電話をかけた。
JCBからの回答は「iPhoneの端末本体に関しては、自動付帯保険で補償出来る可能性がある」といったものだった。

esus hrist anzai!!

JCB-Fastrac_8250_mp670_pic_

心の底からJCBは最高だと思った。

神(JCB)からのお告げにすっかり安心した自分は、切電と同時にSoftBankへリダイヤル。
開口一番に回線の停止をにこやかな口調で伝えた。

「もういいです。サクッと止めちゃいましょう?」

盗難に遭ってから既に15時間近く経過してのことだった。

同日12/30にカサブランカからバルセロナへ戻り、
穏やかな気持ちでぐっすりとベッドに沈んだときに感じた安心感は今でも良く覚えている。

旧市街の市場から大量に抱きかかえて持ち帰ったバブーシュを太陽のように並べて、何一つ不安なく眠りに就いた。

バブーシュ買いまくった

12/31 ]
起きて市場で朝食を済ませ、iPhoneの盗難に逢ったレシウまで戻り、最寄りの警察署で被害届を提出。

翌日、iPhoneの盗難に逢ったレシウまで戻り、最寄りの警察署で被害届を提出。

全ての指示がスペイン語の書類を記入するにはとても時間がかかったけれど、
長い時間をかけて提出が終わった時の謎の達成感(解放感)も決して悪いものでは無かった。

「心配するな、大体の場合見つかるんだ。転売を繰り返す際に必ずどこかで足が付く。」
「…まあ、盗んだ張本人が捕まることは稀だけれどね。」

担当をしてくれた警察官は意外にも心強い言葉をかけてくれた。

カサブランカの警察官

その時は「あ、そうなんだ。オーケー!グラシアス!」としか思わなかったのだけれど、

この言葉の重みに気付いたときのショックの深さはご想像の通り。

ただ、この時ばかりは「全てが良い方向に向かった。これで終わった。」
本当にそう思った。

そんな形で僕のiPhone盗難騒動は、ひとまずハッピーエンド(?)を迎えた。

ポルトガルのリスボン_R

その後に訪れたポルトガルは、都会のバルセロナやカサブランカとは全く違う雰囲気を感じた。
緊張続きだった旅行で、ようやくリラックスした時間を過ごすことが出来た。

リスボン、ポルト、ブラガ…などの有名な都市を訪れ、現地の市場や商店をのんびり周った。

リスボンでは、今回の旅行の目的の一つでもあったアルファマの蚤の市へ。
雨季に重なってしまい、生憎の雨で出店は疎らだったものの、その分ゆっくりと楽しむことが出来た。

「お前、中国人か?」
「日本人だよ~」
「最高!日本は最高!ポルトガルの古い友人だ!」

蚤の市のオッサン


「ありがとう。ポルトガルも爺さんも最高だね。」
「いい子だ。またリスボンに来たらアルファマにおいで。俺はいつでもここにいる。」
「オーケー!いつも出店してるんだね!」
「いや、まだ2回目。」

温暖な気候なせいか、どこか適当で優しい人が多かった気がする。

他愛もない会話、言葉に代わる笑顔、ポルトガルの街で出会うそのどれもが素晴らしかった。
中でも北部の都市ブラガから更に北へと車で1時間ほどの距離にあるアマレスという農村は、とても長閑で一等お気に入りの場所になった。

アマレスではSanta Maria do Bouroというポサーダに泊まった。
ポサーダとは歴史のある建築物を改築した国営ホテルのこと。

アマレスの元修道院のホテル_R

このSanta Maria do Bouroも、元々は12世紀に造られた女子修道院だったらしい。
それをエドゥアルド・ソウト・デ・モウラというポルトガルの世界的な建築家が改装を手掛け、ポサーダとして生まれ変わった。

こんなに面白くて格好良いことに国や政府が本気で取り組んでいるのかと考えると素直に嫉妬した。

ポルトガルは長引く不況によって「西欧のお荷物」と揶揄されることが少なくない。
しかし、そんな一言で片付けられるようなつまらない国などでは決して無いと思う。

素敵な農村アマレス_R

先急ぐ西欧・EU諸国が走り続ける中で、道端に落として失くし続けている様々な大切なモノ。

それを最後尾で丁寧に拾いながら、マイペースに歩き続けている国、その国こそがポルトガルなのだ。

民芸品や日用雑貨、食品のパッケージなど、生活に寄り添うデザインのセンスも他の国に比べて飛び抜けて素晴らしく面白かった。

また、豊かな自然の中に点在する一つ一つの街並みもとても可愛らしく、鉄道での旅がとても似合う国でもあった。
ポルトガルで過ごす時間は、この旅行で出会った嫌な物事を全てキレイに忘れさせてくれた。

ああ、素晴らしきポルトガル!

