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やまがた:風土(FOOD)TRIP 第1回

人とのふれあいから、地域の魅力を探す旅

Interview / Text by
MISA SATO(オイシイワークス)
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「やまがた」と言うと、みんな「あぁ山形県、東北だね」なんて言われますが、
ちがうんです!岐阜県「山県市」のことなんです。
名古屋から車で1時間半くらい。緑の山に囲まれ、キラキラ光る川面が美しい自然に恵まれた、
岐阜県・山県市の北部は、
昔ながらの生活が残る、ちいさな里山「北山集落」を中心としたエリアです。
昨年夏から取材に通い、このエリアの魅力を再発見してまとめた小冊子「やまがた旅手帖」と、
その後の北山集落のことを、2回に渡りご紹介します。
写真を眺めながら、一緒に旅している気分でお楽しみ下さい~!

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里山の魅力と、地域活性化への想いが詰まった一冊です。


「やまがた旅手帖」は、山県市北部エリアの魅力をたくさんの人に知ってもらおうと、
2013年春に発行した小冊子。
名前の通り、この冊子を片手に山県市北部に訪れてくれる人が増えたらいいな、
という想いがこもった一冊です。
ちなみに発行人の「NPO法人・山県たのしいプロジェクト”やまがた舎”」の皆さんは、
自分たちの住む山県北部をもっと楽しく、里山の魅力をPRしたいと活動されているNPO法人。
山県市北部は、過疎・高齢化が進むエリア。このままでは地域の伝統や文化が立ち消えてしまう…。
そんな危機を救うべく、地域の活性化を目指して、
地域住民の交流会を開催して色々な問題を解決したり、子供たちの遊べるツリーハウスを作ったり、
お祭りを盛上げたり、特産品を使ったお土産を考えたりと、様々な取組みを行っている方々です。

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若い人が少ないこのエリアでは、彼らのような人材はとっても貴重な財産。
「今日は何やっとるの?」「元気かね?」と、町を歩けばみんなに声をかけられ、
地域の若手ホープとして期待を背負っています。

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地元の方に教わる、ここにしかない魅力。


実は、山県市北部には、これといって目立つレジャースポットや温泉などがあるわけではありません。
かつて昭和の時代には温泉が湧き、観光地として賑わったエリアでしたが、
今は温泉も閉館してしまい、商店街もシャッターがおりたまま。少し寂しい風景です。
今ここにあるのは、豊かな自然とゆったりとした時間の流れ。それからあたたかい人とのふれあい。
でも、それこそがこのエリアの「ここにしかない」一番の魅力でもあります。

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取材中、集落を歩きながら道行く人に話しかけると、みなさんとっても親切。
山で採ってきたばかりのアケビをくれたり、ご自慢のおかずを食べさせてくれたり、
素敵な眺めのみえる場所を案内して下さったりと次から次へと色々な事を教えてくれます。
地域に伝わる民話を聞きながら風景を眺めていると、ただ歩いているだけは見えない
もう一つの風景が見えるよう。
地域の方との楽しい交流や、都会ではできない貴重な自然体験を通じて、
人の温かさを感じる旅ができる素敵な場所です。
お出かけの際は、ぜひ出会った方に声をかけてみて。
何か教えてくれるかも!

里山の食卓。


里山独自の食文化も、貴重な体験。
取材では、お母さんたちのお昼ごはんにおじゃまして郷土の味を教えていただきました。

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「まぁ、すわりんせぇ。」と促された食卓には、大皿に盛られたたくさんの郷土料理が並びます。
ねぐされ餅や桑の木豆のフライ、芋もち、芋茎の酢の物など初めて見るものばかり!
お米がとれず、冬は雪に閉ざされる山県北部ならではの、暮らしの知恵と工夫がつまった料理ばかりです。
写真は、ねぐされ餅。炊いたお米に小麦粉を混ぜて捏ねたものに、ミョウガの葉を巻いて焼いたお餅です。
昔は古くなって腐りそうになってしまったお米をおいしく食べるための知恵だったそう。
生姜醤油をぬった、香ばしい香りが食欲をそそります。

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都会では食材はスーパーで買ってくるのが日常ですが、ここでは食材は畑でとれるもの。
このあたりは田んぼがなく、石灰質で痩せた土地。芋がおいしく育ちます。
なかでも北山の畑でとれる里芋は特別で、お母さん達の自慢の作物です。
ごく当たり前に庭の畑や山の幸が並ぶ食卓は、お母さんの、そのまたお母さんの代からずっと受け継がれてきた風土の味。
たくさんのお料理は、お母さんたちに作り方を伺って聞き書きレシピ冊子も制作しました。
(レシピ冊子は、やまがた舎主催のイベントに参加された方へのノベルティとして配布されています。)

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旧小学校で味わう、おかあさんの味、風土の味。


この秋、10月26日に昔小学校だった場所を利用した食堂がオープンしました。
コンビニも喫茶店もない集落で、新しい店のオープンは何年ぶりかの大ニュース!
観光客にとっては、里山の食と人にふれあうことができる場所として、
地元の住民にとっては、地域の交流センターとして、みんなの想いが詰まった食堂です。
お母さんたちの育てる野菜や、その季節に山で収穫できる食材を使った風土の味が楽しめる食堂では、
先ほどご紹介した郷土料理も季節に合わせて味わう事ができます。

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小学校の校舎をそのまま利用した内外装は、幼い頃にタイムスリップしたような風景。
玄関に立つ二宮金次郎さんも皆さんをお出迎えしてくれる、ちょっとおちゃめな場所です。
都会では味わうことができない山の幸、川の幸やお母さん達の育てた野菜料理を食べに
秋の北山にドライブなんていかがでしょう?

次回のレポートでは、この食堂「おんせぇよぉ~」のことを詳しくご紹介したいと思います。

Writer / 佐藤 実紗
オイシイワークス/代表・フードデザイナー
「食を通じて人と人をつなぐ」をテーマに活動中。
商品開発から店舗のプロデュースまで、食にまつわる様々な取組みを行う。
アトリエでのワークショップでは、毎月食卓周りの手仕事や郷土食を楽しむ会を開催。
www.oisiiworks.com

Photographer / 黒元 雅史
1979年北海道生まれ、名古屋在住。
独学で写真を始め、コマーシャルフォトスタジオを経て独立。
雑誌、広告などを中心に活動中。
フードデザイン事務所「オイシイワークス」では写真を担当。
www.masashikuromoto.com
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