カッコイイ缶詰たち

ポルトガル国鉄

それほど楽しく過ごしたポルトガル旅行から帰国して、約50日後。

今回の994,919円という高額請求(不正利用の発覚)に至る。

BhUh6PFCMAAKrE3 

何かの間違い? 間違いじゃない。

嵐のように一気に吹き荒れる後悔の念、念、念。

これは自分みたいにちょっとアホな人間だったら誰にでも起こり得るトラブルだと思ったこともあり、
笑ってほしい気持ち3割、身の回りの友人にも注意して欲しい気持ち7割くらいで事の顛末を

ツイッターで呟いた。

しかし、その結果は全く想像もしていなかったものに…。

関連するツイートのリツイート数は最終的に3万件を超え、様々な反応を貰うことになった。

数があまりにも多く、全てに返信を返す事は出来なかったけれど、一つ一つの意見に目を通した。

「ドンマイ」
「いい迷惑」
「日本の恥」

「自業自得」
「厚顔無恥」
「豚に真珠」

全ての意見を素直に受け止めた。

今までの自分を省みて、反省を述べるとすると選ばなくてはならない記憶があまりにも多すぎる。
ただ、一言だけでここで述べるとすれば「携帯電話の価値や危険性の認識不足、携帯電話そのものに対しての知識不足」ということに尽きると思う。

端末本体そのものの価値、個人情報の塊、不正利用の危険性、契約内容…

何もかも甘く見ていた。

今年、30歳。
いつの間にか社会的には大人になってしまった。

これでも社会人の端くれだし、資本主義社海の荒波にもまれ、藻屑となりながらも何とか耐え忍んで生きて来た。

「世の中に数多く潜む危険?」あぁ、そんなこと!大体知っている!

そんなつもりだった。

つもりだったのが、良くなかった。

「また何かヤラかしたみたいね…」

高額な請求書をたまたま一緒に開いた父から話を聞いた母から電話を受けた。

いくつになってもあなたのことが心配だよ、と何度も繰り返される中、小学生の頃に母親から良く言われていたことを思い出した。

「解っていると知っているは全く意味が違う」
「知っているだけで理解したと勘違いして満足していると、必ず痛い目に遭う」

30歳を目前にして、改めて深く意味を感じた。

世界には勿論、自分たちの近所にも“知らないとヤバい”ことが実は沢山ある。

そして、その多くは“知っているだけだとマズい”ものだったりする。

法律、政治、時事問題、常識、雑学、なんでもそうだ。

そのことに自分自身でこの苦い経験をもって改めて気付き、理解することが出来たのは今後の財産になると信じたい。

994,919円で買おうとしていた経験。

・・・そんな貴重な経験が出来る。

そう、iPhoneならね。

sSIKASIKAVSJAP

明日3/9(日)は、SIKASIKA vs ジョセフアルフポルカ @ まねきねこ納屋橋店!が開催!14:00〜。¥1,000

SIKASIKA/
長崎から愛知へ出てきた、フクイカズトモ(Vo / Key)を中心に、名古屋で結成された、4人組パンクバンド。その他のメンバー三人は女性で、村門ちあき(Gt)、meme(Dr)、Suzy(Ba)。現在は、福岡、長崎、京都、名古屋と4人とも居住地がバラバラながらも、飛行機等を使ってスタジオに入ったりしている、希有な遠距離パンクス。

Text & Photo : Kazutomo Fukui [ SIKASIKA ]

Edit : Takatoshi Takebe [ THISIS(NOT)MAGAZINE , LIVERARY ]

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